「何者」　★★★～何とも言えない就活エンタテイメント

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2016』の掲載にあたって」

何とも言えない就活エンタテイメント★★★

何者 (新潮文庫)

637円

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【　出演　】佐藤健有村架純二階堂ふみ菅田将暉岡田将生山田孝之

【あらすじ】

　演劇サークルで脚本をしていた拓人、大学生活をバンド活動に費やした光太郎、その光太郎の元カノで拓人が思いを寄せる瑞月、意識高い系の女子大生・理香、社会の決めたルールには乗らないと宣言する隆良。

　5人の大学生が企業への就職のために集い就活に励むが、それぞれの思いや悩み、そして苛立ち、嫉妬が混ざり合いながらも“何者”になろうと努力する―

【コメント】

　さて、TVCMでもさんざん拝見していた青春就活エンタテイメントの本作。そもそも僕は原作未読だし本作を観ようかどうかと迷っていた作品でしたが、なにやら、ただの青春モノではない“大きなどんでん返し”のような仕掛けが待っている触れ込みだったので、先に観た『イニシエーション・ラブ』のような細工が仕掛けられているのかも知れない、こりゃちょっと期待できるなと、思い切って「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

何とも言えない就活エンタテイメント

　う～む、何とも言えない・・・単純に現在の就活というものにスポットを当てた青春ストーリーなのか、それとも就活を隠れ蓑にした大きなテーマがあるのか。意味深で不可解という言葉がピッタリの映画でしたね～

　一見して、就活という人生の大きなひとつの節目にある大学生たちの、悩み苦しみ、ついでに恋愛にも翻弄される、まさに青春群像劇という体を取ってはいるんですが、それにしちゃ全体的にベタベタな展開でタルいし、これぞ青春！といったドラマチックな展開もない。就活のハウツー的な要素はちょっと観られましたが、基本的にただただ淡々と話が進む。

　非常に意味深なメッセージを送られている感は感じ取れるんですが、本作を通して作り手は一体何を伝えたかったのか？僕にはなんとも拾い上げることができませんでした。まあ、後半に待ち構えているホラー的展開は面白かったですけどね。

本作のテーマはここにある？後半のホラー的展開

　本作の見どころ、個人的には唯一の見どころだと思っていますが、岡田将生演じる隆良が佐藤健演じる拓人に放った一言から展開されるホラー的“どんでん返し”ですが、さすがにこの場面は観てて面白かったです。

　就活に思い悩む拓人が心の奥底から湧き出る“闇”の部分がピックアップされ、ひいてはSNSというツールの怖さを映し出した面白展開だったと思います。むしろ、本作のテーマってこの部分に隠されているんじゃないか？とも思いましたね。全体的な展開で観るとだいぶ浮いちゃってますが。

　人の悩み苦しみ、嫉妬など、それぞれが持つ違う顔をSNSを通してあからさまに映し出す。これぞ、人とは“何者”なのか？と問うているような気がします。

今の就活って大変だよな・・・

　僕の体験談から言うと、僕はこんなにガチガチで頭や気を遣う就活ってしたことないんですよね。だからこそ、本作にはいまいちノれなかったのかも知れません。

　僕の場合、バブルがはじけた直後の就職で、こりゃ大変だとバタバタと就職先を決めて、ちょっとした筆記試験とほとんど雑談のような面接で「ハイ！内定」な感じだったので、今の学生たちの就職がいかに大変なのか分かりましたね。面接シートやなんちゃらテストなんかももちろんなかったし、苦労してんだなーと。

　でも、就職ってゴールじゃなくスタートですからね。企業ブランドにこだわらず、いかに長く勤めることができるか、というのがポイントだと思いますよ。合わなければ辞めちゃってもいいわけだし。あまり気合を入れ過ぎないことです。