台湾の行政院長に就任した頼清徳台南市長 【中華の「顔」】
9月8日、発足した新内閣の閣議で「諸問題を現実的に解決していく。試行錯誤が許される時間などない」と実務型の内閣となることを宣言し、内政混乱や中台関係の停滞で支持率が低迷する蔡英文政権の切り札となっている。
台湾与党・民進党の最大派閥「新潮流派」のホープで、台湾南部を中心に高い人気があり、ポスト蔡英文の筆頭の呼び声が高い。
災害対策など危機管理での指導力に定評があり、「頼神」「LINE神(LINEを頻繁に利用)」とまで評されるほどだ。
頼氏の台南市長任期満了まで2年を切っているため、台南市には代理市長が市政を代行する。
台湾世論は中台の現状維持を支持する声が主流だが、具体的な成果を上げていない蔡氏の穏健路線に「消極的すぎる」と批判する声が徐々に増えていた。
独立志向を公言し、党内の対中強硬派が勢いを増し、世論調査でもたびたび総統候補の呼び声が高い。柯文哲台北市長が7月初めに上海訪問する前、「親中愛台(中国と親しみ台湾を愛す)」という表現で中国と台湾の共存を訴えていた頼氏。
2020年の次期総統選の候補者選びで蔡英文総統の対抗馬として浮上し、蔡氏の対中穏健路線にも微妙な変化をもたらす可能性がある。
1959年、台湾北部の新北市生まれ。台湾大学や成功大学で医学を学び、米ハーバード大学で公共衛生学の修士号を取得。1998年から民進党の立法委員(国会議員)となり、2010年に台南市長に就任。台湾独立志向を公言し、9月8日に行政院長に就任。
昨年2月の台南地震で日本からの支援のお返しに熊本地震では台南市長の給与を返上して寄付を呼びかけ、熊本の被災地を訪問するほどの親日家。57歳。
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同性婚を認める米国最高裁判決をきっかけに中華圏では同性婚の合法化をめぐり、賛否が先鋭化しつつある。とくに5月に発足した台湾の蔡英文政権は総統選で蔡氏が同性婚容認を掲げたため、与党・民進党の立法委員(国会議員)らが性的少数者(LGBT)による同性婚推進派の意向を反映する形で合法化に向けた法案準備を本格化させている。香港でも同性愛差別撤廃条例案の制定の動きが強まり、中国でも性の乱れを抑止できず、欧米型の同性婚推進や性交避妊教育の推進が市民権を得始めている。(香港・深川耕治)
同性婚を認めている国は22カ国、同性カップルの権利を保障する制度を持つ国・地域は29カ国・地域。アジアでは台湾以外にタイ、ベトナムも国会での法案審議が準備されつつある。
同性婚が認められる国・地域は以下の通り。
オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、アイスランド、デンマーク、フランス、南アフリカ、アルゼンチン、カナダ、ニュージーランド、ウルグアイ、イギリス、ブラジル、米国、メキシコ、ルクセンブルク、アイルランド、グリーンランド(デンマーク自治領)、エストニア、コロンビア、フィンランド(2017年より)
登録パートナーシップなどを持つ国・地域は以下の通り。
フィンランド、グリーンランド、ドイツ、ルクセンブルク、イタリア、サンマリノ、アンドラ、スロベニア、スイス、リヒテンシュタイン、チェコ、アイルランド、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、オーストラリア、イスラエル、ハンガリー、オーストリア、クロアチア、ギリシャ、マン諸島(英王室属領)、ジャージー諸島(英王室属領)、ジブラルタル(英国領)、マルタ、エストニア
※デンマーク、スウェーデン、ノルウェーにおいては登録パートナーシップ制度にあるカップルが同制度にとどまることは可能だが、新規にパートナーシップを登録することは不可。
アジアではこれまで同性婚が認められた国ないが、タイ、台湾あるいはベトナムにおいて法案が可決されればアジア初となる。
写真は香港での同性愛差別撤廃条例を通過させるための民主派デモ。
中国共産党一党独裁に反対し、民主化を求めるデモのはずが、2014年7月1日の民主化要求デモでは、先頭に同性愛差別撤廃を求める巨大なレインボー旗が広がり、民主化デモを完全に乗っ取る形になったため、同デモに毎年参加していた、同性愛に反対するカトリック香港教区の陳日君枢機卿らは2016年のデモに参加することを取りやめた。
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