「真田十勇士」　★★★～まさに漫画チックな時代劇エンタテイメント

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2016』の掲載にあたって」

まさに漫画チックな時代劇エンタテイメント★★★

【あらすじ】

　関が原の戦いから10年。天下統一を目の前に、徳川家康は豊臣秀吉の遺児・秀頼との対立を深めていた。

　そんな中、名将として名高い真田幸村に豊臣方の期待は注がれていたが、実は幸村は凡庸な武将にも関わらず天下の名将に祭り上げられていただけの武将だった。そこに抜け忍となった猿飛佐助が現れ、幸村を本物の立派な武将に仕立て上げてみせようと思い立つ。

　同じ抜け忍の霧隠才蔵など9人の仲間を集め、大坂冬の陣、夏の陣の火ぶたが切って落とされるのだった―

【コメント】

　9月下旬の楽しい連休週、映画もなかなかの目玉作品をぶつけてきている中、日本のエンタメ系映画監督・堤幸彦作品ということで公開された本作。元ネタは舞台作品ということですが、なんだかんだで堤幸彦監督作品は嫌いじゃないし、気軽に観れるエンタメ時代劇のようなので、いつもの「立川シネマシティ」に足を運んだ次第。連休だっただけに、観客の入りもまずまずでしたな。

まさに漫画チックな時代劇エンタテイメント

　いや～楽しかった楽しかった。本格時代劇には程遠いものの、そこは監督持ち前のエンタテイメント魂で小難しい話は一切抜き。戦国時代では有名な大阪夏の陣・冬の陣を題材に、展開も登場キャラクターたちも荒唐無稽で漫画チックな作りになっていて、頭空っぽにして最初から最後まで楽しい娯楽時代劇でしたね。

　漫画チックの表現どおり、オープニングはアニメーションでスタートするという奇襲、真田幸村のもとに勇士が九名集うとババーンと「真田九勇士」と映画タイトルが現れ、しばらくしてもう一人加えられて改めて「真田十勇士」という映画タイトルが表示されるという、堤監督らしい遊び心満載。

　鼻にブリーズライト張った猿飛佐助やナルシスト感満載の霧隠才蔵などの十勇士、久々津忍者のコスプレ感などなど、展開からキャラからまさに漫画を実写化しましたくらいの内容になっていて、真摯な時代劇マニアや戦国マニアが観たら激怒するんじゃないかっつーくらいエンタメしてて、逆にその潔さが観やすさと楽しみやすさに繋がっていると感じます。

まじめに観ちゃいけない！遊び心満載の時代劇

　先にも言ったとおり、本作を戦国時代を舞台にした知略溢れる本格時代劇として観てはいけません。オープニングのアニメしかり、登場キャラしかり、時代背景に合った所作しかり、エンディングに至るまで、とにかく堤幸彦の遊び心が詰まった、あくまで戦国時代を舞台にしたエンタテイメントアクション映画なんです。

　監督自身も、おそらくは「これはもう何でもありの漫画チックなものに仕上げよう」と思っていたに違いない。それをあーじゃないこーじゃないと真面目に突っ込む意味なんてありません。逆に「ブワッハハハ！なんじゃそりゃ」といい意味でのツッコミを入れながら観て楽しむ作品だと思いますね。

　とはいえ、クライマックスでの真田幸村の壮絶な死にざまには心が震えるし、ラストのちょっとしたどんでん返しも面白い。とにかく楽しい要素が詰まった映画だと思います。

相変わらずのイケメン加藤雅也、そして大島優子は・・・

　本作でも中村勘九郎や松坂桃李、永山絢斗、石垣佑磨といった若手から、伊武雅刀、佐藤二朗、松平健、大竹しのぶといったベテランまで幅広い役者さんたちが集って賑やかになっていますが、やっぱりなんといっても加藤雅也のヘナチョコ真田幸村が断然よかったですね。もう53歳でありながら、往年のモデル時代から劣化しないシュッとしたイケメンぶりは奇跡です。あんな大人になりたいですな～

　あと猿飛と霧隠と三角関係の火垂役であった大島優子ですが、ぶっちゃけ大根でしたね～。クノイチ忍者のコスプレ感もハンパなかったし、表情に全然変化がなくてセリフも棒。AKBを卒業して数年経ちましたが、演技で勝負していくならばはもっともっと勉強したほうが良いですな。