香港国歌「取り違え」で猛抗議 香港政府 | 中国情報ジャーナル ディープな香港・中国・台湾

中国情報ジャーナル ディープな香港・中国・台湾

1997年7月1日に英国から中国に返還された香港。1997年から香港に駐在したフリーランスライターが現場取材をもとにディープな香港、中国、台湾の最新情報を書き尽くしていきます。

香港国歌「取り違え」で猛抗議 香港政府
楽曲禁止令めぐり司法批判
演奏禁止令の申請棄却 高裁
司法の独立揺らぐ恐れも


スポーツの国際大会で香港の国歌(中国国歌「義勇軍進行曲」)を取り違えて反政府デモの応援歌で演奏するハプニングが相次ぎ、香港政府を悩ませている。政府は禁止令を高等法院(高裁)に申請したが棄却され、司法批判を展開。司法判断を度外視すれば中国本土と違う「一国二制度」下の司法の独立が揺らぐ恐れもあり、国際社会の厳しい視線が向けられる。

 

▲反政府デモの応援歌「香港に再び栄光あれ(願栄光帰香港)」


1997年7月1日、英国から中国に返還された香港の国歌は中国国歌「義勇軍行進曲」。国際的なスポーツ大会では、中国国旗ではなく香港行政区旛を掲げ、中国とは別の選手団を派遣する形が多いが、試合前のセレモニーや表彰式での国歌斉唱では中国国歌を流す。

 

▲反政府デモの応援歌「香港に再び栄光あれ(願栄光帰香港)」の日本語バージョンも登場


だが、昨年から香港の国歌が反政府デモの応援歌「香港に再び栄光あれ(願栄光帰香港)」に取り違える事例が国際スポーツ大会で相次ぎ、香港政府が猛反発。関係機関に猛抗議している。

 


▲2023年3月2日のボスニア・ヘルツェゴビナで行われたアイスホッケー世界選手権の香港対イランの試合で香港国歌のトラブルが表面化

 

昨年11月、韓国で開かれた7人制ラグビー(セブンズ)大会の韓国対香港の試合や昨年12月2日、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイであったパワーリフティングの大会、3月2日のボスニア・ヘルツェゴビナで行われたアイスホッケー世界選手権の香港対イランの試合で中国国歌ではなく、「香港に再び栄光あれ」が流れた。国歌を取り違えた韓国にSNSで感謝の意を表明した香港人男性は逮捕されている。

 

▲▼2022年12月2日、ドバイで開かれた国際パワーリフティング大会の表彰式で香港の国歌取り違えに手を「T」文字で抗議する香港代表の連煌楨選手=YouTube動画画像より


 

パワーリフティングやアイスホッケーの試合では香港代表選手らは「停止」を求めて手でT字を作るジェスチャーをし、その後、「義勇軍進行曲」が流され、主催者側は謝罪。香港政府はネット検索に問題があるとして、米グーグルに中国国歌を検索トップにするよう抗議したが、グーグル側は「修正に法的根拠が必要だ」と拒否している。香港政府は高裁に禁止令の許可を申請したが棄却され、中国系香港紙「大公報」「文匯報」「香港商報」は一斉にグーグルや高裁判断を批判した。

 

▲反政府デモの応援歌「香港に再び栄光あれ(願栄光帰香港)」の楽譜と歌詞

 

香港では、2019年の反政府デモを応援するため、匿名の音楽家が19年8月にネット上で発表した民主派のテーマ曲「香港に再び栄光あれ」が大ヒット。若者たちを鼓舞するメロディーや政府の圧力を恐れずに抵抗を続けて自由と民主を勝ち取ろうと呼びかける歌詞が共感を呼び、グーグルで「香港国歌」を検索すると「香港に再び栄光あれ」がトップ表示されるまでになった。
 

英語版、日本語版も製作され、YouTubeでも総計800万超の視聴回数となっている。

 


▲2022年11月、韓国で開かれた7人制ラグビー(セブンズ)大会の韓国対香港の試合で香港国歌の取り違いが発生

 

ただ、歌詞にデモのスローガン「光復香港 時代革命(香港を取り戻せ 時代の革命だ)」が含まれ、香港独立をあおり、香港での反体制的な言動を取り締まる香港国家安全維持法(国安法)に抵触するとして香港政府は問題視。香港オリンピック委員会も1月、約60の各競技団体に対し、団体名に「中国」を加えることを要請し、国歌撮り違い防止に躍起だ。

 

▲香港政府の禁止令申請を棄却した香港高等法院(高裁)
 

6月、香港政府は国家安全に関わるとして「栄光あれ」のネット配信や演奏など取り締まる禁止令を認めるよう裁判所に申請したが、高等法院(高裁)は「禁止令は反政府的な言論を取り締まる国安法と重複し、既存の法律で対応可能。一般市民の正当な活動を萎縮させかねず、表現の自由を考慮する必要がある」と7月28日に棄却した。香港政府は8月7日、終審法院(最高裁)への上告を決めた。

 


▲香港政府の禁止令申請を棄却した香港高等法院(高裁)の陳健強裁判官

 

2020年6月末の国安法施行後、司法の独立性が懸念される香港で一定程度、司法の独立性が保てた形だが、終審法院で覆される事態となれば、国際社会の厳しい批判は国際金融都市の信頼を失墜させかねない。
 

香港トップの李家超行政長官は国家安全について「司法は一般的に行政機関の判断に従うべきだ」と司法の独立を否定するような意見書を法廷で提出しており、香港政府の主張は司法の独立を脅かし、香港の評価がますます失望へ低下しかねない。

 

懸賞金、家族聴取で自首促す 香港警察 亡命民主派は屈せず

天安門事件、図書館からも排除 香港 言論の自由大きく後退

小中高校教員の離職急増 密告恐れ自己検閲 香港

香港の反政府デモ要因残存を警戒 中国高官

中国本土の教員数急増 香港の主要大学

国安条例の早期制定に消極的 香港の動き、中国華僑組織憂慮

 

2024年までに国家安全条例制定 香港行政長官

 

白紙デモ、同時多発で連携 中国 背後に全米民主主義基金

 

与党・民進党が惨敗 24年総統選に危機感 台湾統一地方選挙

 

現職優位、野党・国民党が優勢 桃園、新竹で民進党苦戦 台湾統一地方選

 

側近重用、毛沢東に匹敵する権力を確保 習近平指導部

李克強首相、指導部留任せず 中国党大会

李克強氏の去就焦点 中国新指導部 ポスト習見えず

脱日本化する「メイソウ」迷走 日中国交正常化50周年

和装コスプレ女性を連行 中国蘇州 「日本街」各地で誕生、反発も

愛国教育を強化し中国共産党の正統性浸透 香港

コロナ対策敗因残した中国返還25周年 香港

 

反テロ通報で報奨金も 習主席滞在で厳戒態勢 香港返還25周年

 

陳日君枢機卿を逮捕 国安法、バチカンに一矢 香港

 

親中強硬派の李家超氏が当選 香港行政長官選挙

 

次期行政長官に李家超氏確実 香港 マカオ式信任投票へ

 

北京五輪後、コロナ禍深刻 中国 香港は世界最悪の死亡率

五輪マスコットと人気選手、商標侵害止まらず 中国

ゲームと塾規制に見る子育て「家庭教育推進法」の闇 中国

親中派独占、投票率は過去最低に 香港立法会選2021

若者無関心、親中派独占へ 香港立法会選挙 3人に1人が投票棄権

中国式管理選挙に一変 香港立法会選挙2021 親中派の党別争い激化

 

学校現場で国安法遵守を要求 香港政府 教師の政治言動厳禁

 

慈善団体から民主派あぶり出し 香港 記者協会もターゲット

 

香港民主派団体が解散ドミノ化 国安法容疑、中国メディアが断罪

 

中国当局、若者の「低欲望主義」警戒 静かな抵抗「躺平」

国安法の検閲恐れる香港映画界 独創性阻む自己規制

香港の主要大学、中国本土の留学生が比率増 愛国教育を優位に

海外移民で退学者増 香港の有名小学校

残留か、亡命か 立法会選の出馬制限で苦境 香港民主派

 

中国共産結党百年、コロナ下の「春節」 中国

コロナ感染要因の春節厳戒 中国 北京五輪中止圧力も

欧米の支援不可欠な香港民主派 羅冠聡氏らの動向警戒 中国

 

議員立候補を「選別」、窮地の民主派 香港

 

大手学習塾、コロナ経営難で閉鎖破綻か 中国

 

中国軍機の台湾侵入飛行顕著 米台結束、中国の「武嚇」増幅

 

香港「二次返還」論が浮上 深圳経済特区40年

 

親中派与党、選挙延期で惨敗回避も 香港立法会選

 

反中デモ、民主派活動封じ込め 香港国家安全法

 

民主派躍進でも不安、移民増も 香港 国家安全法、民意は反対過半数

 

「中国の監督権」強化じわり デモ再燃封じの香港

無症状感染者に「抜け穴」 中国武漢 封鎖解除で恐々

朝令暮改の地方政府、混乱と焦燥なお 中国の武漢肺炎

初動不備、SARS教訓生かせず 中国・武漢肺炎

香港民主派、共闘へ堅い結束醸成 台湾選挙

香港問題が与党に追い風 台湾総統選 立法委員選は激戦

 

硬軟両様、台湾取り込み加速 中国 韓国瑜氏、総統選出馬か

 

LGBT票取り込みに躍起 台湾与党 住民投票でNO、なお新法

 

混迷する次期総統候補選び 台湾総統選2020

「韓国瑜現象」で国民党急追 高雄市奪還も 台湾統一地方選   

喜楽島連盟「独立」の是非どう交わす 台湾・蔡英文政権  

 

民主派が8割超の圧勝 香港区議会選 民意でも中国動じず

 

民主派、初の過半数獲得へ 香港区議会選

 

区議会選延期への方策か 香港 抗議の取り締まり強化

 

民意問う区議選へデモ休戦なるか 香港 過激化抑止できぬなら延期も

 

香港は持久戦、収束見えず景気低迷 区議会選で民意鮮明

 

建国70周年前に決着どこまで 香港デモ

 

白色テロ憎悪の連鎖、親中派も増幅 香港 民主派デモ隊に暴行

 

「熱血公民」の鄭松泰香港立法会議員に聞く

 

「香港の良心」陳方安生氏に聞く 指導力改め、真の一国二制度堅持を

大学生が見る暗い近未来 連載・香港憤激【下】

資金洗浄の逃避できず 逃亡犯条例案 連載・香港憤激 【中】

自由死守に立ち上がる若者 連載・香港憤激 【上】

過激化した立法会占拠に賛否 激憤する香港の若者たち

香港立法会をデモ隊が一時占拠 催涙スプレー使う警察

観衆なき異例の国旗掲揚式 香港返還22周年

厳戒体制がピークの香港 中国返還22周年
逃亡犯条例案、完全撤回どこまで 香港

民主派が惨敗 議員立法の否決権失う 香港補選
独立派の立候補排除 香港立法会 補選で民主派、代理立て苦慮  

香港カトリック教区の陳日君枢機卿に聞く 

香港カトリック教区名誉司教の陳日君枢機卿 【中華の「顔」】

香港立法会、補選スタート 剥奪議員の雪辱、選管の判断次第
同性婚容認の司法判断に反発 台湾
政治弾圧に反対デモ 「雨傘運動」の主導者ら2000人 香港

中国国歌へ止まぬブーイング 香港 中港矛盾で世論二分も
経済協力28兆円、米中首脳が北朝鮮問題で協調演出  

京劇観覧中にウトウト 中国夢にうなされるトランプ米大統領

習氏一強、見えぬ後継で基盤着々 中国指導部

頼行政院長の実務能力次第 台湾の蔡政権浮揚

革命英雄礼賛で愛国鼓舞 中国教科書
ポスト「一国二制度」問う動き 香港
返還50年後の色は赤と黒 香港青少年座談会

空母「遼寧」、時間差で香港へ 連載 「一国二制度」の前途(下)

民主化進まず格差拡大、独立論の背景に 連載「一国二制度」の前途(中)

中国から移民増、狭さに悲鳴 香港・中国返還20年(上)

民主化デモは大幅減少 香港返還20周年

習近平国家主席の香港での一挙手一投足 香港返還20周年  

香港自決派、台湾与党と連携強化へ 香港返還20周年で危機感

陣痛期の1年、大なた振るえず 台湾・蔡英文政権   
急成長する新型レンタサイクル業界 中国 ofo、摩拝単車に他社急追

台湾の同性婚合法化、ヤマ場に 賛否二分で着地点見出せず

親中派の林鄭月娥氏が当選 香港行政長官選

中国「本命」の林鄭氏優位に 香港行政長官選

旺角暴動の3被告、有罪に 香港区域法院(地裁)

林鄭月娥氏の優位変わらず 支持率は低迷 香港行政長官選挙

中国返還20周年で汚職「赤信号」 前行政長官に禁固1年8月 香港

香港在住の中国富豪、本土連行か 中国警察  

有力候補一本化できず激戦に 香港行政長官選

台湾の同性婚合法化、ヤマ場に 賛否二分で着地点見出せず   

親中派の林鄭月娥氏が当選 香港行政長官選   

中国「本命」の林鄭氏優位に 香港行政長官選

旺角暴動の3被告、有罪に 香港区域法院(地裁)
林鄭月娥氏の優位変わらず 支持率は低迷 香港行政長官選挙

中国返還20周年で汚職「赤信号」 前行政長官に禁固1年8月 香港

香港在住の中国富豪、本土連行か 中国警察  

有力候補一本化できず激戦に 香港行政長官選挙


【香港立法会選挙2016 連載インタビュー 香港「自治」の行方 第1回~第10回】

 

劉慧卿民主党主席(上) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第1回
大気汚染改善を自賛する陳吉寧中国環境保護相 【中華の「顔」】

劉慧卿民主党主席(下) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第2回
秋北全国人民大会代表(上) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第3回

呉秋北全国人民大会代表(下) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第4回  

新党「香港衆志」の羅冠聡党主席 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第5回
親中派団体「愛港之声」代表の高達斌氏 香港「自治」の行方 連載第6回
梁家傑公民党名誉主席(上) 香港「自治」の行方 連載第7回

梁家傑公民党名誉主席(下) 香港「自治」の行方 連載第8回

香港誌「前哨」の劉達文編集長(上) 香港「自治」の行方 連載第9回   

香港誌「前哨」の劉達文編集長(下) 香港「自治」の行方 連載第10回