国宝・重要文化財指定の建造物

国宝・重要文化財指定の建造物

全国の国宝・重要文化財に指定された建造物についてのブログです。


広島県三原・尾道・福山地域にある国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。
個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。
三原市
仏通寺含暉院地蔵堂
米山寺宝篋印塔
宗光寺山門
尾道市
吉原家住宅主屋、納屋
光明坊十三重塔
向上寺三重塔
西国寺金堂
西国寺三重塔
常称寺本堂、観音堂、鐘撞堂、大門
天寧寺塔婆
浄土寺本堂
浄土寺阿弥陀堂
浄土寺多宝塔
浄土寺山門
浄土寺納経塔
浄土寺宝篋印塔1
浄土寺宝篋印塔2
浄土寺方丈、庫裏及び客殿、露滴庵、宝庫、唐門、裏門
西郷寺本堂
西郷寺山門
旧大浜埼通航潮流信号所施設通航信号塔、昼間潮流信号機、夜間潮流信号塔(大浜埼灯台)、検潮器浪除塔
福山市
福山城伏見櫓、筋鉄御門
磐台寺観音堂
吉備津神社本殿
明王院本堂
明王院五重塔
安国寺釈迦堂
沼名前神社能舞台
太田家住宅主屋、炊事場、西蔵、釜屋、南保命酒蔵、北保命酒蔵、東保命酒蔵、北土蔵、新蔵
太田家住宅朝宗亭主屋、離屋、門屋

 

 

細部意匠が凝らされた国宝三重塔

向上寺三重塔


こうじょうじさんじゅうのとう
尾道市瀬戸田町瀬戸田
向上寺三重塔34.306903, 133.086714
国宝・室町中期
三間三重塔婆、本瓦葺

向上寺は生口島の瀬戸田水道を見下ろす高台に位置する禅寺で、1343年に生口島に本拠を構え、水軍を擁した武将生口氏が1403年に創建したものです。
三重塔については、永享4年(1432)に上棟したとの記録が残されています。
・三間三重塔婆で本瓦葺、九輪先端までは19メートル52セン
・全体に和様を基調としているが、禅宗様の要素も多くを取り入れている

・各重とも軒は二軒で、初重は禅宗様の扇垂木、第二重以上は和様の平行繁垂木としている

初重:
・各重とも僅かに粽を付けた円柱を貫で固め、円柱上に台輪を回す禅宗様の軸部としている
・組物は各重とも尾垂木付きの三手先
・初重と第二重は中備に彩色を施した蓑束を用いている
・各重とも蛇腹支輪と菱支輪の二段の支輪を用いている
・初重には禅宗様の藁座付きの桟唐戸と花頭窓を用いる

第二重:
・第二重と第三重には禅宗様の逆蓮の親柱を有する高欄が付けられており、扉上部は花頭形としている

第三重:
・中備の蓑束は中央間のみに置かれている

・尾垂木下絵様肘木の先端は全てに若葉の彫刻を施し,かつ彩色で装飾している

・隅木の持ち送り(写真右上)の意匠も凝っている

・初重の扉の藁座の蓮の意匠は珍しい

アクセス
生口島の瀬戸田港から700m程度ですが、急坂を上ることになります。瀬戸田港には三原港、尾道港から定期航路があります。このほか、尾道からしまなみハイウェイバス・島内バスを利用するルートや、須波港から沢港経由のルートもあります。
見学ガイド
向上寺は常時自由に参拝することができます。三重塔もすぐ近くから見ることができます。三重塔は南西に面しているので午後の方がきれいに見ることができますが、裏山から海を背景にして見るときは午後だと逆光になります。

感想メモ
近くにある耕三寺は観光名所になっていますが、国宝三重塔のある向上寺はひっそりとしています。
三重塔は離れて見ると均整の取れた美しい塔ですが、細部については室町時代の塔らしく、色々と野心的なことを仕組んでいます。ただ、花頭窓はちょっと悪目立ちしているものの、それ以外は綺麗に収まっているように感じられます。近世のなコテコテの意匠とは全く異なった落ち着きを感じることができます。
(2024年1月訪問)

参考
広島県公式サイト、文化庁公式サイト

 

 

海食崖上の観音堂

磐台寺観音堂


ばんだいじかんのんどう
福山市沼隈町能登原
磐台寺観音堂34.365727, 133.346006
室町後期
桁行三間、梁間二間、背面一間通り庇、一重、寄棟造、庇葺きおろし、本瓦葺

磐台寺観音堂は沼隈半島南端、阿伏兎水道に面した海食崖上に位置します。元亀年間(1570~1573年)に毛利輝元により建てられたと伝えられています。
・岩と建物基部を強固に固定し、建坪を岩上いっぱいにとって縁を軒より張り出させている
・寛文年間(1661~1673年)に堂後方の奥行一間が付加されている

・和様を基調としており、軒は二軒平行繁垂木、柱上は和様の出組で、円柱を長押で固める
・細部手法は室町時代最末期の様式をよくあらわしている

アクセス
JR山陽本線松永駅から鞆方面行きバスで阿伏兎観音下車すぐです。阿伏兎観音まで入るバスは非常に少ないですが、1.3km手前の阿伏兎バス停までは福山からのバスが入るので、本数が少し多くなります。
見学ガイド
磐台寺観音堂は有料で公開されています。観音堂での写真撮影は禁止されていますが、東側の岩場など堂外からの写真撮影は認められています。

感想メモ
正月2日の朝に訪問しました。観音堂は瀬戸内海を背景に穏やかな新春の光に包まれていました。観音堂の縁は海に向かってかなり傾いていて、高欄もかなり低いので、なかなかスリルがありました。
(2025年1月訪問)

参考
福山市公式サイト

 

 

折衷様の本堂と和様の五重塔

明王院


みょうおういん
福山市草戸町
明王院本堂34.478481, 133.345916
国宝・鎌倉後期
桁行五間、梁間五間、一重、入母屋造、向拝一間、本瓦葺
明王院五重塔34.478274, 133.345923
国宝・室町前期
三間五重塔婆、本瓦葺

明王院は福山市街地の西方、芦田川対岸の高台に位置する真言宗大覚寺派の古刹です。もとは西光山理智院常福寺といい,弘法大師の開基と伝えられています。鎌倉時代後期の南都西大寺流律宗の勧進活動などの影響もあり,西国屈指の寺院として繁栄しました。江戸時代には福山藩の庇護を受け、寺号を明王院と改め、現在に至ります。
境内には、常福寺時代の鎌倉後期に建立された本堂と、室町前期に建てられた五重塔が現存しており、いずれも国宝に指定されています。
・右が本堂で左が五重塔



本堂

・桁行五間、梁間五間、入母屋造本瓦葺の折衷様建築
・墨書から、元応三年(1321)の建立であることが明らかにされている
・前二間を外陣、後方左右の庇を脇陣とし、背面庇まで取りこんだ方三間を内陣とする
・和様を基調としているが、柱間に比して柱が長く、反りも大きく、正面の外観は禅宗様に近い

・側面は、外陣部分の前方二間が桟唐戸で、脇陣部分の後方三間が横板壁

・妻は二重虹梁で、虹梁間に連子窓を開く

・背面は中央一間に桟唐戸を吊り、他は横板壁

・正面中央に一間の向拝がつき、向拝柱上には渦巻き模様の手挟

・円柱上部の粽や柱上の台輪は禅宗様の特徴で、中備の二斗は大仏様の特徴

・桟唐戸は、框(かまち)に鎬(しのぎ)のついた大仏様

・内外陣は定法通り吹寄菱欄間と格子戸で仕切る

・ 内外陣境の飛貫・頭貫間は板蟇股上に大仏様の花肘木、二斗、実肘木を重ねた珍しい意匠
・入側隅柱を抜き、前後に四本の虹梁を渡す
・外陣の天井は反転曲線からなる唐破風形で、江戸時代の黄檗建築のような様式だが、鎌倉時代の建立当初のもの



五重塔

・和様の五重塔で、伏鉢の刻銘から室町時代の貞和四年 (1348)に造立されたものであることが知られている
・心柱を第二重でとめた様式で、この様式の五重塔としては海住山寺五重塔が最古で、この塔はこれに次いで古い

・各重とも中央間は扉で、両側間に連子窓を置く
・円柱を地長押、腰長押、内法長押、頭長押で固める

・組物は和様の尾垂木付き三手先

・第二重も初重と同じ構成

・初重から第三重までは、各間に中備の間斗束

・第四重は中央間のみに中備を置き、第五重は間斗束を省いている

・相輪は青銅製で、水煙全体を火焔文としている

・各重の軒先四隅には風鐸を吊る

アクセス
JR山陽本線福山駅下車、南東2.5kmです。福山駅からバスを利用する場合は、鞆線草戸大橋バス停下車北西1km、または、早戸線神島橋西詰バス停下車南東1kmです。
見学ガイド
明王院は常時自由に参拝することができます。本堂、五重塔ともすぐ近くから拝観することができます。五重塔初重内部と本堂外陣は特別公開されることがあります。普段は本堂向拝から外陣の一部を見ることができます。

感想メモ
前夜は松永に宿を取り、明王院には朝のうちに到着しました。高台に東向きに並ぶ本堂と五重塔は、朝の光を浴びてひときわ美しく輝いています。時折、カランカランと耳に届く軽やかな音色は、どうやら五重塔の風鐸が奏でるもののようです。
五重塔は純和様の端正で落ち着いた佇まいを見せる一方、本堂は和様・禅宗様・大仏様を躊躇なく折衷した大胆な意匠が印象的です。対照的な二つの建築が不思議なほど調和し、境内には独特の雰囲気が漂っています。
(2025年10月訪問)

参考
福山市公式サイト、文化庁監修国宝14

 

 

質実な禅宗様仏殿

安国寺釈迦堂


あんこくじしゃかどう
福山市鞆町
安国寺釈迦堂34.388346, 133.380005
室町中期
桁行三間、梁間三間、一重、入母屋造、本瓦葺

安国寺釈迦堂は、鞆の港町の北部に位置しています。この建物は、暦応2年(1339)、足利尊氏によって備後安国寺と定められた金宝寺の仏殿であったと伝えられています。金宝寺は、慶長4年(1599)に安国寺恵瓊(えけい)によって大規模な修理が施されており、釈迦堂には鎌倉時代末期から南北朝時代初期にかけての、質実な禅宗様仏殿の形式がよく残されています。
・桁行三間、梁間三間、入母屋造の禅宗様仏殿
・石造の基壇上に建つ
・軒の反りが大きく、細部意匠にも禅宗様の特徴が見られる
・背面(中段、下段)両側間には脇仏壇を納める突出部がある

・側面は前方一間が桟唐戸で、その他は漆喰壁に腰板

・石造の礎盤上に円柱を立て、長押を用いず貫で固める
・正面三間には藁座付きの桟唐戸を吊る
・内法貫上に弓欄間を設ける

・柱上部に粽を持つ
・頭貫上に台輪を回し、組物は禅宗様尾垂木付二手先の詰組
・垂木は二軒の疎垂木
・木鼻は渦巻き模様の禅宗様

・中央に禅宗様須弥壇を置く
・須弥壇前面の柱は省略され、須弥壇背後の来迎壁から最前列の柱に虹梁がかけられている
・禅宗仏殿では須弥壇上の天井は鏡天井とされることが多いが、ここでは竿縁が入っている
・須弥壇上の天井に向けて組物と尾垂木、海老虹梁でせり上げているが、構成は比較的簡素

・側径間は曲がりの大きな海老虹梁でつないでいる

・隅角部の組物

アクセス
JR山陽本線福山駅から鞆の浦行バスで安国寺下下車すぐです。
見学ガイド
安国寺は有料で拝観することができます。釈迦堂は内部も拝観することができます。釈迦堂前面は植栽が多く、建物の全体像は西側の背面からの方がよく見ることができます。

感想メモ
建物内部もゆっくり見ることができてありがたかったです。禅宗様の要素は一通り全部そろっていますが、全体的に簡素化されており、すっきりとした印象を受けます。
(2025年10月訪問)

参考
広島県公式サイト

 

 

かつて移動式であった能舞台

沼名前神社能舞台


ぬなくまじんじゃのうぶたい
福山市鞆町
沼名前神社能舞台34.386470, 133.378987
江戸前期
桁行一間、梁間一間、一重、切妻造、妻入、こけら葺

沼名前神社は、鞆の港町の北西部、後山山麓に鎮座する式内社です。能舞台は、本殿に至る石段の途中、随身門北側の一段高い敷地に、本殿方向に向けて建てられています。
この能舞台は、伏見城の遺構とも伝えられており、かつて福山城内に移された後、万治三年(1660年)頃に沼名前神社へ寄進されました。当初は移動可能な組立式構造でしたが、寄進の際に半固定式へと改められ、さらに元文三年(1738年)には完全な固定式の舞台へと改修されました。この舞台は、大名邸宅内に設けられていた組立式能舞台の形式を今に伝えるもので、他に類例のない極めて貴重な遺構です。
・西側の正面
・地謡座上部屋根(写真右)が一段低い庇屋根となっているのは古い様式

・正面(写真右)と北側面
・橋掛かりが設けられたのは元文の改修以降(橋掛かりは重文指定対象外)

・背面(写真右)と南側面は石垣上に建つ

・懸魚の様式は江戸初期を下らないもの
・組物などはなく簡素な造り
・屋根がこけら葺きに改められたのも元文の改修以降

・屋根ははめ込み式になっている

・柱には組み立て式であった痕跡が残されている

アクセス
JR山陽本線福山駅から鞆線のバスで鞆の浦下車、西600mです。
見学ガイド
沼名前神社は常時自由に参拝することができます。能舞台も近くから見ることができますが、舞台の周囲には保護板が嵌められているので、舞台の内部は保護板の下の隙間からのぞき込んで見学することになります。

感想メモ
もとは移動式であったことから、建物は簡素ながらも、品格と風趣を湛えています。いつか能の公演で保護板が外された折、その構えを目にしてみたいものです。
(2025年10月訪問)

参考
広島県公式サイト、新指定の重要文化財13

 

 

鞆の歴史的町並みを代表する商家

太田家住宅


おおたけじゅうたく
福山市鞆町
太田家住宅主屋34.382948, 133.380779
江戸中期
桁行14.7m、梁間12.9m、二階建、南面入母屋造、北面切妻造、東南西各面庇付、本瓦葺、南面下屋附属、
西面突出部 桁行6.0m、梁間5.0m、本瓦葺、北面庇附属、桟瓦葺、西面台所及び浴室附属、
北面大広間 桁行7.0m、梁間9.8m、切妻造、桟瓦葺、東面庇付、鉄板葺、北面便所及び上便所・渡廊下附属
炊事場34.382895, 133.380713
江戸後期
桁行4.1m、梁間6.0m、北面庇付、二階建、南面入母屋造、北面切妻造、本瓦葺、東面主屋間取合附属、西面流し場 桁行3.8m、梁間4.1m、二階建、片流れ、本瓦葺、西面湯殿附属
西蔵34.382964, 133.380557
江戸後期
土蔵造、桁行7.3m、梁間6.0m、二階建、切妻造、本瓦葺
釜屋34.383035, 133.380569
江戸後期
土蔵造、桁行6.0m、梁間5.0m、二階建、切妻造、本瓦葺、南面西蔵に接続
南保命酒蔵34.383155, 133.380598
江戸後期
土蔵造、桁行13.8m、梁間5.9m、二階建、切妻造、妻入、本瓦葺、南面釜屋間土塀附属
北保命酒蔵34.383277, 133.380622
江戸後期
土蔵造、桁行15.1m、梁間5.9m、二階建、切妻造、南面保命酒蔵に接続
東面突出部 桁行3.7m、梁間5.7m、二階建、切妻造、本瓦葺
東保命酒蔵34.383212, 133.380745
江戸後期
土蔵造、桁行14.2m、梁間6.0m、二階建、切妻造、妻入、本瓦葺、西面北保命酒蔵間取合附属
北土蔵34.383308, 133.380759
江戸末期
土蔵造、桁行10.0m、梁間5.4m、二階建、切妻造、本瓦葺
新蔵34.383164, 133.380869
江戸末期
土蔵造、桁行11.6m、梁間7.9m、二階建、切妻造、本瓦葺

太田家住宅は、古くから潮待ちの港として栄えた鞆の波止場近くに位置しています。もとは、この地方の名産品である保命酒(ほうめいしゅ)を製造していた中村家の邸宅でしたが、明治時代に廻船業を営む太田家の所有となりました。住宅は江戸時代、18世紀後半から19世紀前期にかけて建てられた建物で構成されており、鞆の歴史的町並みを形成する町屋として貴重な存在です。
・敷地西側の路地には附属屋が並ぶ
・写真中央が西蔵、その左が釜屋、扉が見えるのが南保命酒蔵に付属する土塀で、その左が南保命酒蔵

・左が南保命酒蔵で、右が東保命酒蔵、それらの間に少し顔を出しているのが北保命酒蔵

・中央の矩折の蔵が北保命酒蔵、左が東保命酒蔵、右が北土蔵

・左が東保命酒蔵で、右が新蔵



主屋

・主屋は数寄屋造り
・通りに面した南面を入母屋造とし、東面に出入口を設ける

・内庭に面した北面を切妻造として庇を出す

・西面には突出部を付ける

・右が玄関の間で、左が店土間、左奥が炊事場
・市松模様の土間は、当時としては斬新な意匠

・十五畳の大広間



炊事場



西蔵

・各蔵は海鼠壁で、新蔵、北保命酒蔵以外の蔵の外壁にはサイコロ模様の意匠が施されている



釜屋



南保命酒蔵



北保命酒蔵

・三つの保命酒蔵は接合されており、内部が一体の大きな空間になっている



東保命酒蔵



北土蔵



新蔵

アクセス
JR山陽本線福山駅から鞆港行バスで終点下車、すぐです。
見学ガイド
太田家住宅は有料で公開されています。

感想メモ
鞆の浦の伝統的な街並みを構成する立派な商家です。
(2025年10月訪問)

参考
広島県公式サイト、現地パンフ
各地域で国宝や国の重要文化財に指定された建造物の一覧です。実際に訪問したものからコツコツと上げています。
国宝・重文指定の建造物は全国に5,564棟ありますが、ここで紹介しているのは現時点で1,265棟、カバー率は22.7%です。まだまだ先が長いです。

国宝・重文建造物の特別公開情報はこちら

更新履歴
2025/11/8広島県(2)三原・尾道・福山編を追加
2025/10/5奈良県(1)生駒・郡山編に藤田家住宅を追加
2025/10/1香川県(2)琴平・善通寺編を追加
2025/9/29香川県編に、本山寺、覚城院、観音寺、常徳寺を追加し、(1)高松・東讃・小豆編と(3)坂出・丸亀・西讃編に再編
2025/9/15宮城県編を追加
2025/9/6重要文化財新指定に伴い、東京都(3)副都心四区編を更新
2025/9/4重要文化財新指定に伴い、大阪府(1)大阪市・北摂編を更新
2025/8/24群馬県(3)富岡・西毛編に妙義神社追加指定部分を追加

宮城県
全域
瑞巌寺、鹽竈神社、円通院、石井閘門、旧大沼家住宅
2025/9/15更新

秋田県
全域
藤倉水源地水道施設、嵯峨家住宅、旧秋田銀行本店本館、旧奈良家住宅、赤神神社、神明社観音堂、旧小坂鉱山事務所、康楽館ほか
2022/11/14更新

福島県
(1)中通り・浜通り
旧広瀬座、旧福島県尋常中学校、旧亀岡家住宅、白水阿弥陀堂、飯野八幡宮、専称寺、旧武山家住宅ほか
2023/4/30更新
(2)会津
八葉寺、延命寺、勝福寺、熊野神社、恵隆寺観音堂、旧五十嵐家住宅、奥之院弁天堂、弘安寺旧観音堂厨子ほか
2023/4/30更新

茨城県
(1)水戸・県北・鹿行
旧弘道館、塙家住宅、鹿島神宮、山本家住宅、西蓮寺
2025/5/18更新
(2)土浦・つくば・県南
旧茨城県立土浦中学校本館、旧飛田家住宅、善光寺楼門、来迎院多宝塔、竜禅寺三仏堂、横利根閘門ほか
2025/5/18更新

栃木県
(1)県央・県南・那須
専修寺、西明寺、綱神社、地蔵院、羽石家住宅、入野家住宅、旧下野煉化製造会社煉瓦窯、旧青木家那須別邸ほか
2024/12/30更新

群馬県
(3)富岡・西毛
貫前神社、旧茂木家住宅、妙義神社、旧碓氷峠鉄道施設、旧黒澤家住宅
2025/8/24更新

埼玉県
(2)川越・比企
喜多院、東照宮、日枝神社、旧山崎家別邸、大沢家住宅、光福寺、広徳寺、箭弓稲荷神社
2025/1/19更新
(3)西部・所沢・秩父
旧台徳院霊廟、黄林閣、小野家住宅、福徳寺阿弥陀堂、高倉寺観音堂、出雲伊波比神社
2022/2/22更新

東京都
(3)副都心四区
早稲田大学大隈記念講堂、旧磯野家住宅、旧東京医学校本館、旧加賀屋敷御守殿門、明治神宮
2025/9/6更新
(4)23区西部・南部
旧前田家本邸、本門寺、大場家住宅、旧渋沢家飛鳥山邸、旧醸造試験所第一工場ほか
2024/6/16更新
(5)多摩
正福寺、金剛寺、観音寺、旧宮崎家住宅、旧永井家住宅、小林家住宅
2024/6/16更新

神奈川県
(1)鎌倉・県央・箱根
建長寺、円覚寺舎利殿、旧一条恵観山荘、旧石井家住宅、浄光明寺五輪塔、宝城坊ほか
2024/1/5更新

富山県
(1)富山・新川・砺波
富岩運河水閘施設(中島閘門)、白山宮本殿、村上家住宅、羽馬家住宅、岩瀬家住宅
2023/10/16更新
(2)高岡
瑞龍寺、気多神社本殿、勝興寺、菅野家住宅
2024/9/29更新

山梨県
(1)甲府・中北・峡南
善光寺、旧睦沢学校、武田八幡神社、長谷寺、安藤家住宅、八代家住宅、本遠寺、最恩寺ほか
2023/9/6更新
(2)山梨・石和
清白寺、天神社、窪八幡神社、中牧神社、山梨岡神社
2025/5/27更新
(3)塩山・勝沼
大善寺、雲峰寺、恵林寺、熊野神社、向岳寺、旧高野家住宅
2022/2/6更新
(4)東部・富士五湖
北口本宮富士浅間神社、旧外川家住宅、富士御室浅間神社、観音堂ほか
2024/3/10更新

長野県
(1)長野・北信・東信
国分寺、前山寺、中禅寺、安楽寺、常楽寺、法住寺、浄光寺、六地蔵幢、春原家住宅ほか
2025/3/26更新
(2)松本・安曇野・大町
松本城、旧松本高等学校、旧松本区裁判所庁舎、馬場家住宅、筑摩神社、若一王子神社ほか
2025/2/9更新
(3)塩尻・木曽・伊那
光前寺、旧竹村家住宅、小野家住宅、堀内家住宅、小松家住宅、嶋﨑家住宅、読書発電所
2025/3/19更新

愛知県
(2)犬山・尾張北部
旧正伝院書院、如庵、旧伊勢郵便局舎、旧三重県庁舎、旧西郷従道住宅、旧品川燈台、高田寺ほか
2025/1/22更新

三重県
(1)中勢・伊勢志摩
専修寺、金剛證寺本堂、旧松坂御城番長屋、来迎寺本堂、庫蔵寺、菅島灯台
2024/8/4更新
(2)北勢・伊賀
末広橋梁、諸戸家住宅、旧諸戸家住宅、地蔵院、大村神社宝殿、町井家住宅、観菩提寺
2024/1/28更新

滋賀県
(1)草津・栗東
観音寺、老杉神社、志那神社、石津寺、小槻大社、大野神社楼門、宇和宮神社、大角家住宅ほか
2023/6/11更新
(2)守山・野洲
懸所宝塔、勝部神社、小津神社、圓光寺、春日神社神門、御上神社、大笹原神社、生和神社ほか
2024/12/27更新
(3)甲賀・湖南
油日神社、新宮神社表門、善水寺本堂、常楽寺、吉御子神社本殿、長寿寺、多宝塔
2024/12/14更新
(4)近江八幡・竜王
長命寺、捴見寺、桑実寺、浄厳院、奥石神社、小田神社、苗村神社、勝手神社、鏡神社ほか
2024/11/17更新
(5)彦根・湖東
彦根城、千代神社、有川家住宅、金剛輪寺、大行社、豊満神社四脚門、西明寺
2023/8/18更新

京都府
(1)南区
教王護国寺
2025/1/26更新
(2)伏見・山科
醍醐寺、安楽寿院、与杼神社、勧修寺、本圀寺
2023/8/6更新
(3)宇治
宇治上神社、宇治神社、平等院、浮島十三重塔、十八神社本殿、萬福寺
2022/8/29更新
(4)田辺・八幡・山城西部
久世神社、水度神社、荒見神社、伊佐家住宅、佐牙神社、白山神社、酬恩庵、寶積寺三重塔ほか
2024/3/30更新
(5)丹波・丹後
旧岡花家住宅、旧三上家住宅、智恩寺多宝塔、春日神社本殿、普濟寺仏殿、九品寺大門、福光寺ほか
2025/4/20更新

大阪府
(1)大阪市・北摂
四天王寺、旧松坂屋大阪店、住吉大社、杭全神社、旧緒方洪庵住宅、八坂神社本殿、普門寺方丈ほか
2025/9/4更新
(2)堺・泉北
海会寺、南宗寺、大安寺、法道寺、桜井神社、旧浄土寺九重塔、聖神社ほか
2024/1/12更新
(3)泉南
孝恩寺、積川神社、願泉寺、意賀美神社、奥家住宅、中家住宅、来迎寺、船守神社ほか
2024/4/3更新

兵庫県
(1)神戸
旧ハンター住宅、移情閣、石峯寺、旧ハッサム住宅、旧小寺家厩舎、船屋形、徳光院多宝塔、旧トーマス住宅ほか
2023/1/16更新
(2)東播磨・北播磨・淡路
浄土寺、明石城、鶴林寺、江埼灯台、伽耶院
2025/4/3更新
(3)西脇・加西・加東
旧西脇尋常高等小学校、一乗寺、酒見寺多宝塔、住吉神社
2025/4/3更新

奈良県
(1)生駒・郡山
額安寺五輪塔、松尾寺、旧臼井家住宅、高山八幡宮、長弓寺、長福寺、宝山寺獅子閣ほか
2025/10/5更新

和歌山県
(1)和歌山・海南
護国院、天満神社、東照宮、地蔵峰寺、福勝寺、善福院、長保寺、加太春日神社
2025/2/11更新
(2)高野
金剛峯寺、金剛三昧院、普賢院
2025/1/7更新
(3)紀の川
三船神社、粉河寺、鞆淵八幡神社、根来寺、丹生都比売神社、慈尊院、丹生官省符神社ほか
2024/10/30更新
(4)紀中・紀南
浄妙寺、旧西村家住宅、道成寺、熊野那智大社、那智山青岸渡寺、広八幡神社、角長ほか
2024/2/18更新

岡山県
(1)岡山・備前
守福寺宝殿、八幡神社鳥居、吉備津神社、真光寺
2024/9/22更新

広島県
(1)広島・安芸・県北
不動院、國前寺、旧広島陸軍被服支廠倉庫施設、旧呉鎮守府司令長官官舎、桂濱神社ほか
2025/1/20更新
(2)三原・尾道・福山
向上寺、磐台寺、明王院、沼名前神社、安国寺、太田家住宅
2025/11/8更新

山口県
(1)西部・中部・東部
功山寺、住吉神社、瑠璃光寺、洞春寺、今八幡宮、閼伽井坊、吉香神社ほか
2021/12/16更新
(2)萩・長門
東光寺、旧厚狭毛利家萩屋敷、菊屋家住宅、熊谷家住宅、早川家住宅ほか
2021/6/19更新

徳島県
(1)徳島・鳴門
丈六寺、福永家住宅、一宮神社、三河家住宅
2025/4/7更新
(2)中部・西部
箸蔵寺、田中家住宅、武知家住宅、粟飯原家住宅
2025/4/7更新

香川県
(1)高松・東讃・小豆
高松城、屋島寺、志度寺、長尾寺、香川県庁、明王院
2025/9/29更新
(2)琴平・善通寺
金刀比羅宮、善通寺、旧善通寺偕行社
2025/10/1更新
(3)坂出・丸亀・西讃
丸亀城、白峯寺、本山寺、観音寺、覚城院、常徳寺
2025/9/29更新

福岡県
(1)北九州・筑豊・宗像
門司港駅、旧門司三井倶楽部、旧松本家住宅、宗像神社、旧志免鉱業所、横大路家住宅ほか
2024/6/23更新
(2)福岡・糸島・筑紫・朝倉
香椎宮、筥崎宮、住吉神社、福岡城、櫻井神社、太宰府天満宮、普門院、岩屋神社ほか
2024/6/23更新
(3)筑後
三池炭鉱宮原坑、早鐘眼鏡橋、善導寺、高良大社、有馬家霊屋、松延家住宅、風浪神社、旧吉原家住宅
2022/12/18更新

佐賀県
全域
多久聖廟、佐賀城、与賀神社、川打家住宅、田嶋神社、旧田代家西洋館ほか
2023/12/16更新

長崎県
全域
崇福寺、清水寺、眼鏡橋、興福寺、針尾送信所、青砂ヶ浦天主堂、頭ヶ島天主堂ほか
2024/2/23更新

沖縄県
全域
園比屋武御嶽石門、天女橋、旧円覚寺放生橋、新垣家住宅、豊見親墓、瀬底土帝君、中村家住宅、高良家住宅ほか
2023/3/13更新

全国の国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、通常公開されていない文化財の特別公開の情報をまとめています。
ネット上などで見つけたものはできるだけ紹介するようにしています。社寺の年中行事に関係したものは趣が大変深く、また、公的機関が主催するものは専門家の解説があるなど、中身が濃いように思います。
(11月8日情報更新)


国宝・重文建造物のトップページはこちら

開催中・予定中の特別公開

令和7年9月27日から12月15日<京都府京都市>大徳寺興臨院
令和7年10月1日から12月7日<京都府京都市>銀閣寺東求堂内部
令和7年10月4日から12月7日<奈良県桜井市>長谷寺本坊
令和7年10月11日から12月7日(金土日祝のみ)<京都府京都市>聖護院門跡書院
令和7年10月18日から11月24日<大分県日田市>草野本家(水木曜定休)
令和7年10月25日から12月7日<京都府京都市>下鴨神社本殿、三井神社他
令和7年10月25日から12月7日<三重県桑名市>諸戸家住宅庭園
令和7年11月2日、3日、9日<東京都台東区>上野東照宮社殿内部(予約制)
令和7年11月4日から18日<京都府京都市>西本願寺書院・飛雲閣特別公開
令和7年11月8日<京都府京都市>旧武徳殿内部
令和7年11月8日、12月13日<茨城県土浦市>旧土浦中学校本館
令和7年11月8日、9日<大阪府羽曳野市>吉村家住宅
令和7年11月8日<埼玉県毛呂山町>出雲伊波比神社本殿
令和7年11月8日<茨城県北茨城市>石岡第一発電所(予約制)
令和7年11月8日<静岡県静岡市>清水灯台内部
令和7年11月8日<広島県広島市>不動院金堂内部(予約制)
令和7年11月8日から12月7日<京都府京都市>東福寺龍吟庵
令和7年11月8日から12月7日<京都府京都市>東福寺三門内部
令和7年11月10日、20日、12月4日<東京都品川区>旧島津本邸(予約抽選制)
令和7年11月14日から16日<秋田県秋田市>三浦家住宅公開(予約制)
令和7年11月14日から16日、21日から24日<鳥取県智頭町>石谷家住宅庭園
令和7年11月15日<兵庫県たつの市>堀家住宅
令和7年11月15日、16日<京都府宇治市>松殿山荘(予約制)
令和7年11月15日から30日<滋賀県湖南市>常楽寺
令和7年11月16日<神奈川県横浜市>関家住宅(予約制)
令和7年11月21日<広島県呉市>旧澤原家住宅(事前申込制)
令和7年11月21日から23日<兵庫県姫路市>円教寺十妙院等
令和7年11月22日、令和8年2月28日<千葉県南房総市>尾形家住宅内部
令和7年11月22日から24日<奈良県奈良市>興福院
令和7年11月22日から24日<兵庫県神戸市>船屋形一般公開
令和7年11月23日<北海道函館市>遺愛学院旧宣教師館
令和7年11月23日<滋賀県草津市>芦浦観音寺
令和7年11月23日、30日<京都府八幡市>正法寺
令和7年11月25日から9日<京都府京都市>知恩院三門楼上
令和7年12月5日<兵庫県西宮市>神戸女学院探訪(予約制)
令和8年1月1日から3日<神奈川県鎌倉市>円覚寺舎利殿
令和8年1月9日<兵庫県西宮市>神戸女学院(予約制)
令和8年2月1日から14日<兵庫県姫路市>姫路城各小天守内部


都道府県別の公開状況


北海道

  • <札幌市>
  • ●北海道大学植物園: 4月末から11月初旬
  • ●八窓庵: 4月末から11月上旬
  • <小樽市>
  • ●手宮鉄道施設: 4月下旬から11月初旬

青森県

  • <東通村>
  • ●尻屋崎灯台内部: 4月上旬から11月上旬

秋田県


山形県

  • <山形市>
  • ●旧済生館本館3・4階: 不定期(予約制、前回公開令和7年秋)
  • <中山町>
  • ●旧柏倉家住宅: 3月から11月の土日祝日

福島県


茨城県


栃木県

  • <日光市>
  • ●日光田母沢御用邸二階皇后御学問所: 春の枝垂桜開花期

群馬県

  • <桐生市>
  • ●彦部家住宅: 毎週土日曜日、祝日
  • <安中市>
  • ●旧碓氷峠鉄道施設丸山変電所内部: 秋の近代化遺産一斉公開期間中

埼玉県

  • <川越市>
  • ●仙波東照宮: 不定期(前回公開は令和4年秋の市制100年)
  • <八潮市>
  • ●和井田家住宅: 毎月第3土曜日(8月・12月・1月を除く)
  • <所沢市>
  • ●黄林閣: 毎週木曜日
  • <毛呂山町>
  • ●出雲伊波比神社本殿: 秋の文化財保護強調週間中の一日

千葉県


東京都

  • <千代田区>
  • ●水準原点: 5月下旬に一日間のみ(雨天中止)
  • <港区>
  • ●慶応大学三田演説館: 秋の建築プロムナード
  • ●明治学院大学インブリー館内部: 秋の東京文化財ウイーク
  • ●旧朝香宮邸: 年一回開催される建物公開展
  • ●増上寺三解脱門内部: 不定期(前回公開は令和4年の建立400年記念)
  • <大田区>
  • ●池上本門寺五重塔開帳: 4月上旬の花祭り期間中
  • <北区>
  • ●旧醸造試験所第一工場: 秋の東京文化財ウイーク
  • <文京区>
  • ●根津神社社殿内部: 秋の東京文化財ウイーク
  • ●旧磯野家住宅(銅御殿)前庭: 秋の東京文化財ウイーク
  • <渋谷区>
  • ●旧久邇宮邸 (聖心女子大学パレス): 3月に数回(予約制)
  • ●明治神宮宝物殿: 10月下旬から11月上旬
  • <台東区>
  • ●上野東照宮社殿内部: 10月から11月の間の数日
  • <目黒区>
  • ●前田本邸非公開部分: 秋の東京文化財ウイーク
  • <東村山市>
  • ●正福寺地蔵堂内部: 6月第二日曜日、8月8日、11月3日

神奈川県

  • <横浜市>
  • ●聴秋閣奥の遊歩道開放: 大型連休前後及び紅葉時期
  • ●関家住宅: 年一回11月ごろ(抽選制)
  • ●神奈川県庁舎内部: 春季及び秋季に各二日程度
  • <鎌倉市>
  • ●建長寺僧院一部立入解禁: 元旦(除夜の鐘)
  • ●極楽寺忍性廟: 4月7日、8日の仏生会
  • ●覚園寺開山塔: 4月下旬から5月上旬
  • ●円覚寺舎利殿: 1月1日から3日、5月3日から5日、文化の日前後
  • ●浄光明寺五輪塔: 4月の鎌倉まつり期間中

新潟県

  • <十日町市>
  • ●星名家住宅: 10月頃(予約制)
  • <関川村>
  • ●佐藤家住宅: 不定期(前回公開は令和7年秋)

富山県

  • <南砺市>
  • ●白山宮覆屋開扉: 9月25日、26日のこきりこ祭期間中

石川県


福井県


山梨県

  • <北杜市>
  • ●八代家住宅: 11月3日
  • <甲府市>
  • ●高室家住宅: 毎年9月頃、一日間のみ(予約制)

長野県

  • <山ノ内町>
  • ●佐野神社本殿: 9月の秋季祭礼時

岐阜県


静岡県


愛知県


三重県

  • <桑名市>
  • ●諸戸家住宅庭園: 春と秋の年二回

滋賀県

  • <大津市>
  • ●住友活機園: 5月頃
  • <草津市>
  • ●芦浦観音寺: 5月4日、5日、11月23日
  • <湖南市>
  • ●常楽寺: 11月中旬~12月初旬の紅葉まつり期間中
  • <栗東市>
  • ●旧和中散本舗大角家住宅: 春季及び秋季

京都府

  • <京都市右京区>
  • ●妙心寺三門内部: 6月18日の山門懺法
  • ●仁和寺観音堂内部: 毎月18日(観音会)、その他不定期(前回公開は令和7年秋)
  • ●神護寺大師堂内部: 11月1日から7日
  • <京都市左京区>
  • ●下鴨神社本殿ほか: 春、夏、秋の年三回
  • ●銀閣寺東求堂内部: 春と秋の年二回
  • ●聖護院門跡書院: 秋から初冬にかけての週末
  • ●吉田神社太元宮中門内: 1月1日から3日、2月2日、3日、及び毎月1日
  • <京都市北区>
  • ●上賀茂神社摂社新宮神社: 毎月第二、第四日曜日
  • ●大徳寺興臨院: 新春、3月から6月、9月から12月
  • <京都市東山区>
  • ●妙法院書院: 五月会当日
  • ●東福寺龍吟庵: 春と秋の年二回
  • ●東福寺三門内部: 春と秋の年二回
  • ●知恩院 大方丈・小方丈内部: 春と秋の年二回
  • ●知恩院三門楼上: 秋に年一回
  • ●豊国神社唐門内: 1月1日から3日
  • <京都市上京区>
  • ●冷泉家: 秋に年一回
  • ●相国寺法堂内部: 春と秋の年二回
  • ●北野天満宮本殿: 8月の旧暦七夕前後の石の間通り抜け神事
  • <京都市下京区>
  • ●西本願寺書院: 毎月16日のShinran's Day
  • ●東本願寺御影堂門内部: 不定期(前回公開は令和7年秋)
  • ●東本願寺白書院・宮御殿・大寝殿: 不定期(前回公開は令和7年秋)
  • ●龍谷大学大宮学舎: 不定期(前回公開は令和7年秋)
  • <京都市南区>
  • ●東寺五重小塔: 春と秋の宝物館開館期間中
  • ●東寺灌頂院開門: 1月14日(後七日御修法結願日)
  • <京都市中京区>
  • ●壬生狂言舞台: 2月2日から3日、4月29日から5月5日、10月の連休を含む3日間
  • <八幡市>
  • ●石清水八幡宮本殿昇殿: 土日祝の午後二時
  • ●正法寺: 春と秋の年二回
  • ●伊佐家住宅: 秋の文化財一斉公開期間(保存修理工事のため休止中)
  • <宇治市>
  • ●松殿山荘: 春と秋の年二回(予約制)
  • ●宇治神社本殿: 12年ごとの三卯の日、次回は令和17年
  • <木津川市>
  • ●浄瑠璃寺三重塔開扉: 毎月8日
  • <舞鶴市>
  • ●行永家住宅: 春と秋に各一日
  • <京丹後市>
  • ●経ヶ岬灯台内部: 11月1日の灯台記念日前後

大阪府

  • <大阪市>
  • ●奥田家住宅: 毎月第4日曜日(12月を除く)(予約制)
  • ●愛珠幼稚園: 秋の近代化遺産一斉公開(予約制)
  • <堺市>
  • ●桜井神社拝殿開扉: 10月5日に近い日曜日(上神谷こおどり開催日)
  • ●大安寺本堂: 不定期(前回公開は令和4年秋)
  • ●高林家住宅: 不定期(前回公開は令和4年12月)
  • <和泉市>
  • ●泉井上神社和泉総社本殿: 1月1日から3日
  • <泉大津市>
  • ●泉穴師神社鈴門内: 元旦
  • <羽曳野市>
  • ●吉村家住宅: 春と秋に各2日程度
  • <熊取町>
  • ●降井家書院: 不定期(前回公開令和5年秋)
  • <岬町>
  • ●船守神社拝殿開扉: 10月14日・15日の秋季例祭期間中

兵庫県

  • <神戸市>
  • ●箱木家住宅: 毎週土日と祝日
  • ●船屋形: 春のさつき開花期と秋の紅葉時期
  • ●旧ハッサム住宅内部: 4月下旬から5月上旬、5月、10月、11月の土日祝
  • <姫路市>
  • ●姫路城各小天守内部: 不定期(令和7年秋に公開)
  • ●姫路城菱の門櫓内部: 不定期(前回公開は令和7年秋)
  • ●弥勒寺本堂開扉: 11月上旬のほていまつりの前後
  • ●円教寺大講堂・常行堂・金剛堂・開山堂内部: 5月の新緑まつり、秋の紅葉まつりの期間中に公開されることがある
  • ●十妙院: 秋の紅葉まつりの期間中
  • ●古井家住宅: 毎週土日及び祝日
  • <西宮市>
  • ●神戸女学院: 年間数回(予約制)
  • <尼崎市>
  • ●本興寺方丈・三光堂: 11月3日の虫干会・三光祭
  • <明石市>
  • ●明石城櫓内部: 3から5月(巽櫓)、9から11月(坤櫓)の土日祝
  • <たつの市>
  • ●堀家住宅: 春季及び秋季
  • <西脇市>
  • ●西脇小学校校舎: 春と夏に各一日
  • <淡路市>
  • ●江埼灯台内部: 11月3日

奈良県


和歌山県

  • <和歌山市>
  • ●旧中筋家住宅: 3月から11月の土日祝
  • ●郭家住宅: 毎月第二日曜日
  • <田辺市>
  • ●熊野本宮大社本殿開扉: 1月1日の開寅詣
  • <かつらぎ町>
  • ●丹生都比売神社本殿: 不定期(前回特別参拝令和5年夏)

鳥取県

  • <琴浦町>
  • ●河本家住宅(予約制): 毎週金土日(予約制)
  • <大山町>
  • ●門脇家住宅: 春と秋の年二回
  • <智頭町>
  • ●石谷家住宅庭園: 秋季に数日間

島根県

  • <松江市>
  • ●美保関灯台内部: 11月1日の灯台記念日前後、及び6月
  • <出雲市>
  • ●出雲大社八足門内: 1月1日から5日

岡山県

  • <岡山市>
  • ●岡山城月見櫓内部: 秋季に3日間程度
  • <高梁市>
  • ●備中松山城二重櫓内部: 春季及び秋季

広島県


徳島県

  • <鳴門市>
  • ●福永家住宅: 初夏と秋に各1日

香川県

  • <高松市>
  • ●小比賀家住宅: 毎月第三日曜日
  • <善通寺市>
  • ●善通寺五重塔内部: 大型連休期間中
  • <琴平町>
  • ●金刀比羅宮表書院前庭: 毎年5月5日、7月7日、12月下旬の奉納蹴鞠
  • ●金刀比羅宮奥書院: 若冲展期間中(不定期、前回開催令和5年春)

愛媛県

  • <松山市>
  • ●松山城野原櫓、乾櫓内部: 8月及び10月

高知県

  • <香南市>
  • ●安岡家住宅: 奇数月(7月を除く)第4土日(雨天中止)

福岡県

  • <北九州市>
  • ●旧松本家住宅: 毎年11月上旬
  • <福岡市>
  • ●筥崎宮回廊内: 新年初詣期間中と9月12日から18日の放生会
  • ●福岡城多門櫓内部: 春季及び秋季の週末、休日
  • <志免町>
  • ●旧志免鉱業所竪坑櫓内部: 11月頃(予約制)

佐賀県

  • <多久市>
  • ●多久聖廟内部: 4月18日と10月の第四日曜(春季及び秋季の釈菜)

熊本県


大分県

  • <日田市>
  • ●草野本家: 雛祭り、端午の節句、祇園祭、天領祭りの時期

鹿児島県

  • <霧島市>
  • ●霧島神宮本殿: 5から6月、10から11月に各数日(予約制)



奈良県生駒・郡山地域にある国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。

個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。
大和郡山市
額安寺五輪塔 (1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)
松尾寺本堂  
慈光院 書院、茶室
小泉神社本殿  
五輪塔覆堂  
春日神社本殿  
矢田坐久志玉比古神社 本殿、末社八幡神社社殿
旧臼井家住宅 主屋、内蔵
旧岩本家住宅  
生駒市
高山八幡宮本殿  
宝幢寺本堂  
円証寺本堂  
円証寺五輪塔  
長弓寺本堂  
長福寺本堂  
宝山寺獅子閣  
宝篋印塔  
圓福寺本堂  
圓福寺宝篋印塔 (1)、(2)
生駒郡平群町
藤田家住宅  
生駒郡三郷町
八幡神社本殿  
生駒郡安堵町
中家住宅 主屋、新座敷、持仏堂、持仏堂庫裏、表門、米蔵及び牛小屋、新蔵、米蔵、乾蔵

 

 

鎌倉墓の五輪塔群

額安寺五輪塔


がくあんじごりんとう
大和郡山市額田部北町

 

額安寺五輪塔 (1) 34.602895, 135.772805
鎌倉後期
石造五輪塔
永仁五季七月八日の刻銘がある
(2) 34.602919, 135.772805
鎌倉後期
石造五輪塔
永仁五年十月五日の刻銘がある
(3) 34.602940, 135.772809
鎌倉後期
石造五輪塔
(4) 34.602953, 135.772812
鎌倉後期
石造五輪塔
(5) 34.602971, 135.772815
鎌倉後期
石造五輪塔
(6) 34.602969, 135.772841
鎌倉後期
石造五輪塔
(7) 34.602967, 135.772869
鎌倉後期
石造五輪塔
(8) 34.602960, 135.772887
鎌倉後期
石造五輪塔

 

額安寺は大和郡山の市街地南方の田園地帯の集落に位置する古刹で、聖徳太子が創建した熊凝(くまごり)の精舎の跡に建てられたものと伝わります。額安寺の北西にある石造五輪塔群は、鎌倉墓とも言われています。第八塔と第四塔の銘から鎌倉時代後期に造立されたものと考えられています。
・五輸塔は西側に東面して第一塔から第五塔までの5基(写真左)、北側に南面して第六塔から第八塔までの3基が鍵の手に並ぶ
 
・手前の第一塔が忍性菩薩、その隣の第二塔が善願上人の供養塔
 
・第四塔には永仁5年(1297)の銘がある
 
・第五塔の地輪には梵字が刻まれている
 
・手前が東端の第八塔で、これにも永仁5年の銘がある
 
アクセス
近鉄橿原線平端駅西1.1kmです。五輪塔は額安寺の境内ではなく、境内の北約400mの額田部窯跡の東にあります。向かって左端が第一号で、第八号までの8基の五輪塔が並んでいます。
見学ガイド
五輪塔は常時自由に見学することができます。

 

感想メモ
文化庁のデータベースの位置表示が間違っているので、少し迷いましたが、無時たどり着けました。大型のものから中型のものまで、鎌倉時代の五輪塔8基が、くの字型に並んでいる姿は壮観です。
(2022年12月訪問)

 

参考
額安寺公式サイト

 

 

中世の大型仏堂

松尾寺本堂


まつおでらほんどう
大和郡山市山田町

 

松尾寺本堂 34.634109, 135.728114
室町前期
桁行五間、梁間五間、一重、入母屋造、本瓦葺

 

松尾寺は矢田丘陵の松尾山の山頂近くに位置する古刹で、養老2年(718)、舎人親王が日本書紀の無事完成と42歳の厄除けの願をかけて建立したと伝わります。現在の本堂は、建武4年(1337)に再建されたもので、中世の大型仏堂の貴重な遺構です。
・桁行五間、梁間五間、単層、入母屋造、本瓦葺
・和様を基調とした比較的簡素な建築意匠
 
・向拝柱は大きく面を取った角柱
 
・二軒の繁垂木で、柱上は和様の出三斗、中備は間斗束
・大仏様の木鼻(写真左下)が見られる
 
アクセス
松尾寺はJR関西本線大和小泉駅からバスで山田町下車、西1.2mの山中にあります。矢田寺と松尾寺の間には遊歩道が整備されています。3km程度ですが山越えなので多少体力が必要です。
見学ガイド
松尾寺常時自由に参拝することができます。本堂も自由に拝観することができます。

 

感想メモ
矢田寺からショートカットでということで山越えルートを選びました。想定以上のアップダウンの山道でビジネスシューズの限界を超えていました。
本堂は折衷様の立派なお堂で、比較的珍しい大仏様の意匠を見ることができました。
(2021年4月訪問)

 

参考
松尾寺公式サイト、大和郡山市公式サイト

 

 

板塔婆の壁で囲われた郡山城主墓所

五輪塔覆堂


ごりんとうおおいどう
大和郡山市長安寺町

 

五輪塔覆堂 34.608622, 135.783146
桃山
桁行一間、梁間一間、一重、宝形造、本瓦葺

 

五輪塔覆堂は、大和郡山市南部の田園地帯にあります。郡山城主筒井順慶 (1549~1584) の墓所の五輪塔に掛けられた覆堂です。
・1間四方宝形造の建物
・板塔婆を目透かしに打ち付け、頭貫と内法長押の間は連子窓とする
 
アクセス
近鉄橿原線平端駅北300mです。
見学ガイド
覆堂周辺は柵で囲われているので、前面は少し離れたところから見ることになりますが、側面は比較的近くから見ることができます。

 

感想メモ
板塔婆を目透かし、斬新でびっくりしました。文化財巡りをしていると無粋な覆屋が最大の障害で、いつもフラストレーションが溜まりますが、こういう気の利いた覆堂なら大歓迎です。
(2022年12月訪問)

 

参考
現地解説板

 

 

矢田山金剛山寺の鎮守

春日神社本殿


かすがじんじゃほんでん
大和郡山市矢田町

 

春日神社本殿 34.649807, 135.736950
室町後期
一間社春日造、檜皮葺

 

春日神社は矢田山金剛山寺の境内の一角に鎮座します。もとは金剛山寺の鎮守でした。
・一間社春日造、檜皮葺
・矢田久志玉比古神社の末社八幡神社社殿に似ているが、各部がやや形式化し、細部の手法からみてもやや時代の下ったものと考えられている
 
向拝の蟇股(上)と組物(下)
 
アクセス
春日神社は矢田寺の境内、本堂の手間、一段下がった場所にあります。矢田寺はJR関西本線大和小泉駅と近鉄郡山駅を結ぶバスで横山口下車、西に1.2mです。後半はやや急な上りです。矢田寺と松尾寺の間には遊歩道が整備されています。3km程度ですが山越えなので多少体力が必要です。
見学ガイド
春日神社本殿はいつでも自由に見学することができます。玉垣の内側から間近に見ることができます。

 

感想メモ
こちらの社殿はすぐ近くから拝観することができて有難かったのですが、この社殿と似ているとされる矢田久志玉比古神社の末社本殿は近くから見ることができないので、似ているのかどうかよく分かりませんでした。
(2021年4月訪問)

 

参考
大和郡山市公式サイト

 

 

式内大社に残る室町建築

矢田坐久志玉比古神社


やたにいますくしたまひこじんじゃ
大和郡山市矢田町

 

矢田坐久志玉比古神社 本殿 34.651901, 135.748134
室町前期
一間社春日造、檜皮葺
末社八幡神社社殿 34.651930, 135.748084
室町中期
一間社春日造、檜皮葺

 

矢田坐久志玉比古神社は矢田丘陵東方の田園地帯に鎮座します。貞観元年(859)に神戸(かんべ)を賜った記録があり、また、延喜式では大社に列していることから、かなり古い時期に成立していると考えられています。本殿は、室町時代初期に建立されたものです。

 


本殿
 
・一間社春日造、檜皮葺の小社だが、木割りは荘重で、蟇股、木鼻の彫刻など、細部の手法も優れている
 

 


末社八幡神社社殿
 
・本殿の西に位置し、構造や手法が本殿に類似しているが、建築年代は少し遅れて室町時代中ごろと考えられている
 
アクセス
JR関西本線大和小泉駅と近鉄郡山駅を結ぶバスで横山口下車、北に500mです。神社周辺には案内標識が設置されているので迷うことはないと思います。
見学ガイド
矢田坐久志玉比古神社は常時自由に参拝することができますが、立ち入りが許されているのは拝殿の手前まです。本殿と八幡神社社殿は、拝殿の手前左側から瑞垣越しに拝観することになります。かなり距離があるので細部は見ることができません。

 

感想メモ
市の公式サイトを見入ると、荘重で細部意匠も優れた素晴らしい社殿であるようですが、残念ながら遠くからしか拝観することができないので、細部意匠についてはよく分かりませんでした。ただ、屋根の曲率の大きな美しい社殿であることは窺い知ることができました。
(2021年4月訪問)

 

参考
大和郡山市公式サイト

 

 

藩の公用伝馬役の住宅

旧臼井家住宅


きゅううすいけじゅうたく
大和郡山市矢田町

 

旧臼井家住宅 主屋 34.652226, 135.753424
江戸中期
桁行17.6m、梁間7.0m、切妻造、茅葺、南面及び北面庇付、本瓦葺北面便所及び渡廊下附属、桟瓦葺
内蔵 34.652356, 135.753424
江戸中期
土蔵造、桁行4.8m、梁間3.8m、二階建、切妻造、本瓦葺

 

臼井家住宅は矢田の大和民俗公園内に移築保存されています。臼井家は、高取の植村藩城下に屋敷を構え、屋号を「伊勢屋」 と称して藩の公用伝馬の役を務める傍ら酒・醤油の販売を営んでいました。
・主屋背面(左)と内蔵(右)
 

 


主屋
 
・上段写真が表側で、下段写真が右側面
・正面左端2間を格子構えとしながら、農家風の平面・外観を持つ
 
・右は背面側の庇を取り込んだ天井
 
・土間の天井は竹簀子
 

 


内蔵
 
・二階建で、建築年代は、主屋と同じ頃
 
アクセス
旧臼井家は矢田の大和民俗公園内にあります。民俗公園はJR関西本線大和小泉駅と近鉄郡山駅を結ぶバスで横山口下車、北に1.2km。矢田坐久志玉比古神社の近くを経由します。
見学ガイド
開園は午前9時~午後4時で、月曜日は休園です。建物の内部は主屋の土間のみ立ち入りが可能です。

 

感想メモ
移築された建築ですが、周辺が街道風に整備されており、往時の風景を偲ぶことができます。武家屋敷、商家、農家の要素が混じった興味深い住宅です。
(2021年4月訪問)

 

参考
現地解説板

 

 

室生の大型茅葺住宅

旧岩本家住宅


きゅういわもとけじゅうたく
大和郡山市矢田町

 

旧岩本家住宅 34.654776, 135.750664
江戸末期
桁行13.9m、梁間11.7m、入母屋造、茅葺

 

旧岩本家住宅は矢田の大和民俗公園内に移築保存されています。岩本家は宇陀市室生に所在していた農家で、庄屋を務めていたと伝えられています。
・桁行14メートル、梁間11メートル、入母屋造、茅葺の大型の住宅で、表側をせがい造りにしている
 
・出入り口に向かって左半分(上段写真手前、下段平面図上側)を土間とし、正面側に馬屋、背面側にかまやを配している
・右半分は食違い三間取りに座敷三室を加えた6間取り
 
アクセス
旧岩本家は矢田の大和民俗公園内にあります。民俗公園はJR関西本線大和小泉駅と近鉄郡山駅を結ぶバスで横山口下車、北に1.2km。矢田坐久志玉比古神社の近くを経由します。
見学ガイド
開園は午前9時~午後4時で、月曜日は休園です。建物の内部は土間のみ立ち入りが可能です。

 

感想メモ
軒の深い大型の堂々とした茅葺き農家住宅です。
(2021年4月訪問)

 

参考
現地解説板

 

 

東大寺鎮守社の頓宮

高山八幡宮本殿


たかやまはちまんぐうほんでん
生駒市高山町

 

高山八幡宮本殿 34.745138, 135.722301
室町後期
三間社流造、檜皮葺

 

高山八幡宮は、奈良県最北部の丘陵地に鎮座します。天平勝宝元年(749)宇佐八幡宮の祭神を東大寺の鎮守社に勧請する際に頓宮を置いたのが始まりと伝えられています。本殿は、文明3年(1474)の焼討ち後、元亀3年(1572)に再建されたものです。
・井桁の上に建てられた三間社流造、檜皮葺で、軸部は丹朱塗り
・梁間二間で、円柱上に舟肘木を組み、妻は豕扠首
・向拝は中央間を広く取り、柱上は三斗で、中備は蟇股
 
・向拝内側には特徴的な繰型の手挟を備える
 
・向拝西端の象鼻の図案は桃で、西の蟇股の図案は隼人瓜
・向拝部分は後補も多い
 
アクセス
近鉄奈良線富雄駅から近鉄けいはんな線学研北生駒駅経由のバスで高山八幡宮前下車、すぐです。このほか、近鉄奈良線生駒駅から近鉄けいはんな線白庭台駅経由のバスでひかりが丘下車、徒歩で900mのルートがあります。ともに、バスの頻度は1時間に1本程度です。
見学ガイド
高山八幡宮は常時自由に参拝することができます。本殿前面は拝殿が建てられていて、本殿を正面から拝観することはできませんが、拝殿の左側面から瑞垣前に回り込むことができるので、本殿の左斜め前から瑞垣越しに拝観することができます。背面も瑞垣越しに拝観することができます。

 

感想メモ
細部には近世的な装飾が見られますが、全体として形の整った風格のある社殿です。
(2021年11月訪問)

 

参考
生駒市デジタルミュージアム、高山八幡宮公式サイト、重要文化財高山八幡宮の保存修理(岩永雄一)

 

 

和様を基調とした鎌倉時代の密教建築

長弓寺本堂


ちょうきゅうじほんどう
生駒市上町

 

長弓寺本堂 34.718596, 135.727310
国宝・鎌倉後期
桁行五間、梁間六間、一重、入母屋造、向拝一間、檜皮葺

 

長弓寺は矢田丘陵東の新興住宅地に囲まれた丘の上にある真言宗寺院です。奈良時代、小野真弓長弓(おののまゆみたけゆみ)らが、聖武天皇に従ってこのあたりで狩猟をした時に、誤射で長弓が命を落としたことから、聖武天皇がこの地に御堂を建て長弓の菩提を弔ったと伝えられています。現本堂は鎌倉時代の弘安2年(1279年)に建立されたものです。鎌倉時代初め南都では東大寺などの大寺院で復興改築がおこなわれましたが、その復興の気運が地方の寺院に至る起点となった遺構であるとされています。
・桁行五間、梁間六間、入母屋造、檜皮葺の和様を基調とした密教本堂
細部の意匠に大仏様を採り入れている
 
・二軒の繁垂木で、柱上は和様の出三斗、正面の中備に左右対称の図案の蟇股を入れる
 
・側面の中備は間斗束としている
・扉は大仏様の桟唐戸としている
 
・頭貫の木鼻には大仏様の繰形が見られる
 
・外陣は格天井で、前面一間は垂木を見せ化粧屋根裏としている
 
アクセス
近鉄けいはんな線白庭台駅から東に徒歩20分です。学研北生駒駅から学園前駅行きのバスを利用することもできます。真弓3丁目で下車して西に約10分です。台地の上の住宅地を抜けて谷を下ったところです。
見学ガイド
長弓寺は常時自由に参拝することができ、本堂も自由に拝観が可能です。正月三が日には外陣内に入ることもできます。

 

感想メモ
和様を基調とした柔らかなラインの建築です。新年ということで本堂には五色幕がかけられていて華やいだ雰囲気でした。和様の落ち着いた建築に、大仏様の細部意匠の組み合わせは興味深いです。新年ということで堂内にも入ることができて、力強い構架を見ることもできました。
(2021年1月訪問)

 

参考
長弓寺公式サイト、生駒市デジタルミュージアム

 

 

真言律宗寺院の鎌倉建築

長福寺本堂


ちょうふくじほんどう
生駒市俵口町

 

長福寺本堂 34.705607, 135.695229
鎌倉後期
桁行五間、梁間三間、一重、入母屋造、向拝一間、背面下屋附属、本瓦葺

 

長福寺は生駒の市街地の北に位置する真言律宗の寺院です。行基が開創したと伝わる古刹で、鎌倉時代には実詮(じっせん)律師が中興しました。現在の本堂はそのときのものです。
・桁行五間、梁間三間、入母屋造で、一間の向拝が付く
・向拝も当初から付けられていたものと考えられている
 
アクセス
近鉄奈良線生駒駅からバスで俵口下車、徒歩10分です。バス停から阪奈道路のガードを潜り、側道を西に上ります。上りきった辺りの阿弥陀寺の手前の路地を右折し、曲がりくねった道を北に進むと長福寺の山門前に出ます。
見学ガイド
長福寺本堂は、山門が開いていれば、自由に見学することができます。開門時間についての情報は見当たりません。

 

感想メモ
鎌倉時代の建物ですが、情報が非常に限られています。静かな良い雰囲気のお寺です。
(2021年1月訪問)

 

参考
生駒市観光協会公式サイト、重要文化財長福寺本堂保存修理事業(奈良県教育委員会資料)

 

 

擬洋風の客殿

宝山寺獅子閣


ほうざんじししかく
生駒市門前町

 

宝山寺獅子閣 34.684942, 135.686872
明治
建築面積92.1m2、二階建、寄棟造、車寄切妻造、桟瓦葺

 

宝山寺は生駒山の奈良県側の中腹に位置する寺院で、江戸時代から聖天信仰で栄えてきました。獅子閣は宝山寺の擬洋風の客殿で、横浜で洋風建築を学んだ日本人棟梁の手によるものです。
西面: 
・総2階建、寄棟造で、漆喰壁に窓や出入口を開く
 
南面ベランダ:
・1階は特に豪華で、柱間にアーチが渡され、天井にも装飾が見られる
・ベランダ柱間には円形断面の繰形をもつ手摺を設けている
・床下は懸造になっている
 
一階ベランダ: 
・アーチ中央には要石形の束が見られる
 
二階ベランダ
 
玄関の柱の装飾: 
・フルーティング(縦方向の溝)や、柱頭と脚部の石造風の彫刻で飾っている
 
一階洋室: 
・出入口扉には、赤・緑・黄 朱・青紫の色ガラスを嵌め込んでいる
・西南隅に木製螺旋階段が設けられている
 
二階和室: 
・10畳2室を並べ、上の間に半間の床の間・違棚・押入を設け、金箔で豪華に仕上げている
 
アクセス
近鉄奈良線生駒駅からケーブルカーで宝山寺下車、石段を200mほど上ったところです。獅子閣は宝山寺の中門をくぐり、右に入ったところにあります。
見学ガイド
獅子閣は通常非公開で、周囲の建物の間から一部を見ることができる程度です。獅子閣は不定期で特別公開されます。特別公開時は建物内部も見ることができます。山上の狭い場所に多くの建物が建てられていて視角が限られるため、建物の全体像をとらえるのは難しいと思います。

 

感想メモ
擬洋風でありながら、木材であることを隠しておらず、温もりのある建築です。
(2021年11月訪問)

 

参考
宝山寺公式サイト

 

 

端正な大和棟の民家

藤田家住宅


ふじたけじゅうたく
生駒郡平群町福貴
藤田家住宅 34.630670, 135.693762
江戸中期
桁行18.8m、梁間11.8m、切妻造、段違、南面・東面北寄・北面・西面庇付、本瓦・本瓦及び茅葺

 

藤田家住宅は平群谷(へぐりだに)を見下ろす高台に位置します。藤田家は、武蔵国の荘園の荘官出身で、鎌倉期に武士化し、甲斐武田氏滅亡後に大和に移り帰農して庄屋を歴任したとされています。
藤田家住宅は元禄年間(1688~1703)に建てられ、当初は萱葺の入母屋造りでした。18世紀後半に大和棟に改造され、その後も改造が加えられましたが、昭和60年に18世紀後半の姿に復元されています。
・桁行18.8m、梁間11.8mの段違い大和棟の住宅
・本屋根は切妻造茅葺、両妻は高塀造本瓦葺、庇も瓦葺
・本屋根の下は居間や座敷などの居住空間
 
・落屋根は中央部に煙出しのある切妻造本瓦葺
・落屋根の下は勘定部屋(馬屋)、土間、釜屋などの作業空間
・写真右端は普段の出入りに用いられた内玄関
 
・代官などの賓客用として直接みせのまに続く外玄関
 
・梁には巨木が用いられ、座敷の天井は竹を押しつぶしたひしゃぎ竹
 
・居間の天井は割竹による簀子天井
 
・「みせのま」と「なかのま」間は竹製の欄間(上段写真)で、敷居の一部は突き止め溝(下段写真)となっており、古式を残している
 
アクセス
近鉄生駒線平郡駅下車、西1.2㎞です。駅からのバス路線もあります。
見学ガイド
藤田家住宅は現住の民家の敷地内にあり、通常は非公開です。塀越しに屋根の一部を見ることができます。毎年秋に特別公開されています。

 

感想メモ
特別公開の機会に訪問しました。広い敷地ですが、大変綺麗に整えられています。ご当主の奥様がずっと手入れをされているそうです。本当に美しい大和棟の住宅です。
(2023年11月訪問)

 

参考
平群町公式サイト、現地説明


香川県琴平・善通寺地域にある国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。
個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。
善通寺市
善通寺金堂、五重塔
旧善通寺偕行社
仲多度郡琴平町
金刀比羅宮旭社
金刀比羅宮奥書院
金刀比羅宮表書院及び四脚門表書院、四脚門
金刀比羅宮本宮本殿・中殿・拝殿、本宮神饌殿、本宮直所、別宮本殿・中殿・拝殿、別宮神饌殿、別宮直所、祓除殿、南渡殿、神楽殿、御炊舎、神輿庫、神庫
旧金毘羅大芝居

 

 

弘法大師空海の誕生の地

善通寺


ぜんつうじ
善通寺市善通寺町3丁目
善通寺金堂34.226339, 133.776227
江戸後期
桁行三間、梁間三間、一重もこし付、入母屋造、本瓦葺
五重塔34.225950, 133.776740
江戸末期
三間五重塔婆、本瓦葺

善通寺は讃岐平野西部・善通寺市に位置する四国霊場第75番霊場で、弘法大師空海の誕生の地とも伝えられています。金堂と五重塔が重要文化財に指定されています。


金堂:

・桁行三間、梁間三間、一重もこし付、入母屋造、本瓦葺の禅宗様の建物
・元禄12年(1699)の再建



五重塔:

・4代目の塔として幕末に着工し、明治35年に完成したもの
・人が立ち入ることができるよう各層に床が張られている
・心柱が吊り下げられており、基礎から浮き上がっている

アクセス
JR土讃線善通寺駅から徒歩20分です。
見学ガイド
重文指定建造物はいつでも自由に見学することができます。五重塔内部は通常非公開ですが、有料で特別公開されることもあるようです。

感想メモ
近世の再建ですが、弘法大師の生誕の地にふさわしい立派な建築です。
(2019年6月訪問)

参考
善通寺公式サイト

 

 

第十一師団将校の社交場

旧善通寺偕行社


きゅうぜんつうじかいこうしゃ
善通寺市文京町2丁目
旧善通寺偕行社34.227613, 133.787750
明治
木造、建築面積678.4m2、桟瓦葺、正面玄関ポーチ付

旧善通寺偕行社は善通寺市の中心部に位置します。偕行社は陸軍将校の親睦等を目的とする団体で、偕行社が社交場として建設した建物にもその名が用いられたため、偕行社という名の建物は全国の代表的な師団が開設された場所に存在していました。善通寺町にあった第十一師団は、日清戦争後の陸軍拡張期に増設された6師団のうちの一つで、旧善通寺偕行社は、第十一師団の将校のために明治36年(1903)に開設されました。
正面(北面):
・簡明なルネサンス様式の意匠でまとめられた洋風建築
・東西に長い木造平屋建で、主体部は桁行約41.8m
・中央は突出して玄関ポーチを設け、その左右に同形式の応接室を設ける

南面:
・芝庭に面し、ベランダを設けている
・東(写真手前)から、貴賓室、大広間、食堂が並ぶ

・北面には廊下が設けられている

アクセス
JR土讃線善通寺駅から徒歩5分です。
見学ガイド
建物正面はいつでも自由に見学できます。開館時間中は建物内部と庭園も自由に見学できます。

感想メモ
建物正面が北北西を向いているため、正面を順光で見学できる時間帯は限られています。
(2019年6月訪問)

参考
善通寺市公式サイト

 

 

廃仏毀釈で神道化されたこんぴらさん

金刀比羅宮


ことひらぐう
仲多度郡琴平町
金刀比羅宮本宮本殿・中殿・拝殿34.184032, 133.809438
明治
本殿 木造、建築面積39.01㎡、入母屋造、正面千鳥破風付、檜皮葺
中殿 木造、建築面積24.11㎡、両下造、檜皮葺
拝殿 木造、建築面積142.41㎡、入母屋造、正面及び背面千鳥破風付、両側面軒唐破風付、向拝付、正面軒唐破風付、檜皮葺
本宮神饌殿34.184149, 133.809364
明治
木造、建築面積35.25㎡、入母屋造、南面北渡殿附属、檜皮葺
本宮直所34.183867, 133.809418
明治
木造、建築面積14.40㎡、入母屋造、西面張出附属、北面渡廊下附属、檜皮葺
別宮本殿・中殿・拝殿34.183386, 133.809609
明治
本殿 木造、建築面積22.37㎡、隅木入春日造、檜皮葺
中殿 木造、建築面積16.66㎡、両下造、檜皮葺
拝殿 木造、建築面積48.29㎡、入母屋造、正面千鳥破風付、向拝付、軒唐破風付、檜皮葺
別宮神饌殿34.183467, 133.809483
明治
木造、建築面積20.00㎡、入母屋造、西面張出附属、東面渡殿附属、檜皮葺
別宮直所34.183263, 133.809560
明治
木造、建築面積10.75㎡、入母屋造、西面張出附属、北面西面渡廊下附属、檜皮葺
祓除殿34.183240, 133.809491
明治
木造、建築面積41.96㎡、入母屋造、檜皮葺
南渡殿34.183697, 133.809372
明治
木造、建築面積72.41㎡、両下造、檜皮葺
神楽殿34.183914, 133.809722
明治
木造、建築面積33.13㎡、入母屋造、檜皮葺
御炊舎34.183530, 133.809804
明治
木造、建築面積34.33㎡、切妻造、本瓦葺
神輿庫34.183633, 133.809264
明治
土蔵造、建築面積38.33㎡、入母屋造、向拝付、本瓦葺
神庫34.183694, 133.809245
明治
土蔵造、建築面積40.50㎡、二階建、寄棟造、本瓦葺、正面庇付、向唐破風造、檜皮葺
金刀比羅宮旭社34.183103, 133.810243
江戸末期
桁行五間、梁間五間、二重、入母屋造、向拝三間、軒唐破風付、背面中央部突出、銅瓦葺
金刀比羅宮奥書院34.184392, 133.811310
江戸中期
六畳(床、棚、附書院付)、三畳、八畳、十畳、四畳半、三畳、六畳、十九畳(床付)、十畳(床付)、入側、縁、土庇等より成る
一重、入母屋造、本瓦葺、庇銅板葺
金刀比羅宮表書院及び四脚門表書院34.184039, 133.811311
江戸前期
桁行21.7m、梁間16.9m、一重、入母屋造、正面軒唐破風付、檜皮葺
四脚門34.183665, 133.811498
江戸前期
四脚門、切妻造、本瓦葺

「こんぴらさん」の名で親しまれる金刀比羅宮(ことひらぐう)は、讃岐平野を一望する琴平山(象頭山)の中腹に鎮座しています。もともとは海の神を祀る神社であったとされ、中世以降は神仏習合の金毘羅大権現として広く信仰を集め、その崇敬は全国に及びました。明治時代の廃仏毀釈を経て神社として新たな歩みを始め、今日に至るまで多くの参拝者を迎え続けています。
・本宮前からは讃岐平野を一望することができる

・左端が本宮拝殿、その右奥の破風が本宮本殿、右端が神饌殿
・本宮、別宮などの社殿は、廃仏毀釈の明治初期に改築されたもので、仏教色を排するように意識されている
・このため、素木造・檜皮葺で装飾を控えた社殿となっている

・中央右寄り奥の大きな建物が本宮本殿、その右下が本宮直所、左に延びるのが南渡殿

・中央左寄り奥が別宮本殿、その右に中殿、拝殿が続く
・中殿の手前が別宮直所で、左端が祓除殿



本宮本殿・中殿・拝殿

・本殿は中殿(写真右端)よりも屋根を一段高くしている
・側面壁面には木地蒔絵が施され、飾り金具も用いられているが、意匠は抑制的
・手前の透塀も附指定されている

・組物は禅宗様の三手先詰組だが、肘木を角材としている
・これは曲線は仏教を象徴するものとして忌避されたことによるとされる
・神仏習合の社殿のように彫刻で埋め尽くされることもない

・拝殿前面には千鳥破風と唐破風を持ち、側面にも軒唐破風を持つ

・拝殿軒唐破風には装飾が施されているが、その意匠は控えめ



本宮神饌殿

・本殿北側に位置する社殿で、蔀戸を吊って和様を基調とする



本宮直所(じきしょ)

・拝殿南側に位置する社殿で、拝殿と南渡殿を繋ぐ



別宮本殿・中殿・拝殿

・左が別宮拝殿で、右奥が本殿、右手前が別宮神饌殿に付属する渡殿
・本宮よりも2年早い明治8年に建立された
・本宮造営までの間、主祭神が祀られていた

・右が別宮拝殿で、左が別宮直殿

・本宮ほどは神道化が徹底されておらず、拝殿身舎(左)は直線的な部材が用いられているものの、向拝(右)の木鼻や肘木には仏教的であるとされた旧来の手法が残る



別宮神饌殿

・南渡殿(右)と別宮(左奥)を繋ぐ

・東面には渡殿(左手前)が付属する



別宮直所

・別宮拝殿(右)と祓除殿(左奥)を連結する



祓除殿(ばつじょでん)

・別宮の南端に位置する質素な社殿



南渡殿

・本宮(上段写真右)と別宮(下段写真左)を結ぶ両下造・檜皮葺の長い渡廊

・左奥が本宮(南渡殿背面より)



神楽殿

・本宮拝殿(下段写真左端)に対面する
・三方吹き放ちで、軒は扇型の疎垂木



御炊舎

・別宮拝殿に対面する
・上部境内で唯一の瓦葺



神輿庫(しんよこ)

・南渡殿の背後にあり、神庫に隣接する土蔵



神庫

・庇部分に大きな軒唐破風を付ける



旭社

・神仏習合の金毘羅大権現の金堂として建立されたもの
・約40年の年月をかけて、弘化2年(1845)に落成した四国最大の木造社寺建造物
・神仏分離令後は「旭社」と改名し、一部を神式に改装
・下重が方五間の二重仏堂で、江戸末期の仏堂らしく装飾性が非常に高い

・下重庇の軒唐破風は彫刻で埋め尽くされている

・中央4本の向拝柱には大きな手挟が付く

・上重の組物は三手先の詰組で、縁の腰組は絵様肘木を用いた出組、下重の組物は出組の詰組

・上重軸部は円柱を二段の長押で固めた和様
・軒は板軒で絵様が施されている
・組物は拳鼻を付け、尾垂木には全体に彫刻が施されている
・組物間も彫刻で埋められている

・下重軸部は円柱を和様の内法長押と、禅宗様の頭貫、台輪で固める
・軒は二軒の繁垂木で、内法長押上には欄間を設ける

・内部は板敷で、仏壇、仏具は取り払われている



表書院

・入母屋造、檜皮葺で、萬治年間〔1658‐1660〕の建築と伝えられている
・金毘羅大権現の別当金光院が、諸儀式や参拝に訪れた人々との応接の場として用いた客殿
・内部の障壁画は円山応挙によるもの



表書院四脚門

・表書院の前方に建つ門で、細部意匠も優れている

アクセス
参道入口までは、JR土讃線・琴電琴平駅から南西に約800m。入口から書院、旭社を経て本宮・別宮までは石段を785段上ります。365段目の大門まではシャトルタクシーを利用することができます。500段目の資生堂パーラーを利用する場合は、近くまでタクシーで上ることもできるようです。
見学ガイド
大門の開門時間は午前6時から午後6時までで、その間は自由に参拝することができます。重文指定の各社殿は、基本的には近くから拝観することができますが、奥書院は非公開で、不定期に伊藤若冲展が開催される時に限り内部が公開されます。表書院は、円山応挙展が開催されているときに内部が公開されます。これも不定期ですが開催の頻度は多くなっています。5月、7月、12月に開催される奉納蹴鞠の際は、表書院の外観を見ることができるようです。四脚門は周辺の立ち入りが禁止されているので離れた場所からの見学になります。

感想メモ
以前、高松で暮らしていたことがあって、金刀比羅宮には何度もお参りしました。金刀比羅宮の石段は何度行っても大変ですが、登り切ったときの達成感と、眼下に広がる讃岐平野の美しさはそれを忘れさせてくれます。
(2022年7月訪問)
明治の廃仏毀釈に伴って造営された本宮や別宮などの社殿が、新たに重要文化財に指定されたことから、改めて参拝に訪れました。主要な社殿は東向きに建てられているため、今回は早朝を選んでの参拝です。朝の光を浴びて、社殿がひときわ美しく輝き、神域の気配が満ちていました。
(2025年9月訪問)

参考
金刀比羅宮公式サイト、国指定文化財等DB

 

 

現存最古の芝居小屋

旧金毘羅大芝居


こんぴらおおしばい
仲多度郡琴平町
旧金毘羅大芝居34.184632, 133.818018
江戸末期
客席及び木戸廻り 桁行18.7m、梁間21.4m、一部二階、切妻造、妻入、正面及び側面庇付
舞台及び楽屋廻り 桁行23.6m、梁間14.0m、一部二階、入母屋造、北面客席に接続、南面庇付、奈落附属桟瓦葺、東西便所及び楽屋便所附属

旧金毘羅大芝居は金刀比羅宮の門前町の南端部、金刀比羅公園の近くに位置します。もともとは門前町の中心部にありましたが、昭和50年に現在地に移築・復元されています。
讃岐では江戸時代中期以降、金毘羅宮の祭礼に合わせて市が立ち、そのたびに社領内に仮設の芝居小屋が建てられていました。天保六年(1835)、町方が常設の芝居小屋の建設を高松藩に願い出て許可を得ると、同年に着工し、わずか四か月の工期で柿落としが行われました。
金毘羅大芝居は、当時大阪三座の一つであった大西芝居を模して建てられたとされ、江戸末期の芝居小屋の姿を今に伝える、現存唯一の貴重な遺構とされています。
・正面に高い庇を設け、木戸口と札場とする
・両端は下足場とし、正面上部に櫓を組む

・側面は一段低い庇が付く

・舞台の背面は二階建ての楽屋とする

アクセス
JR土讃線・琴電琴平駅から南西1kmです。金刀比羅宮の石段を登り始めて最初の脇道を左に進んだところです。
見学ガイド
旧金毘羅大芝居の内部は有料で公開されています。外観は常時自由に見学することができます。

感想メモ
旧金毘羅大芝居は、金刀比羅宮の表参道から少し外れた、やや寂しげな場所に移築されていますが、今もなお現役の芝居小屋として息づいています。色鮮やかな幟が立ち並び、往時の賑わいを今に伝える空気が漂っています。白壁の堂々たる建物を目の当たりにすると、江戸時代の町人たちが思わず腰を抜かしたのではないかと思えるほどの存在感があります。
(2022年7月訪問)

参考
解説版新指定重要文化財13