国宝・重要文化財指定の建造物

国宝・重要文化財指定の建造物

全国の国宝・重要文化財に指定された建造物についてのブログです。

各地域で国宝や国の重要文化財に指定された建造物の一覧です。実際に訪問したものからコツコツと上げています。
国宝・重文指定の建造物は全国に5,597棟ありますが、ここで紹介しているのは現時点で1,328棟、カバー率は23.7%です。まだまだ先が長いです。

 

国宝・重文建造物の特別公開情報はこちら

更新履歴
2026/3/6 京都府(1)右京・西京編を追加
2026/2/12 岡山県(1)岡山・備前編に岡山城、旧旭東幼稚園を追加
2026/2/10 重要文化財新指定に伴い、秋田県編、京都府(4)田辺・八幡・西山城編、香川県(1)高松・東讃・小豆編を更新
2026/1/25 福井県編を追加
2026/1/21 山口県(1)西部・中部・東部編に四階楼、国森家住宅を追加
2026/1/19 神奈川県(1)鎌倉・県央・箱根編に荏柄天神社を追加
2026/1/9 兵庫県(1)神戸編に太山寺、箱木家住宅、豊歳神社を追加して、(1)神戸中心部、灘編と(2)須磨・西神・北神編に再編
2025/12/21 群馬県(1)前橋・桐生・東毛編を追加
2025/12/16 栃木県(1)県央・県南・那須編に鑁阿寺を追加し、(1)県央、足利、那須編と(2)真岡・益子編に再編
2025/11/8 広島県(2)三原・尾道・福山編を追加
2025/10/5 奈良県(1)生駒・郡山編に藤田家住宅を追加
2025/10/1 香川県(2)琴平・善通寺編を追加

宮城県
全域
瑞巌寺、鹽竈神社、円通院、石井閘門、旧大沼家住宅
2025/9/15更新

秋田県
全域
藤倉水源地水道施設、嵯峨家住宅、旧秋田銀行本店本館、旧奈良家住宅、赤神神社、神明社観音堂、旧小坂鉱山事務所、康楽館ほか
2026/2/10更新

福島県
(1)中通り・浜通り
旧広瀬座、旧福島県尋常中学校、旧亀岡家住宅、白水阿弥陀堂、飯野八幡宮、専称寺、旧武山家住宅ほか
2023/4/30更新
(2)会津
八葉寺、延命寺、勝福寺、熊野神社、恵隆寺観音堂、旧五十嵐家住宅、奥之院弁天堂、弘安寺旧観音堂厨子ほか
2023/4/30更新

茨城県
(1)水戸・県北・鹿行
旧弘道館、塙家住宅、鹿島神宮、山本家住宅、西蓮寺
2025/5/18更新
(2)土浦・つくば・県南
旧茨城県立土浦中学校本館、旧飛田家住宅、善光寺楼門、来迎院多宝塔、竜禅寺三仏堂、横利根閘門ほか
2025/5/18更新

栃木県
(1)県央・足利・那須
鑁阿寺、旧下野煉化製造会社煉瓦窯、旧青木家那須別邸、那須疏水旧取水施設
2025/12/16更新
(2)真岡・益子
専修寺、西明寺、綱神社、地蔵院、羽石家住宅、入野家住宅、円通寺
2025/12/16更新

群馬県
(1)前橋・桐生・東毛
臨江閣、阿久沢家住宅、塩原家住宅、彦部家住宅、天満宮、長楽寺宝塔ほか
2025/12/21更新
(3)富岡・西毛
貫前神社、旧茂木家住宅、妙義神社、旧碓氷峠鉄道施設、旧黒澤家住宅
2025/8/24更新

埼玉県
(2)川越・比企
喜多院、東照宮、日枝神社、旧山崎家別邸、大沢家住宅、光福寺、広徳寺、箭弓稲荷神社
2025/1/19更新
(3)西部・所沢・秩父
旧台徳院霊廟、黄林閣、小野家住宅、福徳寺阿弥陀堂、高倉寺観音堂、出雲伊波比神社
2022/2/22更新

東京都
(3)副都心四区
早稲田大学大隈記念講堂、旧磯野家住宅、旧東京医学校本館、旧加賀屋敷御守殿門、明治神宮
2025/9/6更新
(4)23区西部・南部
旧前田家本邸、本門寺、大場家住宅、旧渋沢家飛鳥山邸、旧醸造試験所第一工場ほか
2024/6/16更新
(5)多摩
正福寺、金剛寺、観音寺、旧宮崎家住宅、旧永井家住宅、小林家住宅
2024/6/16更新

神奈川県
(1)鎌倉・県央・箱根
建長寺、円覚寺舎利殿、旧一条恵観山荘、旧石井家住宅、浄光明寺五輪塔、宝城坊ほか
2026/1/19更新

富山県
(1)富山・新川・砺波
富岩運河水閘施設(中島閘門)、白山宮本殿、村上家住宅、羽馬家住宅、岩瀬家住宅
2023/10/16更新
(2)高岡
瑞龍寺、気多神社本殿、勝興寺、菅野家住宅
2024/9/29更新

福井県
全域
気比神宮大鳥居、羽賀寺、飯盛寺、妙楽寺、大滝神社、旧谷口家住宅、大塩八幡宮ほか
2026/1/25更新

山梨県
(1)甲府・中北・峡南
善光寺、旧睦沢学校、武田八幡神社、長谷寺、安藤家住宅、八代家住宅、本遠寺、最恩寺ほか
2023/9/6更新
(2)山梨・石和
清白寺、天神社、窪八幡神社、中牧神社、山梨岡神社
2025/5/27更新
(3)塩山・勝沼
大善寺、雲峰寺、恵林寺、熊野神社、向岳寺、旧高野家住宅
2022/2/6更新
(4)東部・富士五湖
北口本宮富士浅間神社、旧外川家住宅、富士御室浅間神社、観音堂ほか
2024/3/10更新

長野県
(1)長野・北信・東信
国分寺、前山寺、中禅寺、安楽寺、常楽寺、法住寺、浄光寺、六地蔵幢、春原家住宅ほか
2025/3/26更新
(2)松本・安曇野・大町
松本城、旧松本高等学校、旧松本区裁判所庁舎、馬場家住宅、筑摩神社、若一王子神社ほか
2025/2/9更新
(3)塩尻・木曽・伊那
光前寺、旧竹村家住宅、小野家住宅、堀内家住宅、小松家住宅、嶋﨑家住宅、読書発電所
2025/3/19更新

愛知県
(2)犬山・尾張北部
旧正伝院書院、如庵、旧伊勢郵便局舎、旧三重県庁舎、旧西郷従道住宅、旧品川燈台、高田寺ほか
2025/1/22更新

三重県
(1)中勢・伊勢志摩
専修寺、金剛證寺本堂、旧松坂御城番長屋、来迎寺本堂、庫蔵寺、菅島灯台
2024/8/4更新
(2)北勢・伊賀
末広橋梁、諸戸家住宅、旧諸戸家住宅、地蔵院、大村神社宝殿、町井家住宅、観菩提寺
2024/1/28更新

滋賀県
(1)草津・栗東
観音寺、老杉神社、志那神社、石津寺、小槻大社、大野神社楼門、宇和宮神社、大角家住宅ほか
2023/6/11更新
(2)守山・野洲
懸所宝塔、勝部神社、小津神社、圓光寺、春日神社神門、御上神社、大笹原神社、生和神社ほか
2024/12/27更新
(3)甲賀・湖南
油日神社、新宮神社表門、善水寺本堂、常楽寺、吉御子神社本殿、長寿寺、多宝塔
2024/12/14更新
(4)近江八幡・竜王
長命寺、捴見寺、桑実寺、浄厳院、奥石神社、小田神社、苗村神社、勝手神社、鏡神社ほか
2024/11/17更新
(5)彦根・湖東
彦根城、千代神社、有川家住宅、金剛輪寺、大行社、豊満神社四脚門、西明寺
2023/8/18更新

京都府
(1)右京・西京
福王子神社、神護寺、高山寺、松尾大社、大覚寺、覚勝院、為因寺
2026/3/6更新
(2)南区
教王護国寺
2025/1/26更新
(3)伏見・山科
醍醐寺、安楽寿院、与杼神社、勧修寺、本圀寺
2023/8/6更新
(4)宇治
宇治上神社、宇治神社、平等院、浮島十三重塔、十八神社本殿、萬福寺
2022/8/29更新
(5)田辺・八幡・西山城
久世神社、水度神社、荒見神社、伊佐家住宅、佐牙神社、白山神社、酬恩庵、寶積寺三重塔ほか
2026/2/10更新
(6)丹波・丹後
旧岡花家住宅、旧三上家住宅、智恩寺多宝塔、春日神社本殿、普濟寺仏殿、九品寺大門、福光寺ほか
2025/4/20更新

大阪府
(1)大阪市・北摂
四天王寺、旧松坂屋大阪店、住吉大社、杭全神社、旧緒方洪庵住宅、八坂神社本殿、普門寺方丈ほか
2025/9/4更新
(2)堺・泉北
海会寺、南宗寺、大安寺、法道寺、桜井神社、旧浄土寺九重塔、聖神社ほか
2024/1/12更新
(3)泉南
孝恩寺、積川神社、願泉寺、意賀美神社、奥家住宅、中家住宅、来迎寺、船守神社ほか
2024/4/3更新

兵庫県
(1)神戸中心部・灘
旧ハンター住宅、旧ハッサム住宅、旧小寺家厩舎、船屋形、徳光院、旧トーマス住宅ほか
2026/1/9更新
(2)須磨・西神・北神
移情閣、石峯寺、太山寺、箱木家住宅、福祥寺、八幡神社三重塔
2026/1/9更新
(3)東播磨・北播磨・淡路
浄土寺、明石城、鶴林寺、江埼灯台、伽耶院
2025/4/3更新
(4)西脇・加西・加東
旧西脇尋常高等小学校、一乗寺、酒見寺多宝塔、住吉神社
2025/4/3更新

奈良県
(1)生駒・郡山
額安寺五輪塔、松尾寺、旧臼井家住宅、高山八幡宮、長弓寺、長福寺、宝山寺獅子閣ほか
2025/10/5更新

和歌山県
(1)和歌山・海南
護国院、天満神社、東照宮、地蔵峰寺、福勝寺、善福院、長保寺、加太春日神社
2025/2/11更新
(2)高野
金剛峯寺、金剛三昧院、普賢院
2025/1/7更新
(3)紀の川
三船神社、粉河寺、鞆淵八幡神社、根来寺、丹生都比売神社、慈尊院、丹生官省符神社ほか
2024/10/30更新
(4)紀中・紀南
浄妙寺、旧西村家住宅、道成寺、熊野那智大社、那智山青岸渡寺、広八幡神社、角長ほか
2024/2/18更新

岡山県
(1)岡山・備前
守福寺宝殿、八幡神社鳥居、吉備津神社、真光寺、岡山城、旧旭東幼稚園
2026/2/12更新

広島県
(1)広島・安芸・県北
不動院、國前寺、旧広島陸軍被服支廠倉庫施設、旧呉鎮守府司令長官官舎、桂濱神社ほか
2025/1/20更新
(2)三原・尾道・福山
向上寺、磐台寺、明王院、沼名前神社、安国寺、太田家住宅
2025/11/8更新

山口県
(1)西部・中部・東部
功山寺、住吉神社、瑠璃光寺、洞春寺、今八幡宮、閼伽井坊、四階楼、吉香神社ほか
2026/1/21更新
(2)萩・長門
東光寺、旧厚狭毛利家萩屋敷、菊屋家住宅、熊谷家住宅、早川家住宅ほか
2021/6/19更新

徳島県
(1)徳島・鳴門
丈六寺、福永家住宅、一宮神社、三河家住宅
2025/4/7更新
(2)中部・西部
箸蔵寺、田中家住宅、武知家住宅、粟飯原家住宅
2025/4/7更新

香川県
(1)高松・東讃・小豆
高松城、屋島寺、志度寺、長尾寺、香川県庁、明王院
2026/2/10更新
(2)琴平・善通寺
金刀比羅宮、善通寺、旧善通寺偕行社
2025/10/1更新
(3)坂出・丸亀・西讃
丸亀城、白峯寺、本山寺、観音寺、覚城院、常徳寺
2025/9/29更新

福岡県
(1)北九州・筑豊・宗像
門司港駅、旧門司三井倶楽部、旧松本家住宅、宗像神社、旧志免鉱業所、横大路家住宅ほか
2024/6/23更新
(2)福岡・糸島・筑紫・朝倉
香椎宮、筥崎宮、住吉神社、福岡城、櫻井神社、太宰府天満宮、普門院、岩屋神社ほか
2024/6/23更新
(3)筑後
三池炭鉱宮原坑、早鐘眼鏡橋、善導寺、高良大社、有馬家霊屋、松延家住宅、風浪神社、旧吉原家住宅
2022/12/18更新

佐賀県
全域
多久聖廟、佐賀城、与賀神社、川打家住宅、田嶋神社、旧田代家西洋館ほか
2023/12/16更新

長崎県
全域
崇福寺、清水寺、眼鏡橋、興福寺、針尾送信所、青砂ヶ浦天主堂、頭ヶ島天主堂ほか
2024/2/23更新

沖縄県
全域
園比屋武御嶽石門、天女橋、旧円覚寺放生橋、新垣家住宅、豊見親墓、瀬底土帝君、中村家住宅、高良家住宅ほか
2023/3/13更新


京都市右京区・西京区にある国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。
個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。
京都市右京区
妙心寺仏殿、法堂、玄関、大方丈、小方丈、庫裏、南門、勅使門、山門、浴室、経蔵、寝堂、北門
玉鳳院開山堂
玉鳳院四脚門(微笑庵前門)
衡梅院本堂
退蔵院本堂
天球院本堂
靈雲院書院
仁和寺金堂
仁和寺御影堂、観音堂、五重塔、鐘楼、経蔵、飛濤亭、遼廓亭、二王門、本坊表門、中門、御影堂中門、九所明神本殿(左殿)、九所明神本殿(右殿)、九所明神本殿(中殿)
福王子神社本殿、拝殿、鳥居
常寂光寺塔婆(多宝塔)
覚勝院宝篋印塔
大覚寺客殿(対面所)
大覚寺宸殿
愛宕念仏寺本堂
広隆寺桂宮院本堂
広隆寺講堂
為因寺宝篋印塔
神護寺大師堂
高山寺石水院(五所堂)
高山寺如法経塔
高山寺宝篋印塔
長福寺宝塔
竜安寺本堂
京都市西京区
西芳寺湘南亭本家、待合及廊下、待合及廊下
善峰寺多宝塔
松尾大社本殿

 

 

木賊(とくさ)葺きの本殿

福王子神社


ふくおうじじんじゃ
京都市右京区宇多野福王子町
福王子神社本殿35.029084, 135.709135
江戸前期
一間社春日造、こけら葺
拝殿35.028955, 135.709103
江戸前期
桁行三間、梁間二間、一重、入母屋造、こけら葺
鳥居35.028872, 135.709087
江戸前期
石造明神鳥居

福王子神社は、仁和寺の西方、周山街道に近い市街地に鎮座しています。この地には、宇多天皇の母の陵墓があったと伝えられています。明治時代までは仁和寺の鎮守として崇敬され、現在では周辺地域の氏神として信仰を集めています。社殿は仁和寺諸堂とともに応仁の乱で焼失し、現存する社殿は仁和寺が寛永年間に再興された際、徳川家光によって再建されたものです。


本殿

・一間社春日造の正統的な様式の社殿
・亀腹上に土台を置いて柱を立て、身舎は三方に縁を回す

・正面には格子戸を建て、内外陣境には幣軸付板扉を構える

・組物は三斗組として中備に蟇股を置く

・庇は海老虹梁でつなぐ

・屋根はこけら葺きよりも寸法の大きな木片を用いた木賊葺き



拝殿

・桁行三間、梁間二間、入母屋で、屋根はこけら葺、妻は木連格子
柱は角柱で柱間はすべて開放
・四面には切目縁を回し、床は拭板敷

・軒は一軒疎垂木で、柱上は舟肘木



鳥居

・形の整った石造明神鳥居

アクセス
嵐電宇多野駅下車、北400mです。JR京都駅、JR山陰線円町駅、阪急大宮駅・西院駅・烏丸駅などからは、バスで福王子下車すぐです。、
見学ガイド
福王子神社は常時自由に参拝することができます。本殿は瑞垣越しの拝観になります。拝所や摂社などがあり、視角は限られます。

感想メモ
珍しい木賊葺きの社殿です。昭和48年の重文指定時には銅板葺きとして登録されているので、その後旧態に復されたもののようです。
(2022年2月訪問)

参考
京都市観光協会公式サイト、国指定文化財等DB、解説版新指定重要文化財11

 

 

関西形式の宝篋印塔

覚勝院宝篋印塔


かくしょういんほうきょういんとう
京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町
覚勝院宝篋印塔35.024293, 135.674543
室町前期
石造宝篋印塔、基壇付

覚勝院宝篋印塔は、清凉寺近くの覚勝院境外墓地に建つ室町時代の宝篋印塔です。
・関西形式の宝篋印塔で、均整がとれ、細部の意匠も優れている

・笠は上部6段、下部2段と標準的で、隅飾は二弧輪郭付

・塔身には四仏を刻む

・基礎は格狭間が一区画の関西形式で、正面のみ格狭間内に蓮華を浮彫する
・基礎上端は複弁反花

アクセス
JR山陰線嵯峨嵐山駅北1kmです。宝篋印塔は清凉寺の北東に隣接する覚勝院境外墓地の中にあります。大沢池近くの覚勝院の境内とは離れた場所にあります。
見学ガイド
覚勝院墓地は関係者以外立ち入り禁止ですが、生垣の背が低いので生垣越しに宝篋印塔を見学することができます。

感想メモ
以前、覚勝院を訪問した時は門が閉ざされたいたので宝篋印塔の見学をあきらめましたが、塔は境外の墓地の中にあると知り再訪しました。残念ながら墓地は関係者以外立ち入り禁止でしたが、生垣越しに宝篋印塔の優美な姿を見ることができました。生垣から少し距離があったので細部は良く見えませんでしたが、デジカメの写真を拡大してみて細部も繊細な意匠であることがよく分かりました。
(2023年2月訪問)

参考
石仏と石塔!(河合 哲雄)

 

 

御所の御殿の様式を伝える

大覚寺


だいかくじ
京都市右京区嵯峨大沢町
大覚寺客殿(対面所)35.028339, 135.678178
桃山
桁行正面七間、背面八間、梁間四間、一重、入母屋造、檜皮葺
大覚寺宸殿35.028124, 135.678327
江戸前期
桁行20.0m、梁間13.6m、一重、入母屋造、檜皮葺

大覚寺は嵯峨野の北部、大沢池の畔に境内を構える真言宗寺院です。貞観18年(876)に嵯峨天皇の離宮嵯峨院を仏寺に改めたのが大覚寺の起こりで、鎌倉時代には後嵯峨院、亀山院に続き後宇多院が入寺して、後の南朝につながる大覚寺統の皇統の発端となりました。後宇多院は伽藍の整備を行い、真言宗道場として興隆をみましたが、応仁の乱の兵火で諸堂は灰塵に帰してしまいました。現在の寺観は桃山時代以降、漸次その基礎が整えられたものです。


客殿(対面所)

・前身の建物は法皇が院政を執られていた御殿で、応仁の乱で焼失
・この建物は桃山時代の再建で、門跡の居室・寝室、日常の接客の御殿として用いられたもの
・御所の常御殿と類似した平面を示す
・写真左の南側を正面とした妻入りで、縁の内側に入側を設け、3列の座敷が並ぶ
・東端の列には、奥から「剣璽の間」「御冠の間」「紅葉の間」「竹の間」が並ぶ
・「剣璽の間」は三種の神器を安置した部屋で、「御冠の間」は門跡が冠を置いて執務された部屋、「紅葉の間」「竹の間」は門跡に接見するための部屋

・南面の縁と、障子の内側が入側
・三列の座敷はさらにその奥に並ぶ(特別公開時に撮影、座敷内部は撮影禁止)

・写真は東側面
・門跡が執務された東列の座敷の東側に細長い「狭屋の間」が配されており、幼くして寺に入られた門跡のために障子の低い位置に動物の絵が描かれている
・写真左から客殿に延びる廊下は「村雨の廊下」で、刀が振り上げられないよう天井が低く造られている

・右が西側面で左が北背面(特別公開時に撮影)

・柱は角柱で、柱上は舟肘木、軒は一軒疎垂木、木舞裏(写真は西側面で特別公開時に撮影)

・正面の妻は意匠が凝らされている



宸殿

・江戸時代、後水尾天皇より下賜された寝殿造りの建物
・天皇に入内された徳川2代将軍秀忠の娘、東福門院和子が、 女御御殿の宸殿として使用していたもの

・四周に鴬張りの広縁を回す
・南側正面は全面に蔀を吊る
・これらは御所御殿の造りを伝えるもの

・広縁は疎垂木で木舞裏天井
・柱上は舟肘木

・蔀戸の金具には蝉の装飾が施されている
・蝉は殺生を行わず生涯を終えることから、平和の象徴であると考えられていた

・背面は全面を舞良戸とし、この奥にも座敷が配置されている

・側面の開口部も舞良戸

・妻には繊細な意匠が施されている

・南面中央の牡丹の間は、最も格式の高い部屋で、襖絵は狩野山楽によるもの(複製)

・牡丹の間は格式の高い折上小組格天井

・牡丹の間と東側の柳松の間の間には繊細な意匠の欄間が嵌められている

・柳松の間も豪華な襖絵で飾られるが、天井は格子天井で、折上は見られない

アクセス
JR山陰線嵯峨嵐山駅、阪急松尾大社駅などから門前まで入るバスがあります。
見学ガイド
大覚寺は有料で拝観することができます。客殿内部は非公開で、少し離れた場所から外観を拝観することができます。宸殿は広縁から室内を拝観することができます。室内の写真撮影も認められています。客殿内部は不定期で特別公開されることがあります。

感想メモ
客殿の特別拝観の際に訪問しました。入口は通常の拝観入口ではなく、普段は非公開の明智陣屋から入ります。それだけでも特別な雰囲気があり、気分が高まります。拝観中には、僧侶の方から千年にわたる大覚寺の長い歴史について詳しくうかがうことができました。
客殿は桃山時代に再建された建物で、法皇が実際に院政を執られた当時の建物ではありません。しかし、内部の造りには院政期の様式がよく伝えられており、まるでこの場所が院政の舞台であったかのような感覚を覚えます。
拝観を終えた後は写経を行い、静かな時間を過ごしたのち、大覚寺を後にしました。
(2026年2月訪問)

参考
僧侶のお話、現地パンフ、総覧日本の建築6-I

 

 

古い様式の宝篋印塔

為因寺宝篋印塔


いいんじほうきょういんとう
京都市右京区梅ケ畑奥殿町
為因寺宝篋印塔35.047027, 135.681545
鎌倉前期
石造宝篋印塔(覆鉢及び九輪上部を欠く)
文永二年乙丑八月八日造立の刻銘がある

為因寺は、右京区の市街地から周山街道を高雄方面に入った梅ケ畑の高台にある寺院で、江戸時代までこの付近にあった比丘尼寺・善妙寺の寺跡を継ぐものです。宝篋印塔も、もとは善妙寺にあったもので、釈迦の十大弟子の一人で初めて女人を出家させたとされる阿難尊者を供養するために尼僧たちが建立したものであると考えられています。
・高さ2メートルの宝篋印塔
・基礎の一部が欠け、相輪も破損しているが、ほぼ完存している
・高山寺の宝篋印塔とともに、最も古い様式を示す

・笠の四隅の突起は、別石で非常に大きい
・四隅の突起の外側の線が直立した古い形を伝えている

・塔身正面には、「阿難塔」の文字が刻まれている

・塔身背面には、鎌倉時代中期の文永二年(1265)八月の紀年銘を持つ 

アクセス
JR京都駅、JR山陰線円町駅、阪急大宮駅・西院駅・烏丸駅などからバスで高雄小学校前下車、集落の中の道路を西に進み、すぐに駐在所が見えてくるので、駐在所に向かって左折し、駐在所で右折して駐在所の横の路地を道なりに進んだ左側に為因寺があります。一般の民家のような建物なのでうっかりすると通り過ぎてしまいます。宝篋印塔は門を入ってすぐを右に回り込んだところにあります。
見学ガイド
境内は日中であれば自由に拝観できるものと思われます。宝篋印塔の周囲に柵等は設けられていないので、間近に見ることができます。背面には植栽があって回り込むことができません。コンデジであれば手を伸ばして背面の写真を撮ることができます。

感想メモ
一般の住宅のようなお寺で、境内に入るのは気が引けますが、非公開との情報もないので拝観させてもらいました。
笠の隅の飾りが非常に大きな宝篋印塔です。宝篋印塔のあった善妙寺は承久の乱で命を落とした公家の未亡人が出家して暮らして寺院で、宝篋印塔は乱から約40年後に尼僧たちによって建てられたものとのこと。山間の小寺の前庭にある石塔ですが歴史の深さを感じさせます。
(2022年2月訪問)

参考
現地解説板

 

 

弘法大師の住居跡に建つ仏堂

神護寺大師堂


じんごじだいしどう
右京区梅ケ畑高雄町
神護寺大師堂35.054061, 135.669532
桃山
桁行左側面四間、右側面五間、梁間三間、一重、入母屋造、こけら葺

神護寺は高雄山中腹に位置する真言宗の古刹です。もとは和気氏の氏寺で、809年(大同4)から14年間弘法大師が住持しました。その後、荒廃しましたが、平安末期、文覚上人が再興しました。大師堂は桃山時代に豊前国小倉藩初代藩主・細川忠興が弘法大師の住まいであった納涼坊跡に再建したものです。
・妻入り、入母屋造、こけら葺きの住宅風の和様建築
・正面には蔀戸を吊る
・軒は疎垂木で、柱は角柱、柱上は舟肘木と簡素な造り

アクセス
JR京都駅、JR山陰線円町駅、阪急大宮駅・西院駅・烏丸駅などからバスで高雄下車、20分です。
見学ガイド
神護寺は有料で公開されています。拝観時間は9:00~16:00です。大師堂は通常は外観のみの見学ですが、11月初旬に内部が特別公開されます。大師堂は東面しています。

感想メモ
バス停から谷底まで下り、川を渡って、同じくらいの高さまで、また上ります。行きも帰りも大変でした。バスの乗車時間も長くて、繁忙期で、もし立席ならかなりの苦行です。
高雄には紅葉時期しか来たことがなかったと思いますが、静かな時期も良いものです。
(2022年2月訪問)

参考
京都市観光協会公式サイト

 

 

鳥獣人物戯画で知られる

高山寺


こうざんじ
京都市右京区梅ケ畑栂尾町
高山寺石水院(五所堂)35.060114, 135.678569
国宝・鎌倉前期
桁行正面三間、背面四間、梁間三間、正面一間通り庇、一重、入母屋造、妻入、庇葺きおろし、向拝一間、こけら葺
高山寺如法経塔35.061462, 135.678528
鎌倉後期
石造一重塔
高山寺宝篋印塔35.061465, 135.678515
鎌倉後期
石造宝篋印塔(九輪上部を欠く)

高山寺は高雄の北、栂尾に位置する古刹です。創建は奈良時代に遡るともいわれ、もとは神護寺の別院でしたが、建永元年(1206)に明恵(みょうえ)上人が後鳥羽上皇より寺域を賜り、名を高山寺として再興しました。鳥獣人物戯画などの宝物を所蔵し、日本最古の茶園が残されていることでも知られています。
石水院は五所堂とも呼ばれ、現在の建物は、創建当時東経蔵として金堂の東にありました。安貞2年(1228)の洪水で、東経蔵の谷向いにあったもとの石水院が滅亡し、その後、東経蔵が春日・住吉明神をまつり、石水院の名を継いで、中心的堂宇となりました。寛永14年(1637)の古図では、内陣と顕経蔵・密経蔵から成る経蔵兼社殿となっています。明治22年(1889)に現在地へ移築され、住宅様式に改変されました。明恵上人時代の唯一の遺構で、国宝に指定されています。


石水院

・桁行南面3間、北面4間、梁間3間、西面1間通り庇
・一重入母屋造、妻入、向拝付

・北面

・西面(廂(ひさし)の間はかつて春日・住吉明神の拝殿であったところで、正面には神殿構の板扉が残る
・欄間に富岡鉄斎筆「石水院」の横額がかかる
・落板敷の中央に、今は小さな善財童子(ぜんざいどうじ)像が置かれている
・周囲は蔀戸、菱格子戸で区画されている

・拝殿跡には、古風な左右対称の蟇股がみられる

・南縁の欄間には後鳥羽上皇の筆と伝わる「日出先照高山之寺」の勅額がかかる



宝篋印塔、如法経塔

・宝篋印塔の右隣が如法経塔
・開山堂上の明恵上人御廟の前庭に建立されている
・宝篋印塔は高さ約3.2メートル、如法経塔は高さ約1.4メートル
・宝篋印塔は、高山寺型と呼ばれる古式の塔で、大きな隅飾を持つのが特徴
・如法経塔は、一重で基礎上に塔身、笠、宝珠を置く簡素な形式

アクセス
JR京都駅、JR山陰線円町駅、阪急大宮駅・西院駅・烏丸駅などからバスで栂ノ尾下車すぐです。JRバスの始発は京都駅で、市営バスの始発は烏丸駅です。乗車時間が長いので、繁忙期は始発駅から座っていくのがおすすめです。
見学ガイド
石水院は有料で公開されています。拝観時間は8:30~17:00です。庭に降りることができないので、建物の全体像を見ることはできません。外観は塀越しに屋根の一部を見ることができる程度です。石水院以外は自由に参拝することができますが、紅葉時期は有料になります。二基の石塔は開山廟の敷地内にありますが、敷地の手前に柵が設けられているので、離れたところから低い塀越しに見学することになります。二基の宝篋印塔のうち重文指定されているのは奥の大きな方の宝篋印塔です。重文指定の如法経塔は、その奥側に隣接している石塔です。

感想メモ
国宝の石水院は神仏分離でもとの姿が失われていますが、明治時代に改変された書院風の意匠も周囲の環境と調和して落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
(2022年2月訪問)

参考
高山寺公式サイト

 

 

珍しい両流造の社殿

松尾大社本殿


まつおたいしゃほんでん
京都市西京区嵐山宮町
松尾大社本殿34.999934, 135.685019
室町後期
桁行三間、梁間四間、一重、両流造、檜皮葺

松尾大社は嵐山南方の桂川右岸に鎮座します。渡来人秦氏が一族の氏神として信仰した古社で、平安遷都以降,上・下賀茂社とともに王城鎮護の社として崇敬厚く、境内に霊亀ノ滝、亀ノ井の名水があることから、中世以降は酒造家の信仰を集めてきました。本殿は、創建以来、皇室や幕府の手で改築され、現在の本殿は室町初期の応永の建造で、天文11年(1542)に大修理されたものです。
・上段写真が本殿左(南)側面で、下段写真が右側面
・側面2間の身舎の前後両方に庇を設ける方式で、両流造(松尾造)と称される
・内部は身舎部分を内陣、前後庇部分をおのおの外陣・後陣として3室に分ける
・この様式は天文の改造時に採用されたものであると考えられている

・桁行は三間

・写真手前は釣殿で、木階から奥が本殿

・本殿の箱棟には菊の御紋が飾られ、唐破風形の珍しい棟端を持つ

アクセス
阪急嵐山線松尾大社駅下車すぐです。
見学ガイド
松尾大社は常時自由に参拝することができます。本殿は瑞垣に囲われており、屋根の一部を拝観できる程度です。神職の説明による特別拝観が時間を定めて実施されています。

感想メモ
北側の神苑(有料)からは何とか両流であることが確認できましたが、逆光です。向拝などの細部意匠が優れているとの解説がありましたが、これも全く拝観することはきませんでした。
(2023年2月訪問)
正月に参拝しました。檜皮葺の屋根に雪が残り、美しい姿を拝観することができました。社殿の南側は瑞垣越しに屋根の一部を拝観することができますが、忍び返しの柵などが邪魔をしてうまく写真を撮ることができません。行儀が悪かったですが片手をを突き上げて何枚か撮ると、うまく両流造の姿を捉えることができました。
(2026年1月訪問)

参考
松尾大社公式サイト、京都市観光協会公式サイト、総覧日本の建築6-I

全国の国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、通常公開されていない文化財の特別公開の情報をまとめています。
ネット上などで見つけたものはできるだけ紹介するようにしています。社寺の年中行事に関係したものは趣が大変深く、また、公的機関が主催するものは専門家の解説があるなど、中身が濃いように思います。
(2026年3月7日情報更新)


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開催中・予定中の特別公開

令和8年1月9日から3月7日<京都府京都市>仁和寺観音堂内部
令和8年1月9日から3月18日の間の限定日<京都府京都市>東本願寺諸殿
令和8年1月9日から3月18日<京都府京都市>大徳寺法堂内部、経蔵
令和8年1月9日から3月18日<京都府京都市>醍醐寺三宝院
令和8年1月20日から3月14日の間の限定日<京都府京都市>西本願寺飛雲閣
令和8年1月20日から3月14日の間の限定日<京都府京都市>西本願寺書院(予約制)
令和8年3月14日<京都府京都市>旧帝国京都博物館本館
令和8年3月14日から16日<京都府京都市>東福寺三門内部・龍吟庵 新着
令和8年3月15日<兵庫県西脇市>西脇小学校校舎(予約制) 新着
令和8年3月15日<岐阜県多治見市>永保寺観音堂・開山堂内部
令和8年3月18日から19日、21日<東京都渋谷区>旧久邇宮邸 (聖心女子大学パレス)(予約制)
令和8年3月20日<佐賀県唐津市>高取邸非公開部分(予約制)
令和8年3月20日から5月6日<京都府京都市>銀閣寺東求堂内部
令和8年3月22日から24日<奈良県斑鳩町>法隆寺律学院(お会式)
令和8年4月11日から6月14日<東京都港区>旧朝香宮邸建物公開展
令和8年4月11日<兵庫県丹波篠山市>春日神社能舞台(篠山春日能) 新着
令和8年4月17日<福島県西会津町>円満寺観音堂開扉
令和8年4月18日、19日<大阪府羽曳野市>吉村家住宅
令和8年4月29日から5月10日<神奈川県横浜市>臨春閣内部
令和8年5月1日から7日<奈良県奈良市>奈良女子大学記念館
令和8年5月2日(聖武天皇祭)<奈良県奈良市>東大寺本坊経庫
令和8年5月3日から6日<大分県宇佐市>宇佐神宮本殿


都道府県別の公開状況


北海道

  • <札幌市>
  • ●北海道大学植物園: 4月末から11月初旬
  • ●八窓庵: 4月末から11月上旬
  • <小樽市>
  • ●手宮鉄道施設: 4月下旬から11月初旬
  • <函館市>
  • ●遺愛学院旧宣教師館: 春季、夏季、秋季に各1日

青森県

  • <東通村>
  • ●尻屋崎灯台内部: 4月上旬から11月上旬

秋田県


山形県

  • <山形市>
  • ●旧済生館本館3・4階: 不定期(予約制、前回公開令和7年秋)
  • <中山町>
  • ●旧柏倉家住宅: 3月から11月の土日祝日

福島県


茨城県


栃木県

  • <日光市>
  • ●日光田母沢御用邸二階皇后御学問所: 春の枝垂桜開花期

群馬県

  • <桐生市>
  • ●彦部家住宅: 毎週土日曜日、祝日
  • <安中市>
  • ●旧碓氷峠鉄道施設丸山変電所内部: 秋の近代化遺産一斉公開期間中

埼玉県

  • <川越市>
  • ●仙波東照宮: 不定期(前回公開は令和4年秋の市制100年)
  • <八潮市>
  • ●和井田家住宅: 毎月第3土曜日(8月・12月・1月を除く)
  • <所沢市>
  • ●黄林閣: 毎週木曜日
  • <毛呂山町>
  • ●出雲伊波比神社本殿: 秋の文化財保護強調週間中の一日

千葉県


東京都

  • <千代田区>
  • ●水準原点: 5月下旬に一日間のみ(雨天中止)
  • <港区>
  • ●慶応大学三田演説館: 秋の建築プロムナード
  • ●明治学院大学インブリー館内部: 秋の東京文化財ウイーク
  • ●旧朝香宮邸: 年一回開催される建物公開展
  • ●増上寺三解脱門内部: 不定期(前回公開は令和4年の建立400年記念)
  • <大田区>
  • ●池上本門寺五重塔開帳: 4月上旬の花祭り期間中
  • <北区>
  • ●旧醸造試験所第一工場: 秋の東京文化財ウイーク
  • <文京区>
  • ●根津神社社殿内部: 秋の東京文化財ウイーク
  • ●旧磯野家住宅(銅御殿)前庭: 秋の東京文化財ウイーク
  • <渋谷区>
  • ●旧久邇宮邸 (聖心女子大学パレス): 3月に数回(予約制)
  • ●明治神宮宝物殿: 10月下旬から11月上旬
  • <台東区>
  • ●上野東照宮社殿内部: 10月から11月の間の数日
  • <目黒区>
  • ●前田本邸非公開部分: 秋の東京文化財ウイーク
  • <品川区>
  • ●旧島津本邸: 春5~6月、秋10~12月(春・秋ともに月2、3日程度、予約抽選制)
  • <東村山市>
  • ●正福寺地蔵堂内部: 6月第二日曜日、8月8日、11月3日

神奈川県

  • <横浜市>
  • ●聴秋閣奥の遊歩道開放: 大型連休前後及び紅葉時期
  • ●臨春閣内部: 不定期(令和8年4月公開)
  • ●関家住宅: 年一回11月ごろ(抽選制)
  • ●神奈川県庁舎内部: 春季及び秋季に各二日程度
  • <鎌倉市>
  • ●建長寺僧院一部立入解禁: 元旦(除夜の鐘)
  • ●極楽寺忍性廟: 4月7日、8日の仏生会
  • ●覚園寺開山塔: 4月下旬から5月上旬
  • ●円覚寺舎利殿: 1月1日から3日、5月3日から5日、文化の日前後
  • ●浄光明寺五輪塔: 4月の鎌倉まつり期間中

新潟県

  • <十日町市>
  • ●星名家住宅: 10月頃(予約制)
  • <関川村>
  • ●佐藤家住宅: 不定期(前回公開は令和7年秋)

富山県

  • <南砺市>
  • ●白山宮覆屋開扉: 9月25日、26日のこきりこ祭期間中

石川県


福井県


山梨県

  • <北杜市>
  • ●八代家住宅: 11月3日
  • <甲府市>
  • ●高室家住宅: 毎年9月頃、一日間のみ(予約制)

長野県

  • <山ノ内町>
  • ●佐野神社本殿: 9月の秋季祭礼時

岐阜県


静岡県


愛知県


三重県

  • <桑名市>
  • ●諸戸家住宅庭園: 春と秋の年二回

滋賀県


京都府

  • <京都市右京区>
  • ●妙心寺三門内部: 6月18日の山門懺法
  • ●仁和寺観音堂内部: 毎月18日(観音会)、その他不定期(令和8年3月公開)
  • ●神護寺大師堂内部: 11月1日から7日
  • ●大覚寺正寝殿内部: 不定期(令和8年2月公開)
  • <京都市左京区>
  • ●下鴨神社本殿ほか: 春、夏、秋の年三回
  • ●銀閣寺東求堂内部: 春と秋の年二回
  • ●旧武徳殿内部: 不定期(令和7年11月公開)
  • ●聖護院門跡書院: 秋から初冬にかけての週末
  • ●吉田神社太元宮中門内: 1月1日から3日、2月2日、3日、及び毎月1日
  • <京都市北区>
  • ●上賀茂神社摂社新宮神社: 初詣期間中、毎月第二、第四日曜日
  • ●大徳寺法堂内部: 冬、春、秋の特別公開事業
  • ●大徳寺経蔵: 不定期(令和8年3月公開)
  • ●大徳寺興臨院: 冬、春、秋の特別公開事業
  • <京都市東山区>
  • ●妙法院書院: 五月会当日
  • ●東福寺龍吟庵: 三月の涅槃会、春と秋の公開事業
  • ●東福寺三門内部: 三月の涅槃会、春と秋の公開事業
  • ●知恩院 大方丈・小方丈内部: 春と秋の公開事業
  • ●知恩院三門楼上: 秋の公開事業
  • ●豊国神社唐門内: 1月1日から3日
  • <京都市上京区>
  • ●冷泉家: 秋の公開事業
  • ●相国寺法堂内部: 春と秋の公開事業
  • ●北野天満宮本殿: 8月の旧暦七夕前後の石の間通り抜け神事
  • <京都市下京区>
  • ●西本願寺書院: 毎月16日のShinran's Day、その他不定期
  • ●西本願寺飛雲閣: 毎月16日のShinran's Day、その他不定期
  • ●東本願寺御影堂門内部: 不定期(前回公開は令和7年秋)
  • ●東本願寺白書院・宮御殿・大寝殿: 不定期(前回公開は令和7年秋)
  • ●龍谷大学大宮学舎: 不定期(前回公開は令和7年秋)
  • <京都市南区>
  • ●東寺五重小塔: 春と秋の宝物館開館期間中
  • ●東寺灌頂院開門: 1月14日(後七日御修法結願日)
  • <京都市中京区>
  • ●壬生狂言舞台: 2月2日から3日、4月29日から5月5日、10月の連休を含む3日間
  • <京都市伏見区>
  • ●醍醐寺三宝院: 正月三が日、その他冬の京の旅など
  • <八幡市>
  • ●石清水八幡宮本殿昇殿: 土日祝の午後二時
  • ●正法寺: 春と秋の年二回
  • ●伊佐家住宅: 秋の文化財一斉公開期間(保存修理工事のため休止中)
  • <宇治市>
  • ●松殿山荘: 春と秋の年二回(予約制)
  • ●宇治神社本殿: 12年ごとの三卯の日、次回は令和17年
  • <木津川市>
  • ●浄瑠璃寺三重塔開扉: 毎月8日
  • <舞鶴市>
  • ●行永家住宅: 春と秋に各一日
  • <京丹後市>
  • ●経ヶ岬灯台内部: 11月1日の灯台記念日前後

大阪府

  • <大阪市>
  • ●奥田家住宅: 毎月第4日曜日(12月を除く)(予約制)
  • ●愛珠幼稚園: 秋の近代化遺産一斉公開(予約制)
  • <堺市>
  • ●桜井神社拝殿開扉: 10月5日に近い日曜日(上神谷こおどり開催日)
  • ●大安寺本堂: 不定期(前回公開は令和4年秋)
  • ●高林家住宅: 不定期(前回公開は令和4年12月)
  • <和泉市>
  • ●泉井上神社和泉総社本殿: 1月1日から3日
  • <泉大津市>
  • ●泉穴師神社鈴門内: 元旦
  • <羽曳野市>
  • ●吉村家住宅: 春と秋に各2日程度
  • <熊取町>
  • ●降井家書院: 不定期(前回公開令和5年秋)
  • <岬町>
  • ●船守神社拝殿開扉: 10月14日・15日の秋季例祭期間中

兵庫県

  • <神戸市>
  • ●箱木家住宅: 毎週土日と祝日
  • ●船屋形: 春のさつき開花期と秋の紅葉時期
  • ●旧ハッサム住宅内部: 4月下旬から5月上旬、5月、10月、11月の土日祝
  • ●風見鶏の館屋根裏・地下室: 不定期(令和8年1月公開)
  • <姫路市>
  • ●姫路城各小天守内部: 不定期(前回公開は令和7年秋)
  • ●姫路城菱の門櫓内部: 不定期(前回公開は令和7年秋)
  • ●弥勒寺本堂開扉: 11月上旬のほていまつりの前後
  • ●円教寺大講堂・常行堂・金剛堂・開山堂内部: 5月の新緑まつり、秋の紅葉まつりの期間中に公開されることがある
  • ●十妙院: 秋の紅葉まつりの期間中
  • ●古井家住宅: 毎週土日及び祝日
  • <西宮市>
  • ●神戸女学院: 年間数回(予約制)
  • <尼崎市>
  • ●本興寺方丈・三光堂: 11月3日の虫干会・三光祭
  • <明石市>
  • ●明石城櫓内部: 3から5月(巽櫓)、9から11月(坤櫓)の土日祝
  • <たつの市>
  • ●堀家住宅: 春季及び秋季
  • <西脇市>
  • ●西脇小学校校舎: 春と夏に各一日
  • <丹波篠山市>
  • ●春日神社能舞台: 元旦零時の元朝能、四月第二土曜の春日能
  • <淡路市>
  • ●江埼灯台内部: 11月3日

奈良県


和歌山県


鳥取県

  • <琴浦町>
  • ●河本家住宅(予約制): 毎週金土日(予約制)
  • <大山町>
  • ●門脇家住宅: 春と秋の年二回
  • <智頭町>
  • ●石谷家住宅庭園: 秋季に数日間

島根県

  • <松江市>
  • ●美保関灯台内部: 11月1日の灯台記念日前後、及び6月
  • <出雲市>
  • ●出雲大社八足門内: 1月1日から5日

岡山県

  • <岡山市>
  • ●岡山城月見櫓内部: 秋季に3日間程度
  • <高梁市>
  • ●備中松山城二重櫓内部: 春季及び秋季
  • <矢掛町>
  • ●旧矢掛脇本陣髙草家住宅: 毎週土曜及び日曜

広島県


山口県

  • <下関市>
  • ●功山寺仏殿開扉: 1月17日(初観音)、5月17日(観音大祭)

徳島県

  • <鳴門市>
  • ●福永家住宅: 初夏と秋に各1日

香川県

  • <高松市>
  • ●小比賀家住宅: 毎月第三日曜日
  • <善通寺市>
  • ●善通寺五重塔内部: 大型連休期間中
  • <琴平町>
  • ●金刀比羅宮表書院前庭: 毎年5月5日、7月7日、12月下旬の奉納蹴鞠
  • ●金刀比羅宮奥書院: 若冲展期間中(不定期、前回開催令和5年春)

愛媛県

  • <松山市>
  • ●松山城野原櫓、乾櫓内部: 8月及び10月

高知県

  • <香南市>
  • ●安岡家住宅: 奇数月(7月を除く)第4土日(雨天中止)

福岡県

  • <北九州市>
  • ●旧松本家住宅: 毎年11月上旬
  • ●部埼灯台内部: 毎年11月頃
  • <福岡市>
  • ●筥崎宮回廊内: 新年初詣期間中と9月12日から18日の放生会
  • ●福岡城多門櫓内部: 春季及び秋季の週末、休日
  • <うきは市>
  • ●平川家住宅: 事前予約制
  • <志免町>
  • ●旧志免鉱業所竪坑櫓内部: 毎年11月頃(予約制)
  • <みやこ町>
  • ●永沼家住宅: 第1・第2日曜日(4月~12月)

佐賀県

  • <唐津市>
  • ●高取邸非公開部分: 不定期(令和8年3月)
  • <嬉野市>
  • ●西岡家住宅内部: 毎週日曜日及び祝日
  • <多久市>
  • ●多久聖廟内部: 4月18日と10月の第四日曜(春季及び秋季の釈菜)
  • <有田町>
  • ●旧田代家西洋館内部: 毎週土日及び祝日

長崎県


熊本県


大分県

  • <日田市>
  • ●草野本家: 雛祭り、端午の節句、祇園祭、天領祭りの時期
  • <宇佐市>
  • ●宇佐神宮本殿: 不定期(前回特別拝観令和7年5月)

宮崎県

  • <延岡市>
  • ●日高家住宅: 不定期(前回公開令和7年11月)
  • <日南市>
  • ●鞍埼灯台: 不定期(前回公開令和7年11月)

鹿児島県

  • <霧島市>
  • ●霧島神宮本殿: 5から6月、10から11月に各数日(予約制)

沖縄県

  • <那覇市>
  • ●新垣家住宅: 毎週金土日及び祝日
  • <宜野湾市>
  • ●喜友名泉: 随時(1週間前までに要予約)
  • <久米島町>
  • ●上江洲家住宅: 不定期(前回公開令和5年11月)



岡山県岡山・備前地域にある国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。
個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。
岡山市北区
守福寺宝殿
八幡神社鳥居
岡山城月見櫓
岡山城西丸西手櫓
吉備津神社本殿及び拝殿
吉備津神社御釜殿
吉備津神社南随神門
吉備津神社北随神門
鼓神社宝塔
旧犬養家住宅主屋、土蔵
旧旭東幼稚園園舎
備前市
旧閑谷学校講堂、習芸斎及び飲室、文庫、小斎、公門
旧閑谷学校聖廟大成殿、中庭、文庫、東階・西階(東階)、東階・西階(西階)、校門(鶴鳴門)、石階、繋牲石、外門、厨屋、練塀
旧閑谷学校石塀
閑谷神社(旧閑谷学校芳烈祠)本殿(芳烈祠)、幣殿(階)、拝殿(中庭)、神庫(庫)、石階、繋牲石、中門(外門)、練塀
真光寺本堂
真光寺三重塔
大滝山三重塔
瀬戸内市
本蓮寺本堂
本蓮寺番神堂東祠、中祠、西祠
本蓮寺中門
餘慶寺本堂
和気郡和気町
旧大國家住宅主屋、蔵座敷、酉蔵、中蔵、乾蔵、井戸場
加賀郡吉備中央町
吉川八幡宮本殿
妙本寺番神堂

 

 

室町時代の石造の権現堂

守福寺宝殿


しゅふくじほうでん
岡山市北区下足守
守福寺宝殿34.726474, 133.816240
室町前期
石造、切妻造、妻入、向拝一間
暦応元年戊寅十一月二十二日の刻銘がある

守福寺宝殿は、岡山市北西部、下足守の集落奥の山林に入ったところにあります。王子権現を祀る王子堂として、室町時代初期に前身の建物(平安時代の絵図に描かれている)から建て替えられたものであると考えられています。
・花崗岩製で、間口0.8m、高さ2m、奥行きは1.4m
・長方形の板石で三方を囲み、側面は二石からなる
・向拝柱と身舎の間に板石を渡して、高床にしている
・正面は切妻で中央に束を刻み出し、背面は寄棟
・軒には垂木を刻み出している

・向かって左側向拝柱正面には「王子・・」の文字が刻まれている

・向かって右側向拝柱正面には「暦応元年戊寅十一月二十二日」の文字が刻まれているとのことだが、判読は難しい

アクセス
JR吉備線足守駅下車、北4kmです。備中高松駅のレンタサイクルを利用することができます。守福寺までは6kmで、後半は高低差80mの上りです。
見学ガイド
守福寺宝殿は常時自由に参拝することができます。すぐ近くから見ることができます。

感想メモ
吉備路レンタサイクルで向かいました。平地用のレンタサイクルなので上りはなかなか大変でした。宝殿は集落の裏山の人の気配のないところにあって、少し鳥肌が立ちます。
宝殿は素朴な石造物ですが、垂木や束なども丁寧に刻み出しています。
(2024年5月訪問)

参考
岡山県公式サイト、おかやまの石造物(岡山県)

 

 

在銘の石鳥居として最古級

八幡神社鳥居


はちまんじんじゃとりい
岡山市北区下足守
八幡神社鳥居34.720080, 133.807523
室町前期
石造両部鳥居
康安元年辛丑十月二日の刻銘がある

八幡神社は岡山市北西部の田園地帯に鎮座する旧足守藩の総鎮守です。石鳥居は康安元年(1361)の造立で、近隣の鼓神社宝塔(重要文化財)と同じく石工妙阿の作です。
・花崗岩製の明神鳥居で、高さ4.3メートル
・柱が太く低目ぎみに見える時代的特徴を示す
・柱の基部に稚児柱(後補)を伴う両部鳥居で、石鳥居では珍しい形式

・向かって右側の柱の内側に「康安元年辛丑十月二日、願主神主賀陽重人」、「大工沙弥妙阿」、「祝主僧頼澄」の刻銘がある

アクセス
JR吉備線足守駅下車、北3kmです。備中高松駅のレンタサイクルを利用することができます。守福寺までは4.5kmで、ほぼ平坦です。
見学ガイド
八幡神社鳥居は常時自由に見学することができます。

感想メモ
しっかりと安定感のある鳥居です。風化が進んでいて銘文を読むことはできませんでした。
(2024年5月訪問)

参考
岡山県公式サイト、岡山市公式サイト、石仏と石塔!(河合哲雄)

 

 

要塞と展望座敷の二つの顔を持つ櫓

岡山城


おかやまじょう
岡山市北区丸の内一丁目、二丁目
岡山城月見櫓34.665349, 133.935145
江戸前期
二重二階隅櫓、一部地階、本瓦葺
岡山城西丸西手櫓34.664943, 133.930906
桃山
二重二階隅櫓、本瓦葺

岡山城は、岡山駅の東方、旭川右岸に位置しています。岡山に進出した戦国武将・宇喜多直家の子である宇喜多秀家によって築城され、天守は1597年に完成したとされています。その後、城主となった小早川秀秋や池田氏によって城郭および城下町はさらに拡張され、現在の姿へと発展しました。
天守は第二次世界大戦で失われましたが、江戸時代以前の建築としては、月見櫓と西丸西手櫓が現存しています。西丸西手櫓は、姫路藩主・池田輝政の子である利隆が岡山に入城した慶長8年(1603)頃に建築されたものです。一方、月見櫓は元和から寛永年間(1615~1643)にかけて建築されたと考えられています。
・写真右が黒漆塗の下見板が特徴で烏城と呼ばれる天守(昭和時代の再建)で、左は対照的に白漆喰の月見櫓



月見櫓

・岡山城本丸中の段の北西隅にあり、城の裏口を守備する役割を担っていた
・一部地下付きの塗籠造り本瓦葺き二階建

・城内(南東)側から眺めると三層の層塔型を呈している

・城外側から眺めると二層の望楼型を呈している

・南面及び東面は一階と地階の間に庇が設けられている

・棟の鬼瓦は池田家の家紋である揚羽蝶の意匠

・一階は、西面(下段写真)が唐破風造りの出格子窓、北面(上段写真)が片流屋根を持つ出格子窓を設け、共に石落しを組み込んで、城外側へ備えとしている
・二階は、西面の初層屋根の妻部に千鳥破風の格子窓、北面の踊場に唐破風造りの武者窓、北壁に引き違い窓を設けて、一階同様に城外側への備えを厳しくしている

・一階北面出格子窓には石落としが設けられている

・二階西側の千鳥破風の裏は武者隠しの小部屋で、外部を監視・攻撃できるようにしてある

・二階北面の踊場の唐破風造りの武者窓

・地階部分にあたる石垣頂部には半円形の刳りを入れた銃眼がほぼ一間おきに開けられている

・二階の城内側の東面と南面には雨戸を持った手摺付きの縁側が廻り、内側に明り障子を立てるなど、日常生活向けの御殿仕様となっている
・これは、櫓が建てられたのが元和の偃武の時期にあたり、豊臣家が滅亡して戦乱の危機が低下したことによるもの

・二階は天井を張り、柱に釘隠しの装飾なども施し、障子も入れている



西丸西手櫓

・塗籠造り、二階建入母屋造、本瓦葺で大棟両端に一対の鯱をのせる
・東面(城内側)一階には二か所の小窓が設けられている
・内部は土間で武器や兵糧の保管場所として利用された
・東面二階の窓は広く開放的で障子や雨戸が入り、内部は座敷になっている
・こうした造りは戦乱の危機が低下した時期になって改装された結果と考えられている

・二階は南・西・北の三面に堅牢な格子付きの出窓を設けて城外への視界を確保し、内部も板張りの廊下を設けて守備兵が迅速に動けるようになっている

・一階城外側(西)壁面には壁から張り出した石落しと格子窓が二か所設けられ、唐破風が飾られている

・出入口は妻側の南北両面に設けられている

アクセス
月見櫓はJR山陽本線岡山駅下車東1.7kmです。岡山電軌を利用する場合は城下電停下車東600mです。西丸西手櫓は月見櫓の西方にあって、城下電停下車すぐです。
見学ガイド
月見櫓は常時外観を見学することができます。不定期で雨戸が開かれ内部が公開されます。西丸西手櫓は西側の公道から駐車場越しに見学することができます。東側にある旧内山下小学校が行事等で開放されているときは櫓をすぐ近くから見ることができます。

感想メモ
月見櫓の特別公開に合わせて訪問しました。普段は公開されていないため、石段は非常に急で手すりもなく、往時のままの城を訪ねているような感覚を味わえました。城外側が堅固な守りのいかめしい造りであるのに対し、城内側は月見を楽しむのにふさわしい、のどかなお座敷となっており、その対照が実に興味深いものでした。
また、西丸西手櫓は通常、ビルの谷間から眺めることしかできませんが、この日は幸いにも隣接する小学校跡地でイベントが開催されており、敷地内に立ち入ることができました。そのおかげで、櫓を間近からじっくりと眺めることができました。
(2025年11月訪問)

参考
岡山城公式サイト、現地案内板、月見櫓特別公開パンフ、岡山県公式サイト

 

 

比翼入母屋造の国宝社殿

吉備津神社


きびつじんじゃ
岡山市北区吉備津
吉備津神社本殿及び拝殿34.670784, 133.850602
国宝・室町中期
本殿 桁行正面五間、背面七間、梁間八間、一重、比翼入母屋造、檜皮葺
拜殿 桁行三間、梁間一間、一重、正面切妻造、背面本殿屋根に接続、檜皮葺
   三方もこし付、もこし本瓦葺
吉備津神社御釜殿34.669686, 133.849624
桃山
桁行七間、梁間三間、一重、入母屋造、本瓦葺
吉備津神社南随神門34.670584, 133.850414
室町前期
三間一戸八脚門、入母屋造、本瓦葺
吉備津神社北随神門34.671137, 133.850675
室町後期
三間一戸八脚門、入母屋造、檜皮葺

吉備津神社は、備前国と備中国の境に位置する吉備の中山の西麓に鎮座します。創立はきわめて古く、古来、備中国の一宮、吉備国の総鎮守として尊崇を受けてきました。現本殿・拝殿は、明徳元年(1390)に後光厳天皇の勅命を受け、足利義満が再興に着手し、応永32年(1425)に竣工したものです。


本殿及び拝殿:

・本殿は、桁行正面五間、背面七間、梁間八間の大建築で、入母屋造を前後に二つ並べた比翼入母屋造

・妻飾は前後とも同じ意匠で、虹梁大瓶束

・軒は一軒で、組物は、神社建築としては非常に珍しい挿肘木を用いた大仏様の二手先

・本殿は和様の亀腹上に建ち、縁を大仏様の挿肘木と皿斗付の組物で支え、禅宗様の擬宝珠高欄を回す

・拝殿(写真は東側面)は、本殿正面に接続して建つ
・正面一間、側面三間、檜皮葺、妻入りで、正側面三方に裳階がつく
・柱は本殿と同じ太さの円柱を用いている

・拝殿の身舎は、二軒で、全体に縦格子がはめられている

・拝殿の裳階は、一軒で、組物は和様の出三斗

拝殿内部



御釜殿:

・現在の建物は慶長11年に再建されたもの
・桁行七間、梁間三間、単層、入母屋造、平入、本瓦葺
・南北に伸びた長方形で、北二間(下段写真)に釜を安置する釜屋の古形式を伝える遺構
・ここでは、古来から吉凶を占う「鳴釜神事」が行われている

・周囲の四面とも柱間に二段の連子窓をつくりつけ、その下方を板壁にしている

・柱頂部の粽、隅扇垂木など禅宗様の特徴がみられる
・柱上に禅宗様の台輪を回しているが、一般的な禅宗様とは異なり木鼻の上には台輪を突出させていない



南随神門:

・長い回廊の中間にある三間一戸の八脚門で、延文2年(1357)の再建
・桁行約6.2m、梁間約3.2m、棟高約7m、単層、入母屋造、本瓦葺
・木部は丹塗り、壁は白壁
・和様に唐様がとり入れられ、木割も太く、板蟇股や木鼻には鎌倉時代の様式・手法がみられる
・本殿より70年余り古く、吉備津神社では最古の建物



北随神門:

・三間一戸の八脚門で、室町時代中期の再建と考えられている
・桁行約7.5m、梁間約3.9m、棟高約8.2mで、単層、入母屋造、檜皮葺
・木部は丹塗り、白壁で、南随神門と構造・様式がよく似ているが、細部の意匠にはより繊細な表現がみられる

アクセス
JR吉備線吉備津駅下車、南700mです。
見学ガイド
吉備津神社は常時自自由に参拝することができます。本殿・拝殿は北面していますが、東側面が広く空いているので、午前中は比翼入母屋造の姿を奇麗に見ることができます。御釜殿も午前中の方がきれいに見ることができます。

感想メモ
以前訪問した時は午後で、本殿が逆光になっていましたが、今回は快晴の朝に訪問したので、比翼入母屋造の美しい姿を見ることができました。
(2024年5月訪問)

参考
岡山県公式サイト、国指定文化財等DB、岡山市公式サイト

 

 

梅鉢型園舎の原型

旧旭東幼稚園園舎


きょくとうようちえんえんしゃ
岡山市北区二日市町
旧旭東幼稚園園舎34.645108, 133.929220
明治
木造、建築面積350.63平方メートル、桟瓦葺一部銅板葺

旧旭東幼稚園園舎は、岡山市中心部の南方、旭川右岸近くの岡山市立中央図書館に移築復原されています。岡山市旭東尋常小学校附属幼稚園の園舎として、明治四十一年に竣工したもので、移築前は、旭川対岸に位置していました。遊戯室を園舎の中心に置き、遊戯室の周囲に保育室を配置した平面を最初に採用した幼稚園園舎建築であり、梅鉢型園舎の原型となったものであるとされています。
・木造平屋建で、八角形平面の遊戯室(写真中央)の四方に保育室(写真右端)三室と保姆室(写真左から二番目)が取り付く、梅鉢型園舎の形態
・保姆室北西面には棟を直交させた桁行五間、梁間三間、切妻造、桟瓦葺の幼児昇降所及湯呑所棟(写真左端)が取り付く
・遊戯室はマンサード風の八注屋根を架け、桟瓦を葺き、小屋根は銅板葺とする

・遊戯室(写真中央)の東西南北の各面は、中央間に内開きのガラス入両開戸を建て込み、その両脇は半間幅のガラス窓を嵌め込む
・花崗岩の石階段を設けて園庭への出入口とする
・採光に配慮し、天井下は引違ガラス窓の連窓を入れた高窓層とする

・外部意匠は、腰を目板打ちの縦板張、上部を下見板張とし、化粧の柱形や筋違などを現して強調するスティックスタイル

・保育室(写真右)は、桁行四間、梁間三間規模、切妻造、桟瓦葺

・遊戯室は、各辺三間規模で、中心に八角形断面の柱を立てる
・天井は棹縁で、天井板を大和張風に張る

アクセス
岡山電気鉄道清輝橋駅下車、南1㎞です。もう少し近くまで入る路線バスもあります。
見学ガイド
旧旭東幼稚園園舎は内部も一般公開されています

感想メモ
外観も美しいですが、採光が工夫されていて、内部がたいへん明るい建物です。訪問したのは休館日でしたが、窓ガラスがきれいに掃除されいるので、ガラス越しに室内の様子をよく見ることができました。
(2025年11月訪問)

参考
月刊文化財平成19年7月号

 

 

備前四十八ケ寺の一つに数えられる古刹

真光寺


しんこうじ
備前市西片上
真光寺本堂34.744795, 134.180319
室町後期
桁行五間、梁間五間、一重、入母屋造、向拝一間、本瓦葺
真光寺三重塔34.744501, 134.180084
室町中期
三間三重塔婆、本瓦葺

真光寺は片上湾の最奥部に面した高台に位置します。行基が開基し、その後報恩大師が備前四十八ケ寺の一つとして加えた真言宗の古刹です。


本堂:

・応永年間再建の三間堂を永正13年(1516)に五間堂に改修したもの
・単層の本瓦葺の入母屋造
・軒は二重繁垂木、柱は総円柱で長押で固めている
・組物は出三斗で、中備は絵様を施した実肘木付の蓑束



三重塔:

・方三間本瓦葺きの三重塔
・寺伝によると、牛窓の蓮華頂寺にあったものを慶長十八年(1613)、現在地に移築したもの
・様式、手法などから、室町時代のものと考えられている
・総高が18.2m(うち相輪高5.9m)のやや小規模な塔で、軒先の反転が美しく三重の逓減も安定している

写真上段から,第三重、第二重、初重:
・各重とも二軒の繁垂木で、尾垂木付きの和様の三手先の組物
・各重に高欄を設け、初重のみが擬宝珠高欄で他は跳ね高欄

・第二重、三重には縁板を張っていないが、切目縁を模した意匠が施されている(写真は第二重)

初重軒回り:
・蟇股、間斗束なども、時代の特色を示している

・初重の各面の中央間に置いた蟇股には、月輪に種子を書いた彫刻が飾られている

・和様を基調としているが、木鼻は禅宗様

アクセス
赤穂線西片上駅下車、西300mです。
見学ガイド
真光寺は常時自由に参拝することができます。本堂、三重塔とも、すぐ近くから見ることができます。

感想メモ
瀬戸内海の入り江の奥の小高い丘の上の位置していて、かつては趣の大変深い場所だったのでしょうが、今は目の前に国道のバイパスが通っていて、そういった風情はちょっと失われています。でも、そのおかげで、駅からアップダウンなしで楽に参拝することもできるようになっていて、国道の歩道橋が三重塔を眺めるのにちょうど良い場所にもなっています。
三重塔の上重には縁が設けられていませんが、切目縁を模した意匠を施してごまかしているなど興味深い建築です。
(2024年5月訪問)

参考
現地解説板、岡山県公式サイト

香川県高松・東讃・小豆地方にある国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。
個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。
高松市
高松城旧東之丸艮櫓、北之丸渡櫓、北之丸水手御門、北之丸月見櫓
披雲閣(旧松平家高松別邸)本館、本館付倉庫、倉庫
小比賀家住宅主屋、土蔵、米蔵、午門
国分寺本堂
旧下木家住宅
旧河野家住宅
屋島寺本堂
香川県庁舎旧本館及び東館
瀬戸内海歴史民俗資料館
男木島灯台灯台、旧吏員退息所、旧第一物置
さぬき市
志度寺本堂、仁王門
細川家住宅
旧恵利家住宅
長尾寺経幢(1)、(2)
小豆郡小豆島町
明王寺釈迦堂

 

 

瀬戸内海に面した海城

高松城


たかまつじょう
高松市玉藻町
高松城旧東之丸艮櫓34.348768, 134.051999
江戸中期
三重三階隅櫓、入母屋造、本瓦葺南面続櫓一重櫓、南端入母屋造、本瓦葺
北之丸渡櫓34.351096, 134.051671
江戸中期
一重櫓、入母屋造、本瓦葺
北之丸水手御門34.351173, 134.051687
江戸末期
一間薬医門、切妻造、本瓦葺
北之丸月見櫓34.351299, 134.051743
江戸中期
三重三階隅櫓、入母屋造、本瓦葺、南面続櫓一重櫓、南端入母屋造、本瓦葺
披雲閣(旧松平家高松別邸)本館34.350278, 134.051622
大正
木造、建築面積1,916.51㎡、一部2階建、入母屋造及び寄棟造、南面車寄附属、桟瓦葺
本館付倉庫34.350382, 134.051923
大正
木造、建築面積38.79㎡、寄棟造、桟瓦葺
倉庫34.350258, 134.052005
大正
木造、建築面積48.49㎡、寄棟造、桟瓦葺

高松城は高松市中心部の海岸沿いに位置します。天正15年(1587)に讃岐一国を与えられた生駒親正が築城したもので、生駒氏転封後の寛永19年(1642)には、松平頼重が東讃12万石が与えられ、城の大規模な改造を行いました。松平氏の治世は幕末まで続きました。
「高松城」として重文指定された4棟は松平氏による東ノ丸・北ノ丸の新造に伴い建設されたものです。披雲閣(ひうんかく)は、大正時代に旧城主の松平氏が高松城三ノ丸の御殿跡に建設した邸宅です。
城内側より見た月見櫓(写真右)と付属する続櫓(写真中央):
・北之丸月見櫓は北ノ丸の最北端に位置し、かつては瀬戸内海に面していた
・「(舟の)到着を見る」という意味の着見櫓が本来の名称
・三重三階の総塗籠で、各階に2本の長押をめぐらす
・初重には切妻破風が見られ、その下部に石落としが設けられている
・南面には続櫓と呼ばれる小規模な平櫓が付属する
・延宝4年(1676年)の上棟と考えられている

城内側より見た水手御門(写真右)と渡櫓(わたりやぐら、写真左)

城外側より見た渡櫓(写真右)、水手御門(中央)、続櫓(左)
北之丸渡櫓:
・月見櫓の南に位置する総塗籠の平櫓
・南側3間分は北ノ丸の新造前に所在した海手門の部材を再利用しており、柱が細く、内壁も波型真壁となってい
・月見櫓と同時期に建築されたと考えられている
北之丸水手御門:
・月見櫓の続櫓と渡櫓の間に設けられた一間の薬医門
・月見櫓と同時期頃に建設されたと考えられているが、地下から古い礎石が発見されており、幕末頃に建替えられたと推定されている
・海に向かって開いた門で、藩主はここで小舟に乗船し、沖で御座船に乗換えて参勤交代等に出かけた



旧東之丸艮櫓(うしとらやぐら): 

・延宝5年(1677)に東ノ丸の北東隅に建築された三重三階の隅櫓で、名称は高松城の丑寅(うしとら)にあたることに由来
・三重三階の総塗籠で、初重には二重の屋根を貫く千鳥破風が設けられ、城外側の隅には袴型の石落としがある
・昭和42年に現在地(高松城の南東隅)に移築



披雲閣:

本館:
・木造で、接客、居住、家政などの機能をもつ各部を渡廊下で接続
・建築面積は1916平方メートルに及ぶ
・南を正面として玄関を構え、西から北へ蘇鉄の間、大書院(写真上)、槙の間(写真下)の各広間を並置し、北方の庭園を望む接客空間としている
・玄関の北には居住と宿泊のための部屋が連なり、玄関の北東には勝手と調理場を設けている

本館付倉庫(写真中央)と倉庫(写真左):
・本館付倉庫は、木造、二階建、桟瓦葺で、小屋組は和小屋、外壁は下見板張
・倉庫は、本館付倉庫の東南に建ち、木造、二階建、寄棟造、桟瓦葺で北面に戸口を開き、小屋組はトラス構造、外壁は擬石塗

アクセス
高松城まではJR高松駅から徒歩数分です。琴電高松築港駅は高松城に隣接しています。
見学ガイド
「高松城」として重文指定された4棟は有料公開されています。これらは公道に面しているので、有料区域外からも見ることができます。東之丸艮櫓は堀を挟んでの見学となります。毎週日曜日には月見櫓の内部公開と水手御門の開扉が行われるようです。
披雲閣も有料公開されています。内部は非公開です。披雲閣は公道からは見ることができません。披雲閣の倉庫と本館付倉庫の周辺は立入りが制限されています。本館東側の裏庭を挟んで倉庫と本館付倉庫の一部をみることができます。
高松駅前の高松シンボルタワー展望台などからも高松城・披雲閣を遠望できます。

感想メモ
海と高松港の間には道路が通っており、海城の風情を失っているのは残念ですが、道路のおかげで月見櫓をいつでも近くから見ることができます。
(2018年10月訪問)

参考
高松市公式サイト

 

 

四国最古の民家建築

小比賀家住宅


おびかけじゅうたく
高松市御厩町
小比賀家住宅主屋34.309163, 133.989680
江戸前期
桁行26.6m、梁間9.8m、寄棟造、茅葺、四面庇付、本瓦葺、南面玄関付属
午門34.308870, 133.989747
江戸後期
長屋門、桁行35.4m、梁間5.9m、寄棟造、茅葺、東面及び北面庇付、本瓦葺
土蔵34.309295, 133.989576
江戸中期
土蔵造、桁行9.1m、梁間4.5m、二階建、切妻造、本瓦葺
米蔵34.309339, 133.989887
江戸末期
土蔵造、桁行10.1m、梁間6.1m、二階建、切妻造、本瓦葺、西面庇付

小比賀家住宅は、高松市街地の南東に広がる田園地帯に位置しています。由緒書によれば、小比賀家は甲斐源氏の流れを汲み、武田氏滅亡後の慶長年間に現在の御厩へ移住したと伝えられています。その後、この地で庄屋・大庄屋を務め、天明五年には武士に取り立てられました。
屋敷地は東西約70メートル、南北約85メートルに及ぶ広大な規模で、両側に松を配した馬場の正面に午門(うまもん)が構えられています。この門の両脇から延びる外周土塀が屋敷全体を囲み、午門の奥には前庭を隔てて主屋が建ち、その背後には土蔵や米蔵が並びます。
小比賀家住宅は、17世紀前半にまで遡る四国地方最古級の民家であり、構造・意匠ともに優れています。正面に長大な長屋門を据えた屋敷構えは、大庄屋層の住宅としての風格を今に伝えています。
・左の茅葺が主屋で、右が午門

・右の茅葺が主屋で、左手前が土蔵



主屋

・建築年代は、構造手法から十七世紀前半ごろまで遡ると推定されている
・その後、たびたび改造を受けていたが、昭和五十一年に解体修理で、江戸時代中期の姿に復旧整備されている
・桁行十三間半、梁間五間の大型民家で、中央部の十間半に二間半を上屋として寄棟造、茅葺の屋根をあげ、四周に本瓦葺で勾配のゆるい一間半幅の下屋をめぐらした四方蓋造
・平面は東側(写真右側)六間を土間部、西側七間半を居室部とする六間取り系の間取り

・土間部は、南面に大戸口を開く

・居室部には、式台を設ける

・土間部は、東側四間半を内庭(土間)、居室沿いを幅一間半の板敷の広舗とする

・居室部は置くに行くほど格式が高くなる
・手前から二番目の部屋が式台の付いた玄関の間

・土間部分では、根曲材を用いた雄大な梁組をあらわし、竹簀子天井を見せている

・居室部の最も手前の部屋も梁組を見せている



午門

・桁行十六間半におよぶ長大な長屋門で、農家の表門としては全国屈指の規模
・建築年代は十八世紀末から十九世紀初めと推定されている
・梁行二間半で、寄棟造、茅葺
・西側(写真左)は納屋、東側は馬房と牛房を並べる

・両側に松を植えた「タテ馬場」の正面に大門を開く

・東側に一間の本瓦葺の下屋をつけ、飼料場とする

・馬屋は、農耕用の牛房(写真左奥)よりも質の高い造りとしている



土蔵

・主屋座敷背後に建つ二間×四間、二階建、切妻造、本瓦葺の土蔵で、十八世紀に遡る建築



米蔵

・主屋の東北にある三間×六間、二階建、切妻造、本瓦葺の土蔵で、一部に古材を使っているが、十九世紀中ごろの建築

アクセス
JR予讃線鬼無駅下車、南2kmです。高松駅から住宅の近くまで入る路線バスもありますが、休日は運休です。高松駅周辺のシェアサイクルを利用する場合は、ほぼ平坦な道を約8kmです。
見学ガイド
小比賀家住宅は毎月第3日曜日のみ公開されています。

感想メモ
月に一度の公開日に訪れました。公開日とはいえ訪問者は多くないようで、インターフォンを押して御当主に見学をお願いするという、少し緊張する形式です。
屋敷地は丁寧に手入れされ、風格ある建物が整然と並んでいました。厳格な身分制度が存在した時代の建物らしく、迎える客の格式に応じて部屋の意匠がはっきりと区別されています。
特に興味深かったのは、武士が使う馬のための馬屋と、農耕に使われる牛のための牛房で、内装の質に明確な差がつけられていたことです。こうした細部から、当時の社会の厳しさや身分による扱いの違いが生々しく伝わってきました。
(2025年9月訪問)

参考
解説版新指定重要文化財12、高松市公式サイト

 

 

屋島山上の復古調の建築

屋島寺本堂


やしまじほんどう
高松市屋島東町
屋島寺本堂34.357945, 134.101269
江戸前期
桁行五間、梁間五間、一重、入母屋造、向拝三間、本瓦葺

屋島寺は高松の市街地東方にそびえる屋島南峯に位置する古刹で、弘法大師を中興の祖としています。本堂は元和4年(1618年)に再建されたものですが、昭和の修理の際に各所に鎌倉時代の特徴の古材が見られたことから、鎌倉様式に復元されています。
・屋根は一重の本瓦葺、入母屋造
・正面中央の3間は両折両開き桟唐戸、側面の上は連子窓、腰貫の下は板壁など鎌倉時代の様式
・内部は前2間が外陣、後3間が内陣と脇陣からなる

正面軒廻り:
・二軒の繁垂木で、和様の出組、中備は蓑束、支輪を飾る
・向拝の海老虹梁や装飾の多い手挟は近世風

外陣の格天井

アクセス
屋島山上にはJR屋島駅から、ことでん屋島駅経由のバスが運行されています。バスは重文民家のある四国村も経由するので周遊に便利です。屋島寺はバスの終点からすぐです。
見学ガイド
本堂はいつでも自由に見学することができます。

感想メモ
晴天に恵まれ、屋島からの眺めを堪能することができました。本堂は江戸時代の建築で、華美な彫刻も見られますが、全体としては復古調で落ち着いた雰囲気です。
(2021年4月訪問)

参考
四国八十八ヶ所霊場会公式サイト、高松市公式サイト

 

 

丹下健三の代表作

香川県庁舎旧本館及び東館


かがわけんちょうしゃきゅうほんかんおよびひがしかん
高松市番町四丁目
香川県庁舎旧本館及び東館34.340081, 134.044021
昭和
鉄筋コンクリート造、建築面積3,270.39平方メートル、本館及び東館よりなる
本館八階建、塔屋三階付
東館三階建 

香川県庁舎は高松市の中心部に位置します。旧本館及び東館は、昭和30~33年に建築されたもので、丹下健三の設計です。
・庁舎は高層の旧本館(写真左)と低層の東館からなる

・旧本館は、鉄筋コンクリート造、8階建、塔屋3階付(上段写真右)
・柱と梁、深い軒や高欄など伝統的な木造建築をモチーフとしている

・東館は、鉄筋コンクリート造、3階建、規模は南北98.2m・東西16.6m
・一階部分は開放的なピロティとしている

・ピロティーの長方形の柱の短辺を道路側に向けるなど、道路との境界を意識させないよう工夫されている
・天井には松材を用いたルーバーが設置されている

・旧本館の中心部に耐震壁などを集中したセンターコアを設け、その周囲を壁のない開放的な空間としている
・センターコアの上部は塔屋となり、一階ロビー部分は周囲に「和敬清寂」の壁画を飾る

アクセス
JR予讃線高松駅下車、南1.5㎞です。駅からは多数のバス路線があります。
見学ガイド
県庁開庁中は、ロビーなどの公共空間を自由に見学することができます。

感想メモ
高松で暮らしていたときには何度も前を通りましたが、ここまで価値のある建築であるとは知りませんでした。改めて見学すると、外観の美しさだけではなく、構造面でも工夫された建築であることがよくわかりました。
(2023年7月訪問)

参考
香川県公式サイト、香川県公式観光サイト、高松市公式サイト

 

 

四国霊場第86番札所

志度寺


しどでら
さぬき市志度
志度寺本堂34.324287, 134.179598
江戸中期
桁行七間、梁間五間、一重、入母屋造、向拝三間、軒唐破風付、本瓦葺
仁王門34.323794, 134.178950
江戸中期
三間一戸八脚門、切妻造、本瓦葺

志度寺は県東部さぬき市の市街地に位置する真言宗の寺院で、四国霊場第86番札所です。高松藩によって造営された本堂と仁王門が重要文化財に指定されています。


本堂:

・桁行七間、梁間五間の大規模な仏堂



仁王門:

・三間一戸の八脚門
・中世以来の伝統を受けついで軸部が木太く堂々としているが、細部の意匠には近世的な特色もみられる

アクセス
琴電志度駅から徒歩10分程度です。
見学ガイド
境内は自由に見学できます。仁王門は西面しているので、午後の方が綺麗な写真を撮ることができます。

感想メモ
境内に植栽が多く、他の札所とは少し異なる雰囲気です。仁王門は古風で力強い建築です。
(2020年7月訪問)

参考
国指定文化財等DB

 

 

東讃地方山間部の農家

細川家住宅


ほそかわけじゅうたく
さぬき市多和額東
細川家住宅34.191401, 134.177228
江戸後期
桁行12.7m、梁間5.8m、寄棟造、茅葺

細川家住宅は、さぬき市南部、徳島県との県境に近い山間部に位置する農家住宅です。敷地は南斜面を切り開いて造成され、東西に細長く広がっています。主屋は構造手法から18世紀中頃の建築と推定されており、香川県東部の山間地における農家住宅として、平面構成・構造の両面において典型的な形式を良好に伝えています。
・桁行六間半、梁間三間の寄棟造
・茅葺屋根を軒先まで低く葺き下ろした「つくだれ造」
・外壁は厚い大壁で、開口部は南面に三か所、東面に小さな窓を一か所開くだけの、閉鎖的な造り

・讃岐の民家は下屋を緩い勾配の瓦屋根としたものが多いが、山間部の積雪のある地域ではこのようにまっすっぐに葺き下ろしている

・桁行五間半、梁間二間の上屋周囲に半間の下屋をまわす構造(写真左の半間が下屋)

・平面は横二間取り形式で、西側(写真手前)が間ロ二間半のニワ(土間)、東にダイドコロとザシキを並べる
・土間とダイドコロの境は前寄り半間を土壁とする以外はすべて開放

・ダイドコロの床は、土間の上にもみがらを置き莚を敷いた土座
・中央に囲炉裏を切る
・ザシキとの境は、一間のみ板戸引違いとするほかは土壁

・東側上手は二間半四方のザシキで、背面下屋部分を床の間、仏壇、物入とする

・ザシキの床は莚を敷いた竹座

・天井は上屋梁の上に竹簀子を置いたもの

アクセス
ことでん長尾駅からバスで牧場前下車、南500mです。
見学ガイド
細川家住宅は定休日を除き自由に見学することができます。土間などから内部も見ることができます。

感想メモ
かなり山奥ですが、この先に四国霊場の大窪寺があるため、さぬき市のコミュニティバスがあって助かりました。大変古風な民家です。床上部がなく、土座、竹座なのは衝撃的でした。
(2024年12月訪問)

参考
解説版新指定重要文化財12

 

 

鎌倉時代の石塔

長尾寺経幢


ながおじきょうとう
さぬき市長尾西
長尾寺経幢(1)34.266180, 134.171663
鎌倉後期
石造幢
弘安歳次六年癸未七月日の刻銘がある
(2)34.266181, 134.171749
鎌倉後期
石造幢
弘安第九天歳次丙戌五月日の刻銘がある

長尾寺は県東部さぬき市の内陸部にある四国霊場第八十七番札所です。経幢は中国で唐から宋時代に多く建てられたもので、わが国では鎌倉中期ごろからつくられました。経文の埋納保存や、供養の標識とするため、各地に建てられています。長尾寺の経幢は、西側のものに弘安六年、東側のものに弘安九年の銘が あります。
・左の覆屋の中が弘安6年銘の経幢で、右が弘安9年銘

弘安6年銘の経幢:
・凝灰岩製で基礎の上に面取り四角柱の幢身を立て、その上に八角の笠と低い宝珠をのせたもの

弘安9年銘の経幢(4枚目の写真から「弘安第九天」の文字が読み取れる)

アクセス
長尾寺は、ことでん長尾駅下車、東250mです。経幢は長尾寺の正門の手前に建てられています。
見学ガイド
経幢は常時自由に見学することができます。覆屋の中にありますが、覆屋の正面上半分は開放されており、背面以外は隙間の大きな格子であるため、見学に大きな支障とはなりません。

感想メモ
素朴な感じを受ける石造経幢です。凝灰岩が良い感じに風化してやわらかい線を出しています。
(2021年4月訪問)

参考
現地解説板

 

 

水軍の拠点に築かれた小堂

明王寺釈迦堂


みょうおうじしゃかどう
小豆郡小豆島町池田
明王寺釈迦堂34.483846, 134.241952
室町後期
桁行三間、梁間四間、一重、寄棟造、向拝一間、本瓦葺

明王寺は小豆島南海岸、池田のオリーブ畑が点在する田園地帯東端に位置します。釈迦堂は大永2年(1522)に地頭・須佐美氏の子孫である源元安入道盛椿(せいちん)によって着工され、11年かかって完成したことが、文字瓦から知られます。小豆島は瀬戸内海の水軍の拠点で、釈迦堂の建立にも水軍が関係したものと考えられています。


釈迦堂

・桁行三間、梁間四間、寄棟造、本瓦葺で、向拝一間が付く

・正面三間に桟唐戸が吊られ、内法貫の藁座と、地長押が支えている
・軒は二軒の疎垂木

・柱は大面取の角柱で、柱上は繰型付実肘木を入れた出三斗
・中備の間斗束にも繰型付実肘木を入れる
・頭貫は禅宗様の木鼻を出す

・向拝には優美な蟇股を飾る

・内部は手前一間が外陣で、菱格子の結界の奥が内陣
・内部も柱上は出三斗で、中備は中央間が蟇股で、両側間が撥束



厨子(附指定)

・禅宗様で鮮やかな彩色が施されている

アクセス
小豆島池田港の東2kmで、路線バスを利用することもできます。
見学ガイド
明王寺は常時自由に参拝することができます。釈迦堂は内部に入ることもできます。内部の写真撮影も禁止されていません。

感想メモ
オリーブ畑に囲まれたのどかな風景ですが、かつては水軍の本拠地で今とは全く違う世界であったことを思うと感慨深いです。釈迦堂は小堂ですが細部の意匠が優れています。厨子も大変手の込んだ意匠です。
(2024年9月訪問)

参考
小豆島町公式サイト