ダメな書き方 施策を列挙するだけで課題が見えない
今回は,「小論文のダメな書き方」の施策編です。
地方上級試験が2週間後に迫り,公務員試験もいよいよ佳境です。教養試験・専門試験の対策に追われていることでしょうが,ほとんどの自治体では小論文試験も課せられます。
ここまで順調に小論文対策ができている人は,このまま本番を迎えましょう。具体的には,10~20テーマについて「社会問題の要因・課題」と「解決策」をまとめられていればOKです。
一方,今の今まで全く小論文対策をしていない方は,当然直前のテコ入れが必要です。時事対策と並行してテーマ理解を1つでも増やすと同時に,最低限の書き方をマスターしてください。
この点について,これから全5回で小論文の絶対NG集と題して情報をお伝えしていきます。
⑴ 施策を列挙するだけではいけないのか
〇 あなたはこのタイプに属していないか
小論文を添削していると,たまに単に施策を列挙しているだけの答案を見かけます。
よくある答案例としては,序論を3行くらい書いた後,「以下,この問題に対して行政が行うべき施策を3つ述べる。」として,以降,施策を列挙していくタイプがあります。
〇 施策を列挙するだけではダメな理由
施策を列挙するだけではダメな理由は,施策の有効性を証明しづらく,文章に説得力を与えづらいからです。
施策・取組の効果を証明するためには,「世の中,○○という問題がありますよね。そこで,××という取組をすればが問題が解決しますよ」と提案しなければいけません。この点,そもそもの問題提起を怠っていると,その後の施策も虚無なものとなるのです。
〇 説得力を欠くだけではない!その他デメリット
また,問題提起を怠ると,上記以外のデメリットも生じます。
① 提案した施策が重複する
施策を場当たり的に書くと,いわゆるMECEからかけ離れてしまいます。採点官は思考が整理できていない,論理的思考力がないと判断し,減点します。
② 文字数が足りない
課題の統計データや具体例を挙げていなければ,当然その分文字数が少なくなります。最悪の場合,文字数で足切りに合います。一方,何とか水増ししようとすると,シンプルに内容点が大幅に減点されます。
⑵ 減点を避けるための対策方法
〇 課題分析をしろ!
単に施策の列挙に終わらないために,しっかりと課題分析をしましょう。
例えば,設問例として,「認知症高齢者への対応について(R1特別区類題)」が問われたとしましょう。ここに関連する課題には,以下のようなものがあります。
このように,施策を講ずるよりも先に,何が課題なのかを明確にしましょう。
〇 時事対策の知識とリンクさせろ!
こういった課題分析をする上で必須となるのが,時事知識と論理的思考力です。後者は,文章理解の対策や論文を添削してもらうことによって身に付きます。一方,前者の時事知識は直前期からでもいくらでも増やせます。まずは予備校の事情系の本でもいいし『速攻の時事』でもよいので,時事知識をじゃんじゃん詰め込んでください。
その上で,具体的な社会問題とその時事知識をリンクさせてください。
⑶ 具体的な書き方
〇 統計データと具体的事例のどちらか
リンクさせる時事知識は,統計データと具体的事例のどちらでも構いません。例えば,設問例として,「認知症高齢者の対応について(R1特別区類題)」が問われたとしましょう。ここに関連する時事知識には,大きく以下の2つがあります。
・厚生労働省による推計値
認知症の者は,2012年は462万人で,2025年には700万人にまで増加する見込み
・法整備,環境整備
地域包括ケアシステムの内容
新オレンジプランの内容 ←⑵で挙げたもの
本番では,課題性の裏付けとしてこれらを挙げます。ただし,どちらを書けば得点が高いというのはないので,シンプルに正確に思い出せる方を書きましょう。
おすすめ本:『速攻の時事』
⑷ まとめ
いかがでしたか。小論文のNGな書き方が伝わりましたでしょうか。
論文を書く上では知識が欠かせません。時事対策と並行して直前まで知識を詰め込みましょう。以上!