このブログについて:
滋賀県草津市、栗東市で国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。
個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。
草津市 | |
観音寺阿弥陀堂 | |
観音寺書院 | |
老杉神社本殿 | |
志那神社本殿 | |
伊砂砂神社本殿 | |
新宮神社本殿 | |
石津寺本堂 | |
鞭崎神社表門 | |
栗東市 | |
安養寺十三重塔 | |
小槻大社本殿 | |
春日神社表門 | |
大野神社楼門 | |
宇和宮神社本殿 | |
大角家住宅 | 主屋、正門、隠居所 |
大宝神社境内社追来神社本殿 |
琵琶湖舟運を取り仕切った寺院
かんのんじ
観音寺
かんのんじ
草津市芦浦町
観音寺阿弥陀堂 | 35.059759, 135.954766 室町前期 桁行三間、梁間三間、一重、入母屋造、檜皮葺 | |
観音寺書院 | 35.059416, 135.955291 江戸前期 桁行11.9m、梁間7.9m、一重、入母屋造、西面及び北面下屋附属、こけら葺 |
観音寺は飛鳥奈良時代草創と伝わる天台宗の古刹で、芦浦観音寺として親しまれています。13世紀初めに中興し、その後、織田信長から琵琶湖の水運の管理を任せられるようになり、豊臣秀吉からも信任が厚く、水運の管理のほか伏見城の作事奉行などにも任ぜられました。徳川時代になっても湖水奉行や永原御殿など諸処の普請奉行も拝しましたが、貞享2年(1685)幕藩体制変革の中で、その諸奉行としての職務を召し上げられ、政務の舞台から姿を消すことになりました。
阿弥陀堂: ・廃寺になった京都普勧寺から明治期に移築されたもの |
阿弥陀堂正面 |
阿弥陀堂左側面: ・前方一間(写真右)は和様の蔀戸、中央が引違戸で、後方一間には禅宗様の花頭窓 |
阿弥陀堂軒廻り: ・軒は簡素な疎垂木で、柱上は出三斗、中備は持たない |
書院: ・永原御殿を移築したものとも伝わる |
書院東面南側 |
書院東面北側 |
書院西面 |
書院軒廻り: ・軒は疎垂木 ・南端の一間は中間に束を立て梁を支え、隅木を出す |
アクセス JR東海道本線守山駅下車、西4.5㎞です。バス便もあります。この地域の文化財巡りには草津駅・栗東駅のレンタサイクルが便利です。 |
見学ガイド 観音寺は通常非公開です。春と秋に特別公開されます。 |
感想メモ 春の特別公開の機会に訪問しました。周囲は車の通行がほとんどない静かな農村ですが、門前の駐車場には大型バスも停まっていてびっくりしました。 無住のお寺ということですが、境内はきれいに整えられていました。往時は権勢を極め、おそろく地域住民とは縁が薄かったのでしょうが、現在は地域のボランティアの方々に支えられていて、時代の流れを感じます。 阿弥陀堂は移築されたもので、ちょっと癖のある意匠ですが、風景によく馴染んでいました。こけら葺の書院はすっきりとした建築です。阿弥陀堂は近く修理を開始するとのことで、素屋根がかかる前の姿を見ることができてよかったです。 (2023年5月訪問) |
参考 芦浦観音寺公式サイト |
欄間彫刻のある社殿
おいすぎじんじゃほんでん
老杉神社本殿
おいすぎじんじゃほんでん
草津市下笠町
老杉神社本殿 | 35.040861, 135.940374 室町中期 三間社流造、檜皮葺 |
老杉神社は慶雲元年(704)草創と伝わる古社です。建物は棟木の墨書銘により宝徳四年(1452)に建立されたものであることが知られています。江戸時代には向拝廻りが大修理を受け、木鼻などが取替えられています。
・檜皮葺三間社流造で、三方に縁、高欄を巡らし、脇障子が取り付く ・隅柱の上では舟肘木で軒桁を受け、その他の柱は軒桁を直接受ける簡素な形式 |
本殿左側面: ・身舎梁間は二間で、後間一間に妻梁を架けて前間一間を庇造りとする珍しい形式 ・身舎の奥行に比べて向拝の出 (孫庇部分)が広いことが特徴 |
身舎正面: ・内法長押や欄間などに彩色が施されている ・正面に欄間彫刻をいれるのは、この地域の中世本殿建築では珍しい |
向拝: ・江戸時代に向拝廻りが大修理を受け、木鼻などが取替えられている |
・向拝の蟇股は、彩色が施されているものの、意匠は左右対称で古風 |
アクセス JR東海道本線草津駅下車、北西3.8㎞です。1㎞ほど手前までバス便もあります。この地域の文化財巡りには草津駅・栗東駅のレンタサイクルが便利です。 |
見学ガイド 老杉神社は常時自由に参拝することができます。本殿は瑞垣の隙間から見ることができます。 |
感想メモ 石垣の上に本殿があって瑞垣が囲っているタイプは本殿の見学が難しいですが、老杉神社はこの形式でした。幸い石垣の高さが大きくなく瑞垣の目も粗かったので、本殿をよく見ることができました。 この地域の社殿は素木のものが多いですが、老杉神社本殿は、控えめながら彩色が施されていて、新鮮な感じを受けました。様式も特殊で、興味深い社殿です。 (2023年5月訪問) |
参考 現地解説板 |
風神を祀る鎌倉後期の社殿
しなじんじゃほんでん
志那神社本殿
しなじんじゃほんでん
草津市志那町
志那神社本殿 | 35.053350, 135.932626 鎌倉後期 一間社流造、檜皮葺 |
志那神社は風神を祀る古社で、式内栗太八社の一社であるとも考えられています。本殿は棟札から永仁六年(1298)の再建であるとされています。
・中央が志那神社本殿 |
・一間社流造檜皮葺で比較的小規模な本殿 |
・身舎は肘木で桁を受け、正面には菱格子の引戸が嵌められている |
向拝(内側より): ・直線的な虹梁で身舎と繋がれ、手挟を用いていない |
・向拝の蟇股は、古風な左右対称で簡潔な意匠 |
アクセス JR東海道本線草津駅下車、北西5.6㎞です。1㎞ほど手前までバス便もあります。この地域の文化財巡りには草津駅・栗東駅のレンタサイクルが便利です。 |
見学ガイド 志那神社は常時自由に参拝することができます。本殿も近くから見ることができます。 |
感想メモ 瑞垣が設けられていないので、すぐ近くから見ることができました。小規模ですが古風で落ち着いた社殿です。藤の花がきれいに咲いていました。 (2023年5月訪問) |
参考 現地解説板 |
装飾の少ない室町時代の社殿
いささじんじゃほんでん
伊砂砂神社本殿
いささじんじゃほんでん
草津市渋川2丁目
伊砂砂神社本殿 | 35.025287, 135.966821 室町後期 一間社流造、檜皮葺 |
伊砂砂神社は、天大将軍社と称されていましたが、明治初年に社号が改められました。本殿は棟札によって、応仁二年(1468)の建立であることが知られています。
・一間社流造檜皮葺の装飾の少ない社殿 |
・身舎柱は円柱で膝喰塗の亀腹上に立つ |
向拝: ・虹梁は直線的 |
向拝の蟇股 |
向拝の連三斗 |
右側面: ・豕扠首組で、中備は蓑束 |
棟飾り |
アクセス JR東海道本線草津駅下車、北東700mです。中山道沿いにあります。この地域の文化財巡りには草津駅・栗東駅のレンタサイクルが便利です。 |
見学ガイド 伊砂砂神社は常時自由に参拝することができます。本殿は瑞垣越しに一部見ることができます。 |
感想メモ 瑞垣の背が高くて連子の目も細かいので、細部がよく見えない部分もありました。 亀腹上に建つ一間社は、あまり見ないように思います。 (2023年5月訪問) |
参考 現地解説板 |
桐の紋の蟇股を飾る
しんぐうじんじゃほんでん
新宮神社本殿
しんぐうじんじゃほんでん
草津市野路6丁目
新宮神社本殿 | 34.999808, 135.953615 室町後期 一間社流造、正面軒唐破風付、檜皮葺 |
新宮神社は、東海道の重要な宿駅、野路に位置します。行基によって創建されたと伝わる野路寺の鎮護神です。本殿は、棟札により大永二年(1523)に建立されたことが明らかにされています。
・素木造りの一間社流造、桧皮葺で優美な唐破風を付ける ・身舎周囲三方は高欄付縁で固まれ、脇障子で仕切られている |
・特徴的な広い浜床 |
・頭貫上の珍しい桐の紋の蟇股と、直線的な繋虹梁 |
・向拝の蟇股 |
アクセス JR東海道本線南草津駅下車、南東900m。旧東海道を超えた少し先にあります。 |
見学ガイド 新宮神社は常時自由に参拝することができます。本殿は瑞垣越しに見ることができます。 |
感想メモ ネットには瑞垣の掖門が開かれた写真もあったので少し期待して訪問しましたが、残念ながらしっかりと閉ざされていました。瑞垣の連子の幅がやや広いので、コンデジで瑞垣内の写真を撮ることができました。 (2022年12月訪問) |
参考 現地解説板 |
和様を基調とした寄棟の古風な仏堂
せきしんじほんどう
石津寺本堂
せきしんじほんどう
草津市矢橋町
石津寺本堂 | 35.005884, 135.924233 室町前期 桁行五間、梁間四間、一重、寄棟造、本瓦葺 |
石津寺は最澄が創建したものとされ、本堂は足利義詮が1359年(正平14=延文4)に再建したと伝わる南北朝時代の様式を示す建築です。
・桁行5間、梁間4間で、亀腹土壇上に切目縁をめぐらし、円柱上の組物は出組、二軒繁垂木、寄棟造本瓦葺 ・和様を基調としているが、外廻りに長押をつけず桟唐戸を藁座でつりこみ、隅柱には頭貫の木鼻をつけるなど禅宗様を折衷している |
アクセス JR東海道本線南草津駅西2.7kmです。南草津駅、瀬田駅、草津駅からのバス便もあります。草津駅などのレンタサイクルも便利です。 |
見学ガイド 石津寺は住宅地の中に本堂のみが残されていますが、前面の私道がフェンスで封鎖されているので、本堂は少し離れたところからしか見ることができません。 |
感想メモ 文化財の前面の道路を頑丈なフェンスで封鎖しているのはかなり異例ですが、このようにしてあるのは以前投石などのいたずらがあったからとのこと。何とも残念な話です。古風な和様、寄棟造の趣のある建物だけに、本当に残念です。 (2022年12月訪問) |
参考 滋賀県百科事典 |
膳所城南大手門を移築
むちさきじんじゃおもてもん
鞭崎神社表門
むちさきじんじゃおもてもん
草津市矢橋町
鞭崎神社表門 | 35.007885, 135.926768 桃山 高麗門、本瓦葺 |
鞭崎神社は奈良時代に創建されたとも伝えられており、上洛途中の源頼朝がこの神社の森を鞭で指して名前を尋ねたことから鞭崎八幡宮と呼ばれるようになったと言われています。表門は、明治時代に膳所城の南大手門を譲り受けたものです。
・本瓦葺の高麗門で、右には潜門を設ける |
・頑丈な木材が縦格子に組み立てられ、その上に板を平列に張り、さらにその上に鉄板を直角に縦方向に張った頑丈な造り |
・鬼瓦や丸瓦には膳所藩本多氏の立葵の家紋 |
アクセス JR東海道本線南草津駅西2.7kmです。南草津駅からのバス便もあります。草津駅などのレンタサイクルも便利です。 |
見学ガイド 鞭崎神社は常時自由に参拝することができます。表門は常時自由に見学することができます。 |
感想メモ いかにも城門といった頑丈な造りです。この地方の神社には膳所城の城門が移設されている例がありますが、他の地方では珍しいように思います。 (2022年12月訪問) |
参考 びわこビジターズビューロー公式サイト |
二体の比丘形を彫り出す鎌倉後期の石塔
あんようじじゅうさんじゅうのとう
安養寺十三重塔
あんようじじゅうさんじゅうのとう
栗東市安養寺
安養寺十三重塔 | 35.016619, 136.000688 鎌倉後期 石造十三重塔(うち第九・十・十一重を欠く) |
安養寺は、奈良時代に良弁僧正が開基したと伝えられています。十三重塔は、作風から弘長年間よりやや遅れる鎌倉時代後期の作であると考えられています。
・高さは約4m ・第九重から十一重までが欠損しており、現在は十重塔 |
・基礎正面は二区に分けて二体の比丘形を彫り出している |
・基礎のその他の三面は格狭間が刻まれ、基礎上面は返花を彫り出している |
・初重塔身には四佛を刻み出す |
相輪 |
アクセス JR草津線手原駅南1.6kmです。JR草津駅のレンタサイクルも便利です。安養寺までは4.3kmです。草津駅から安養寺の近くまで入るバスもあります。この付近には二カ所の安養寺があり、十三重塔のあるのは名神高速のすぐ南の安養寺です。文化庁のDBは異なる方の安養寺の位置を示しています。十三重塔は境内の石段を上った先の薬師堂の前にあります。 |
見学ガイド 十三重塔は常時自由に見学することができます。 |
感想メモ 文化庁のDBに騙されて、違う方の安養寺の境内をうろうろしてしまいました。 重文石塔は基礎に珍しい彫刻が施されたものでした。 (2022年2月訪問) |
参考 現地解説板 |
式内社の大規模な一間社流造
おづきたいしゃほんでん
小槻大社本殿
おづきたいしゃほんでん
栗東市下戸山
小槻大社本殿 | 35.006790, 135.992494 室町後期 一間社流造、檜皮葺 |
小槻大社は式内社で、皇室の尊祟も厚く、古代は小槻氏、中世には青地城主青地氏の祟敬社とされました。本殿は、棟札写に永正16年(1519)と記されており、この時期に建立されたものと考えられています。
・規模の大きな一間社流造で、檜皮葺 |
・装飾を省き、木割を大きく取った力強い建築 |
アクセス JR東海道本線草津駅南東4kmです。草津駅のレンタサイクルが便利です。 |
見学ガイド 小槻大社は、常時自由に参拝することができます。本殿はすぐ近くから見ることができます。本殿は東南に面しています。 |
感想メモ 本殿を囲う瑞垣の背が低く、また、拝所の扉が開放されていて瑞垣内に立ち入ることもできたので、細部までよく見ることができました。一間社ですが規模が大きく木割も太い存在感のある建築です。拝所は近年の建築のようですが、ちょっと違和感があります。 (2022年2月訪問) |
参考 びわこビジターズビューロー公式サイト |
大野神社御旅所に残る桃山時代の四脚門
かすがじんじゃおもてもん
春日神社表門
かすがじんじゃおもてもん
栗東市荒張
春日神社表門 | 34.987795, 136.023243 桃山 四脚門、切妻造、檜皮葺 |
春日神社は大野神社の御旅所で金勝寺の護法神であると伝えます。表門は、墨書から慶長十八年(1612)に建てられたことが知られています。
表門外面(上段写真)と内面(下段写真): ・切妻造の桧皮葺で、繊細で優美な桃山時代の四脚門の好例 |
表門左側面: ・築地塀の取り付いたあとが残る |
・梁上の板蟇股が三斗を介して棟を支える |
アクセス 大野神社の南300mです。 |
見学ガイド 表門は常時自由に見学することができます。 |
感想メモ 大野神社から奥に進んだところにある静かな境内でした。小規模で均整の取れた美しい門です。 (2022年2月訪問) |
参考 現地解説板 |
平安末期の様式を残した古風な楼門
おおのじんじゃろうもん
大野神社楼門
おおのじんじゃろうもん
栗東市荒張
大野神社楼門 | 34.990060, 136.022774 鎌倉前期 三間一戸楼門、入母屋造、檜皮葺 |
大野神社は、金勝山の分水嶺である龍王山山項の古祠に祀られる本神の分霊を里の神として祀る神社です。創建年代は不祥です。楼門は、平安末期の様式を残した鎌倉時代初期の建物です。
楼門の表面(上段写真)及び内面(下段写真) |
左側面 |
・上層は簡素な平三斗 |
・腰組も簡素な出三斗 |
内面上層の蟇股: ・装飾の少ない古風な意匠 |
アクセス JR東海道本線草津駅南東8kmです。草津駅のレンタサイクルが便利です。少し距離があり、100m弱の上りなので、電動アシストでないと大変かもしれません。草津駅、栗東駅から神社に約1kmの住宅地まではバス便があります。 |
見学ガイド 楼門は常時自由に見学することができます。 |
感想メモ 非常に古風で上品な意匠の楼門でした。 (2022年2月訪問) |
参考 大野神社公式サイト |
前室付三間社流造の代表例の一つ
うわみやじんじゃほんでん
宇和宮神社本殿
うわみやじんじゃほんでん
栗東市蜂屋
宇和宮神社本殿 | 35.035166, 135.997177 室町後期 三間社流造、向拝一間、檜皮葺 |
宇和宮神社は養老元年(717)創建と伝える古社です。現在の本殿は、永正二年(1505)に棟上げしたことが棟木に記されています。
・この地域に多い前室付きの三間社流造 ・寛延四年(1751)の修理で向拝の柱・虹梁形頭貫などが取り 替えられている |
アクセス JR東海道本線栗東駅下車、東2㎞です。この地域の文化財巡りには草津駅・栗東駅のレンタサイクルが便利です。 |
見学ガイド 宇和宮神社は、常時自由に参拝することができます。本殿の一部は瑞垣越しに見ることができます。 |
感想メモ 前室付の三間社流造の代表例の一つなので、ゆっくり眺めていたかったですが、祭礼の準備で地域の方々が大勢忙しそうに作業をされていたので、早々に引き上げました。 (2023年5月訪問) |
参考 現地解説版 |
東海道間の宿・六地蔵の和中散本舗
おおすみけじゅうたく
大角家住宅
おおすみけじゅうたく
栗東市六地蔵
大角家住宅 | 主屋 | 35.024645, 136.018596 江戸中期 店舗、製薬所、台所及び居間 桁行19,4m、梁間19.1m、切妻造、北面、東面及び南面庇付、西面下屋、南面突出部附属、本瓦、桟瓦及び銅板葺 玄関及び座敷 桁行6.8m、梁間8.5m、切妻造、北面及び東面庇付、玄関千鳥破風付、南面下屋附属、南面突出部 桁行5.1m、梁間7.0m、入母屋造、南面及び西面庇付、桟瓦葺及び銅板葺 |
正門 | 35.024742, 136.018705 江戸中期 一間薬医門、桟瓦葺、両袖塀附属 | |
隠居所 | 35.024860, 136.018404 江戸中期 桁行12.9m、梁間7.0m、入母屋造、四面庇付、南面突出部 桁行5.9m、梁間6.9m、入母屋造、南面、東面及び西面庇付、東面玄関、南面押入附属、玄関千鳥破風付、本瓦葺 |
大角家は、旧東海道の草津宿と石部宿の中間で古来から間の宿として栄えた六地蔵の集落に位置します。大角家は屋号を「ぜざいや」といい、和中散の製造販売を営み、また間の茶屋本陣を兼ねていました。住宅は街道に北面して店舗・製薬所を構え、店奥に台所と居室が続きます。その東脇には正門と式台玄関、座敷からなる本陣部分を設け、また、街道をはさんだ向かい側にも隠居所などを配しています。
・中央が正門で、右の大きな切妻が主屋の店舗・製薬所、左に見切れているのが主屋の玄関部 |
主屋店舗・製薬所: ・桁行十間、梁間八間で屋根は切妻、街道に面する側には摺揚戸をはめる |
主屋軒廻り: ・表側には軒の出が深い小庇を付け、各柱筋と中間に突き出した腕木と持送りでこれを支える ・持送りや腕木鼻、出桁下の肘木には繰形彫刻が施されている |
主屋店舗内部: ・手前が店舗部と製薬所を分ける通りニワ、奥が30畳の店舗部(東ミセ) |
製薬所内部: ・主屋の西側が板敷の西ミセで、ここには大きな製薬機械を設置して実演販売を行っていた |
主屋玄関: ・千鳥破風を付し、大型の透彫欄間を入れた立派な外観 |
主屋座敷部: ・街道の湾曲に合わせ、敷居が緩く屈曲して敷かれている |
正門: ・一間薬医門で、左右に袖塀をめぐらす |
隠居所: ・本屋が本陣に利用されている間、家族の住居にあてられたとされる |
アクセス JR草津線手原駅東2kmです。旧東海道経由のルートも選べます。JR草津駅のレンタサイクルも利用することができます。草津駅からは旧東海道経由で6kmです。大角家は旧東海道に面して建てられています。街道の南側に主屋と表門、街道の北側に隠居所があります。 |
見学ガイド 大角家は通常非公開ですが、春秋に主屋内部が特別公開されます。それ以外の時期も予約制で主屋内部を見学することができます。街道に面しているので外観は常時見学することができます。主屋は北面しているので、日中は逆光になります。 |
感想メモ 大角家の前を通りかかると、摺揚戸を上げて公開の準備をされているところでした。この後、予約のお客さんがあるとのことで、予約された方の了承をいただいて、一緒に内部を見せていただきました。大角家の奥様から、家の歴史や、文化財を保存することの苦労話など、興味深いお話を聞かせていただきました。街道の湾曲に合わせて作られた座敷の敷居など、珍しい仕掛けを見ることができました。 (2022年2月訪問) |
参考 国指定文化財等DB |
地主神を祀る鎌倉後期の社殿
たいほうじんじゃけいだいしゃおふきじんじゃほんでん
大宝神社境内社追来神社本殿
たいほうじんじゃけいだいしゃおふきじんじゃほんでん
栗東市綣
大宝神社境内社追来神社本殿 | 35.040336, 135.980813 鎌倉後期 一間社流造、檜皮葺 |
大宝神社は、大宝年間創建で、牛頭天王の祠として信仰を集め、氏子圏も50余村に及んだとされています。追来神社は、その若宮ですが、大宝以前に創建された地主神とされ、式内社の意不伎神社である可能性があるとされています。追来神社本殿は墨書から弘安6年 (1283)の建立とされています。
・鎌倉時代建立の一間社流造檜皮葺の本殿 |
・装飾の少ない向拝部 |
左側面 |
跳高欄と木階 |
・身舎の蟇股は、古風な左右対称の意匠 |
・向拝の蟇股は、身舎と似た意匠だが、後補 |
アクセス JR東海道本線栗東駅下車、北500mです。向かって右側の境内社が追来神社本殿です。この地域の文化財巡りには草津駅・栗東駅のレンタサイクルが便利です。 |
見学ガイド 大宝神社は常時自由に参拝することができます。境内社追来神社本殿は、すぐ近くから見ることができます。 |
感想メモ 大宝神社はイメージしていたよりも、ずっと大きな神社でした。追来神社は本社よりも歴史が古いようですが、今は境内社ということで塀で囲われてなく、間近から鎌倉時代の美しい流造の社殿を見ることができました。朝早く訪れたときは木陰になっていたので、周辺の文化財を見終えて昼過ぎに訪問したら、奇麗に日が当たっていました。 (2023年5月訪問) |
参考 栗東市文化財保存活用地域計画 |