香港立法会、補選スタート 剥奪議員の雪辱、選管の判断次第 | 中国情報ジャーナル ディープな香港・中国・台湾

中国情報ジャーナル ディープな香港・中国・台湾

1997年7月1日に英国から中国に返還された香港。1997年から香港に駐在したフリーランスライターが現場取材をもとにディープな香港、中国、台湾の最新情報を書き尽くしていきます。

香港立法会、補選スタート事前予想は民主派優勢
剥奪議員の雪辱、選管の判断次第


一国二制度の行方を左右する香港立法会(議会=70議席、任期4年)補欠選挙の立候補届け出が1月16日から始まり、3月11日投開票の選挙に向けた選挙戦がスタートした。中国からの自立を訴えて議員資格を剥奪された急進的な民主派系前議員が獲得していた4議席が対象で民主派は議席奪還の雪辱戦と見ており、立法会で親中派が法案通過など議事運営に有利な政局を変えられるか、議席回復次第で大きく変わる。(香港・深川耕治、写真も)


 ☆~★~☆~★~☆~★~☆~★~☆~★












補選は九龍西、新界東、香港島の3選挙区と職能別の建築・測量業界の計4議席。親中派と民主派の事実上の一騎打ちとなっており、総力戦だ。補欠選挙が行われることになった経緯は立法会の就任宣誓で「香港は中国ではない」と書いた幕を掲げ、中国を侮辱するような発言を繰り返したことが不適切だという理由で本土派議員が議員剥奪に追い込まれたことが原因。



中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会は16年11月、規定に反する宣誓をした議員は資格を即時失効するとの法解釈を下し、本土派を含む6人の民主派系議員が資格を剥奪され、うち2人は香港の裁判所で係争中だ。


いずれも民主派優位の選挙区で議席奪還がなるか、民主派の有力候補が出馬失格することで親中派有利となるか、選挙管理委員会当局の判断次第で先が読めない選挙戦となっている。立候補の届け出は29日に締め切り、その後、選管の審査で立候補の可否が決まる。


民主派は14日、補選の最終調整のために約2万6000人の市民が参加して模擬投票を行い、民主派の支持基盤の強い直接選挙枠の九龍西と新界東の2選挙区について計6人の候補者から民主派候補を絞り込むことにした。

九龍西では専業議政の姚松炎氏、香港民主民生協進会(民協)の馮検基氏、民主党の袁海文氏、新界東では新民主同盟の范国威氏、工党の郭永健氏、香港専上学生連会(学連)の張秀賢・元常務委員が候補者となった。


予備選挙を主催した民主動力の投票結果によると、九龍西では姚松炎氏、新界東では新民主同盟の范国威氏を統一候補に選出し、補選に出馬することが決まった。姚氏は前回選挙で建築業界から当選したが、議員資格を剥奪されていた。


香港島区で民主化を求める市民が香港中心部の道路を占拠したは雨傘運動で「学民の女神」と呼ばれた香港衆志(デモシスト)の周庭氏、建築業界にはポール・ツィマーマン氏が民主派の支援を受けて出馬する。


しかし、選管当局が香港独立志向と判断した候補者の立候補を認めない「資格審査」を行う段取りだ。林鄭月娥行政長官も16日の記者会見で「行政長官ではなく選挙管理委員会が決めるべきことだ」と答えており、実際に出馬できるかどうかは不透明で選管の権限で判断が下される。


2016年の立法会選挙では「香港は中国の一部」などと定めた香港基本法を守るとの「確認書」について署名を拒否した香港独立派候補の出馬を認めなかった事例がある。今回は民主派候補は確認書に「サインする」と表明しており、民主派候補が立候補できるかは選管の裁量次第だ。


一方、親中派陣営は九龍西で与党・民建連の鄭泳舜氏、新界東に工聯会・民建連の鄧家彪氏、香港島で新民党の陳家珮氏を擁立し、親中派各党が共闘して議席獲得を狙っている。民主派候補が候補資格を失った場合、民意とは裏腹に”棚ぼた”式で当選する可能性がある。


今回の補選は立法会の直接選挙枠(35議席)の半数を民主派が確保できるかどうかで法案の否決ができるかどうかが決まる重要な選挙。立法会で法案が通過するには3分の2以上の賛成票(47票)が必要で、否決するには24票以上が必要だ。


立法会全体では親中派が40議席、民主派が23議席、中間派1議席、空席6議席(うち4議席が補選で選出、2議席は判決待ち)となっており、空席となっている6議席すべてが民主派の議席数であるだけに、一議席不足しているため、法案の否決権がなく、その有無は大きい。


中国政府の転覆を図る政治活動を禁じる治安立法や中国の国歌の権威をおとしめる行為を罰する国歌法などの法案を親中派が通せる議会運営となってしまう事態となるため、民主派は一議席でも多く、補選での議席獲得を背水の陣で死守したいところだ。


ただ、選管当局が民主派の立候補を認めない判断を下せば、一議席獲得も困難な状況に陥りかねず、香港の政局は中央政府の意向通りに動く親中派主導に様変わりする危機に直面している。





同性婚容認の司法判断に反発 台湾

政治弾圧に反対デモ 「雨傘運動」の主導者ら2000人 香港

中国国歌へ止まぬブーイング 香港 中港矛盾で世論二分も


経済協力28兆円、米中首脳が北朝鮮問題で協調演出

京劇観覧中にウトウト 中国夢にうなされるトランプ米大統領

習氏一強、見えぬ後継で基盤着々 中国指導部

頼行政院長の実務能力次第 台湾の蔡政権浮揚

革命英雄礼賛で愛国鼓舞 中国教科書


ポスト「一国二制度」問う動き 香港

返還50年後の色は赤と黒 香港青少年座談会

空母「遼寧」、時間差で香港へ 連載 「一国二制度」の前途(下)

民主化進まず格差拡大、独立論の背景に 連載「一国二制度」の前途(中)

中国から移民増、狭さに悲鳴 香港・中国返還20年(上)

民主化デモは大幅減少 香港返還20周年

習近平国家主席の香港での一挙手一投足 香港返還20周年

香港自決派、台湾与党と連携強化へ 香港返還20周年で危機感

陣痛期の1年、大なた振るえず 台湾・蔡英文政権


急成長する新型レンタサイクル業界 中国 ofo、摩拝単車に他社急追

台湾の同性婚合法化、ヤマ場に 賛否二分で着地点見出せず

親中派の林鄭月娥氏が当選 香港行政長官選

中国「本命」の林鄭氏優位に 香港行政長官選

旺角暴動の3被告、有罪に 香港区域法院(地裁)

林鄭月娥氏の優位変わらず 支持率は低迷 香港行政長官選挙

中国返還20周年で汚職「赤信号」 前行政長官に禁固1年8月 香港

香港在住の中国富豪、本土連行か 中国警察

有力候補一本化できず激戦に 香港行政長官選


台湾の同性婚合法化、ヤマ場に 賛否二分で着地点見出せず

親中派の林鄭月娥氏が当選 香港行政長官選

中国「本命」の林鄭氏優位に 香港行政長官選


旺角暴動の3被告、有罪に 香港区域法院(地裁)

林鄭月娥氏の優位変わらず 支持率は低迷 香港行政長官選挙

中国返還20周年で汚職「赤信号」 前行政長官に禁固1年8月 香港

香港在住の中国富豪、本土連行か 中国警察


有力候補一本化できず激戦に 香港行政長官選挙



【中華の顔】


陳水扁氏と12年ぶりに再会、95歳になった台湾の李登輝元総統

香港の全人代代表選を祝う中国の王震全人代副委員長


ASEANとFTAを締結した香港の立役者、香港中華総商会の蔡冠深会長


上海市トップになった習派の李強氏 【中華の「顔」】

去就が注目される中国の王岐山・党中央規律検査委書記【中華の「顔」】


台湾の行政院長に就任した頼清徳台南市長【中華の「顔」】


鳥取の星空をPRする香港人写真家ウィル・チョーさん 【中華の「顔」】

香港メディア大手ネクストメディアの黎智英(ジミー・ライ)元会長【中華の「顔」】


習政権擁護を強調する江沢民氏の妹、江沢慧氏【中華の「顔」】


台湾の国民党主席選挙で先行する呉敦義前副総統【中華の「顔」】

朝鮮半島問題で中国の立場を説明する王毅中国外相【中華の「顔」】

女性初の香港行政長官に就任する林鄭月娥氏【中華の「顔」】

政協副主席への就任濃厚な香港の梁振英行政長官【中華の「顔」】

汚職スキャンダルがヤマ場を迎える香港の曽蔭権前行政長官【中華の「顔」】


香港行政長官選で財界支持を広げる曽俊華氏 【中華の「顔」】

香港行政長官選へ出馬間近の林鄭月娥政務官 【中華の「顔」】


議会での宣誓問題で議員活動ができない游蕙禎香港立法会議員【中華の顔】


中国を支那と表現した梁頌恒香港立法会議員 【中華の「顔」】

香港立法会選でトップ当選、脅迫受ける朱凱廸氏 【中華の「顔」】

香港独立は市場経済では不可能と語る曽俊華香港財政官

香港立法会選挙で脅迫を受ける何麗嫦・選挙管理委員会主任

映画「十年」の蔡廉明プロデューサー


梁振英行政長官が再選不出馬を表明 香港


民主派議員4人の資格取消申し立て 香港政府

独立の動き、早期封じ込め 香港

本土派2議員の資格喪失で圧力 香港政府


習近平国家主席が香港行政長官と会談 再選支持表明なし

香港高裁も2議員資格「剥奪」判決 両議員は控訴準備へ

議員資格剥奪問題で揺れる香港 一国二制度の矛盾噴出

危うい反米親中路線へ転換 中比首脳会談

中国式慈善、疑惑が権力闘争にも 愛国慈善家・陳光標氏が窮地



【香港立法会選挙2016 連載インタビュー 香港「自治」の行方 第1回~第10回】

劉慧卿民主党主席(上) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第1回


大気汚染改善を自賛する陳吉寧中国環境保護相 【中華の「顔」】

劉慧卿民主党主席(下) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第2回


秋北全国人民大会代表(上) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第3回

呉秋北全国人民大会代表(下) 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第4回

新党「香港衆志」の羅冠聡党主席 香港「自治」の行方 識者に聞く 連載第5回


親中派団体「愛港之声」代表の高達斌氏 香港「自治」の行方 連載第6回


梁家傑公民党名誉主席(上) 香港「自治」の行方 連載第7回

梁家傑公民党名誉主席(下) 香港「自治」の行方 連載第8回

香港誌「前哨」の劉達文編集長(上) 香港「自治」の行方 連載第9回

香港誌「前哨」の劉達文編集長(下) 香港「自治」の行方 連載第10回




 ☆ ~ ★ ~ ☆ ~ ★ ~ ☆ ~ ★




同性婚を認める米国最高裁判決をきっかけに中華圏では同性婚の合法化をめぐり、賛否が先鋭化しつつある。とくに5月に発足した台湾の蔡英文政権は総統選で蔡氏が同性婚容認を掲げたため、与党・民進党の立法委員(国会議員)らが性的少数者(LGBT)による同性婚推進派の意向を反映する形で合法化に向けた法案準備を本格化させている。香港でも同性愛差別撤廃条例案の制定の動きが強まり、中国でも性の乱れを抑止できず、欧米型の同性婚推進や性交避妊教育の推進が市民権を得始めている。(香港・深川耕治)

同性婚を認めている国は22カ国、同性カップルの権利を保障する制度を持つ国・地域は29カ国・地域。アジアでは台湾以外にタイ、ベトナムも国会での法案審議が準備されつつある。

同性婚が認められる国・地域は以下の通り。

オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、アイスランド、デンマーク、フランス、南アフリカ、アルゼンチン、カナダ、ニュージーランド、ウルグアイ、イギリス、ブラジル、米国、メキシコ、ルクセンブルク、アイルランド、グリーンランド(デンマーク自治領)、エストニア、コロンビア、フィンランド(2017年より)

登録パートナーシップなどを持つ国・地域は以下の通り。


フィンランド、グリーンランド、ドイツ、ルクセンブルク、イタリア、サンマリノ、アンドラ、スロベニア、スイス、リヒテンシュタイン、チェコ、アイルランド、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、オーストラリア、イスラエル、ハンガリー、オーストリア、クロアチア、ギリシャ、マン諸島(英王室属領)、ジャージー諸島(英王室属領)、ジブラルタル(英国領)、マルタ、エストニア


※デンマーク、スウェーデン、ノルウェーにおいては登録パートナーシップ制度にあるカップルが同制度にとどまることは可能だが、新規にパートナーシップを登録することは不可。


アジアではこれまで同性婚が認められた国ないが、タイ、台湾あるいはベトナムにおいて法案が可決されればアジア初となる。

写真は香港での同性愛差別撤廃条例を通過させるための民主派デモ。

中国共産党一党独裁に反対し、民主化を求めるデモのはずが、2014年7月1日の民主化要求デモでは、先頭に同性愛差別撤廃を求める巨大なレインボー旗が広がり、民主化デモを完全に乗っ取る形になったため、同デモに毎年参加していた、同性愛に反対するカトリック香港教区の陳日君枢機卿らは2016年のデモに参加することを取りやめた。

台湾の同性婚合法化、ヤマ場に 賛否二分で着地点見出せず

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(1)

反対派の宗教団体の結束どこまで

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(2)

香港民主化デモ、スタッフの9割が同性愛者

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(3)

警戒する中国当局、家庭崩壊は党の崩壊に直結

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(4)

香港NPO「明光社」の傳丹梅副総幹事に聞く(上)

婚姻の4条件崩す恐れ

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(5)

香港NPO「明光社」の傳丹梅副総幹事に聞く(下)

乗っ取られた香港の民主化運動

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(6)

香港の精神科医・康貴華氏に聞く(上)

説得力欠く同性愛の遺伝要因説

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(7)

香港の精神科医・康貴華氏に聞く(中)

「差別撤廃」に潜む伝統価値根絶

連載ルポ・中華圏に浸透する同性婚(8)

香港の精神科医・康貴華氏に聞く(下)

転向の意志尊重しない同性愛団体

連載 中華圏に浸透する同性婚