統一地方選に逆風続く蔡英文政権 台湾 | 中国情報ジャーナル ディープな香港・中国・台湾

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統一地方選に逆風続く蔡政権 台湾
台北市は独自候補で敗色 民進党
目減りでも総統選へ勝機


台湾では2020年1月の次期総統選の前哨戦となる11月24日投開票の統一地方選に向けて序盤戦が展開されている。前回、国民党が歴史的大敗、民進党が大勝して蔡英文政権樹立の道筋をつけたが、今回は政権奪還後の支持率低迷にあえぎ、与党・民進党は防戦一方で最大野党・国民党も伸び悩み、二大政党への閉塞感から無党派票の流れが勝敗を決めそうだ。(香港・深川耕治)


新北市長選が天王山に
勢力微増で党勢回復狙う 国民党

二大政党への閉塞感強く
無党派票の行方が鍵に


統一地方選は台湾全土22県・市(有権者数=約1920万人)で行われ、人口の約7割を占める6直轄市(台北、新北、桃園、高雄、台中、台南)の市長選やそれ以外の勢力図の地殻変動が大きく変わることで総統選への勝機が見えてくる。


前回(2014年)は野党だった民進党が13(前回は6)、国民党6(前回は15)、無所属3(前回は1)で民進党が大勝し、16年1月の総統選での政権奪還に大きな弾みとなった。


今回は地方選から総統選までの期間、他に選挙はなく、実質的には19年春ごろから総統選の序盤がスタートするため、台湾全土の有権者の投票動向が総統選の予想指標となる。


地方選は今月末までに立候補者の登記が締め切られ、10月には候補者番号が決まり、本格的な選挙戦に突入する。


「改革勢力と反改革勢力の戦い」との構図を示す与党・民進党主席の蔡英文総統は7月12日に内政部長ら7閣僚を交代させて政権浮揚を図り、15日の党大会では県・市長選の候補者全員とそろい踏みし、「改革の方向性は正しい」と強調。


8月12~20日の日程で外交関係のある南米パラグアイと中米ベリーズを訪問して中南米への外遊で外交実績を積もうとした蔡総統だが、台湾にもどって10時間後に中米エルサルバドルと断交。外交関係を持つ国は蔡政権発足後に5ヶ国も減り、史上最低の17ヶ国となり、「台湾は圧力に屈しない」と中国の露骨な金銭外交を批判しつつも、外交上の面目を失った。

与野党にとって勝敗ラインは過半数の12以上だが、いずれも困難だ情勢で大敗しない守りの戦略は二大政党への閉塞感と失望感を高め、無党派が棄権するか無所属候補へ票が流れやすい情勢となっている。支持率が低迷する蔡政権にとって地方選で微減、国民党が微増する結果であれば前回大勝の貯金分もあり、総統選への再選へ辛うじて持って行けると見ているが、逆風は内政、外交ともに予想以上に厳しい。

歴史的大敗、劣勢から党勢回復をめざす野党・国民党は19日、党本部で地方選対策の会議を開き、呉敦義党主席が「蔡英文政権は独裁覇道で台湾を治めようとしている」と批判しつつも勝敗ラインの明示は避け、「無党主席」と揶揄されるほど、次期総統選へ慎重な態度だ。


朱立倫・前党主席(新北市長)は「22県市のうち半数の11以上を目指すべきだ」と話し、国民党所属の立法委員(国会議員)らは「11以上なら『大勝』。少なくとも新北市以外に嘉義市、宜蘭県、彰化県で勝てば『小勝』で呉敦義氏、朱立倫氏が正副総統候補となる筋道が開ける」と見ている。



注目が集まる台北市長選では、当初、民進党は前回同様、無所属の柯文哲市長と選挙協力を探っていたが、中国に対して柯市長が「友中」との立場を示してあえて民進党との路線の違いを出すことで党内の反発が強まり、民進党は独自候補の姚文智立法委員を立てたが世論調査を見ても勝ち目がない劣勢。国民党候補の丁守中・前立法委員も同様であり、二大政党の不振は選挙戦全般に大きな影響を与えそうだ。


 

与野党の勝敗、明暗がはっきり分かれる注目選挙区は、市町村合併で台北市郊外だった台北県の周辺が合併したことで台湾最大の人口を得ることになった新北市だ。当然、台湾最大の有権者数を誇ることで台北市以上に注目の選挙区となる。



















新北市長選も前回は国民党の次世代リーダーと目される朱立倫氏が征したが、今回は朱立倫氏の後継である国民党の侯友宜候補(新北副市長)と民進党の蘇貞昌候補(元行政院長、元党主席)が互角の戦い。とくに蘇貞昌氏は新北市が台北県だったころ、台北県長選挙に民進党からダークホース的に立候補し、地滑り的な当選を果たした選挙戦の強さに定評があり、与野党の激しい攻防が序盤戦から展開されている。台湾最大の都市、新北で民進党が奪還すれば総統選で優位に立てる側面が出てくるが、国民党との総力戦になり、与野党双方にとって天王山となりそうだ。


高雄市長選の動向も面白くなってきた。台湾南部で熱狂的な支持を誇る民進党なので、世論調査では高雄市長選、台南市長選は民進党の各候補が優勢であることは変わりないが、民進党の選挙地盤が強固な高雄市で地殻変動が起こりつつある。


国民党の韓国瑜候補が国民党色を薄め、柯文哲台北市長のような「白色(国民党の藍色、民進党の緑色でもない)」路線を打ち出し、じりじりと支持を集めつつあるからだ。台湾北部で起こり始めた柯文哲現象の動きが台湾南部でも徐々に浸透し始める動きは注目に値する。


台湾が長年、国民党と民進党の二極化した政治闘争に明け暮れたことで有権者たちは、中国圧力の政治的視点だけで投票するような動きはしなくなっている。むしろ、経済、景気の安定を望み、首長の実力評価をそこに置き、極めて辛辣に酷評しながら風評すら流す側面がある。


国民党も従来の路線のままでは先細りで万年野党に成り下がるという危機感があり、韓国瑜候補の打ち出す「白色」路線は、「台北では政治を語るなら、高雄では経済を語るべきだ」と経済政策中心の政策で戦う姿勢から「北柯南韓」現象が起き始めているとの報道も出始め、2020年の総統選で無所属から出馬する可能性が取り沙汰される柯文哲台北市長の動きも含め、今後の台湾の首長選だけでなく、立法委員選挙、総統選にも大きな影響を与える可能性がある。


台湾民意基金会が先月15日に発表した最新世論調査によると、蔡政権を支持する人の割合は33.4%(前月比0.7ポイント増)、支持しない人はは49.0%(3ポイント減)で低迷している。政党別支持では民進党が25.2%、国民党が20.7%、無党派49.6%で無党派層の割合が多く、台北市長選のように二大政党の攻防に冷ややかな無党派にとって支持しやすい候補が有利に働きやすい選挙情勢が強まっている。


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