TOPIC:オリジナルな解決策は書くな!
早速ですが,採用試験においてはオリジナルな解決策は求められていません。
そのため,試験において施策を述べる際には,「オリジナリティがあるか」よりも「きちんと課題に即した解決策になっているか(論理的であるか)」を意識しましょう。
今回の記事を読んで,是非,得点に直結する解決策の考え方を身に付けてください。
⑴ どういう施策を書くと評価されるのか
小論文では,「課題に即した解決策」が評価されます。
先に述べたように,小論文でオリジナリティが求められるというのは幻想です。添削をしていると,このオリジナリティを追い求めた結果なのかそもそも適当に書いてしまったのかわかりませんが,「課題の解決になっていない施策」を書いている答案を見かけます。
テーマにぶら下がる課題を書いて,「その課題はこういう施策をすれば解決できますよ!」と提案できている答案こそ,評価されるのです。改めて,試験で評価されるのは,あくまでも論理的思考力だということを忘れないでください。
では,どうすればこの論理的思考力をアピールできるのでしょうか。アピールする方法は2つあります。
① 既存の施策,他の自治体の施策をマネる
「毎回,何を書けばいいのかわからなくなっちゃう・・・」という受験生にとって,最適の対策法になります。大体の社会問題は,既に行政が解決に向けて取り組んでいます。そこで講じられている事業が論理的かつ効果的ではないはずがありません。マネればよいです。
② 解決策の類型を押さえて,自分で当てはめてる
「オレには論理的思考力が備わってるぜ!」というイカした受験生向けの対策法になります。とはいえ,どれだけ優秀であっても「無から有」を作り出すことは困難でしょう。そのため,以下の解決策の類型を押さえてから,自分なりに解決策を導いてやると考えやすいです。
⑵ 全部で5種類!解決策(施策・取組)の類型
社会問題に対して,行政機関ができることは限られています。そしてその類型を知っておくと,解決策を漏れなく重複なく指摘する良い論文になります。
取組内容は大きく5つにわけられるので,以下で1つずつ見てましょう。
① 給付事業
最近でいうと,いわゆる「コロナ給付金」や事業者向けの「持続可能給付金」がこちらに該当します。行政はこういった「困窮している人への給付」や「計画を推進するために,賛同者へのインセンティブとしての給付」を行っています。
後者の例としては,「三世代近居・同居」を促進するための「引っ越し費用の援助」や,働き方改革を実践した企業に対する「奨励賞の授与」などが挙げられます。
お金を配るだけが給付事業ではないので,お金以外のインセンティブにも注目しましょう。
② 規制の新設・規制強化
最近でいうと,受動喫煙防止法に基づく行政指導などが該当します。
本来は有効な取組なのですが,公務員試験では,あまり書かないことをおすすめします。あまりに規制だ規制だというと「私権制限を厭わない人だ」と解釈されかねないからです。
③ 基盤整備(人材面)
最近でいうと,地域共生社会の実現に向けた取り組みが良い例です。その地域ならではの課題を解決する専門家として,社会福祉士や社労士の育成に取り組んでいます。
各専門家の育成・派遣がこちらに該当します。
④ 基盤整備(制度面)
これも,最近でいうところの地域共生社会が良い例です。地域共生社会とは,住民×行政×専門家が一体となって課題の解決に向けて取り組む社会のことです。
彼らが相談できるようなプラットフォームを設けることが制度面の整備に該当します。こうした住民参加型の行政は,給付事業と異なって「拠出金が少なくて済む」というメリットがあるので,公務員試験では好まれる傾向にあります。
①と重なる部分があるので,実際に論文を書くときには,「これは給付に近いのか」「それとも制度面の整備のことなのか」をはっきりわけてから書きましょう。
⑤ 広報活動
これはほとんどすべての取組みについて該当します。防災マップの普及,補助金制度の周知徹底,違反事業者の公表などです。
ありふれた取組であるがゆえにどうしても凡庸になってしまうので,解決策が思いつかないときの最終兵器として扱いましょう。
⑶ 課題と対策を「漏れなく重複なく」抜き出せ!
「施策を書いたら,「同じような取組が続いていますよ」と指摘されちゃった・・・」
「お金をあげることしか思いつかない・・・」
これは,小論文を書き慣れていない人が陥るあるあるです。
そもそも,解決しようとしている課題は漏れなく重複なく抽出できているでしょうか。ここでの課題分析を間違えていると,解決策もごちゃごちゃになります。
また,「課題の抽出は完璧なはずだ!」という方は,⑵の行政機関ができることを参考にして,取組ができる限り被らないように気を付けましょう。
⑷ まとめ
いかがでしたか。意外にも小論文の解決策を思いつくというのは簡単なことだということがおわかりいただけたでしょうか。
その他,論文試験の対策法については,以下の記事にまとめています。リンクから飛んで,ステップごとのポイントを押さえておきましょう。