「マジカル・ガール」 ★★★★~ひたすら不幸が連鎖する憂鬱映画 | そんなことより恋をしろ

そんなことより恋をしろ

『映画を観るよりもお前は恋をしろ恋を』
…そんな感じのブログです。

※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2016』の掲載にあたって」



ひたすら不幸が連鎖する憂鬱映画

★★★★

マジカル・ガール

Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservados (C)



(2014年/スペイン/127分/Magical Girl)

【 脚本・監督 】
カルロス・ベルムト

【 出演 】
バルバラ・レニー
ルシア・ポシャン
ホセ・サクリスタン
ルイス・ベルメホ
イスラエル・エレハルデ
エリサベト・ヘラベルト




【あらすじ】

 白血病で余命わずかの12歳アリシアを持つ父親のルイスは、娘の願いを叶えてやろうと、大好きな日本のアニメ“魔法少女ユキコ”のコスチュームを買ってあげようと思い立つ。
 しかし、折りからの不況で失業中のルイスは、ひょんなことから肉体関係を持ってしまった女性バルバラを脅迫して金を要求する。
 金策のために自らの身体を売るバルバラ、そして彼女の元教師ダミアンが交わり、予想だにしない悲劇へと向かってゆく―


【コメント】

 週末を迎える直前、とあるネットで「この映画はヤバイ!」とにわかに話題になっていた本作を目にした僕は、ご多分に漏れず僕の好奇心を大いにそそり、週末は絶対にこれを観よう!と決めていました。
 しかしながら、上映館数のまあ少ないこと。関東のしかも都内の2館のみ。しかも恵比寿と有楽町という、普段めったに足を踏み入れない場所ということでちょっと躊躇しましたが、どれほどのものかという興味もあり、「恵比寿ガーデンシネマ」まで足を運んだ次第です。


マジカル・ガール

Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservados (C)



ひたすら不幸が連鎖する憂鬱映画

 いやはや噂どおり、まあとんでもねー映画でしたね。タイトルのマジカル・ガールとは名ばかり、「セーラームーン」のような楽しくてファンタジックな要素は皆無、ファンタジックどころかひたすら不幸が人へ人へと連鎖していく、どえらい現実的で憂鬱な作品です。
 余命いくばくもない少女と、少女のためになんとか夢を叶えてやろうと犯罪も厭わない父親、浮気を隠すためサディスティックな世界に身を投じる女、女のために殺人を犯す老人。どこをどう切り取っても幸せな世界が見えてこない。これぞ“因果応報”の再現ともいうべき、こんな誰も救われない鬱展開満載の映画は久しぶり、めちゃくちゃ面白かったです。


好き嫌いハッキリ分かれる全編不幸な展開

 とにかく次から次へと人が不幸に足を踏み入れていくので、誰も救われない。誰も救われないからハッピーエンドなわけがないですね。ゆえに、本作の好き嫌いはハッキリわかれると思います。
 展開的にもさほどドラマチックな盛り上がりはなく、とにかく淡々と事が進むので、エンタメ要素は皆無。逆にその雰囲気が、それぞれの人間が不幸へ向かっていく怖さを醸し出しているので目が離せない。「これから一体どうなっていくんだろう?」という怖いもの見たさが刺激される作品でもありましたね。


「魔法少女ユキコ」テーマソング

 本作で登場する架空のアニメ「魔法少女ユキコ」ですが、そのテーマソングがなんとアイドル時代の長山洋子のデビュー曲「春はSA-RA SA-RA」なんですね。
 ぶっちゃけ、リアル世代の僕ですら知らなかったこの曲をチョイスするとは、監督の日本通っぷりが伺えます。



 その他にも、いろんなところで日本通ぶりが伺えるシーンがあるので、お見逃しなく。


アリシアはやっぱりマジカル・ガールだった

 不幸が不幸を呼ぶトンデモ映画でしたが、タイトルの『マジカル・ガール』、一体なぜこんなタイトルを付けたのかとふと考えてみましたが、薄幸の少女アリシアはやっぱり魔法少女だったんじゃないかと思いますね。
 よく考えてみれば、それぞれの登場人物は全員願いがかなっているんですね。魔法少女のコスチュームを手に入れたアリシア、娘の願いを叶えた父親、夫の生活を取り戻すために恐喝男をこらしめた女、女の願いを叶えた老人。彼らに覆いかぶさる不幸は、その願いにかかる代償ということじゃないかと。
 つまり、無償の願いには必ず代償を払うことになるという教訓的な意味合いも含まれているんでしょうね。
 しかし、ラストでコスチュームを着て登場するアリシアの姿が非常にシュールでインパクトありましたね。


単館系では久々の面白映画、館数の拡大に期待

 未だ上映館が関東2館のみの本作ですが、おそらくは口コミで広がっていくくらいのパワーがある作品であることは間違いないと思います。2014年作品なので、なぜこんな面白い映画を寝かせておいたのかと不思議に思うくらい。
 もともとエンタメ系が好きな僕ですが、単館系作品では久々に僕の中でヒットした映画でもあります。小難しい映画やバッドエンドが嫌いな人も、たまにはこんな鬱々とした作品を観て、本作の意図やテーマをじっくりと考えてみるのもまた一考だと思いますよ。


マジカル・ガール

Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservados (C)



【2016年度 Myランキング】(3/13時点)

 本作は、本年度のベスト10中2位(暫定)にランクイン。
 3月はバタバタするな~


(ベスト)… ★★★☆以上が基準

  1位:オデッセイ ★★★★
  2位:マジカル・ガール ★★★★
  3位:さらば あぶない刑事 ★★★★(思い出補正あり)
  4位:ヘイトフル・エイト ★★★☆
  5位:
  6位:
  7位:
  8位:
  9位:
 10位:
  次点:
     
     


(ワースト)… ★★☆以下が基準

  1位:セーラー服と機関銃 -卒業- ★★
  2位:X-ミッション ★★☆
  3位:信長協奏曲 ★★☆


<その他ランク外一覧>
ブリッジ・オブ・スパイザ・ウォーク残穢-住んではいけない部屋-白鯨との闘いスティーブ・ジョブズドラゴン・ブレイドゾンビスクール!珍遊記パラドクスザ・ブリザード






『マジカル・ガール』公式サイトはこちら




にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


映画 ブログランキングへ