スタンダードダンスを踊っている時、ペアとしてスムーズな
運動表現を行うには後退する側が如何に前進するお相手の
邪魔をしないかという事です。
重くてスピード感に欠けるペアの多くは、単に技術や
パワーが足りないと言うよりも、音楽スピードが感じられず
ただステップやフィガーを再現しているだけの事が多いです。
しっかりと間違わない音楽表現を行っているのですが、
流れる音楽や周囲の踊り手達のスピードに付いていけず
せっかく身に付けた技術やステップが生きて来ません。
上手に見せようと全身を大きく表現しようとしても
周囲の流れに乗れなければ美しさは半減してしまいます。
社交ダンスの音楽表現を覚える事は大切ですが
基本的にスタンダードダンスはフロアーをLODに沿って
時計と逆回りに音楽表現を行いながら流れて行きます。
その為周囲の踊り手の流れと同調していかなければ
音楽表現が難しいだけでなく、周りのペアにとっても
邪魔な存在と成ってしまいます。
どんなに大きな歩幅を作って踊っても床を強く押しても
ペアとしてスムーズに移動出来なければ意味が有りません。
大切な事は社交ダンスのみならずスポーツを行う時も
如何に重心点が上手く動けるかという事です。
互いに上体を押したり引いたりして踊っていると
正に相撲を取っているかのように定位置に身体が留まり
社交ダンスとしては良い音楽表現とはなりません。
男女が対面して踊っている社交ダンスは後退する方が
上手く重心を後方に動かす事が重要です。
互いに前後左右に足を広げた所から目的の方向に
重心を動かすことで運動表現を繋ぎます。
後退する側は上半身のローテーションを上手く使い
お相手を回転の方向に導きながらボディコンタクトを
通じ重心を後方の足に乗せていく事が大切です。
ただ後方の足を大きく広げているだけでは前進する
お相手を上半身で押し返してしまいます。
特に後退する女子は男子の歩幅を感じると重心を
下げる事無く歩幅だけを広げる傾向が有ります。
男子は女子の上半身が下がらない事から上体を
押して踊る事になりその結果やはり相撲の様に
押し合いながら演ずる事に成ってしまいます。
問題は歩幅が正しく踊られない事よりも
女子が上半身で男子の進行を邪魔する事から
男子のムービングフットが自然に女子の足元まで
振り込まれず常に男女の立足は遠く互いの重心が
離れた状態となる事です。