「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
絶対に一本にまとめられたハズ
★★☆
（2016年／日本／119分）
【 脚本・監督 】
瀬々敬久
【 原作 】
横山秀夫
【 出演 】
佐藤浩市
綾野剛
榮倉奈々
夏川結衣
窪田正孝
坂口健太郎
筒井道隆
鶴田真由
赤井英和
菅田俊
烏丸せつこ
小澤征悦
金井勇太
芳根京子
菅原大吉
椎名桔平
滝藤賢一
奥田瑛二
仲村トオル
吉岡秀隆
瑛太
永瀬正敏
三浦友和
宇野祥平
菜葉菜
三浦誠己
嶋田久作
小橋めぐみ
【あらすじ】
昭和64年に起きた未解決の少女誘拐殺人事件“ロクヨン”。
当時その事件にあたり、現在は広報官として勤務する三上義信は、長い間溝があった記者クラブとのわだかまりに光が見えていたところだった。
そんな中、ロクヨンをなぞるような誘拐事件が発生、被害者をひた隠す捜査班と記者クラブとの間にまたもや亀裂が生じる。
三上は、ロクヨンを模倣した事件として追跡に同行、昭和64年に隠された真実が浮かび上がってくる―
【コメント】
さて、5/7に鑑賞し非常に不満をを感じた『６４ ロクヨン 前編』の、やっとこさの後編公開ということで、前編に不満を感じつつもやっぱり続きが気になるわけで、結局のところレイトショーの「立川シネマシティ」まで観に行ってしまった次第。
レイトの遅い時間でありながらも、僕のような人が多かったのか、なかなかに人が入っていましたな。
前後編とおしてヒューマンミステリーとしては及第点
はい、まあとりあえずはスッキリしました。当たり前ですけど。犯人も分かったし、その背後で繰り広げられる警察の思惑、一刑事と父親の執念とその哀しみ。前後編とおして現代のヒューマンミステリーとしては及第点だったと思います。
練りに練ったストーリーと一流の役者陣を揃えた、邦画ならではの社会派な力作といえるでしょうね。
出ずっぱり佐藤浩市
前後編とおして隅々にまで配置したベテランの豪華俳優陣なので、そこらへんについてはもう文句のつけようがないですが、やっぱり後編でも光っていたのは主役・佐藤浩市でしたね。
もう最初から最後まで、登場しない場面は無いんじゃないかというくらい出ずっぱりなので、本シリーズは佐藤浩市の代表作ともいえる作品なんじゃないかなと。
力強い永瀬正敏の演技にも注目
佐藤浩市の光る演技も良かったですが、もう一人、誘拐され殺された娘の無念を晴らす父親役の永瀬正敏にも拍手を送りたいところ。
絶対に犯人を見つけてやるという無言の執念・気迫、昭和64年にまだ取り残された一人の男という雰囲気が体全体から出ているようで、ともすれば佐藤浩市すらも喰ってしまうくらいの気合がみなぎっていて非常に良かったですね。
とはいえ絶対に一本にまとめられたハズ
とはいえですね、前後編観た感想としては「絶対に一本の映画にまとめられただろ」という一言なんです。
前編の感想にも書いたとおり、本作のような腰を据えて観るべきヒューマンミステリーものは３時間だろうが４時間だろうが映画一本で収めるべきで、せっかくの緊迫感に間を置いちゃ興ざめというもんです。
たった1ヶ月のインターバルとはいえ要所要所忘れている場面もあったし、なにより余計な長回し場面も散見されたので、うまく編集すれば絶対に2時間半くらいに収められたはずなんです。
大長編の原作を2～3時間の枠内に収めるためのエピソードカットは宿命であり、脚本の腕の見せ所でもあると思います。配給会社も前後編という美味しい儲けシステムに囚われず、もっと見る側の気持ちにもなってほしいもんです。
邦画は“前後編システム”のあり方について今一度考えるべき
そんなわけで、映画自体は悪くは無かったと思いますが、僕的には本作から昨今の邦画界における“前後編システム”のあり方について今一度考え直すべきだと感じ、評価を低めにさせてもらいました。
映画離れが著しい昨今において、なんとか映画界を復興し潤すべく考えたシステムなのかも知れませんけどね、結局観る側に負担をかけるようにしてしまっては映画離れは加速する一方なわけで、こういった一本の作品として成り立たない中途半端な映画作りは勘弁してほしいもんです。そもそも映画の料金も高いし、パンフレットも高くなっちゃいましたからね。
そのうち、TVドラマばりに12話を劇場公開する日もそう遠くないかもしれませんね。そうなったら邦画界は終わりですな。
【2016年度 Myランキング】（6/5時点）
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
無駄遣いが多いな・・・
（ベスト）… ★★★☆以上が基準
１位：シビル・ウォー キャプテン・アメリカ ★★★★
２位：オデッセイ ★★★★
３位：アイ アム ア ヒーロー ★★★★
４位：マジカル・ガール ★★★★
５位：HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス ★★★★
６位：さらば あぶない刑事 ★★★★（思い出補正あり）
７位：デッドプール ★★★☆
８位：ボーダーライン ★★★☆
９位：ヘイトフル・エイト ★★★☆
１０位：殿、利息でござる！ ★★★☆
次点：スポットライト 世紀のスクープ ★★★☆
ズートピア ★★★☆
ちはやふる －上の句－ ★★★☆
（ワースト）… ★★☆以下が基準
１位：セーラー服と機関銃 －卒業－ ★★
２位：Ｘ-ミッション ★★☆
３位：信長協奏曲 ★★☆
＜その他ランク外一覧＞
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