国宝・重要文化財指定の建造物

国宝・重要文化財指定の建造物

全国の国宝・重要文化財に指定された建造物についてのブログです。

全国の国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、通常公開されていない文化財の特別公開の情報をまとめています。
ネット上などで見つけたものはできるだけ紹介するようにしていますが、内容と値段が全く釣り合っていないように思われるものは省いています。広告代理店が絡んだ企画物には、ハズレが多いようにも思います。
逆に、社寺の年中行事に関係したものは趣が大変深く、また、公的機関が主催するものは専門家の解説があるなど、中身が濃いように思います。
このページの写真には過年度の公開事業の際に撮影したものも含まれます。
(6月3日情報更新)


国宝・重文建造物のトップページはこちら

令和6年4月20日から6月16日<三重県桑名市>諸戸家住宅庭園一般公開
令和6年5月10日、16日、24日、30日、6月14日、21日、28日<東京都品川区>旧島津本邸見学ツアー(予約抽選制)
令和6年6月5日から7日<奈良県奈良市>唐招提寺御影堂(旧一条院)公開
令和6年6月6日、13日、20日<愛知県半田市>中埜家住宅一般公開
令和6年6月9日<島根県松江市>美保関灯台内部限定公開
令和6年6月9日<東京都東村山市>正福寺地蔵堂内部特別公開
令和6年6月11日から17日<鹿児島県霧島市>霧島神宮春の特別拝観(予約制)
令和6年6月21日<広島県呉市>旧澤原家住宅見学会(予約制)
令和6年6月23日<熊本県大津町>江藤家住宅一般公開
令和6年7月7日<奈良県奈良市>興福寺三重塔内陣公開
令和6年7月13日<兵庫県西宮市>神戸女学院ヴォーリズ建築一般公開(予約制)


終了した特別公開事業


令和6年6月

  • <徳島県鳴門市>福永家住宅一般公開

令和6年5月

  • <秋田県秋田市>三浦家住宅一般公開
  • <福島県南相馬市>旧武山家住宅公開
  • <栃木県足利市>鑁阿寺経堂内部公開
  • <栃木県日光市>日光田母沢御用邸二階皇后御学問所室内特別公開
  • <千葉県佐倉市>堀田家住宅居間棟2階等特別公開
  • <東京都>東京建築祭(築地本願寺・明治生命館・三井本館特別公開)
  • <東京都港区>迎賓館赤坂離宮夜間公開
  • <東京都千代田区>水準原点一般公開
  • <神奈川県横浜市>神奈川県庁舎内部公開
  • <神奈川県横浜市>聴秋閣奥の遊歩道開放
  • <神奈川県横浜市>旧東慶寺仏殿・月華殿内部公開
  • <神奈川県鎌倉市>覚園寺開山塔特別公開
  • <神奈川県鎌倉市>円覚寺舎利殿特別公開
  • <静岡県伊豆の国市>江川邸内庭公開
  • <静岡県静岡市>臨済寺一般公開
  • <滋賀県栗東市>旧和中散本舗大角家住宅一般公開
  • <滋賀県大津市>住友活機園特別公開(予約抽選制)
  • <滋賀県草津市>芦浦観音寺一般公開
  • <京都府京都市>下鴨神社本殿他特別公開
  • <京都府京都市>松尾大社本殿特別参拝
  • <京都府京都市>伏見稲荷大社お茶屋特別公開
  • <京都府京都市>東寺宝物館公開(五重小塔)
  • <京都府京都市>妙法院五月会(大書院公開)
  • <京都府京都市>銀閣寺東求堂特別拝観
  • <京都府八幡市>石清水八幡宮本殿特別参拝
  • <京都府宇治市>萬福寺三門内部公開(予約制)
  • <京都府舞鶴市>行永家住宅一般公開
  • <京都府京都市>壬生寺大念仏堂公開(壬生狂言春の公演)
  • <京都府宇治市>松殿山荘春季一般公開(予約制)
  • <京都府京都市>知恩院 大方丈・小方丈特別公開
  • <京都府京都市>大徳寺黄梅院特別公開
  • <京都府八幡市>正法寺一般公開
  • <兵庫県神戸市>旧ハッサム住宅内部公開
  • <兵庫県神戸市>船屋形一般公開
  • <兵庫県姫路市>書写山円教寺大講堂等内部特別公開
  • <奈良県橿原市>今井町重文民家内部公開(今井町街並み散歩)
  • <奈良県奈良市>不退寺多宝塔特別公開
  • <奈良県奈良市>興福寺北円堂特別開扉
  • <奈良県奈良市>奈良女子大学記念館一般公開
  • <奈良県奈良市>東大寺本坊経庫公開(聖武天皇祭)
  • <奈良県生駒市>宝山寺獅子閣特別公開
  • <奈良県奈良市>興福院特別拝観
  • <鳥取県大山町>門脇家住宅一般公開
  • <岡山県高梁市>備中松山城二重櫓春の特別公開
  • <高知県香南市>安岡家住宅一般公開

令和6年4月

  • <福島県西会津町>円満寺観音堂開扉
  • <東京都大田区>池上本門寺五重塔開帳
  • <神奈川県鎌倉市>極楽寺忍性廟特別参拝
  • <神奈川県鎌倉市>浄光明寺五輪塔特別公開
  • <山梨県山梨市>上野家住宅特別公開(予約制)
  • <大阪府羽曳野市>吉村家住宅公開
  • <佐賀県多久市>多久聖廟春季釈菜(聖廟内特別公開)
  • <沖縄県伊是名村>玉御殿公開(公事清明)

令和6年3月

  • <京都府京都市>東本願寺緒殿特別拝観
  • <東京都渋谷区>旧久邇宮邸 (聖心女子大学パレス)
  • <岐阜県各務原市>旧川上家別邸「萬松園」見学会
  • <神奈川県鎌倉市>円覚寺舎利殿特別公開
  • <神奈川県鎌倉市>覚園寺開山塔特別公開
  • <千葉県南房総市>旧尾形家住宅内部公開
  • <岐阜県多治見市>永保寺観音堂・開山堂内部特別公開
  • <静岡県菊川市>黒田家住宅一般公開(梅まつり)
  • <京都府京都市>相国寺法堂内部特別公開
  • <京都府京都市>旧三井家下鴨別邸望楼特別公開
  • <京都府京都市>大徳寺興臨院特別公開
  • <京都府京都市>西本願寺書院・飛雲閣特別拝観
  • <京都府京都市>大徳寺仏殿・法堂内部特別公開
  • <京都府京都市>東福寺三門内部・龍吟庵特別公開
  • <大阪府大阪市>泉布館一般公開(予約制)
  • <兵庫県西宮市>神戸女学院ヴォーリズ建築一般公開
  • <兵庫県西脇市>西脇小学校校舎見学会(予約制)
  • <兵庫県たつの市>堀家住宅ひな祭り(主屋一部公開・予約制)
  • <奈良県桜井市>大神神社三ツ鳥居特別参拝(予約制)
  • <奈良県斑鳩町>法隆寺律学院開門(お会式)
  • <広島県広島市>旧広島陸軍被服支廠倉庫施設見学会
  • <福岡県福津市>豊村酒造非公開部分公開(予約制)
  • <大分県日田市>草野本家一般公開

令和6年2月

  • <茨城県牛久市>シャトーカミヤ旧醸造施設本館二階公開
  • <神奈川県鎌倉市>建長寺三門楼上公開
  • <京都府京都市>吉田神社大元宮特別拝観
  • <京都府京都市>壬生狂言舞台公開(節分公演)
  • <兵庫県姫路市>姫路城西小天守内部公開

令和6年1月

  • <栃木県日光市>田母沢御用邸三階御展望室特別公開
  • <神奈川県鎌倉市>円覚寺舎利殿特別拝観
  • <神奈川県鎌倉市>建長寺僧院一部立入解禁(除夜の鐘)
  • <神奈川県箱根町>函嶺洞門一般公開
  • <愛知県名古屋市>名古屋城西南隅櫓特別公開
  • <京都府京都市>醍醐寺三宝院特別拝観
  • <京都府京都市>東寺後七日御修法結願日(灌頂院開門)
  • <京都府京都市>吉田神社大元宮開門特別拝観
  • <京都府京都市>豊国神社唐門内公開
  • <大阪府泉大津市>泉穴師神社鈴門開放
  • <大阪府和泉市>泉井上神社和泉総社瑞垣内開放
  • <奈良県奈良市>東大寺大仏殿観相窓開放
  • <和歌山県田辺市>熊野本宮大社開寅詣(本殿開扉)
  • <島根県出雲市>出雲大社八足門内参拝
  • <広島県広島市>不動院金堂内部公開
  • <福岡県福岡市>筥崎宮楼門内参拝

令和5年12月

  • <東京都品川区>旧島津家本邸見学ツアー
  • <東京都港区>迎賓館赤坂離宮夜間公開
  • <神奈川県横浜市>臨春閣内部特別公開
  • <静岡県伊豆の国市>江川邸秋の内庭特別公開
  • <京都府京都市>銀閣寺東求堂内部特別公開
  • <京都府京都市>旧三井家下鴨別邸望楼特別公開
  • <京都府京都市>大徳寺興臨院特別公開
  • <京都府京都市>東福寺三門内部公開
  • <京都府京都市>東福寺龍吟庵特別公開
  • <京都府京都市>相国寺法堂内部特別公開
  • <京都府京都市>大徳寺黄梅院特別公開
  • <京都府京都市>聖護院門跡書院特別公開
  • <兵庫県西宮市>神戸女学院探訪
  • <奈良県奈良市>東大寺開山堂良弁忌
  • <奈良県生駒市>宝山寺獅子閣特別公開
  • <広島県東広島市>福成寺等見学会
  • <熊本県熊本市>吉田松花堂特別公開

令和5年11月

  • <青森県弘前市>最勝院五重塔内部公開
  • <秋田県秋田市>三浦家住宅一般公開
  • <山形県山形市>旧済生館本館3・4階特別公開
  • <茨城県かすみがうら市>椎名家住宅内部公開
  • <栃木県日光市>田母沢御用邸御食堂、御日拝所特別公開
  • <群馬県安中市>旧碓氷峠鉄道施設丸山変電所内部公開
  • <東京都目黒区>前田本邸非公開部分特別公開
  • <東京都文京区>根津神社社殿内部公開
  • <東京都港区>慶応大学三田演説館一般公開
  • <東京都港区>明治学院大学インブリー館内部公開
  • <東京都台東区>上野東照宮社殿内部公開(予約制)
  • <東京都東村山市>正福寺地蔵堂内部特別公開
  • <神奈川県横浜市>関家住宅特別公開
  • <神奈川県鎌倉市>円覚寺舎利殿特別公開
  • <富山県高岡市>勝興寺本堂奥書院金の間公開
  • <石川県輪島市>上時國家住宅の特別公開
  • <石川県輪島市>時國家住宅の特別公開
  • <静岡県静岡市>清水灯台内部公開
  • <愛知県名古屋市>名古屋市役所本庁舎公開
  • <愛知県名古屋市>名古屋城西南隅櫓特別公開
  • <愛知県半田市>旧中埜家住宅内部特別公開
  • <三重県伊勢市>旧慶光院客殿公開
  • <京都府京都市>冷泉家特別公開
  • <滋賀県湖南市>常楽寺秋の特別公開
  • <滋賀県草津市>芦浦観音寺一般公開
  • <京都府京都市>西本願寺書院・飛雲閣特別公開
  • <京都府舞鶴市>行永家住宅の秋季一般公開
  • <京都府京都市>東寺五重小塔公開
  • <京都府京都市>知恩院三門楼上内部公開
  • <京都府京都市>京都府庁特別公開
  • <京都府京都市>神護寺大師堂内部公開
  • <京都府京都市>龍谷大学大宮学舎特別公開
  • <京都府八幡市>石清水八幡宮特別昇殿参拝
  • <京都府八幡市>正法寺特別拝観
  • <京都府八幡市>伊佐家住宅特別公開
  • <京都府宇治市>松殿山荘秋季一般公開(予約制)
  • <大阪府熊取町>降井家書院公開
  • <大阪府羽曳野市>吉村家住宅公開
  • <兵庫県姫路市>書写山円教寺大講堂等内部特別公開
  • <兵庫県尼崎市>本興寺方丈公開・三光堂開扉
  • <兵庫県加古川市>鶴林寺行者堂内部公開
  • <兵庫県姫路市>弥勒寺本堂開扉(ほていまつり)
  • <兵庫県伊丹市>旧岡田家住宅非公開部分特別公開
  • <兵庫県たつの市>堀家住宅一般公開
  • <兵庫県神戸市>船屋形一般公開
  • <奈良県奈良市>旧奈良県物産陳列所特別公開
  • <奈良県奈良市>藤岡家住宅蔀戸開放
  • <奈良県奈良市>興福院特別拝観
  • <和歌山県広川町>濱口家住宅(東濱口家)一般公開
  • <奈良県平群町>藤田家住宅公開
  • <奈良県斑鳩町>法隆寺上御堂特別公開
  • <和歌山県高野町>金剛峯寺徳川家霊台内部公開
  • <鳥取県大山町>門脇家住宅特別公開
  • <鳥取県智頭町>石谷家住宅庭園公開
  • <岡山県岡山市>岡山城月見櫓特別公開
  • <広島県呉市>本庄水源地堰堤水道施設特別公開
  • <広島県広島市>世界平和記念聖堂内部公開
  • <広島県広島市>不動院金堂特別公開
  • <広島県呉市>旧澤原家住宅見学会
  • <広島県福山市>明王院本堂外陣・五重塔初重公開
  • <徳島県徳島市>丈六寺本堂等内部公開
  • <高知県香南市>安岡家住宅一般公開(予約制)
  • <福岡県福岡市>福岡城多門櫓内部公開
  • <福岡県志免町>旧志免鉱業所竪坑櫓特別公開
  • <福岡県北九州市>部埼灯台内部公開
  • <福岡県北九州市>旧松本家住宅特別公開
  • <熊本県大津町>江藤家住宅一般公開
  • <大分県日田市>草野本家秋季一般公開(木曜定休)

令和5年10月

  • <秋田県横手市>佐藤家、松浦家内蔵公開(蔵の日)
  • <秋田県大仙市>佐藤家住宅一般公開
  • <山形県山形市>旧済生館本館3・4階特別公開
  • <福島県南相馬市>旧武山家住宅公開
  • <茨城県常陸太田市>旧茨城県立太田中学校講堂一般公開
  • <東京都台東区>寛永寺德川歴代将軍霊廟特別公開
  • <東京都北区>旧醸造試験所第一工場特別公開
  • <東京都北区>旧磯野家住宅(銅御殿)前庭特別公開
  • <新潟県新潟市>新潟県議会旧議事堂修理直前特別公開
  • <新潟県十日町市>星名家住宅特別公開(予約制)
  • <静岡県静岡市>静岡浅間神社八千戈神社内部公開
  • <静岡県静岡市>臨済寺庭園公開
  • <岐阜県各務原市>旧川上家別邸「萬松園」見学会
  • <京都府京都市>東寺観智院公開(東寺のすべて)
  • <京都府京都市>壬生寺大念仏堂公開(壬生狂言)
  • <京都府京丹後市>経ケ岬灯台内部公開
  • <大阪府大阪市>大阪市中央公会堂特別室等公開
  • <大阪府交野市>北田家住宅一部一般公開(予約制)
  • <大阪府堺市>桜井神社拝殿開扉(上神谷こおどり)
  • <大阪府岬町>船守神社拝殿開扉(秋季祭礼)
  • <兵庫県西宮市>神戸女学院ヴォーリズ建築一般公開
  • <奈良県奈良市>東大寺勧進所特別拝観
  • <徳島県鳴門市>福永家住宅秋季一般公開
  • <香川県坂出市>鍋島灯台公開
  • <愛媛県松山市>松山城野原櫓、乾櫓公開
  • <福岡県福岡市>香椎宮本殿工事竣工見学会
  • <鹿児島県霧島市>霧島神宮特別参拝

令和5年9月

  • <秋田県秋田市>三浦家住宅公開
  • <富山県南砺市>白山宮覆屋開扉(こきりこ祭り)
  • <長野県山ノ内町>佐野神社本殿公開(秋季祭礼)
  • <滋賀県栗東市>旧和中散本舗大角家住宅一般公開
  • <京都府京都市>西本願寺経蔵公開
  • <京都府京都市>下鴨神社本殿他特別公開
  • <兵庫県姫路市>姫路城非公開エリア特別公開
  • <奈良県生駒市>宝山寺獅子閣特別公開
  • <奈良県奈良市>旧春日大社円窓内部公開
  • <福岡県福岡市>筥崎宮放生会(楼門内開放)

令和5年8月

  • <青森県弘前市>高照神社特別見学会
  • <福島県会津若松市>八葉寺阿弥陀堂開扉(冬木沢詣り)
  • <東京都港区>旧朝香宮邸茶室内部一部公開
  • <東京都東村山市>正福寺地蔵堂内部特別公開
  • <神奈川県横浜市>三渓園旧天瑞寺寿塔覆堂開扉
  • <愛知県名古屋市>名古屋城西南隅櫓特別公開
  • <愛知県豊川市>三明寺本堂内宮殿開帳
  • <京都府京都市>清水寺本堂内々陣特別拝観
  • <京都府京都市>旧三井家下鴨別邸主屋二階特別公開
  • <京都府京都市>北野天満宮本殿特別公開(石の間通り抜け神事)
  • <兵庫県西脇市>西脇小学校一般公開
  • <奈良県生駒市>宝山寺獅子閣特別公開
  • <和歌山県かつらぎ町>丹生都比売神社本殿特別拝観
  • <広島県福山市>福山城伏見櫓内部公開
  • <愛媛県松山市>松山城櫓内部陣特別拝観

令和5年7月

  • <北海道函館市>遺愛学院旧宣教師館公開
  • <山形県山形市>旧済生館本館3・4階特別公開
  • <兵庫県加古川市>鶴林寺太子堂内部公開

<以下は、後年度に同様の公開事業が行われていないもののみ記載>


令和5年6月

  • <宮城県松島町>瑞巌寺本堂堂内特別拝観
  • <東京都港区>旧朝香宮邸建物公開展
  • <静岡県静岡市>清水灯台1階部分公開
  • <京都府京都市>相国寺法堂特別公開
  • <京都府京都市>大徳寺伽藍特別公開
  • <京都府京都市>大徳寺興臨院特別公開
  • <京都府京都市>妙心寺三門内部特別公開
  • <京都府宇治市>養林庵書院特別公開
  • <山口県萩市>菊谷家住宅内庭公開
  • <香川県善通寺市>善通寺五重塔内部公開
  • <香川県琴平町>金刀比羅宮奥書院公開

令和5年5月

  • <和歌山県かつらぎ町>丹生都比売神社本殿特別拝観
  • <大分県宇佐市>宇佐神宮本殿特別公開

令和5年4月

  • <京都府宇治市>宇治神社本殿特別参拝(三卯の日)
  • <大阪府富田林市>興正寺別院等見学会

令和5年3月

  • <長野県長野市>真田家霊屋特別公開
  • <京都府京都市>妙心寺玉鳳院特別公開
  • <兵庫県姫路市>姫路城菱の門櫓公開

令和5年2月

  • <兵庫県神戸市>萌黄の館別館公開
  • <奈良県明日香村>岡寺書院特別参拝

令和4年12月

  • <大阪堺市>高林家住宅文化財保存活用プロジェクト
  • <兵庫県神戸市>村山家住宅庭園公開

令和4年11月

  • <埼玉県川越市>仙波東照宮特別公開
  • <東京都港区>増上寺三解脱門内部特別公開
  • <京都府京都市>京都ハリストス正教会特別公開
  • <大阪府堺市>大安寺特別公開
全国で国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、実際に訪問したものをコツコツと上げています。
国宝・重文指定の建造物は全国に5,457棟ありますが、ここで紹介しているのは現時点で941棟、カバー率は17.2%です。まだまだ先が長いです。

国宝・重文建造物の特別公開情報はこちら

更新履歴
2024/4/3大阪府(3)泉南編に孝恩寺、積川神社、兵主神社、降井家住宅特別公開を追加
2024/3/30京都府(4)田辺・八幡・山城西部編に雙栗神社を追加
2024/3/24東京都(3)副都心四区編を追加
2024/3/10山梨県(4)東部・富士五湖編の情報を更新
2024/2/23長崎県編を追加
2024/2/18和歌山県(2)紀中・紀南編に広八幡神社、角長ほかを追加
2024/2/7徳島県編を追加
2024/1/28栃木県(1)県央・県南・那須編、三重県(1)中勢・伊勢志摩編、(2)北勢・伊賀編を追加
2024/1/21文化財の新指定に伴い埼玉県(2)川越・比企編、和歌山県(1)紀の川・高野・伊都編、福岡県(2)福岡編を更新
2024/1/12大阪府(2)堺・泉州編に和泉井上神社を追加
2024/1/5神奈川県(1)鎌倉・県央・箱根編を追加
2023/12/16富山県(2)高岡編を追加
2023/12/16佐賀県編に土井家住宅を追加

秋田県
全域
藤倉水源地水道施設、嵯峨家住宅、旧秋田銀行本店本館、旧奈良家住宅、赤神神社、神明社観音堂、旧小坂鉱山事務所、康楽館ほか
2022/11/14更新

福島県
(1)中通り・浜通り
旧広瀬座、旧福島県尋常中学校、旧亀岡家住宅、白水阿弥陀堂、飯野八幡宮、専称寺、旧武山家住宅ほか
2023/4/30更新
(2)会津
八葉寺、延命寺、勝福寺、熊野神社、恵隆寺観音堂、旧五十嵐家住宅、奥之院弁天堂、弘安寺旧観音堂厨子ほか
2023/4/30更新

茨城県
全域
旧弘道館、旧飛田家住宅、善光寺楼門、来迎院多宝塔、塙家住宅、竜禅寺三仏堂、鹿島神宮、横利根閘門、西蓮寺ほか
2023/10/1更新

栃木県
(1)県央・県南・那須
専修寺、西明寺、綱神社、地蔵院本堂、円通寺表門、羽石家住宅、入野家住宅、旧下野煉化製造会社煉瓦窯
2024/1/28更新

群馬県
(3)富岡・西毛
貫前神社、旧茂木家住宅、妙義神社、旧碓氷峠鉄道施設、旧黒澤家住宅
2022/2/12更新

埼玉県
(2)川越・比企
喜多院、東照宮、日枝神社、旧山崎家別邸、大沢家住宅、光福寺、広徳寺
2024/1/21更新
(3)西部・所沢・秩父
旧台徳院霊廟、黄林閣、小野家住宅、福徳寺阿弥陀堂、高倉寺観音堂、出雲伊波比神社
2022/2/22更新

東京都
(3)副都心四区
早稲田大学大隈記念講堂、旧磯野家住宅、旧東京医学校本館、旧加賀屋敷御守殿門、明治神宮
2024/3/24更新
(4)23区西部・多摩
旧前田家本邸、正福寺、金剛寺、観音寺、旧宮崎家住宅、旧永井家住宅、小林家住宅ほか
2023/4/12更新

神奈川県
(1)鎌倉・県央・箱根
建長寺、円覚寺舎利殿、旧一条恵観山荘、旧石井家住宅、浄光明寺五輪塔、宝城坊ほか
2024/1/5更新

富山県
(1)富山・新川・砺波
富岩運河水閘施設(中島閘門)、白山宮本殿、村上家住宅、羽馬家住宅、岩瀬家住宅
2023/10/16更新
(2)高岡
瑞龍寺、気多神社本殿、勝興寺、菅野家住宅
2023/12/16更新

山梨県
(1)甲府・中北・峡南
善光寺、旧睦沢学校、武田八幡神社、長谷寺、安藤家住宅、八代家住宅、本遠寺、最恩寺ほか
2023/9/6更新
(2)山梨・石和
清白寺、天神社、窪八幡神社、中牧神社
2022/6/4更新
(3)塩山・勝沼
大善寺、雲峰寺、恵林寺、熊野神社、向岳寺、旧高野家住宅
2022/2/6更新
(4)東部・富士五湖
北口本宮富士浅間神社、旧外川家住宅、富士御室浅間神社、観音堂ほか
2024/3/10更新

長野県
(1)松本・安曇野・木曽
松本城、旧松本高等学校、旧松本区裁判所庁舎、馬場家住宅、筑摩神社、読書発電所施設ほか
2023/4/7更新

三重県
(1)中勢・伊勢志摩
金剛證寺本堂、旧松坂御城番長屋、来迎寺本堂、庫蔵寺、菅島灯台
2024/1/28更新
(2)北勢・伊賀
末広橋梁、諸戸家住宅、旧諸戸家住宅、地蔵院、大村神社宝殿、町井家住宅、観菩提寺
2024/1/28更新

滋賀県
(1)草津・栗東
観音寺、老杉神社、志那神社、石津寺、小槻大社、大野神社楼門、宇和宮神社、大角家住宅ほか
2023/6/11更新
(2)守山・野洲
懸所宝塔、勝部神社、小津神社、圓光寺、春日神社神門、御上神社、大笹原神社、生和神社ほか
2023/6/11更新
(3)彦根・湖東
彦根城、千代神社、有川家住宅、金剛輪寺、大行社、豊満神社四脚門、西明寺
2023/8/18更新

京都府
(1)南区
教王護国寺
2023/8/6更新
(2)伏見・山科
醍醐寺、安楽寿院、与杼神社、勧修寺、本圀寺
2023/8/6更新
(3)宇治
宇治上神社、宇治神社、平等院、浮島十三重塔、十八神社本殿、萬福寺
2022/8/29更新
(4)田辺・八幡・山城西部
久世神社、水度神社、荒見神社、伊佐家住宅、佐牙神社、白山神社、酬恩庵、寶積寺三重塔ほか
2024/3/30更新

大阪府
(1)大阪市・北摂
四天王寺、旧松坂屋大阪店、住吉大社、杭全神社、旧緒方洪庵住宅、八坂神社本殿、普門寺方丈ほか
2022/12/20更新
(2)堺・泉北
海会寺、南宗寺、大安寺、法道寺、桜井神社、旧浄土寺九重塔、聖神社ほか
2024/1/12更新
(3)泉南
孝恩寺、積川神社、願泉寺、意賀美神社、奥家住宅、中家住宅、来迎寺、船守神社ほか
2024/4/3更新

兵庫県
(1)神戸
旧ハンター住宅、移情閣、石峯寺、旧ハッサム住宅、旧小寺家厩舎、船屋形、徳光院多宝塔、旧トーマス住宅ほか
2023/1/16更新
(2)東播磨・北播磨・淡路
明石城、鶴林寺、旧西脇尋常高等小学校、一乗寺、酒見寺多宝塔、江埼灯台
2023/8/1更新

奈良県
(1)生駒・郡山
額安寺五輪塔、松尾寺本堂、旧臼井家住宅、高山八幡宮本殿、長弓寺本堂、長福寺本堂、宝山寺獅子閣ほか
2023/5/8更新

和歌山県
(1)紀の川・高野・伊都
三船神社、粉河寺、鞆淵八幡神社、根来寺、丹生都比売神社、慈尊院、丹生官省符神社ほか
2024/1/21更新
(2)紀中・紀南
浄妙寺、旧西村家住宅、道成寺、熊野那智大社、那智山青岸渡寺、広八幡神社、角長ほか
2024/2/18更新

山口県
(1)西部・中部・東部
功山寺、住吉神社、瑠璃光寺、洞春寺、今八幡宮、閼伽井坊、吉香神社ほか
2021/12/16更新
(2)萩・長門
東光寺、旧厚狭毛利家萩屋敷、菊屋家住宅、熊谷家住宅、早川家住宅ほか
2021/6/19更新

徳島県
全域
丈六寺、福永家住宅、箸蔵寺、田中家住宅、武知家住宅
2024/2/7更新

香川県
全域
高松城、屋島寺、丸亀城、白峯寺、善通寺、旧善通寺偕行社、志度寺、長尾寺
2021/7/15更新

福岡県
(2)福岡
香椎宮、筥崎宮、住吉神社、福岡城、宗像神社、太宰府天満宮、普門院、岩屋神社ほか
2024/1/21更新
(3)筑後
三池炭鉱宮原坑、早鐘眼鏡橋、善導寺、高良大社、有馬家霊屋、松延家住宅、風浪神社、旧吉原家住宅
2022/12/18更新

佐賀県
全域
多久聖廟、佐賀城、与賀神社、川打家住宅、田嶋神社、旧田代家西洋館ほか
2023/12/16更新

長崎県
全域
崇福寺、清水寺、眼鏡橋、興福寺、針尾送信所、青砂ヶ浦天主堂、頭ヶ島天主堂ほか
2024/2/23更新

沖縄県
全域
園比屋武御嶽石門、天女橋、旧円覚寺放生橋、新垣家住宅、豊見親墓、瀬底土帝君、中村家住宅、高良家住宅ほか
2023/3/13更新
このブログについて:

大阪府泉南地域で国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。
個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。

岸和田市
兵主神社本殿
積川神社本殿
大威徳寺多宝塔
貝塚市
願泉寺本堂、太鼓堂、表門
孝恩寺観音堂
泉佐野市
意賀美神社本殿
火走神社摂社幸神社本殿
奥家住宅主屋、土蔵、西土蔵、表門
慈眼院金堂
慈眼院多宝塔
総福寺鎮守天満宮本殿
阪南市
波太神社本殿、末社三神社本殿
泉南郡熊取町
中家住宅
降井家書院
来迎寺本堂
泉南郡岬町
船守神社本殿

 

 

和泉大宮の桃山様式社殿

兵主神社本殿


ひょうすじんじゃほんでん
岸和田市西之内町
兵主神社本殿34.470752, 135.391468
桃山
三間社流造、正面軒唐破風付、檜皮葺

兵主神社は春木川右岸の市街地に鎮座する式内社で、加守郷12か村の総社です。大宮とも呼ばれ、雨降の神として崇敬されてきました。本殿は桃山時代の再建です。
・三間社流造、桧皮葺で、軒唐破風を有する
・桃山風の装飾が施されている

・向拝は角柱で、身舎は粽付きの円柱
・柱上の組物は身舎中央二本が木鼻付きの平三斗で、他は出三斗
・中央二本の向拝柱には絵様のある手挟が付く

・浜床に蹴込板を持つのは和泉地方の特徴だが、同じくこの地方に多い浜縁の半高欄は兵主神社本殿では見られない

・妻は二重虹梁で、二段の蟇股が支える
・上段の蟇股の意匠は「菊水に筆」で、下段の蟇股は腸が失われている

アクセス
南海本線和泉大宮駅下車、北東1kmです。春木駅からも距離はあまり変わりません。
見学ガイド
兵主神社は常時自由に参拝することができます。本殿は正面が拝殿に塞がれ、側面が漆喰塀に囲われていますが、塀がそれほど高くないので、ある程度は建物を見ることができます。

感想メモ
和泉大宮駅も兵主神社も何十年も前から存在は知っていましたが、駅名が兵主神社に由来することは、これまで全く知りませんでした。美しい社殿ですが側面の蟇股が取り外されており、少し痛々しかったです。
(2024年2月訪問)

参考
岸和田市公式サイト、兵主神社公式サイト

 

 

桁行の長い三間社

積川神社本殿


つがわじんじゃほんでん
岸和田市積川町
積川神社本殿34.425037, 135.439515
桃山
三間社流造、正面千鳥破風付、檜皮葺

積川神社は牛滝川右岸の丘陵地の集落に鎮座する式内社で、和泉五社の一社に数えられています。もともとは牛滝川上流の水利神として地域住民の信仰を集めた神社であったと考えられています。本殿は豊臣秀頼が再建したものであると伝えられています。
・本殿は三間社流造・正面千鳥破風付・桧皮葺き
・一般的な三間社よりも桁行方向の延長が長い横長の建築であることが特徴

・身舎、向拝とも柱上は出三斗で、中備に蟇股を置く
・身舎正面は各間に四枚の引違戸をはめる

・蟇股は身舎正面(上段写真)、向拝(下段写真)とも近世的な意匠

・浜縁には半高欄を設けている

・妻は二重虹梁で、蟇股の意匠は兵主神社と同じく「菊水に筆」

・三間社だが、背面(写真右側)は五間
・背面の組物は正面、側面と同じく出三斗だが、中備は蟇股ではなく蓑束としている

アクセス
南海本線岸和田駅下車、牛滝線のバスで積川神社前下車すぐです。
見学ガイド
積川神社は常時自由に参拝することができます。本殿は瑞垣に囲われていますが、正面以外は瑞垣に近づくことができるので、格子越しに本殿を見ることができます。

感想メモ
桁行がかなり長い立派な社殿でした。側面の二重虹梁や菊水に筆の蟇股が兵主神社と共通していて興味深かったです。背面を五間としているのも面白いです。
瑞垣の隙間から撮影したものが多く、前回も今回も斜めに傾いた写真がほとんどで苦労して撮影したことを思い出します(ここに掲載した写真は角度を補正しています)。
(2019年5月、2024年2月訪問)

参考
岸和田市公式サイト

 

 

寺内町を支配した貝塚御坊

願泉寺


がんせんじ
貝塚市中町
願泉寺本堂34.448585, 135.357456
江戸中期
桁行27.8m、梁間27.0m、一重、入母屋造、向拝一間、本瓦葺
太鼓堂34.448534, 135.357909
江戸中期
桁行三間、梁間三間、二重二階、入母屋造、本瓦葺
表門34.448347, 135.357777
江戸中期
四脚門、切妻造、本瓦葺

願泉寺は、貝塚氏の中心部に位置する浄土真宗本願寺派の寺院で、慶長15年(1610年)、徳川家康より寺内(じない)諸役免許の黒印状を与えられ、以後、貝塚寺内町の地頭となり、明治4年(1871年)までその支配が続きました。願泉寺の本堂、太鼓堂、表門の3棟が重要文化財に指定されています。
本堂:
・寛文3年(1663)から翌4年にかけて再建された桁行27.8メートル、梁間27.0メートルの規模の大きな建物
・入母屋造、本瓦葺で、向拝一間を備える

・本堂周囲に広縁、落縁(一段下がった外周部)を廻すなど本山格の大型真宗本堂の典型的な建築

・本堂広縁は格天井
・身舎には蔀戸を吊る

太鼓堂:
・切石積基壇上に建つ重層の入母屋造、本瓦葺の建物
・下層は方3間で北側に入口を設け、四方に花頭窓を配置する
・上層は方2間で、中央に太鼓を備え付け、四方に彫刻入りの格狭間形の窓を配する
・享保4年(1719)の再建と考えられている

表門:
・切妻造、本瓦葺の四脚門で、正面の冠木長押上に龍の彫物、四周組物間に透彫の彫物を置くなど、全体的に装飾性に富んでいる
・延宝7年(1679)の建設と考えられている

アクセス
南海本線貝塚駅下車、徒歩数分です。
見学ガイド
表門が閉ざされていても、中町通り沿いの通用口から境内に入り、自由に見学することができます。

感想メモ
正面の門が閉ざされていたので諦めかけていましたが、通用口が開放されていて助かりました。寺内町を統治していた寺院の威厳を感じさせる建築です。
(2020年7月、2024年2月訪問)

参考
貝塚市教育部

 

 

村人たちに守られてきた釘無堂

孝恩寺観音堂


こうおんじかんのんどう
貝塚市木積
孝恩寺観音堂34.397128, 135.394537
国宝・鎌倉後期
桁行五間、梁間五間、一重、寄棟造、本瓦葺

孝恩寺は、水間観音の南方、木積集落に位置する浄土宗寺院で江戸時代に創建されものです。現在の本堂である国宝の観音堂は、もとは深谷山観音寺という寺院の観音堂で、明治時代に観音寺が廃寺になったことから、昭和36年(1961)に孝恩寺の本堂となったものです。
観音寺は、奈良時代に行基によって開創されたとされる寺院ですが、天正13年(1585)の豊臣秀吉による紀州攻めに際して伽藍の大部分が焼失し、残された観音堂と持仏は木積村の人々によって守られてきました。観音堂は、「釘無堂」とも呼ばれており、様式から鎌倉時代の建築であると考えられています。
・桁行5間、梁間5間、寄棟造、本瓦葺で、向拝を付けない背の低い建築
・伝統的な和様を基調とする落ち着いた造りだが、随所に鎌倉新様式の禅宗様と大仏様が取り入れられている
・正面の中央3間の出入口には禅宗様の桟唐戸を吊り、正面両端と側面前寄りの3間は縦桟をはめた和様の連子窓とする
・周囲に濡縁をめぐらす

・背面(写真左)中央部1間にも桟唐戸を吊る

・屋根瓦は、上部を細めた丸瓦を重ねて葺く行基葺き
・先代の観音堂の瓦を再利用したと考えられる平安時代の瓦も残されており、それらは令和の修理時に本堂南面西側の屋根に集められた

・正面の桟唐戸には藁座など禅宗様の細部様式がみられる

・軒は二軒の平行繁垂木、柱上の組物は出三斗
・中備は正面(写真左)が透彫の本蟇股で、それ以外の三面が間斗束

・正面中央には梵字を刻んだ蟇股を飾る

・蟇股は古風な左右対称に近い意匠

・木鼻は刳形を持つ大仏様で、獅子鼻に近い意匠

・内部は、前方2間を外陣(写真中央)、後方3間を内陣(写真右の結界の奥)とする
・外陣は中央の通りの柱を省くことで広い空間を確保している
・梁間方向には太い大仏様の虹梁を架けている
・身舎中心部(写真右)は禅宗様の板張の鏡天井とし、周囲は垂木を見せた化粧屋根裏としている

・内陣(写真奥)と外陣の間は、吹き寄せの菱格子欄間と蔀戸(内陣側に開いている)で仕切られている

・結界上には左右対称の古風な意匠の蟇股が置かれている

・内陣は正面中央3間、側面2間で、後寄りに本尊を安置する厨子を設けている

アクセス
水間鉄道水間観音駅下車、南東1.5㎞です。本数は少ないですが駅からのバスもあります。南海貝塚駅のレンタサイクルも利用できます。
見学ガイド
孝恩寺は、開門中、自由に参拝することができます。観音堂も近くから見ることができます。観音堂が開扉されているときは堂内に入ることができます。

感想メモ
長い間工事で拝観できませんでしたが、やっと訪問することができました。前回訪問したときは駅からかなり歩いた記憶がありますが、今回は親戚に車で送ってもらったので一瞬で着きました。たまにはこういう飛び道具もいいなと思います。
古来この辺りは周辺の山林から切り出した木材の集積地で畿内の社寺建築の現場に送り出していたとのこと。このお堂もきっと特上の木材を使っているのだろうなとか考えながら眺めていました。
正面の扉が開放されていたので、内部も見ることができました。古風な蟇股が内部にもあって見ごたえがあります。
(2024年1月訪問)
前回訪問時は日が陰っていたのと、行基葺きの瓦を見落としていたので、再訪しました。今回は貝塚駅のレンタサイクルです。孝恩寺拝観後は峠を越えて積川神社まで足を延ばすことができて、なかなか良かったです。
ちょうどご住職のお母さんが庭の草取りをされていて、釘無堂についての詳しいお話や、愛猫のことなど、いろいろ伺うことができました。
(2024年2月訪問)

参考
貝塚市公式サイト、孝恩寺公式サイト

 

 

雨水豊作の武塔天神を祀る

意賀美神社本殿


おがみじんじゃほんでん
泉佐野市上之郷
意賀美神社本殿34.368833, 135.328216
室町中期
一間社春日造、正面軒唐破風付、檜皮葺

意賀美神社は泉佐野市の樫井川左岸の高台にあり、武塔天神とも呼ばれ、雨水豊作の神として地域の信仰を集めています。本殿は、嘉吉二年(1442)の建立です。
・一間社春日造の向拝に唐破風を付けた様式
向拝の装飾

身舎左側面の装飾

アクセス
JR阪和線長滝駅南東1.8kmです。この地域の文化財巡りには日根野駅近くのシェアサイクルが便利です。神社では日根野から2.7kmです。
見学ガイド
本殿は常時自由に見学することができます。本殿は石垣の上にあり、周囲に瑞垣が設けられています。正面の石段を上って拝所の格子の隙間から見学することができるほか、左の摂社の前の石段などからも見ることができます。

感想メモ
極彩色ではありますが、色彩の調和も考慮された落ち着いた社殿です。
(2021年12月訪問)

参考
泉佐野市文化財保存活用地域計画

 

 

極彩色の春日造

火走神社摂社幸神社本殿


ひばしりじんじゃせっしゃみゆきじんじゃほんでん
泉佐野市大木
火走神社摂社幸神社本殿34.351910, 135.369387
室町後期
一間社春日造、銅板葺

火走神社は泉佐野市の山合に位置する式内社です。摂社幸神社本殿幸社は本社本殿の向かって右側のに建てられています。
・一間社春日造で、細部に古制が良く保存され、組物は柱にくらべて大きく力量感にあふれる
・柱の大きな面取や繋虹梁、木鼻・蟇股の様式、軒桁の反り増し、刎高欄などに室町時代の特色がよく表れて いる
・部材・壁面に彩色が施されている

アクセス
JR阪和線日根野駅から犬鳴線のバスで中大木下車すぐです。日根野駅からの距離は6.4kmで日根野駅のシェアサイクルも使える距離ですが、110mの登りです。日根野のシェアサイクルには電動アシストがついていないので、ちょっと大変でした。
見学ガイド
幸神社本殿は、常時自由に見学することができます。社殿は瑞垣に囲まれているので、瑞垣の格子の隙間からの見学です。隣接の社殿や、覆い屋根の支柱などがあって視角は限られます。瑞垣の左側面から背面を通って右側面に回り込むことができます。

感想メモ
修復工事が終わり、奇麗に整備されていました。
(2021年12月訪問)

参考
現地解説板

 

 

熊野街道沿いに建つ豪農の館

奥家住宅


おくけじゅうたく
泉佐野市南中樫井
奥家住宅主屋34.383617, 135.299546
江戸前期
居室部 桁行18.4m、梁間12.1m、二重、南面庇付、入母屋造、
北面突出部 桁行8.7m、梁間5.8m、入母屋造
客室部 桁行11.8m、梁間5.9m、入母屋造、西面居室との取合部、
南面玄関、東面便所及び風呂場附属
総本瓦葺
土蔵34.383730, 135.299572
江戸中期
土蔵造、桁行5.5m、梁間4.0m、二階建、切妻造、南面庇付、本瓦葺
西土蔵34.383718, 135.299509
江戸末期
土蔵造、桁行5.0m、梁間3.4m、二階建、切妻造、南面庇付、本瓦葺
表門34.383442, 135.299484
江戸中期
長屋門 桁行10.1m、梁間3.0m、東端入母屋造、西端附属屋に接続
附属屋 桁行10.8m、梁間5.0m、南端入母屋造、北端切妻造
総本瓦葺

奥家住宅は、樫井川右岸の熊野街道沿いに建てられた江戸時代の豪農の館です。主屋は広い土間と、泉州地域に多い食違い四間取りで、後から三間続きの奥座敷が増築されています。
主屋西面

敷地北側より:
・左が土蔵で、その右が西土蔵、奥の建物が主屋

・手前が西土蔵で奥が土蔵

表門:
・熊野街道に面した長屋門(写真右奥が主屋)

表門の附属屋

アクセス
JR阪和線新家駅の北1.5kmです。旧紀州街道に面して建てられています。この地域の文化財巡りには日根野駅近くのシェアサイクルが便利です。奥家住宅までは日根野から3.6kmです。
見学ガイド
奥家住宅は非公開ですが、公道から重文指定された建造物を見ることができます。

感想メモ
存在感のある立派なお屋敷です。熊野街道沿いはきれいに整備されていますが、それ以外は少し荒廃が進んでいます。
(2021年12月訪問)

参考
泉佐野市公式サイト

 

 

岸和田藩七人庄屋の大型住宅

中家住宅


なかけじゅうたく
泉南郡熊取町五門西1丁目
中家住宅34.400741, 135.348430
江戸前期
桁行24.5m、梁間16.1m、入母屋造、妻入、茅葺、四面庇付、西面及び東面突出部附属、本瓦葺、
北面突出部 桁行9.1m、梁間5.9m、入母屋造、本瓦葺

中家住宅は熊取の中心部に位置します。中家は、江戸時代、岸和田藩の七人庄屋をつとめた家柄で、主屋は、江戸時代初期の建築です。
主屋正面:
入母屋造り、茅葺き、妻入りの建物で、南面している

主屋東面

・間取りは、泉南地方や紀ノ川筋に特徴的にみられる喰違三間取りを原型としたもの

主屋西面:
・縁の内側に座敷が並ぶ

・写真手前から六畳、ツギノマ、ザシキが並ぶ

ダイドコロ:
・ダイドコロは板敷で、広い土間に突き出して設けられている
・ダイドコロの奥、向かって左側の列はザシキで、右側の列がナンド
・下段写真はダイドコロの化粧屋根裏

・薬医門形式の表門(上段写真)と唐門(下段写真)は、ともに重要文化財に附指定されている

アクセス
JR阪和線熊取駅南東1.2kmです。
見学ガイド
中家住宅は無料で公開されています。公開時間は午前10時~午後4時30分で、1、2、8月は土日祝のみの公開、それ以外は水曜休館です。

感想メモ
切妻の妻飾りに大きな家紋を掲げ、存在感の強い建物です。内部の造りも豪壮です。
(2021年12月、2023年11月訪問)

参考
熊取町公式サイト

 

 

江戸時代の庄屋の邸宅の書院

降井家書院


ふるいけしょいん
泉南郡熊取町大久保中2丁目
降井家書院34.401894, 135.343916
江戸前期
桁行15.9m、梁間8.2m、一重、寄棟造、茅葺、北面庇付、桟瓦葺

降井家書院は熊取の中心部、中家住宅の西方に位置します。降井家は、中家とともにこの当地方の豪族で、庄屋を務めたと伝えられています。書院は元は広間に接続していたようですが、広間と切放して現在地に移されています。書院の建設は江戸時代初期と考えられており、その後、柱、縁廻り等相当大きな修理を受けています。
・写真上段から、南面、東面、北面、北面及び西面
・南北棟の寄棟、茅葺の建築
・内部は北側の8帖の上段の間と南側の12帖の次の間から成り、その南北東の三方に畳敷の入側を持ち、さらに四週に縁側がある

東側の縁:
・障子の奥の畳敷きが入側で、座敷はその奥の障子の向こう側にある

アクセス
JR阪和線熊取駅南東900mです。
見学ガイド
降井家書院は通常非公開です(毎年、秋に特別公開されるようです)。公道から屋根の一部を見ることができます。

感想メモ
公開日ではなかったので表通りから拝見しました。のぞき見をしているようで、気が引けました。
(2021年12月訪問)
特別公開が行われたので再訪しました。専門の先生や修理を担当した技師の方から説明を聞くことができて勉強になりました。中家での講演が終わって降井家に着いたころには、もう陽が傾いていましたが、快晴だったので何とか光がありました。内部は撮影禁止ですが、襖絵など大変素晴らしい美術品が残されています。
(2023年11月訪問)

参考
熊取町公式サイト

 

 

雨山城の遺構とも伝わる行基葺の小堂

来迎寺本堂


らいごうじほんどう
泉南郡熊取町和田3丁目
来迎寺本堂34.386596, 135.361631
鎌倉後期
桁行三間、梁間三間、一重、寄棟造、本瓦葺

来迎寺は和泉山脈の山裾に位置します。寺伝によれば、来迎寺はもとは天台宗に属し、のちに真言宗となり、元禄二年(1689)に曹洞宗梅渓寺の末寺となったとされています。本堂は、嘉暦四年(1329)建立と伝えられ、もと雨山城にあった祈願堂であるともいわれています。
・鎌倉時代の様式を備えた三間四方の小堂で、屋根は寄棟造、基壇はなく野面石上に柱を建てる

・屋根は、本瓦葺の丸瓦の上端を細くして、上の瓦の下端に差し込む行基葺

・円柱上に置かれた質素な舟肘木で軒を受ける

アクセス
JR阪和線熊取駅からバスで朝代下車、東に1kmです。この地域の文化財巡りには日根野駅近くのシェアサイクルが便利です。来迎寺までは日根野から4kmです。
見学ガイド
来迎寺本堂の外観は常時自由に見学することができます。

感想メモ
古風な鎌倉建築です。本堂右側が上り坂なので、行基葺を間近に見ることができます。
(2021年12月訪問)

参考
現地解説板

 

 

紀州の豪族紀氏を祀る桃山様式の社殿

船守神社本殿


ふなもりじんじゃほんでん
泉南郡岬町淡輪
船守神社本殿34.331330, 135.172290
桃山
三間社流造、正面千鳥破風及び軒唐破風付、檜皮葺

船守神社は和歌山県境に近い淡輪の鎮守で、社伝によれば911年醍醐天皇の勅命で創建されたとされ、藤原仲麻呂の乱で戦功を挙げた紀船守(きのふなもり)を主祭神として祀ります。この地は古来より紀州の豪族紀氏との関係が深く、紀船守もこの地域に葬られたとされています。土佐日記で知られる紀貫之は紀船守の5世の孫に当たります。
本殿(祭礼時に撮影):
・桃山様式の三間社流造で、屋根は檜皮葺きで正面に千鳥破風と軒唐破風を有する
・豊臣秀頼の命により片桐且元が造営したものであると伝えられている

・通常は拝殿の馬道の扉が閉じられているので、本殿は扉の菱格子越しにしか見ることができない
・軒唐破風をわずかに確認することができるが、屋根は見えない

アクセス
南海本線淡輪駅下車、徒歩約10分です。駅前通りを直進し、最初の信号を左折して進むと神社の前に出ます。
見学ガイド
船守神社は常時自由に参拝することができます。本殿は拝殿の扉の菱格子を通して一部を見ることができます。毎年10月14日、15日の祭礼の際には、拝殿の扉が開放され、本殿に近づくことができます。ただし、本殿周囲は植栽が多く、視角は限られます。

感想メモ
本殿はかなり厳重にガードされていて、拝殿の馬道を通る以外にアクセスできませんが、馬道の扉は閉ざされています。扉の菱格子を通して本殿の一部を見ることはできますが、拝殿の屋根が遮って、本殿の屋根などは見えません。
(2020年12月訪問)
秋の祭礼の日に再訪しました。今度は拝殿の扉が開かれていて、本殿を近くから見ることができました。当番の方が本殿前におられて、ちょっと写真を撮る雰囲気じゃないと思って、しばらく本殿を眺めていたら、「どうぞ写真も撮って行ってください」と声をかけていただけました。ありがとうございました。
(2023年10月訪問)

参考
岬町公式サイト、淡輪漁協公式サイト
このブログについて:

京都府八幡・田辺・山城西部地域で国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。
個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。

城陽市
久世神社本殿
水度神社本殿
荒見神社本殿
向日市
向日神社本殿
八幡市
伊佐家住宅主屋、長蔵、内蔵、乾蔵、東蔵
石清水八幡宮本社本殿、幣殿及び舞殿、瑞籬、廻廊 (楼門西門間)、廻廊 (楼門東門間)、廻廊 (背面)、楼門、西門、東門、摂社武内社本殿
石清水八幡宮摂社水若宮社本殿、摂社若宮殿社本殿、摂社若宮社本殿、摂社住吉社本殿、西総門、東総門、北総門、摂社狩尾社本殿
石清水八幡宮五輪塔
正法寺本堂、大方丈、唐門
京田辺市
佐牙神社本殿(1)、(2)
白山神社本殿
酬恩庵本堂
酬恩庵方丈及び玄関 (方丈)、方丈及び玄関 (玄関)、庫裏、鐘楼、浴室、東司
法泉寺十三重塔
澤井家住宅
乙訓郡大山崎町
自玉手祭来酒解神社神輿庫
妙喜庵書院及び茶室(待庵)茶室(待庵)、書院
寶積寺三重塔
聴竹居(旧藤井厚二自邸)本屋、閑室、茶室
久世郡久御山町
雙栗神社本殿

 

 

久世廃寺跡に建つ唐草の欄間を持つ社殿

久世神社本殿


くぜじんじゃほんでん
城陽市久世芝ケ原
久世神社本殿34.859708, 135.780144
室町前期
一間社流造、檜皮葺

久世神社は、現在は宅地開発されている木津川東岸の段丘上に鎮座しています。久世廃寺跡に隣接し、日本武尊を祭神としています。創祀された年代は明らかにされていません。本殿は室町時代中期に建築されたと推定されています。
・朱塗りの一間社流造、檜皮葺で、柱上部や租物などを極彩色仕上げた華やかな外観

向拝柱(左)と身舎(右)の装飾

身舎組物の装飾

身舎正面格子戸上部の欄間: 
・中央に菊、左右に二個の桐を等間隔で置き、その間を唐草模様で埋める
・欄間透かし彫りは桃山時代になるまで発達しなかったが、この欄間はその過渡期のもので、平面的ではあるものの、進歩の跡が見られる

・向拝には写実的な蟇股が置かれている

アクセス
JR奈良線城陽駅北600m、近鉄京都線久津川駅南東1kmです。久津川駅からのルートは段丘を一段上るので、地図アプリでは遠回りのルートが表示されることがあります。神社西の階段のある踏切を目指すと最短ルートになります。
見学ガイド
本殿は常時自由に参拝することができます。瑞垣越しの見学になります。

感想メモ
非常に派手な社殿で、そればかりに目が行ってしまい、この社殿の特徴である欄間の透かし彫りについてはあまり頭に残っていません。ピントがずれていますが、欄間が写り込んだ写真があったので掲載しました。
(2021年12月訪問)

参考
京都山城地域振興社公式サイト、総覧日本の建築6-I

 

 

大きな千鳥破風と笹りんどうの蟇股の式内社

水度神社本殿


みとじんじゃほんでん
城陽市寺田宮ノ谷
水度神社本殿34.854797, 135.789577
室町中期
一間社流造、正面千鳥破風付、檜皮葺

水度神社は、城陽の市街地の東、鴻ノ巣山の麓に鎮座する式内社で旧寺田村の産土神です。現在の本殿は室町時代の文安5年(1448年)に建立されたものです。
・一間社流造で、この地域では珍しい大きな千鳥破風が特徴

右側面: 
・手挟の若葉の装飾が木鼻の上部に覆いかぶさるのは珍しい意匠

・向拝中備の蟇股は笹りんどうと左右対称の唐草の意匠

アクセス
JR奈良線城陽駅東1km、近鉄京都線寺田駅東1.6kmです。バス便もあります。
見学ガイド
水度神社は常時自由に参拝することができます。本殿は瑞垣越しに見ることができます。瑞垣の菱格子の隙間が比較的大きく、厚さも薄いので、コンデジであれば格子の隙間から撮影することもできます。

感想メモ
JRの線路のまだ手前から参道がずっと続いていて、社格の高さを感じました。神社の背後の鴻ノ巣山は地元の方の朝の散歩コースになっているようで、朝早くから多くの方がお参りされていました。
本殿は千鳥破風が大きな社殿だと言うことで、ちょっと落ち着かない感じなのかと思っていましたが、実際にはそんなことはなく、均整が取れているように感じました。
向拝の蟇股と同様の意匠の欄間が身舎正面にあって、この社殿の特徴の一つとのことですが、残念ながら神前幕で隠れていて見ることができませんでした。
(2022年11月訪問)

参考
現地解説板、総覧日本の建築6-I

 

 

若葉模様の珍しい意匠の木鼻を持つ社殿

荒見神社本殿


あらみじんじゃほんでん
城陽市富野荒見田
荒見神社本殿34.840949, 135.784062
桃山
三間社流造、檜皮葺

荒見神社は当初、五社ケ谷の山中にありましたが、室町時代に城陽の市街地南方の現在地に遷り、産土神として崇敬を集めてきました。本殿は慶長9年(1604年)に造営されたものす。
・三間社流造で身舎正面に引き違え格子戸を置く

・身舎木鼻に珍しい若葉の彫刻

・身舎は出組で、海老虹梁で向拝をつなぐ
・海老虹梁端部にも装飾が施されている

アクセス
JR奈良線長池駅から0.8km、近鉄京都線富野荘駅からは1.2kmです。
見学ガイド
本殿は瑞垣越しに常時自由に見学することができます。本殿は西面しています。

感想メモ
小細工が多い建築で、面白かったです。新しい試みを遠慮がちにやっているような感じでした。
(2021年12月訪問)

参考
京都山城地域振興社公式サイト、総覧日本の建築6-I

 

 

寺院建築に見られる連子窓を持つ社殿

向日神社本殿


むこうじんじゃほんでん
向日市向日町北山
向日神社本殿34.944139, 135.697050
室町中期
三間社流造、檜皮葺

向日神社は向日市の市街地西部に広大な境内を構える式内社で、本殿は応永29年(1422年)に上棟されました。三間社流造、檜皮葺で、両脇間に寺院建築に見られる連子窓が付くことが特徴です。
アクセス
阪急京都線西向日駅下車、北西1.1㎞です。
見学ガイド
向日神社は常時自由に参拝することができます。本殿は覆屋の中にあり、全く見ることができません。

感想メモ
丘の上までまっすぐ伸びた石畳の長い参道が 社格の高さをしめしています。綺麗に整えられた境内ですが、本殿は隙間のない立派な覆屋の中にあって、全く見ることができませんでした。禅寺風の珍しい社殿なのに、残念です。
(2023年5月訪問)

参考
向日市公式サイト、現地解説板

 

 

天領を管理してきた旧家

伊佐家住宅


いさけじゅうたく
八幡市上津屋浜垣内
伊佐家住宅主屋34.864871, 135.746638
江戸中期
桁行23.8m、梁間11.3m、一部二階、入母屋造、茅及び桟瓦葺
長蔵34.864728, 135.746572
江戸末期
土蔵造、桁行15.8m、梁間4.0m、寄棟造、桟瓦葺
内蔵34.865006, 135.746631
江戸中期
土蔵造、桁行6.0m、梁間4.0m、二階建、切妻造、本瓦葺、
南面庇附属、銅板葺、西面廊下附属、桟瓦葺
乾蔵34.865093, 135.746461
江戸末期
土蔵造、桁行5.0m、梁間4.0m、二階建、切妻造、南面庇附属、桟瓦葺
東蔵34.865098, 135.746642
江戸中期
土蔵造、桁行7.0m、梁間4.0m、二階建、切妻造、南面庇附属、桟瓦葺

伊佐家住宅は宇治川の左岸、上津屋の流れ橋の近くに位置します。伊佐家は江戸時代を通じ天領の管理を担うとともに村の長を務めてきました。
主屋は享保19年(1734)に再建されたもので、当時伏見桃山で産出された「桃山」と呼ばれる土で塗られた赤い壁が特徴です。蔵は表に長蔵、裏に内蔵、東蔵、乾蔵などが石垣の上に並んでいます。
主屋南面: 
・左側高塀の手前が賓客を迎えるための式台

主屋の式台: 
・近年は桃山の入手ができないため、このあたりの壁の赤色は、古い壁の桃山をはぎ取って塗布してあるとのこと
・塀の赤色は桃山に似せた塗装

・茅葺きの厚さが大きいのがこの住宅の特徴
・かつては左の塀中門の屋根近くまで茅葺の厚みがあったが、近年は乾燥した茅の入手が難しく、これ以上厚くすると茅の重みで柱が持たないとのこと

高塀の奥、主屋西端の座敷部: 
・座敷内部の壁に用いられている赤土はオリジナルの「桃山」

主屋西側面: 
・茅葺の建物の裏側に瓦葺の建物が増築され、複雑な構造の建物になっている

主屋の棟の瓦葺

長蔵南面(右奥が主屋)

長蔵西側面

・左から、乾蔵、二階蔵、木小屋、棟の向きが変わって東蔵、右端見切れているのが内蔵
・これらは主屋から渡り廊下で結ばれている

乾蔵

・右が内蔵で左が東蔵

アクセス
JR学研都市線京田辺駅・近鉄京都線新田辺駅と京阪線石清水八幡宮駅を結ぶバスで浜上津屋下車すぐです。このほか、近鉄京都線大久保駅と京阪淀駅を結ぶバスで佐山バス停で下車して流れ橋経由でアクセスするルートもあります。
見学ガイド
伊佐家住宅は通常非公開です。公道から主屋の一部と長蔵は見ることができます。

感想メモ
特別公開の日に行きました。一日2回公開で、各回先着15名限定ということなので一時間前に着きましたが、まだ誰もいませんでした。時間になると10名ほどか集まってスタート。伊佐家の奥様に詳しく説明していただきました。最近はしっかりと乾燥した茅が入手できなくて、昔のような厚さで差茅をしたら茅の重みで柱が持たなくなってしまう話など、古民家の維持の大変さについていろいろと教えていただきました。
主屋を横から見ると増改築の履歴がよく分かって興味深かったです。近くの流れ橋や浜茶の茶畑も面白かったです。
(2022年11月訪問)

参考
八幡市公式サイト、現地説明

 

 

酒造の男神・女神を祀る二殿並立の社殿

佐牙神社本殿


さがじんじゃほんでん
京田辺市宮津佐牙垣内
佐牙神社本殿(1)34.792508, 135.783380
桃山
一間社春日造、檜皮葺
(2)34.792544, 135.783370
桃山
一間社春日造、檜皮葺

佐牙神社は京田辺の市街地南方の集落に鎮座します。社伝では573年に創建されたとされ、酒造神、佐牙弥豆男神(さがみづをのかみ)と佐牙弥豆女神(さがみづめのかみ)を祭神としています。本殿は桃山時代の建築です。
・左右ニ殿からなり、ともに檜皮葺の一間社春日造
・向拝は天明6年(1786)の後補

・身舎の三方にとりつけた6個の蟇股は、輪郭が鎌倉風で、内部の彫刻は左右対称の古風な意匠

アクセス
JR学研都市線三山木駅または近鉄京都線近鉄宮津駅から徒歩10分程度です。両線の西に平行する府道を、三山木からは南に、宮津からは北に進むと、府道沿いに参道入口があります。
文化庁のDBの位置情報は間違っているので、注意が必要です。
見学ガイド
佐牙神社の境内にはいつでも自由に入ることができます。本殿の前面は拝殿で塞がれ、残る三方は隙間のない漆喰塀で囲われていますが、周辺の地盤が高くなっている部分があるので、塀越しに本殿を見ることができます。

感想メモ
本殿は塀に囲まれていて見ることができないかと思いましたが、うまく見える場所があってよかったです。端正な春日造が二殿並立しています。
(2021年1月訪問)

参考
京田辺市観光協会公式サイト、京都府観光連盟公式サイト

 

 

蟇股や木鼻に室町建築の特徴を残す社殿

白山神社本殿


はくさんじんじゃほんでん
京田辺市宮津白山
白山神社本殿34.785120, 135.781354
室町後期
一間社流造、厚板葺

白山神社は田辺の市街地南方の山裾に鎮座します。草創については明らかにされていませんが、本殿は室町後期の永享年間の造営といわれています。
・向拝蟇股や木鼻などにこの時代の特徴が見られる

アクセス
JR学研都市線下狛駅または近鉄京都線狛田駅から北西に徒歩15分程度です。現地には案内表示がないので事前に場所を確認しておく方が良いと思います。
文化庁のDBの位置情報は間違っているので、注意が必要です。
見学ガイド
白山神社本殿は常時自由に見学することができます。本殿には覆屋がかけられていますが、前面が大きく開いているので、見学の大きな支障にはなりません。

感想メモ
文科省のDBの位置情報、この地域はかなりいい加減です。同名の神社がほかにもあるので、探すのに少し苦労しました。覆屋が簡素なもので、社殿をよく見ることができたのはありがたかったです。全体的に荒廃が進んでいるようです。
(2021年1月訪問)

参考
京田辺市観光協会公式サイト

 

 

一休禅師が再興した寺院

酬恩庵


しゅうおんあん
京田辺市薪里ノ内
酬恩庵本堂34.820697, 135.757061
室町後期
桁行三間、梁間三間、一重、入母屋造、背面庇附属、檜皮葺
酬恩庵方丈及び玄関 (方丈)34.821057, 135.757722
江戸前期
桁行18.0m、梁間11.5m、一重、入母屋造、檜皮葺、背面昭堂附属
方丈及び玄関 (玄関)34.820936, 135.757633
江戸前期
桁行折曲り五間、梁間一間、一重、前後唐破風造、桟瓦葺、両端檜皮及び銅板葺
庫裏34.821027, 135.757507
江戸前期
桁行16.0m、梁間16.0m、一重、一部二階、切妻造、妻入、
南面及び北面庇付、こけら葺、西面庇付、こけら及び桟瓦葺、
東面渡廊下附属、檜皮葺
鐘楼34.820619, 135.757551
江戸前期
桁行三間、梁間二間、袴腰付、入母屋造、本瓦葺
浴室34.820742, 135.758045
江戸前期
桁行五間、梁間三間、一重、切妻造、妻入、本瓦葺
東司34.820902, 135.757417
江戸前期
桁行二間、梁間二間、一重、切妻造、桟瓦葺

酬恩庵は田辺の市街地西方の山裾に位置します。元は妙勝寺とよばれており、鎌倉時代、臨済宗の高僧大應国師が開創したものです。その後、荒廃していたものを六代の法孫に当たる一休禅師が康正年中(1455〜6年)堂宇を再興し、師恩にむくいる意味で酬恩庵と命名しました。
本堂は、1429年から1441年の永享年間に六代将軍足利義教の帰依により建立さたもので、本堂以外の重文指定建造物は、江戸時代の慶安3年(1650)に加賀三代目藩主前田利常の寄進により再建されたものです。
本堂: 
・山城・大和地方の禅宗様建築の中で最も古い建造物
・大きな軒反り、詰組、弓欄間、花頭窓など禅宗様の特徴がみられる

・左が庫裏で右が方丈、その手前の唐門と方丈に伸びる廊下部分が玄関

・玄関の渡り廊下から見た方丈

・玄関の唐門と、その欄間の獅子と鳳の彫刻

鐘楼

東司(とうす、便所)

浴室(蒸し風呂)

アクセス
JR学研都市線京田辺駅・近鉄新田辺駅とJR松井山手駅を結ぶバスで一休寺下車、徒歩5分です。京田辺駅からは1.3kmで、徒歩圏内です。京田辺駅を西に進み、府道に出たら右折して北進、水路橋をくぐった少し先に一休寺の案内標識があります。この先、酬恩庵までは一休とんちロードとして整備されています。
見学ガイド
酬恩庵は有料で公開されています。開門時間は9:00~17:00です。

感想メモ
それほど有名なお寺ではありませんが、禅宗様の本堂をはじめ、見ごたえのある建築が多く残されています。
(2020年11月訪問)

参考
酬恩庵公式サイト

 

 

鎌倉時代の治水事業の記念塔

法泉寺十三重塔


ほうせんじじゅうさんじゅうのとう
京田辺市草内南垣内
法泉寺十三重塔34.812146, 135.785737
鎌倉後期
石造十三重塔、弘安元年戊寅十一月廿六日建立の刻銘がある

法泉寺は田辺の中心部の南東の新興住宅地にあります。十三重石塔は、鎌倉時代に奈良西大寺の叡尊 (興正菩薩)の社会事業として水害対策・渡しの整備を行った際の供養紀念として、宇治川の石塔に先立ち建立されたものです。弘安元年(1278)十一月二十六日・勧進僧良印の銘があります。
・高さ約6メートルで、相輪は近年の補作

・基礎と初重軸部は非常に低く、近畿では異例

アクセス
JR学研都市線同志社前駅又は近鉄京都線興戸駅下車、北東に徒歩15分です。丘陵地に開発された住宅地の街路で少しややこしいです。なお、文化庁のDBの位置情報は間違っているので、注意が必要です。
見学ガイド
十三重塔はいつでも自由に見学することができます。

感想メモ
文化庁のDBの位置情報にまた騙されて、3キロ以上離れた一休寺の近くを探し回りました。
(2021年1月訪問)

参考
現地解説板

 

 

天王山の山中にある板倉

自玉手祭来酒解神社神輿庫


たまてよりまつりきたるさかとけじんじゃしんよこ
乙訓郡大山崎町大山崎
自玉手祭来酒解神社神輿庫34.901481, 135.678699
鎌倉後期
桁行三間、梁間二間、校倉、一重、切妻造、本瓦葺

自玉手祭来酒解神社は大阪府境に近い天王山の山中に鎮座します。創建は奈良時代にまで遡るといわれ、延喜式神名帳にも名神大社であることが記されています。
神輿庫: 
・三角断面の部材を積み上げた校倉形式ではなく、厚さ約14cmの厚板を積み上げた板倉形式
・板倉形式の遺構は非常に少なく、これ以外に重文に指定されているものは奈良春日大社の板蔵が唯一だが、それは江戸時代のものでこの神輿庫よりも時代が下る

・軒も厚板を並べたもので、丸桁は板壁で直接受けている

・下部は面取り角柱で、自然石の礎石上に建つ

アクセス
JR東海道本線山崎駅・阪急京都線大山崎下車、北2kmです。高低差200mの山道です。
見学ガイド
自玉手祭来酒解神社は、常時自由に参拝することができます。神輿庫はフェンス越しに見ることができます。

感想メモ
かなり本格的に登りました。祭礼があったようで氏子の皆さんが御神体?を舁いで上っていました。かなりの苦行です。
神輿庫は興味深い構造の板蔵でしたが、周囲に無粋なフェンスが張られていて、雰囲気は今ひとつでした。足元は良くないですが、フェンス際まで進むことができたので、近くから良く見ることができました。
(2023年5月訪問)

参考
現地解説板

 

 

羽柴秀吉が本陣を置いた寺

寶積寺三重塔


ほうしゃくじさんじゅうのとう
乙訓郡大山崎町大山崎
寶積寺三重塔34.895172, 135.679174
桃山
三間三重塔婆、本瓦葺

宝積寺は、天王山の麓、大山崎に位置します。聖武天皇の勅願により行基が開山したと伝わる古刹で、山崎の戦いの際には、羽柴秀吉が本陣を置いた寺としても知られています。三重塔は慶長九年(1604)に建立されたものです。
・桃山時代の建立だが、古風な和様建築

初重: 
・二軒の平行繁垂木、柱上は尾垂木付の三手先、中備は蓑束、軸部は長押で固める

第二重及び第三重: 
・基本的な構成は初重と同じで、古風な組高欄がつく

アクセス
JR東海道本線山崎駅・阪急京都線大山崎下車、北1kmです。天王山の麓にあり、そこそこ上ります。
見学ガイド
寶積寺は常時自由に参拝することができます。三重塔も近くから自由に見ることができます。

感想メモ
Googleに言われるがまま大山崎山荘美術館を通って行こうとしましたが、寶積寺への通り抜けは禁止でした。分岐まで戻って上りなおしました
和様の落ち着いた塔ですが、周囲がお墓と駐車場で、環境はいまいちでした。
(2023年5月訪問)

参考
宝積寺公式サイト

 

 

極彩色の式内社社殿

雙栗神社本殿


さぐりじんじゃほんでん
久世郡久御山町佐山双栗
雙栗神社本殿34.876261, 135.757575
室町後期
三間社流造、向拝一間、檜皮葺

雙栗神社は木津川の右岸、久御山町の郊外の住宅地に鎮座する式内社です。中世以降は石清水八幡宮の分霊を祀ったことから椏本(あてもと)一品八幡宮と呼ばれましたが、明治に入って旧号に復されています。本殿の建立年次については、社伝にいう室町時代の末明応3年(1494)頃であると考えられています。
・本殿の形式は、石清水八幡宮の分霊を祀ることから三間社流造で、屋根は檜皮葺、正面に向拝を付ける
・全体に極彩色が施されている

・向拝には写実的な蟇股を置き、向拝頭貫は近世的な象鼻を持つ

・身舎向かって左の側間には「花と鳥」の蟇股を置く

・身舎向かって右の側間には「紅葉と鹿」の蟇股を置く

・脇障子上部には「栗鼠と葡萄」の欄間を設ける

アクセス
京阪本線淀駅と、近鉄京都線大久保駅、京阪宇治駅を結ぶバスで久御山団地口下車すぐです。
見学ガイド
雙栗神社は常時自由に参拝することができます。本殿は前面に拝所が建ち、瑞垣に囲まれているので視角に制約があります。

感想メモ
規模の大きな三間社です。修理直後とあってかなり派手な極彩色です。近世以前の色彩の乏しい世の中ではこういった配色が神々しかったのかもしれません。彫刻は江戸時代のもののように主張しすぎていないので、全体としての美しさを保っています。
(2024年2月訪問)

参考
久御山町公式サイト
このブログについて:

東京都副都心4区で国宝や国の重要文化財に指定された建造物のうち、私がこれまで訪問したものを紹介しています。
個人の備忘録みたいなものですが、実際に訪ねてみたら目当ての文化財が塀や樹木の陰で見えないといったことも時々あるので、ここでは、このあたりも詳しく書いて、閲覧してくれた方の参考になるように考えました。また、文化財の位置は国指定文化財等データベースで確認できますが、間違った情報も結構多いので、ここでは現地で実際に確認した座標を記載しています。
記載内容は訪問日時点のものです。情報が古くなってしまっている可能性もあり、修復工事が始まって見学できないこともあるので、注意してください。

新宿区
聖徳記念絵画館
学習院旧正門
早稲田大学大隈記念講堂
旧馬場家牛込邸
新宿御苑旧洋館御休所
文京区
根津神社本殿、幣殿、拝殿、唐門、西門、透塀(唐門西門間)、透塀(唐門東方)、透塀(西門北方)、楼門
旧磯野家住宅主屋、表門
護国寺本堂
護国寺月光殿(旧日光院客殿)
旧東京医学校本館
旧加賀屋敷御守殿門(赤門)
渋谷区
旧朝倉家住宅主屋、土蔵
旧久邇宮邸(聖心女子大学)御常御殿・小食堂、正門
明治神宮本殿、内拝殿及び祝詞殿、内院渡廊(1)、(2)、外拝殿、宝庫、神庫、内透塀及び北門、神饌所及び渡廊、旧祭器庫、北回廊(1)、(2)、外透塀(1)、(2)、(3)、北神門、外院回廊(1)、(2)、(3)、(4)、東神門、西神門、南神門、宿衛舎、玉垣(1)、(2)、(3)、(4)、祓舎、南手水舎、西手水舎、東手水舎、神橋、南制札、北制札、西制札
明治神宮宝物殿中倉、東西倉(東倉)、東西倉(西倉)、東西廊(東廊)、東西廊(西廊)、東西橋廊(東橋廊)、東西橋廊(西橋廊)、東西渡廊(東渡廊)、東西渡廊(西渡廊)、北廊、車寄、事務所、正門
代々木競技場第一体育館、第二体育館
豊島区
雑司ケ谷鬼子母神堂
自由学園明日館中央棟、東教室棟、西教室棟、講堂

 

 

早稲田のシンボル

早稲田大学大隈記念講堂


わせだだいがくおおくまきねんこうどう
新宿区早稲田鶴巻町
早稲田大学大隈記念講堂35.708910, 139.721575
昭和
鉄骨鉄筋コンクリート造、建築面積1,225.95平方メートル、三階建、地下一階、鉄筋コンクリート造時計塔付

早稲田大学大隈記念講堂は、早稲田大学早稲田キャンパスに位置します。創立者である大隈重信に対する記念事業として計画され、昭和2年(1927)に竣工しました。
・ロマネスク様式を基調としてゴシック様式を加味したもの
・わが国近代の折衷主義建築の優品として、高い価値があるとされている

アクセス
東京メトロ早稲田駅北500mです。
見学ガイド
大隈記念講堂の外観は常時自由に見学することができます。

感想メモ
改めて文化財としてゆっくりと眺めると、すっきりとした美しい建築です。
(2021年4月訪問)

参考
文化遺産オンライン

 

 

銅(あかがね)御殿として知られる

旧磯野家住宅


いそのけじゅうたく
文京区小石川5丁目
旧磯野家住宅主屋35.719002, 139.738238
大正
木造、建築面積547.08平方メートル、一部3階建、銅板葺
表門35.718854, 139.737694
大正
四脚門、切妻造、南北屋根塀及び脇門附属、銅板葺

旧磯野家住宅は、茗荷谷駅から湯立坂を上ったところに位置します。実業家の磯野敬が建設した住宅です。 主屋の屋根は銅板葺で、外壁にも銅板を張ることから、銅御殿と称されています。
主屋南面: 
・大正元年(1912)竣工で、車寄を備えた平屋建の書院棟、3階建の応接棟、平屋建の旧台所棟などからなる

主屋西面(応接棟三階部分)

主屋内部(玄関より)

表門: 
・大正2年(1913)竣工の四脚門で、尾州檜の太い丸太材を柱に用いている

アクセス
東京メトロ丸の内線茗荷谷駅北東250mです。
見学ガイド
磯野家住宅は通常非公開ですが、表門は公道に面しているので、常時見学することができます。主屋の一部は西側の遊歩道から見ることが出ます。

感想メモ
普段は非公開で、都心にあって深い木立に囲われた神秘的な住宅です。西側の遊歩道の階段からちょうどうまく主屋を見ることができる場所がありますが、目の前の電線に邪魔をされます。
(2020年4月訪問)
特別公開の日に訪問しました。普段固く門を閉ざした謎めいた屋敷の敷地内に入ることができました。コロナの影響で前庭からのみの見学でしたが、ちょうどいい角度で住宅を見ることができる場所があってよかったです。この日は午後の遅い時間の訪問になったので日が陰ってしまっていたのは残念でした。Google Mapに投稿された写真を見ると、早い時間だときれいに日が当たっていたようです。
(2022年10月訪問)

参考
東京都文化財情報DB

 

 

明治初期の木造擬洋風建築

旧東京医学校本館


とうきょういがっこうほんかん
文京区白山3丁目
旧東京医学校本館35.721400, 139.741150
明治
木造、建築面積430.6m2、二階建、桟瓦葺、正面玄関及び中央部塔屋付

旧東京医学校本館は、もとは東大本郷キャンパスにありましたが、現在は小石川植物園に隣接した場所に移築されています。東京大学の前身にあたる東京医学校時代の建物で、明治9年(1876)に概成したものです。東京開成学校と東京医学校が合併され、東京大学が創設された以後は、医学部本部・病室などの用途に用いられました。明治44年(1911)に建物の前半部が赤門脇へ移され、この際に平面規模の縮小とともに、形状が一部変更され現在見るような姿となりました。明治初期の木造擬洋風建築の特徴を示す建物です。
・小石川植物園から池越しに眺めた医学校本館

・塔屋は明治44年の規模縮小時に改変されたもの

・二階ベランダには和風の擬宝珠付き親柱の高欄が用いられている

アクセス
東京メトロ丸の内線茗荷谷駅から700mです。
見学ガイド
旧東京医学校本館は東京大学総合博物館分館として無料で公開されています(耐震診断のため令和3年から休館中)。開館時間は10時-16時30分 (入館は16時まで)で、休館日は月・火・水曜日です。本館は隣接する小石川植物園からきれいに見ることができます。植物園入口は医学校本館から700mほど離れた植物園南東端にあります。

感想メモ
もとは本郷キャンパスの人の往来のある所に建っていたのでしょうが、今は小石川植物園西端の池の畔で静かに余生を過ごしています。明治の擬洋風建築の中には背伸びをして西洋建築を模倣しようとしているようなものもありますが、この建物はそういう感じではなく、西洋の良いところは取り入れてやろうといったどっしりと構えたところがあるように感じました。
(2021年10月訪問)

参考
(参考:東京大学総合博物館公式サイト)

 

 

東京大学の代名詞

旧加賀屋敷御守殿門(赤門)


かがやしきごしゅでんもん(あかもん)
文京区本郷7丁目
旧加賀屋敷御守殿門(赤門)35.710606, 139.760356
江戸後期
三間薬医門、切妻造、本瓦葺、左右繋☆塀及び離番所付
繋☆塀 左右各4.1m、本瓦葺
番所 左右各桁三間、梁間二間、一重、前後唐破風造、本瓦葺

旧加賀屋敷御守殿門は、東大本郷キャンパスの赤門として広く知られています。もとは加賀藩上屋敷の御住居表御門で、文政10年(1827)に、加賀藩第13代藩主前田斉泰に輿入れする第11代将軍徳川家斉の第21女溶姫を迎えるために建てられたものです。御守殿とは、三位以上の大名が将軍家から迎えた妻、またはその居所を意味します。通常、御守殿門は輿入れした姫がなくなると取り壊されますが、溶姫が輿入れしたのが幕末で、この土地が新政府に移管されたため、取り壊されることなく残されました。旧加賀屋敷御守殿門は、加賀百万石にふさわしい豪華な構造と構成となっています。
・切妻造、本瓦葺の薬医門で、門の左右に繋塀と唐破風付きの番所を配している
・唐破風の番所の付く門は格式の高い大名にのみ許された
・大名屋敷の赤色の門は御守殿にのみ許された

・重厚な冠木で、金物で装飾されている
・柱は長辺を正面に向ける長方形断面で、外見を重厚に見せている。

・本瓦葺きで、棟には重厚な意匠が見られる

向かって左側の番所:
・左右の番所の外側には海鼠壁が続く

番所の唐破風:
・兎の毛通しや笈形などに装飾が凝らされている

アクセス
東京メトロ・都営地下鉄本郷三丁目駅下車、本郷通を北にすぐです。
見学ガイド
赤門は常時自由に見学することができます。2022年3月時点では、耐震診断中であるため、門を潜ったり近くには立ち入ったりすることはできません。赤門は西面しています。

感想メモ
耐震診断のため周辺に立ち入ることができませんでしたが、風格のある門でした。
(2021年11月訪問)

参考
東京都文化財情報DB、東京大学公式サイト、東京大学youtube

 

 

大正期の邸宅

旧朝倉家住宅


あさくらけじゅうたく
渋谷区猿楽町
旧朝倉家住宅主屋35.647508, 139.700916
大正
木造、建築面積573.76平方メートル、一部2階建、桟瓦葺
土蔵35.647643, 139.700691
大正
鉄筋コンクリート造及び木造、建築面積29.03平方メートル、2階建、桟瓦葺、東面庇附属

旧朝倉家住宅は代官山に位置します。朝倉家は、明治以降、精米業などにより発展した家で、住宅は東京府議会議長などを務めた朝倉虎治郎が大正8年(1919)に建設したものです。宅地北側に主屋が建ち、西に土蔵があります。
主屋東面玄関:
・主屋は、木造2階建てで、ほぼ全室が畳敷き、屋根は瓦葺、外壁は下見板張、一部が漆喰塗り

主屋南面

主屋二階広間

主屋平面図

主屋西側の土蔵:
・軸部を木造、外壁を鉄筋コンクリート造とし、入口や窓は重量感のある鉄扉で作られている

アクセス
東急東横線代官山駅下車すぐです。JR渋谷駅からだと徒歩20分程度です。
見学ガイド
朝倉家住宅は、有料で公開されています。公開時間は、10:00~18:00(ただし、11月~2月は10:00~16:30)で、月曜日は休館です。主屋は内部も見ることができます。

感想メモ
植栽が多いため、主屋、蔵とも外観の視角は限られていました。2020年には特に土蔵周囲に植栽が繁茂していて全体像を見ることができなかったので、2009年に撮影した写真を引っ張り出してきました。
(2009年6月訪問、2020年11月再訪)

参考
東京都文化財情報DB、渋谷区公式サイト

 

 

内務省神社局の設計

明治神宮


めいじじんぐう
渋谷区代々木神園町
明治神宮本殿35.676384, 139.699385
昭和
木造、建築面積一〇八・七〇平方メートル、正面向拝付、銅板葺
内拝殿及び祝詞殿35.676214, 139.699381
昭和
内拝殿 木造、建築面積二二六・一三平方メートル、正面千鳥破風及び軒唐破風付、銅板葺
祝詞殿 木造、建築面積六五・三七平方メートル、銅板葺
内院渡廊(1)35.676110, 139.699549
昭和
東方内院渡廊 木造、建築面積三七・一八平方メートル、銅板葺
内院渡廊(2)35.676090, 139.699245
昭和
西方内院渡廊 木造、建築面積三七・一八平方メートル、銅板葺
外拝殿35.675961, 139.699416
昭和
木造、建築面積五〇七・二一平方メートル、銅板葺
宝庫35.676535, 139.699513
昭和
鉄筋コンクリート造、建築面積六一・九二平方メートル、地下一階、東西出入口付
神庫35.676501, 139.699189
昭和
木造、建築面積一一・五七平方メートル、銅板葺
内透塀及び北門35.676523, 139.699351
昭和
内透塀 東方及び西方 各折曲り延長六七・七メートル、銅板葺
北門 木造、建築面積一〇・九七平方メートル、銅板葺
神饌所及び渡廊35.676231, 139.699034
昭和
神饌所 木造、建築面積五九・四九平方メートル、銅板葺
渡廊 木造、建築面積二八・九二平方メートル、銅板葺
旧祭器庫35.676228, 139.699761
昭和
木造、建築面積四四・六二平方メートル、銅板葺
北回廊(1)35.676668, 139.699499
大正
東方北廻廊 木造、建築面積一〇四・一一平方メートル、銅板葺
北回廊(2)35.676621, 139.699181
大正
西方北廻廊 木造、建築面積一〇四・一一平方メートル、銅板葺
外透塀(1)35.676116, 139.699756
昭和
南東方外透塀 木造、延長一六・四メートル、銅板葺
外透塀(2)35.676407, 139.699722
昭和
北東方外透塀 木造、延長三二・七メートル、銅板葺
外透塀(3)35.676417, 139.698999
昭和
北西方外透塀 木造、延長二二・七メートル、銅板葺
北神門35.676648, 139.699325
大正
木造、建築面積一八・五八平方メートル、銅板葺
外院回廊(1)35.675505, 139.699800
大正
南東方外院廻廊 木造、建築面積一一一・七三平方メートル、銅板葺
外院回廊(2)35.675438, 139.699145
大正
南西方外院廻廊 木造、建築面積一一一・七三平方メートル、銅板葺
外院回廊(3)35.675787, 139.699766
大正
北東方外院廻廊 木造、建築面積六七・〇〇平方メートル、銅板葺
外院回廊(4)35.675655, 139.699107
昭和
北西方外院廻廊 木造、建築面積三七・二二平方メートル、直会殿附属 木造、建築面積五九・四九平方メートル、銅板葺
東神門35.675620, 139.699778
大正
木造、建築面積一六・四五平方メートル、銅板葺
西神門35.675570, 139.699122
大正
木造、建築面積一六・四五平方メートル、銅板葺
南神門35.675396, 139.699477
大正
木造、建築面積四一・七〇平方メートル、銅板葺
宿衛舎35.675052, 139.699339
大正
木造、建築面積八一・九九平方メートル、東面式台玄関附属、銅板葺
玉垣(1)35.674986, 139.699933
大正
南東方玉垣 木造、折曲り延長一三六・五メートル、銅板葺
玉垣(2)35.674948, 139.699246
大正
南西方玉垣 木造、折曲り延長一〇二・四メートル、銅板葺
玉垣(3)35.675785, 139.700256
大正
北東方玉垣 木造、折曲り延長一一〇・七メートル、銅板葺
玉垣(4)35.675711, 139.698924
大正
北西方玉垣 木造、折曲り延長一六九・二メートル、銅板葺
祓舎35.674817, 139.699746
大正
木造、建築面積五五・二四平方メートル、銅板葺
南手水舎35.674781, 139.699364
大正
木造、建築面積二二・二〇平方メートル、銅板葺、手水舟付
西手水舎35.675605, 139.698752
大正
木造、建築面積一一・九七平方メートル、銅板葺、手水舟付
東手水舎35.675597, 139.700394
大正
木造、建築面積一一・九七平方メートル、銅板葺、手水舟付
神橋35.671734, 139.701656
大正
鉄筋コンクリート造反橋、橋長一〇・三メートル、幅員一四・五メートル、親柱及び高欄付
南制札35.670054, 139.701820
大正
木造、銅板葺
北制札35.678950, 139.702270
大正
木造、銅板葺
西制札35.678187, 139.695380
大正
木造、銅板葺
明治神宮宝物殿中倉35.679990, 139.697960
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積423.55平方メートル、切妻造、瓦葺
東西倉(東倉)35.680157, 139.698471
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積93.17平方メートル、切妻造、瓦葺
東西倉(西倉)35.679897, 139.697461
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積93.17平方メートル、切妻造、瓦葺
東西廊(東廊)35.679918, 139.698380
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積114.84平方メートル、入母屋造、瓦葺
東西廊(西廊)35.679733, 139.697705
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積114.84平方メートル、入母屋造、瓦葺
東西橋廊(東橋廊)35.680081, 139.698288
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積130.29平方メートル、切妻造、瓦葺
東西橋廊(西橋廊)35.679911, 139.697668
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積130.29平方メートル、切妻造、瓦葺
東西渡廊(東渡廊)35.680110, 139.698410
大正
石造及び鉄筋コンクリート造桁橋、橋脚3基、高欄付
東西渡廊(西渡廊)35.679879, 139.697561
大正
石造及び鉄筋コンクリート造桁橋、橋脚3基、高欄付
北廊35.680114, 139.697929
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積26.95平方メートル、切妻造、銅板葺
車寄35.680177, 139.697902
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積103.47平方メートル、切妻造、東西軒唐破風付、銅板葺
事務所35.680257, 139.697881
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積三二八・三七平方メートル、本館、附属屋及び渡廊下よりなる
本館 入母屋造、正面千鳥破風付、銅板葺
附属屋 入母屋造、銅板葺
渡廊下 両下造、北面下屋附属、銅板葺
正門35.679591, 139.698131
大正
鉄筋コンクリート造、建築面積87.14平方メートル、切妻造、瓦葺

明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后を祀る神社として、大正9年に代々木に鎮座しました。創建時の設計は伊東忠太が指導し、内務省神社局によるものです。昭和20年に空襲で本殿ほかを焼失し、同33年に再建されました。再建設計は、もと内務省神社局の角南隆が担当しました。再建設計においては焼失を免れた社殿を生かしつつ、内拝殿での祭式が見通せる外拝殿の形態など、参拝の便を図りながら、大規模な社殿群が優秀かつ特徴的な意匠でまとめられました。
本殿東側面(写真左):・本殿の右には宝庫、北神門の屋根の一部が見える
・手前が外透塀で、これらすべてが重文指定されている

内拝殿及び祝詞殿の東側面

外拝殿

東神門(上)、西神門(中)と南神門(下):
・各神門の左右が外院回廊
・西神門の右の一段高い屋根は北西方外院廻廊に附属する直会殿

宿衛舎

祓舎

玉垣

南手水舎

神橋

南制札

明治神宮宝物殿は、明治天皇ゆかりの御物を収蔵し、拝観に供していた施設で、境内の北辺西寄りに位置します。宝物殿の建設は明治神宮の創建と一体的に計画され、設計は明治神宮造営局によるもので、工事は大正10年に竣工しました。宝物殿は、約三千坪の敷地の中央に中倉が南面して建ち、その側面から東橋廊・西橋廊、東廊・西廊が鉤の手に連なって前方に延びます。敷地の東西には東倉・西倉が中倉を挟んで建ち、東渡廊・西渡廊を介して東橋廊・西橋廊に接続しています。中倉の背面に軸線を合わせて事務所を配し、車寄、北廊を介して中倉に接続しています。敷地の境界は土塁を廻して限り、正面中央に正門を開きます。明治神宮宝物殿は、我が国の伝統的な建築様式を集成した独特の意匠を、鉄筋コンクリートを中心とした当時最新の建築技術を用いてまとめ上げたものです。また、架構を含む構造全体に鉄筋コンクリートを採用した和風意匠の建築物としては我が国最初のものです。
中倉:
・宝物殿の中心となる単層高床の展示施設で、正面に階(きざはし)を付し、側背面に廊を接続
・外壁は花崗岩(万成石)で化粧した校倉風の意匠
・床下の束柱上の組物と床梁を色石粉塗で仕上げ
・軒まわりは木造風に造り出し、二軒半繁垂木とする

東倉(上)と西倉(下):
・単層高床の収蔵施設で、渡廊に接続。意匠、構造とも中倉に準じた仕様

東廊(上及び中段、中段写真は東橋廊から撮影)と西廊(下):東西の廊は、中倉の玄関を兼ねた歩廊で、寝殿造の中門廊を連想させる構成。桁行中央を五間を吹放ちとし、両端部を袴腰の壁面で閉塞。北端は東橋廊・西橋廊に連なる階段室。外部は、柱と壁面を万成石で化粧し、組物と梁桁を色石粉塗で仕上げ。

東橋廊(上)と西橋廊(下):
・東西の橋廊は、各々東廊・西廊と中倉を繋ぐ高床の歩廊で、南面端部に切妻造の角屋を出して東廊・西廊と接続する階段室を設ける

東渡廊:
・東西の渡廊は各々東橋廊・西橋廊と東倉・西倉を結ぶ桁橋
・三基の橋脚を万成石による石造

・右端の一段高い銅板葺が北廊、その左の軒唐破風が車寄、さらにその奥が事務所、事務所の左に渡廊下で繋がるのが事務所の附属屋(西)
・北廊と車寄は貴賓用を兼ねたもの
・事務所は本館と二棟の附属屋、渡廊下の各棟からなる

正門(写真上から、外面、内面、柱上の装飾):
・長屋門風の単層門
・中央三間を吹放ち鉄扉を付し、両端部は袴腰の壁面で閉塞
・外部は東廊・西廊に準じた仕様で、柱上組物を青銅製の彫刻で飾る。

アクセス
JR山手線原宿駅、東京メトロ千代田線明治神宮前駅、副都心線北参道駅、小田急線参宮橋駅から境内入口まではすぐですが、境内が非常に広大なので歩く距離はかなりあります。
見学ガイド
明治神宮は日の出から日没までの間、自由に参拝することができます。外拝殿から奥の内院には入ることができません。外拝殿から内院の建物の一部を見ることができますが、ここからの写真撮影は禁止されています。神楽殿北側の玉垣の外から本殿などの一部を見ることができます。
宝物殿は通常非公開ですが、特別公開されることもあります。2021年の特別公開で内部に立ち入ることができたのは、中倉、東西橋廊、東西廊、正門のみでしたが、その他の建物についても全て公開区域から外観を見ることができました。非公開時でも正門の鉄扉越しに主要な建物の外観を見ることができます。

感想メモ
明治神宮は大正時代の創建で、本殿など主要な社殿は戦後の建築と神社建築としては非常に新しいものですが、何か大人の事情があって重要文化財に指定されたのかと思います。それにしても、制札まで重文指定してしまうのは、いくら何でもやりすぎだと思います。宝物館の方は意匠や構造に工夫が凝らされており、見ごたえがあります。
(2020年11月訪問、2021年10月再訪)

参考
国指定文化財等DB、東京都文化財情報DB