陳水扁氏と12年ぶりに再会、95歳の台湾の李登輝元総統 【中華の「顔」】
1月15日、95歳の誕生日を迎え、病気療養中のために仮釈放中の陳水扁元総統と台北郊外の自宅で会談した。
杖をついて歩く陳水扁氏には長男の陳到中氏が同伴。
かつて台湾独立を目指して意気投合し、精神的な父子関係のような親交があった二人だが、陳水扁政権二期目の2005年から陳氏が宋楚瑜氏に接近し、06年以降は険悪な関係となっていた。
二人は台湾茶とパイナップルケーキを飲食しながら約1時間、お互いの書籍を交換して健康状態などを話し合った。陳氏は脳梗塞の影響で右手が震えることを伝え、李氏も15年末に軽い脳梗塞で右手を使うのが不便になったことを話し、健康回復へあらゆる努力を惜しまないよう逆に陳氏を励ました。
陳氏は会談時、李氏に「台湾民主の父」などとサインして祝意を表した。
陳水扁元総統は総統就任期間、機密費不正利用や土地収賄、マネーロンダリングなどの罪で有罪となり、収監され、13年6月、収監中にタオルで首をつろうとして自殺未遂を行うなど気弱になっていた。15年1月、うつ病と手足の震えのため高雄市内の自宅療養が許され、仮釈放。放蕩息子が父親に再会する聖書の話を想起させるような李氏との再会となった。
知日派であり、クリスチャン(プロテスタント・長老派)の李氏は台湾内外からの祝辞に対し、旧約聖書箴言十九章十一節「悟りは人に怒りを忍ばせる、あやまちをゆるすのは人の誉である」を引用し、祝意に答えた。
誕生日の抱負については、アジア太平洋と両岸(中台)関係が不安定な情勢であることを憂慮した上で「台湾は団結力を呼び込むために先入観を捨て、与野党のしがらみを乗り越え、民のために協力して国を治め、台湾を偉大な国家にしなければならない」と話した。
13年12月、台湾で同性婚を容認する多元成家法案に対し、「私はキリスト教徒だ。聖書に何と書かれているか見てみるべきだ」と発言。
明確に反対を表明し、16年12月には「われわれの社会は自由があるだろう。男女は自由だし、どう自由にしても構わないが、家庭が必要なら子供を産むのも必要だという関係だ。家族の継続は十分に維持されなければならず、宗教上私の立場ではどうしても同意しない」と語り、キリスト教長老派の考え方との共通認識を明確にしている。
日本統治時代に使用していた名は岩里政男(いわさと まさお)。現在でも流暢な日本語を話し、「21歳(1945年)まで日本人だった」「難しいことは日本語で考える」と公言している。
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同性婚を認める米国最高裁判決をきっかけに中華圏では同性婚の合法化をめぐり、賛否が先鋭化しつつある。とくに5月に発足した台湾の蔡英文政権は総統選で蔡氏が同性婚容認を掲げたため、与党・民進党の立法委員(国会議員)らが性的少数者(LGBT)による同性婚推進派の意向を反映する形で合法化に向けた法案準備を本格化させている。香港でも同性愛差別撤廃条例案の制定の動きが強まり、中国でも性の乱れを抑止できず、欧米型の同性婚推進や性交避妊教育の推進が市民権を得始めている。(香港・深川耕治)
同性婚を認めている国は22カ国、同性カップルの権利を保障する制度を持つ国・地域は29カ国・地域。アジアでは台湾以外にタイ、ベトナムも国会での法案審議が準備されつつある。
同性婚が認められる国・地域は以下の通り。
オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、アイスランド、デンマーク、フランス、南アフリカ、アルゼンチン、カナダ、ニュージーランド、ウルグアイ、イギリス、ブラジル、米国、メキシコ、ルクセンブルク、アイルランド、グリーンランド(デンマーク自治領)、エストニア、コロンビア、フィンランド(2017年より)
登録パートナーシップなどを持つ国・地域は以下の通り。
フィンランド、グリーンランド、ドイツ、ルクセンブルク、イタリア、サンマリノ、アンドラ、スロベニア、スイス、リヒテンシュタイン、チェコ、アイルランド、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、オーストラリア、イスラエル、ハンガリー、オーストリア、クロアチア、ギリシャ、マン諸島(英王室属領)、ジャージー諸島(英王室属領)、ジブラルタル(英国領)、マルタ、エストニア
※デンマーク、スウェーデン、ノルウェーにおいては登録パートナーシップ制度にあるカップルが同制度にとどまることは可能だが、新規にパートナーシップを登録することは不可。
アジアではこれまで同性婚が認められた国ないが、タイ、台湾あるいはベトナムにおいて法案が可決されればアジア初となる。
写真は香港での同性愛差別撤廃条例を通過させるための民主派デモ。
中国共産党一党独裁に反対し、民主化を求めるデモのはずが、2014年7月1日の民主化要求デモでは、先頭に同性愛差別撤廃を求める巨大なレインボー旗が広がり、民主化デモを完全に乗っ取る形になったため、同デモに毎年参加していた、同性愛に反対するカトリック香港教区の陳日君枢機卿らは2016年のデモに参加することを取りやめた。