「韓国瑜現象」で国民党急追 高雄市奪還も 台湾統一地方選 | 中国情報ジャーナル ディープな香港・中国・台湾

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「韓国瑜現象」で国民党急追 台湾地方選
与党地盤の高雄市、野党奪取も
次期総統選控える蔡政権に黄信号


台湾では11月24日投開票の統一地方選に向け、最終盤を迎えている。与党・民進党が苦戦し、野党・国民党が健闘しており、南部・高雄市長選で支持率が急上昇する国民党の韓国瑜候補が無党派層を取り込んで台湾全土で同党の底上げにつなげており、2020年の次期総統選へ大きな地殻変動が起こっている。(香港・深川耕治)

   今回の地方選で注目される「六都」と呼ばれる人口125万人以上の直轄市・六都市(台北、新北、桃園、台中、台南、高雄)のうち、無党派の台北以外で4都市(桃園、台中、台南、高雄)を得て大勝した民進党、1都市(新北)のみに留まって大敗した国民党の構造が直前の世論調査結果では大きく変わる動きだ。
 

台北市長選は当初、民進党の推薦を得なくても再選確実と見られていた現職・無所属の柯文哲候補が国民党の丁守中候補に肉迫され、4年前のような圧勝ムードが消え去った。民進党の姚文智候補は蚊帳の外。


毎回、与野党が激戦を展開している台中市長選では民進党現職で若手ホープと期待されていた林佳龍候補が国民党で立法委員(国会議員に相当)を六期務める中華系テレビ局の元・気象予報女性キャスターの盧秀燕候補に支持率で逆転され、苦戦。先回も僅差で辛勝して市政4年間の評価が下されるだけに競り負けると民進党のダメージは大きい。

南部で民進党が強固な地盤を持つ高雄市長選では、各最新世論調査によると、国民党の韓国瑜候補が民進党の陳其邁候補を僅差でリードし、勢いが止まらない。四年前の台北市長選での柯文哲現象をしのぐ「韓国瑜現象」となっており、台湾の各メディアは韓国ブームをもじって「韓流」が高雄だけでなく台湾全土を席巻していると表現しているほどだ。

韓国瑜候補は国民党の非主流派。馬英九前政権では冷遇されてきた。立法委員を引退し、台北市青果市場社長に就任後、台北市議会の答弁で民進党市議から徹底してバッシングを受け、逆にその動画が民進党の傲慢不遜さを印象づけて韓氏への同情が集まってSNS上で大ブレイクした。


頭髪が薄い庶民派の風貌と自虐ネタで笑いを誘い、演説は軽妙。選挙事務所を設けず、「ミネラルウォーター一本で選挙を勝ち抜く」とシンプルな運動を展開し、ネットで幅広い支持者を持つ。安定した職を求めて高雄から台北など北部に向かう「北漂」と呼ばれる若者に同情し、地元経済振興を第一公約にした。


中台問題については「南台湾では統一独立問題は喫緊の課題ではない。高雄は経済、台北は政治だ」と述べ、保守ながら反エリート的な立ち振る舞いが20年間の景気低迷にあえぐ民進党市政に飽きが来ている選挙民にとって新鮮に映り、人気が高まった。


台湾独自のネット戦略に長け、台湾最大の電子掲示板「PTT」を主戦場に二十代を中心に幅広い年代、無党派層の支持を広げている。最終盤では接戦の選挙区へ応援に駆けつけ、国民党各候補のてこ入れが支持率アップで奏功。次期国民党主席候補への待望論も出ているが、本人は否定している。



党派別支持率動向で国民党の支持率が急上昇した(図参照)のは今年7、8月からで韓国瑜現象によるものだ。


既成政党に嫌気がさしている無党派中間層だけでなく、民進党支持者にも韓氏支持に傾く現象が出ており、国民党自体が浮上したのではなく、「韓流狂潮」で「韓国瑜氏が国民党の救世主になった」(台湾師範大学の范世平教授)との見方もある。

民進党が確実に保持できるのは桃園、台南の2都市のみで国民党は新北以外に台中、高雄の2都市を奪取すれば、先回選挙の大敗北、総統選の大敗から起死回生しして2020年の総統選へ勢いを増すことになる。


民進党率いる蔡政権が地方選で敗北した場合、党主席を兼務する蔡総統への責任論が避けられず、「蔡英文総統は党主席を辞職し、破釜沈船(船を沈めて退路を断つ決意)の心構えで次期総統選へ臨むべきだ」(張峻豪・東海大学副教授)との声が早くも出始めている。今回の地方選は六都を含む計22の市と県の首長選挙で民進党は現有13ポスト、国民党は6ポスト。蔡英文総統の支持率低迷と韓国瑜現象で目減りは確実で、国民党の躍進次第では蔡総統の2020年総統選出馬も危ぶまれかねない。


中国側も台湾統一地方選の動向を注視。中国福建省のアモイ大学台湾研究院などが台湾視察後の先月中旬に発表した動向分析では六都すべてが前回と同じ結果になると予想。


しかし、選挙直前になるほど韓国瑜現象は強まり、中国側も中台融和に積極的な国民党が予想以上に勢力を盛り返すことが統一工作に有利になると皮算用している。


※文中の東海大学は台湾の台中市にあるキリスト教系私立名門の東海大学(日本の東海大学ではありません)


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