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でも・・・、俺が 帰宅した時には レイコは もう 部屋には いなかった。
部屋は 灯りが消えたままで 暗かった。
レイコへの携帯電話も つながらなかった。
電源が 切られているようだった。
俺は 最初のうちは 何が あったのか、 何が どうなったのか まったくわからなかった。
起きている現実が 全く理解出来なかった。
茫然自失とは このことなんだろう。
本当は 付き合っている頃から 他に男がいるのではないかと 薄々は 感じていたのかも しれなかった。
真実を 見ることが 怖かったのかもしれなかった。
だから 自分でも そのことは 極力 考えないようにしていた。
大丈夫だと 自分に 何度も 言い聞かせていた。
当然 レイコに こんな事は 聞けなかった。
レイコを 信じていた。
信じていたかった。
信じようと 自分に 言い聞かせていた。
しかし レイコは 突然 目の前から 消えてしまった。
俺には 何も言わずにだ。
レイコが 言い出して 決めた その 記念日の夜に。
眠れない 一夜だった。
俺は レイコのいなくなった部屋で 一人っきりの 心配で 悲しくて 暗い 寂しい夜を 過ごした。
レイコが 万一 事故か何かに 遭遇していないかが 心配で 知っている友人に 電話をかけようと 思ったのだけれど・・・。
共通の友人の連絡先なんて 誰一人 知らなかった。
（ つづく ）
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