返還50年後の色は赤と黒 香港青少年座談会 | 中国情報ジャーナル ディープな香港・中国・台湾

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1997年7月1日に英国から中国に返還された香港。1997年から香港に駐在したフリーランスライターが現場取材をもとにディープな香港、中国、台湾の最新情報を書き尽くしていきます。

返還50年後の色は赤と黒 香港青少年座談会
国際都市の魅力「虹色」望む
平和の緑、青を望む声も


7月1日、香港が英国領から中国に返還されて20周年が過ぎ、2047年まで50年間にわたって高度な自治を保障する「一国二制度」は香港をどう変容させたのか。返還後に生まれた19歳前後の学生、社会人6人に座談会形式で意見交換してもらった。(香港・深川耕治、写真も)




1日、香港訪問中の習近平国家主席は演説で「香港の一国二制度は世界が認める成功を収めた」と強調し、香港独立の動きに対しては「中央の権力に挑戦する動きは絶対許さない」と厳しく非難した。

「香港が国家の主権と安全、発展の利益を守るための制度は完全なものとする必要がある」と述べ、香港基本法(ミニ憲法)23条で義務付ける国家分裂や政府転覆を禁止する法律の新制定を求めた。

3日、香港トップの行政長官に就任したばかりの林鄭月娥月氏(写真左)は「香港基本法23条の立法化は政府の最大限の努力で有効に実現する」と宣言。香港では03年、立法会(議会・70議席)で同法案制定の動きが強まったが、民主派議員らの拒否権行使で廃案になった経緯があり、今後も民主派議員団が否決する可能性が強い。


同日午後、民主派は毎年恒例の民主化デモを展開。参加者数は主催者発表で6万人超(警察発表は過去最低の1万4500人)で昨年(11万人)より大幅に減少した。出発場所が祝賀イベントでごく一部しか使用できず、祝賀ムードに押された形だ。

今回、座談会に参加した男性6人は1997年、98年に生まれ、同じ小学校出身だったり、スポーツクラブの仲間で香港の若年層の主流派を代弁するような意見が相次いだ。うち2人は14年秋の雨傘運動に参加した経験があるが、残り4人は無党派で政治的な活動はしていない。


「香港は親中派と民主派に二極化し、返還前の国際的な印象とは大きく変わってきている。われわれの世代より30歳前後の方が中国人意識が強い」(トニー李くん)、「親中系の中学に通っていたが、中国本土の人は香港人の求める民主的な自由よりも金満富裕による安定ばかりを求めている」(シプリアン黄くん)。

返還後1~2年内に生まれた彼らは中国政府が香港に推進を求める愛国教育を直接受けてきた世代ではないが、徐々に標準中国語による授業が導入され始めた時期に学校教育を受けた世代だ。12年には「中国の国旗の前では涙ぐまなければならない」とする愛国教育を推進する道徳・国民教育科を小中学校で義務化する方針が「洗脳教育だ」と13万人を超える抗議デモに発展し、梁振英行政長官(当時)は導入を撤回した。


「中学3年の時で、両親を含め、保護者たちが猛烈に反対した。幼少期から中国国歌を歌う習慣がなかった世代にとっては感情まで押しつけられるのは異様に思え、北朝鮮のようになるのではないかと恐れた」(ガブリエル劉くん)。

「中国本土へ交換留学すると、経済的には急速に発展しているが、公衆の面前で唾を吐いたり、子どもたちが立ち小便するなど文化的には受け入れられない」(カルロス黄くん)との生活文化の違いに海外に出た時、「香港人」意識が強まるという。


一国二制度の期限となる2047年は香港にとってどんな色になるかを尋ねると、全員が「赤(共産主義に赤化される)と黒(先が真っ暗)」と悲観的に答えた。どんな色にしたいかについては「中国文化と西洋文化を融合して受け入れる国際都市で輝き続けてほしいから虹色」(アンディ潘くん)、「平和と環境に優しい都市になってほしいから緑」(トニー李くん)、「現状よりよくなると期待を込めて青色(カルロス黄くん)」など希望的観測を抱いている。

結婚相手は中国本土の女性、香港人、外国人のいずれを希望するかについては「付き合っている彼女が香港人だから中国本土女性は無理」と笑って答えるケースがある一方、「マレー系華僑の父と日本人の母が国際結婚なので文化の違いが理解し合える相手なら良い」(スティーブ麥くん)など民族、人種にこだわらない答えが多かった。

返還20周年を記念し、香港青年協会が主催した1500人以上の香港青年たちがジグソーパズル形式で共同制作した香港の未来と意気込みを描いた絵画も明るい希望を抱く色合いが広がっている。



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【中華の顔】

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【香港立法会選挙2016 連載インタビュー 香港「自治」の行方 第1回~第10回】

劉慧卿民主党主席(上) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第1回


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呉秋北全国人民大会代表(上) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第3回   

 

呉秋北全国人民大会代表(下) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第4回  

 

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親中派団体「愛港之声」代表の高達斌氏 香港「自治」の行方 連載第6回    

梁家傑公民党名誉主席(上) 香港「自治」の行方 連載第7回    
 

梁家傑公民党名誉主席(下) 香港「自治」の行方 連載第8回

 

香港誌「前哨」の劉達文編集長(上) 香港「自治」の行方 連載第9回

 

香港誌「前哨」の劉達文編集長(下) 香港「自治」の行方 連載第10回

 

 

 

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中台安定維持へ第一投 翁明賢淡江大学国際事務戦略研究所長に聞く 上
 

対中依存脱却へ経済浮揚策 翁明賢淡江大学国際事務戦略研究所長に聞く 下


【連載 蔡英文時代の台湾 本土派路線のビジョンと課題  

 

「天然独」という若者のうねり 蔡英文時代の台湾 連載1


 

村上春樹現象に見る日本との絆 蔡英文時代の台湾 連載2  


 

経済浮揚、日本と連携が必要 蔡英文時代の台湾 連載3  


 

蔡英文時代の台湾 本土派路線のビジョンと課題 連載4(最終回)  

 

 

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同性婚を認める米国最高裁判決をきっかけに中華圏では同性婚の合法化をめぐり、賛否が先鋭化しつつある。とくに5月に発足した台湾の蔡英文政権は総統選で蔡氏が同性婚容認を掲げたため、与党・民進党の立法委員(国会議員)らが性的少数者(LGBT)による同性婚推進派の意向を反映する形で合法化に向けた法案準備を本格化させている。香港でも同性愛差別撤廃条例案の制定の動きが強まり、中国でも性の乱れを抑止できず、欧米型の同性婚推進や性交避妊教育の推進が市民権を得始めている。(香港・深川耕治)

 

同性婚を認めている国は22カ国、同性カップルの権利を保障する制度を持つ国・地域は29カ国・地域。アジアでは台湾以外にタイ、ベトナムも国会での法案審議が準備されつつある。

 

同性婚が認められる国・地域は以下の通り。

 

オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、アイスランド、デンマーク、フランス、南アフリカ、アルゼンチン、カナダ、ニュージーランド、ウルグアイ、イギリス、ブラジル、米国、メキシコ、ルクセンブルク、アイルランド、グリーンランド(デンマーク自治領)、エストニア、コロンビア、フィンランド(2017年より)

登録パートナーシップなどを持つ国・地域は以下の通り。


フィンランド、グリーンランド、ドイツ、ルクセンブルク、イタリア、サンマリノ、アンドラ、スロベニア、スイス、リヒテンシュタイン、チェコ、アイルランド、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、オーストラリア、イスラエル、ハンガリー、オーストリア、クロアチア、ギリシャ、マン諸島(英王室属領)、ジャージー諸島(英王室属領)、ジブラルタル(英国領)、マルタ、エストニア


※デンマーク、スウェーデン、ノルウェーにおいては登録パートナーシップ制度にあるカップルが同制度にとどまることは可能だが、新規にパートナーシップを登録することは不可。


アジアではこれまで同性婚が認められた国ないが、タイ、台湾あるいはベトナムにおいて法案が可決されればアジア初となる。

写真は香港での同性愛差別撤廃条例を通過させるための民主派デモ。

 

中国共産党一党独裁に反対し、民主化を求めるデモのはずが、2014年7月1日の民主化要求デモでは、先頭に同性愛差別撤廃を求める巨大なレインボー旗が広がり、民主化デモを完全に乗っ取る形になったため、同デモに毎年参加していた、同性愛に反対するカトリック香港教区の陳日君枢機卿らは2016年のデモに参加することを取りやめた。


台湾の同性婚合法化、ヤマ場に 賛否二分で着地点見出せず  

 

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(1)

反対派の宗教団体の結束どこまで

 

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(2)

香港民主化デモ、スタッフの9割が同性愛者

 

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(3)

警戒する中国当局、家庭崩壊は党の崩壊に直結

 

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(4)

香港NPO「明光社」の傳丹梅副総幹事に聞く(上)

婚姻の4条件崩す恐れ

 

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(5)

香港NPO「明光社」の傳丹梅副総幹事に聞く(下)

乗っ取られた香港の民主化運動

 

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(6)

香港の精神科医・康貴華氏に聞く(上)

説得力欠く同性愛の遺伝要因説

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連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(7)

香港の精神科医・康貴華氏に聞く(中)

「差別撤廃」に潜む伝統価値根絶

 

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(8)

香港の精神科医・康貴華氏に聞く(下)

転向の意志尊重しない同性愛団体

 

連載 中華圏に浸透する同性婚