公務員試験の小論文と作文の違い
今回は,公務員試験の小論文と作文の違いについてお伝えします。
多くの受験生が,公務員試験にて論文試験が課せられるということは,ご存じのことでしょう。しかし,一歩踏み込んだ内容,例えば,「論文試験は大きく小論文試験と作文試験にわかれて,両者で書くべき内容が明確に異なる」などということは,案外知られていません。
そして,小論文ならば小論文で,作文ならば作文ならで対策法も異なります。「市役所C日程で作文が出るけど,国家一般職で小論文を対策するから大丈夫でしょ!」という考えは捨ててください。生半可な対策では論文の得点が足を引っ張り,合格が遠のいてしまいます。
そこで,本記事を通して両者の違いと対策法を知っていただき,効率的に最終合格に近づいてもらえればと思います。
⑴ 論文試験は大きく2つにわかれる
〇 はじめに
論文試験は,大きく小論文試験と作文試験にわけられます。さらに,小論文試験は教養論文(課題式論文)と経験者論文のにわけられます。なお,学生の受験生は論文と言えば100%教養論文になるので,経験者論文のことは忘れて頂いても結構です。
〇 小論文と作文の違い
小論文と作文の違いは,書くべき内容にあります。
小論文では,設問にて「○○(特定の社会問題)について述べよ」と指定されるのですが,受験生はこのテーマに沿って客観的に意見を論じていく必要があります。
一方,作文では,設問にて「○○(人間関係,失敗経験など)から学んだことを述べよ」と指定されるのですが,受験生はこのテーマに沿って主観的に意見を論じていく必要があります。
〇 小論文(教養論文)のざっくりとした構成
教養論文は,例えば,「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,経済活動に深刻な影響が出ている。この事態に対して,○○市としてできることを述べなさい。」といった問題が出ます。
主に,国家一般職,裁判所一般職,地方上級,市役所A日程の多くで出題されています。
教養論文で絶対に書くことは,①テーマに関する問題提起,②問題の解決策の2つです。上記の例だと,①具体的にどの産業に対してどんな問題が出ているかなどを書き,②それらの問題を解決するために行政がすべきことを書きます。
〇 経験者論文のざっくりとした構成(おまけ)
一方,経験者論文は,例えば,「あなたの今までの経験・職歴を挙げ,○○市の職員としてどのように活躍していきたいかを述べなさい。」といった問題が出ます。市役所の経験者採用枠(氷河期世代枠など)にて出題されています。
経験者論文で絶対に書くことは,①過去の経験・職歴(自己PR),②志望先で成し遂げたいこと(志望動機)の2つです。つまり,経験者論文の方は名に「論文」と付いているものの,小論文よりも後述する作文に近い試験になっているため,注意してください。
〇 作文のざっくりとした構成
作文は,例えば,「あなたがこれまでに組織のために努力した経験について述べ,その経験を○○市の職員としてどう生かしていきたいかについて述べなさい。」といった問題が出ます。地方上級や市役所A日程,B日程,C日程の一部で出題されています。
作文で絶対書くことは,自分のエピソードだけです。「作文」といっても出題内容は多種多様ですので画一的に伝えることは難しいですが,作文は,やはり主観的に物事を切り取り,それを文として表す試験になっているため,絶対に自分のエピソードは抜かないようにしましょう。
⑵ 小論文と作文の対策法
〇 共通して求められるもの
上記の通り,小論文と作文では書くべき内容が異なるため具体的な採点基準も変わってきます。しかし,両者に共通する部分もあります。それは,「原稿用紙の使い方が正しいか」,「適切な日本語を使えるか」,「文章の論理展開が適切か」といった形式的なところです。
公務員になるということは,国家・地方を問わず途轍もなく大きな組織の一員になるということです。組織の大きさ故に,取り扱う書類の量も種類もハンパではありません。その膨大な書類を裁こうとしたとき,体裁が整っていない文書や日本語がおかしい文書は邪魔になります。
そこで,採用試験にて論文試験を課し,最低限の文章作成能力があるかどうかをチェックしているのです。
〇 小論文に求められるもの
小論文では,社会事情の知識と解決策を導くための論理的思考力が求められます。
そもそも公務員試験の小論文は,多種多様なテーマが出題されます。例えば,少子高齢化,東京一極集中,第四次産業革命・デジタル化,環境問題などが挙げられます。
これらの社会事情について,1つずつ知識を付けてもらう必要があります。なお,これらの作業は筆記の時事対策としてもやることなので,最終的な勉強量に影響はありません。
また,論理的思考力も大切な能力です。こちらについては別記事にて詳細に書いているので,参考にしてください。
別記事:オリジナルな解決策は書くな!~小論文の解決策を考えてみよう~
〇 作文に求められるもの
作文では,設問に適合する自己のエピソードを選定する能力が求められます。
上記の通り,作文では,自分のエピソードを論じます。しかし,これはどんなお題であっても用意したものをぶち込めばいいという意味ではなく,きちんと設問に合わせて最適なエピソードを選ぶ必要があります。
例えば,組織の目標のために頑張ったエピソードならば学生時代のサークル活動のことを挙げ,自己研鑽のために頑張ったエピソードならば学生時代の留学のことを挙げます。
本番では,このように設問に合わせてエピソードを引っ張ってこれることが大切なので,作文の対策法としては,①過去を振り返り,②エピソードをまとめておくことが有効となります。
⑶ まとめ
小論文と作文では書くべき内容も対策法も異なります。本記事を読んで,両者の違いが明確になれば幸いです。以上!
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