神戸市中心部、灘地区にある国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。
個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。
| 神戸市東灘区 | |
| 旧村山家住宅 | 洋館、玄関棟、書院棟、茶室棟、衣装蔵、美術蔵 |
| 神戸市灘区 | |
| 旧ハンター住宅 | |
| 神戸市中央区 | |
| 旧ハッサム住宅 | |
| 旧小寺家厩舎 | |
| 船屋形 | |
| 徳光院多宝塔 | |
| 布引水源地水道施設 | 布引水路橋(砂子橋)、谷川橋、雌滝取水堰堤、五本松堰堤、締切堰堤、放水路隧道、分水隧道、分水堰堤、分水堰堤附属橋 |
| 旧トーマス住宅 | |
| 小林家住宅(旧シャープ住宅) | |
| 旧神戸居留地十五番館 | |
ビクトリア様式の異人館
ハンターじゅうたく
旧ハンター住宅
ハンターじゅうたく
神戸市灘区青谷町一丁目
| 旧ハンター住宅 | 34.712167, 135.214979 明治 木造、建築面積269.8m2、二階建、一部三階、スレート葺 | |
旧ハンター住宅は、王子動物園内に移築保存されています。明治22年頃ドイツ人のA・グレッピー氏が、英国人の技師に依頼して建築したものといわれています。その後、英国人のE・H・ハンター氏が、北野町の高台に居宅を構えるにあたり、この建物を買い取り、改造して現在の建造物に仕上げたものです。現存する神戸の異人館の中では最大級のものです。
| ・片側に塔屋を設けた非対称な構成はビクトリア様式の特徴 |
| ・ペディメントには凝った装飾が施されている |
| ・塔屋の急こう配の屋根や主屋の軒を支えるブラケットなどにもビクトリア様式の特徴が表れている |
| ・玄関にはビクトリア様式に特徴的なブラケットが見られる |
| ・玄関ホールの扉の上部にはブロークンペディメントの装飾が施されている |
| ・階段の高欄にも凝った装飾が施されている |
| ・階段踊り場のステンドグラスは英国から取り寄せたもの |
| ・二階のベランダ(上段写真)と一階のベランダ(下段写真) ・当初、ベランダには窓ガラスがはめられていなかったが、日本の気候に合うよう後に取り付けられた ・来客の接遇に用いられた一階の天井には装飾が施されているが、居住用の二階の天井には装飾がない |
| アクセス 旧ハンター住宅は王子動物園の中にあります。王子動物園は阪急神戸線王子公園駅の山側です。 |
| 見学ガイド 動物園開園中は自由に見学することができます。期間を限って内部も公開されています。 |
| 感想メモ 動物園の入場料がかかるし、困ったなと思いましたが、こういうことでもない限り動物園に行くこともないので、新鮮でよかったです。曇りがちの日でしたが、隣のカバ舎で日が射すのをのんびりと待ちました。 ビクトリア風の建築で、北野の他の洋館と比べると、かなり豪華です。 (2022年12月訪問) |
| 参考 王子動物園公式サイト |
インド系貿易商の旧宅
きゅうはっさむじゅうたく
旧ハッサム住宅
きゅうはっさむじゅうたく
神戸市中央区中山手通五丁目
| 旧ハッサム住宅 | 34.693049, 135.181617 明治 木造、建築面積173.6m2、二階建、桟瓦葺 | |
旧ハッサム住宅は相楽園内に移築保存されています。インド系イギリス人貿易商K.ハッサム氏が明治35年に自邸として建てたもので、もとは北野の高台にありました。
| ・木造2階建、寄棟造桟瓦葺で、屋根には化粧れんが積みの煙突をあげる ・左側の煙突は阪神淡路大震災で落下したため再築し、もとの煙突は前庭に保存されている(下段写真右側) ・外壁の下見板張りオイルペイント塗り、ベイウインドウ(張り出し窓)、よろい戸とペディメント、蛇腹など明治時代に建てられた神戸の異人館の特徴をよく伝えている ・門柱(下段写真右手前)も附指定されている |
| ・南側に設けられたベランダは、1階をアーケード式(アーチを連ねた形)、2階をコロネード式(列柱式)とする |
| ・2階ベランダ柱頭部にはアカンサスの葉をかたどった柱頭飾りが付いている |
| ・一階ベランダのアーチ |
| ・二階には居室が配置されている |
| アクセス 神戸市営地下鉄県庁前下車すぐです。旧ハッサム住宅は相楽園の中にあります。 |
| 見学ガイド 旧ハッサム住宅は有料で公開されています。内部は通常非公開です。 |
| 感想メモ 相楽園には船屋形の特別公開を目当てに行きましたが、ハッサム住宅の内部も公開されていました。内部は意外とシンプルな造りでした。 (2022年11月訪問) |
| 参考 神戸市公式サイト |
神戸の中心部に建てられたドイツ風の厩舎
きゅうこでらけきゅうしゃ
旧小寺家厩舎
きゅうこでらけきゅうしゃ
神戸市中央区中山手通五丁目
| 旧小寺家厩舎 | 34.693277, 135.181855 明治 煉瓦造、建築面積188.1m2、二階建、一部吹抜、塔屋付、スレート葺 | |
旧小寺家厩舎は相楽園内に位置します。元神戸市長小寺健吉氏が邸内の厩舎として明治43年頃に建設したものです。建設当初から現位置にありました。
| ・L字形の建物の主体部分(写真左)1階は、馬車庫・自動車庫・馬糧供給室、2階は厩務員部屋・馬糧倉庫 ・矩折部分(写真右)は馬房 ・西端の塔は階段室 ・構造は、1階が煉瓦造、2階がハーフティンバーの木骨煉瓦造 ・ドイツの民家風の意匠を取り入れている |
| ・主体部分はドーマ窓を持つ急こう配の屋根が特徴 |
| ・矩折部分は高い吹き抜けを持つ |
| ・矩折部分の切妻には装飾が凝らされている |
| アクセス 神戸市営地下鉄県庁前下車すぐです。旧小寺家厩舎は相楽園の中にあります。 |
| 見学ガイド 旧小寺家厩舎は有料で公開されています。 |
| 感想メモ この厩舎は移築されたものではなく、元からこの場所にあったとのことです。馬車が行き来する明治初期の神戸の中心市街地の様子が窺えます。 (2022年11月訪問) |
| 参考 神戸市公式サイト |
姫路藩主の川御座船の遺構
ふなやかた
船屋形
ふなやかた
神戸市中央区中山手通五丁目
| 船屋形 | 34.692124, 135.181406 江戸中期 桁行五間、梁間一間、一重二階、切妻造段違、檜皮葺 | |
船屋形は相楽園内に保存されています。江戸時代に姫路藩主が河川での遊覧用に使っていた川御座船の屋形部分です。江戸時代の末まで水上に浮かんでいましたが、明治初年に屋形だけが高砂に陸上げされて茶室として利用されました。その後、舞子への移築を経て、昭和53年に現在地に移築されたものです。
建造年代は、飾り金具の家紋の痕跡から、本多侯が入封した天和2年(1682)から宝永元年(1704)の間と推定されています。
江戸時代、西国諸大名は競って御座船を造りましたが、現存するのは数少なく、川御座船としてはこれが唯一の遺構です。
| 船首側(上段写真は2018年撮影、下段写真とこれ以下の写真は全て2022年の特別公開時のもの) |
| 船尾側: ・長押や垂木の先端などには金箔を施した飾り金具が用いられている |
| 左舷側: ・木部は内外共すべて漆塗で、木肌の見える春慶塗と重厚な黒漆塗とに塗りわけている |
| 右舷側一階部分: ・建具の桟を黒漆、その間を金箔押しとしている |
| 右舷側二階部分 |
| 一階内部(船首側より) |
| 一階内部(船尾側より) |
| 二階内部 |
| アクセス 神戸市営地下鉄県庁前下車すぐです。船屋形は相楽園の中にあります。 |
| 見学ガイド 船屋形は有料で公開されています。池越しの姿は北東側から眺めることになるので、相楽園の開園時間中はほとんどの時間逆光です。 |
| 感想メモ 午前中早めに訪問したら、船屋形に何とか日が射していました。 (2018年10月訪問) 船屋形の内部特別公開の日に訪問しました。内部には立ち入ることができなくて周囲からのぞき込む形でしたが、普段は池越しに見ると逆光だし周囲には立ち入ることもできないので、ありがたい機会でした。内部はさらに絢爛豪華なものかと思っていましたが、上品な書院のような感じでした。 (2022年11月訪問) |
| 参考 現地解説板 |
布引に移築された室町時代の多宝塔
とくこういんたほうとう
徳光院多宝塔
とくこういんたほうとう
神戸市中央区葺合町
| 徳光院多宝塔 | 34.709535, 135.195754 室町後期 三間多宝塔、本瓦葺 | |
徳光院は六甲山麓の高台に位置します。明治39年(1906)に川崎造船所(現川崎重工業)の創始者川崎正蔵が創建した禅宗寺院です。
多宝塔は、神戸市垂水区の明王寺にあったもので、昭和十三年に現在地に移築されています。文明十年(1478)に建立されたものです。
| ・小型の多宝塔で、相輪、扉などは修補されているが、その他は創建当時の姿を良く残す ・亀腹が特に小さいことが特徴 |
| ・上重は十二本の円柱を立て、頭貫、台輪を廻し、組物は拳鼻付き四手先 |
| ・下重は円柱を内法長押で固め、台輪を乗せ、組物は拳鼻付き出組 |
| アクセス 市営地下鉄新神戸駅北600mです。布引方面の遊歩道を80m程度上ります。 |
| 見学ガイド 多宝塔は常時自由に見学することができます。 |
| 感想メモ 小ぶりの多宝塔ですが、シルエットの美しい塔です。移築を繰り返していますが、やっと安住に地を見つけたようです。 (2021年12月訪問) |
| 参考 徳光院公式サイト、国指定文化財等DB、解説版新指定重要文化財11 |
ドイツ風の重厚な構成の「風見鶏の館」
きゅうとーますじゅうたく
旧トーマス住宅
きゅうとーますじゅうたく
神戸市中央区北野町三丁目
| 旧トーマス住宅 | 34.701355, 135.189500 明治 石、煉瓦及び木造、建築面積217.8m2、二階建、地下一階、塔屋付、スレート葺 | |
旧トーマス住宅は北野の異人館街に位置します。ドイツ人貿易商ゴッドフリート・トーマス氏が明治後期に自邸として建てたもので、風見鶏の館として知られています。設計はドイツ人建築家ゲオルク・デ・ラランデです。北野に現存する洋館の中で、煉瓦壁の建物としては唯一のものです。
| ・二階建、一部三階、半地階付の建物で、北野町に多いコロニアルスタイルの洋館とは異なり、ドイツ風ネオ・ゴシックを基調とした意匠 ・半地階部が粗面の御影石積、一階が煉瓦化粧積、二階が木造 ・屋根は急勾配な寄棟造、スレート葺で、東南隅の塔屋の上に風見鶏を飾る |
| ・東面に石階を設けて玄関ポーチを突出させる ・ポーチ上に手摺を設けてベランダとする ・アールヌーボー風の意匠の桂頭飾りが見られる |
| ・二階部分の南面が板張りで、西面がハーフティンバー |
| ・雄鶏は警戒心が強いことからドイツでは風見鶏は魔除けの意味を持っていた |
| ・一階北東の書斎は半八角形の張出し部を持ち、どの角度から光が入るように五面のベイウィンドウになっている ・天井とペンダントライトは、こうもり傘を広げたデザイン |
| ・一階西側の食堂は城館風の造り ・壁の木製飾りは城壁を、食器棚上部は城のバルコニーを表現している |
| ・二階東側の朝食の間は、当時大阪まで眺望が開けた |
| アクセス JR・阪神・阪急の三宮から山側に1kmの高台にあります。 |
| 見学ガイド 旧トーマス住宅内部は有料で公開されています。外観は公道から見ることができます。 |
| 感想メモ 早朝に訪問しました。三宮の高層ビルの影がここまで伸びていて、着いたときは風見鶏にはまだ日が当たっていなくて、徐々に日が射して建物が輝いていく様がすばらしかったです。 (2022年12月訪問) 改修工事が終わり,内部の見学が可能になったので再訪しました。館内には重厚な造りの部屋や軽快な意匠の部屋など、趣の異なる空間が並び、非常に興味深いものでした。また、隣接する天満宮の境内からは、神戸の街並みを背景に風見鶏の館を望めることが分かったため、翌朝あらためて訪れ、その美しい姿を堪能しました。 (2025年12月訪問) |
| 参考 神戸北野異人館公式サイト、解説版新指定重要文化財13 |
コロニアル様式の「萌黄の館」
こばやしけじゅうたく
小林家住宅(旧シャープ住宅)
こばやしけじゅうたく
神戸市中央区北野町三丁目
| 小林家住宅(旧シャープ住宅) | 34.700953, 135.189280 明治 木造、建築面積210.4m2、二階建、一部三階、桟瓦葺 | |
小林家住宅は北野の異人館街に位置します。在神戸のアメリカ総領事のハンター・シャープ氏の邸宅として、明治36年(1903年)に建築されました。萌黄の館として知られています。
| ・南側正面はテラスを設けた開放的な造り ・木造2階建で、萌黄色に塗装されたコロニアル様式の建築 ・外観の意匠がきめ細かく格調高い |
| ・西側側面には左右に異なった意匠の張り出し窓があり、その中央の屋根に煉瓦積の煙突 |
| ・東側側面にも煙突を設ける ・屋根は寄棟造、桟瓦葺 |
| ・窓は上げ下げ窓で外側に両開鎧戸をつける |
| ・外壁は一、二階とも窓下を竪板張りとし、それより上は下見板張りとする |
| ・一階テラス天井には二階窓の意匠に似た模様を施す |
| ・一、二階境にコーニスを全周に回す |
| ・軒廻りは略式のエンタブレチャーの上に小さなブラケットをとりつけ軒蛇腹を設ける |
| ・一階応接室は気品のある意匠 ・壁は一、二階とも漆喰壁 ・一階では壁と天井との見切りにデンティル付の蛇腹を回す |
| ・応接室の向かいにある食堂にはムッソリーニが所有していた大理石の胸像と19世紀のピアノが置かれている |
| ・階段はロの字型で、欄干にはアラベスク模様が施されている |
| ・南面二階のベランダは円柱を立て、その間に引違窓を入れて室内に取り込んでいる |
| アクセス JR・阪神・阪急の三宮から山側に1kmの高台にあります。トーマス住宅に離接しています。 |
| 見学ガイド 小林家住宅は有料で公開されています。 |
| 感想メモ いかにも神戸の異人館といった気品あふれる建築です。暖炉の意匠が素晴らしいということですが見落としてしまいました。また見に行きたいと思います。 (2001年11月、2019年1月、2022年12月、2025年12月訪問) |
| 参考 神戸市公式サイト、解説版新指定重要文化財13 |
旧居留地時代から唯一残る商館
きゅうこうべきょりゅうちじゅうごばんかん
旧神戸居留地十五番館
きゅうこうべきょりゅうちじゅうごばんかん
神戸市中央区浪花町
| 旧神戸居留地十五番館 | 34.687168, 135.192408 明治 木骨煉瓦造、建築面積175.4m2、二階建、桟瓦葺 | |
旧神戸居留地十五番館は神戸港に近い旧居留地に位置します。居留地時代(明治元~32年)から唯一残る商館で、当初はアメリカ領事館として使われていました。建築年代は明治13年(1880)頃と推定され、神戸に現存する異人館としては最も古いものです。阪神淡路大震災で全壊しましたが、旧材を集め再建されました。
| ・木の骨組みの間に煉瓦を積む木骨煉瓦造で、石造風の意匠を持つ |
| ・二階南側にベランダをもつコロニアルスタイルで、両端にペディメントを飾り、柱列の頭部にはアカンサスの葉の装飾 |
| アクセス JR・阪神・阪急の三宮・元町から海側に1km弱です。 |
| 見学ガイド 旧神戸居留地十五番館は高級レストランとして利用されています。外観は公道から見ることができます。ビルの谷間にあるのと背後の鏡張りのビルの反射で、きれいに日が射す時間帯は短いと思います。 |
| 感想メモ 内部は敷居の高い予約制の高級レストランとして利用されています。見学は当然ながら外観だけにしました。文化財の利活用が推進される中、観光業者がからんだこういったものも増えてくるのかと思いますが、正直なところちょっと困ったものです。 (2022年12月訪問) |
| 参考 神戸市公式サイト |







































































































































































































































































































































































