『脱出ゲーム 香川県からの脱出』に登場する歴史上の人物を訪ねる旅。
尾崎放哉さんにゆかりのある、須磨寺にやってきました。
- 事件のない花隈町と、晴れてる新開地を通過して、山陽電車に直通
- 山陽電車で須磨寺へ行き、正岡子規の句碑と、平敦盛の像を見る
- 須磨寺の平敦盛と熊谷直実と、敦盛の笛と散りゆく紅葉
- 須磨寺には源平合戦の歴史と、なぜかユーモアが同居する
- 尾崎放哉、源義経、弘法大師、みんな香川にゆかりあり
- 須磨寺のボタンだらけの歌碑、芭蕉の句碑、八十八ヶ所、反省中の五猿
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須磨寺 ('23.12.24)
1184年(寿永3年)の、一ノ谷の戦いで討たれた、平敦盛の銅像がありました。
手前の紅葉との、色の組み合わせが美しく感じられますが、同時に、はかなさも感じられます。
敦盛の像があるということは、もちろん源氏方の熊谷直実の像もあります。
平家物語の有名な一場面、「敦盛の最期」を再現。
一ノ谷の戦いの大勢が決し、平清盛の甥にあたる敦盛は、馬に乗って海に逃れ、沖で待つ総大将・平宗盛の船に向かっていました。
それを見つけたのが熊谷直実。敦盛に向かって、「大将が敵に後ろを見せて逃げるとは卑怯でございましょう」と叫び、一騎打ちを所望します。
これに応じて敦盛は岸に戻ってきますが、歴戦の猛者である直実に、あっという間に組み止められました。
直実は敦盛の首を斬ろうとしましたが、ここで相手がまだ16歳か17歳くらいの若者、しかも美少年であることに気づいてとまどいます。
直実の嫡男(熊谷小次郎直家)も同じくらいの年齢だったこともあり、「自分が彼を討ったら、彼の父親が悲しむだろう」と思ってしまいます。
彼1人を討とうが討つまいが、戦の大勢に影響はなく、直実は敦盛の命を助けたいと思ったのですが、そこへ味方の土肥実平や梶原景時の軍勢が近づいてきました。
こうなると、逃がしたところで敦盛がほかの誰かに討たれることは必至。やむなく直実は、泣きながら敦盛の首を斬りました。
後年、熊谷直実は、法然に弟子入りして出家しています。『平家物語』では、敦盛を討ったことによって、直実に、出家をしたいと思う気持ちが強まったとしています。
織田信長が桶狭間の戦いの前に舞ったと伝わる、幸若舞(こうわかまい)の『敦盛』は、この平敦盛の最期を題材としたもの。「人間五十年……」のくだりは、熊谷直実が出家したときの言葉として書かれています。
平敦盛が討ち取られたときに持っていたという「青葉の笛」(平家物語では「小枝」(さえだ))が、宝物館に展示されていました。青葉の笛と同じく敦盛が持っていたと伝わる「高麗笛」という細い笛とともに、厨子に納められています。
現在この宝物館は入館無料ですが、江戸時代には拝観料を取っていたようで、松尾芭蕉が「須磨寺の笛は拝観料に見合わない」と書いた手紙が遺っているそうです。
そのほか、宝物館に展示されているのは、敦盛と直実の画像や錦絵、直実が出家後に作ったという敦盛の像。
直実が敦盛の母衣(ほろ)に書いたという「南無阿彌陀仏」の名号。法然上人直筆と伝わる「南無阿彌陀仏」名号。
武蔵坊弁慶が、戦場で軍の統制をとるために使うべく、長刀に引っかけて運んできたという鐘。
現在の本堂を建てた、片桐且元が揮毫した扁額。運慶作と伝わる鬼面。鰐口。敦盛と直実の文楽風人形。
重要文化財・南北朝時代の絹本著色普賢十羅刹女画の複製。
須磨寺ゆかりの「一絃琴」。1枚の板に1本だけ絃が張られた琴で、在原行平(六歌仙・在原業平の兄)が一時、須磨に流されたとき、その場にある材料で作ったのが始まりとされています。
宝物館の隣の部屋は「小石人形舎」。小石人形は木島武雄氏という方の作品で、小石を人の体に見立てて、須磨寺の歴史、百人一首、一ノ谷の戦いなどを表現しています。
(「須磨寺には源平合戦の歴史と、なぜかユーモアが同居する」に続く)
※『脱出ゲーム 香川県からの脱出』のヒット祈願で、ゲームの登場人物ゆかりの地を巡る旅は、以前にも何度か行なっています。よろしければこちらも御覧下さい。
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JR阪和線・東羽衣支線 大鳥大社(前編)(日本武尊) 大鳥大社(後編) 仁徳天皇陵 堺シャトルバスなど 阪神なんば線 阪神本線、神戸三宮
(※関西・岡山ダイジェスト) 大津・建部大社と堺・大鳥大社(日本武尊)、神戸・須磨寺(尾崎放哉) 岡山・吉備津神社と吉備津彦神社(桃太郎) 安倍晴明神社と、あべのハルカス、道頓堀、特急ひのとり
池上駅 池上本門寺(日蓮) 矢口渡駅、蒲田の屋上観覧車 武蔵新田駅から新田神社(1)(新田義興、平賀源内) 新田神社(2) 新田神社(3)
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※これまでの「日本縦断紀行」はこちら。
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