『脱出ゲーム 香川県からの脱出』に登場する歴史上の人物を訪ねる旅。
尾崎放哉さんゆかりの須磨寺の大師堂へ。あと毘沙門天堂からの景色を眺めます。
- 事件のない花隈町と、晴れてる新開地を通過して、山陽電車に直通
- 山陽電車で須磨寺へ行き、正岡子規の句碑と、平敦盛の像を見る
- 須磨寺の平敦盛と熊谷直実と、敦盛の笛と散りゆく紅葉
- 須磨寺には源平合戦の歴史と、なぜかユーモアが同居する
- 尾崎放哉、源義経、弘法大師、みんな香川にゆかりあり
- 須磨寺のボタンだらけの歌碑、芭蕉の句碑、八十八ヶ所、反省中の五猿
- 須磨寺の「おもろいもん」に囲まれた、平敦盛の首塚
- 須磨浦山上遊園の「カーレーター」に乗ってきた
須磨寺 ('23.12.24)
先ほど見た、平敦盛と熊谷直実の像が建つ「源平の庭」が俯瞰で望めます。
その向こうに、須磨海岸に至る須磨の町並みが。
寺務所を出て、いよいよお目当ての、弘法大師・空海をまつる大師堂に参拝。
大師堂の前に、尾崎放哉の句碑がありました。
「こんな良い月をひとりで見て寝る」
自由律俳句で知られる尾崎放哉は、もともと東京帝国大学(現・東京大学)を卒業して、大手生命保険会社に勤め、次長まで昇進したエリートサラリーマンでしたが、36歳で退社。
その後、朝鮮にできた保険会社に転職しましたが、かねてより酒癖が悪かったようで、それが原因で罷免。またこの時期に肋膜炎(胸膜炎)にかかってしまいます。満州へ行くも病気の悪化で入院。
帰国後は妻と別れて、一燈園という団体で奉仕活動に従事しますが、病気のため体力がもたず脱退。
その後、各地の寺で働きましたが、いずれも長続きしませんでした。
ただその中でも、この須磨寺大師堂には1年弱と、比較的長く勤めています。
第一高等学校(一高)の先輩で、自由律俳句の提唱者・荻原井泉水の紹介により、小豆島の西光寺奥の院・南郷庵(みなんごあん)に移り、41歳で亡くなりました。
名門校を出ていながら、社会人としてうまくいかずに会社を辞めたという点では、境遇がちょっと私と似ているところがあるように感じ、何となく晩年の放哉の気持ちが、わかるような気がするのです。
もっとも放哉は大手企業で次長まで出世してますから、そこは負けてるなあと。
(私は開発研修で上位だったのに、入社半年で、当時の自宅から電車とバスを乗り継いで1時間半かかる工場に飛ばされ、体力も腕力も運動能力もなかったので伝票書きと棚卸しくらいしかできず、結局2年で退社しました)
そのかわり、私は酒を全く飲まないので、それで身を持ち崩すことはないです。
でも、そもそも私には、放哉のような優れた作品を作る能力はなさそうだということに、放哉より年上になってからようやく気づきつつあり、……こんな風に放哉さんと張り合ってどうなるというのか。
尾崎放哉が最晩年を過ごした南郷庵は、再建されて「小豆島尾崎放哉記念館」となっており、西光寺には放哉の墓があるそうです。
ただし、放哉が「咳をしても一人」と詠んだ南郷庵の近くの海岸は現在、「エンジェルロード」と呼ばれる小豆島の一大観光地となっていて、「恋人の聖地」に認定されています。
尾崎放哉の句碑は、小さな池のほとりに建っていました。
この池は「敦盛首洗い池」とよばれています。一ノ谷の戦いの後、源義経はここで首実検を行なったと伝わっています。義経は池の上にある松の木に腰掛けていたそうです。
一ノ谷の戦いの後、義経は平家の残党の反乱を鎮圧するため、京に滞在しますが、1年後の1185年(元暦2年)、平家が拠点としていた、今の香川県高松市にある屋島へ向かいます。
尾崎放哉は1925年(大正14年)3月に、この須磨寺を去り、福井県小浜市にある寺に移りますがすぐにそこも辞め、荻原井泉水の紹介で、8月に香川県の小豆島に渡り、翌1926年(大正15年)4月に亡くなります。
義経腰掛の松と尾崎放哉句碑の後ろに建つ大師堂。ここにまつられている弘法大師・空海は、今の香川県善通寺市の出身とされます。
私が須磨寺に来たのは尾崎放哉ゆかりの地だったからですが、放哉を含めて香川にゆかりのある人物3人、私が『脱出ゲーム 香川県からの脱出』に登場させた3人が、たまたまこの須磨寺にもゆかりがあったことに、ここまで来てやっと気づきました。
(「須磨寺のボタンだらけの歌碑、芭蕉の句碑、八十八ヶ所、反省中の五猿」へ続く)
※『脱出ゲーム 香川県からの脱出』のヒット祈願で、ゲームの登場人物ゆかりの地を巡る旅は、以前にも何度か行なっています。よろしければこちらも御覧下さい。
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JR阪和線・東羽衣支線 大鳥大社(前編)(日本武尊) 大鳥大社(後編) 仁徳天皇陵 堺シャトルバスなど 阪神なんば線 阪神本線、神戸三宮
(※関西・岡山ダイジェスト) 大津・建部大社と堺・大鳥大社(日本武尊)、神戸・須磨寺(尾崎放哉) 岡山・吉備津神社と吉備津彦神社(桃太郎) 安倍晴明神社と、あべのハルカス、道頓堀、特急ひのとり
池上駅 池上本門寺(日蓮) 矢口渡駅、蒲田の屋上観覧車 武蔵新田駅から新田神社(1)(新田義興、平賀源内) 新田神社(2) 新田神社(3)
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※これまでの「日本縦断紀行」はこちら。
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