☆小論文「アフターコロナ」の書き方 本論・施策編
今回は,「アフターコロナの経済発展・文化振興」の本論・施策編です。
以下に,本番で出題されそうな出題例を挙げています。「本番ではどう書こうかな」と考えながら読んでくださると幸いです。なお,模範解答は,本記事の後半に掲載しています。
〇 アフターコロナに関する小論文の出題例
テーマ 「アフターコロナの経済発展・文化振興」 ☆☆☆☆(MAX星5)
新型コロナウイルスが蔓延する中,行政としては,事業所への営業自粛要請,社会的距離政策の実施などを通して感染拡大の防止に努めています。しかし,これらの施策を実施することによって,経済及び文化に対する影響が懸念されています。
このような中,○○行政として,コロナ収束後の経済復興・文化振興にどのように取り組んでいくべきか,あなたの考えを述べなさい。
⑴ 施策の考え方
〇 課題のおさらい
まずは課題のおさらいをしておきましょう。
課題には,①経済・営業形態の変容,②既存の文化活動形態の変革の2点を挙げました。端的に言えば,「時代に合わせて,変革を支援しよう!」と謳っており,これを実現する上でのボトルネックを挙げています。
余力のある方は,別記事にて課題の書き方をご覧ください。
〇 施策の考え方
多くの受験生が,課題を解消する施策として「補助金を渡そう!」と書くことでしょう。実際,ニュースでも「真水の投入が欠かせない」や「早期の経済的支援を」と叫ばれています。しかし,確かに補助金政策には実効性がありますが,課題を解消するための唯一の方法かというと疑問が生じます。
行政ができることは,単に補助金を渡すだけではありません。
この点について,論理的思考力に自信がある方は,他の施策も考えてみて欲しいところです。なお,その他の施策は5つの基本類型を知っておくと思いつきやすいです。
⑵ 経済変容を支えるための施策
経済産業省のHPに,コロナ後の経済変容を支えるための施策が挙げられていました。模範解答で参考にした施策を赤色に変えてあります。いずれも時事問題で聞かれてもおかしくない内容なので,現時点で時間に余裕がある人は,全ての施策を調べておきましょう。
⑶ 文化活動の変革を促進するための施策
こちらについては,大枠として経済への支援策がそのまま流用できます。その上で,文化芸術活動ならではの課題として,「文化財の保存・活用」と「文化教育・普及活動の推進」が挙げられます。この点について,2018年に内閣が文化芸術推進基本計画を策定しているので,以下でそのポイントを確認しましょう。
なお,模範解答で参考した戦略には赤色を付けてあります。
⑷ 『アフターコロナ』の理想的な本論はこれだ!
〇 模範解答
上記を踏まえて,行政がすべき取組を2つ提案する。
1つ目は,中小・小規模事業者に向けた経済変容を支えるための包括的な支援である。先の通り,中小企業等はICT技術に対する知見が十分でないことが多い。そのため,第一に宅配業務やテレワークを実施する上での効果及び注意点をアナウンスし,事業者が抱える不安を解消する必要がある。併せて,相談役としてIT専門家を用意するだけでなく,事業者相互が相談し合えるようなプラットフォーム作りも欠かせない。その上で,事業者がICT技術を導入する際には,補助金や減税処置といった経済的支援を行っていくべきだ。
2つ目は,文化芸術活動の変革を促す取組である。前提として,文化芸術が発展・継承されるためには,作品が認知されることが重要だ。そのため,まずは各種文化施設の広報活動を強化するとともに,作品をデジタル画像等に変換してアーカイブ化を図るべきである。なお,この取組と並行して,著作者を保護するための法整備及びシステム整備も欠かせない。また,インターネットを活用して全国の活動家が交流・協力できる場を形成したり,小規模活動家に向けたクラウドファンディングを整備したりするのも有効だろう。(499字)
※読みやすくするために,間に空行を入れています。
〇 解説・書き方
模範解答では,「補助金で支援しよう!」という旨の施策を少なくしています。せっかく予備校講師が書くんですから,誰でも思いつくような施策は求められていないでしょう。
ただし,本試験では時間的制約があります。そのため,無理にオリジナルな施策を提案しようとしなくても結構です。補助金政策に終始したとしても,課題を解消できている給付金であれば,十分,論理的思考力を示すことができます。
⑸ まとめ
いかがでしたか。参考資料はボリュームがありますが,⑵の経済支援策まとめは時事問題でも聞かれそうので,時間がある人は個別に見ておくことをおすすめします。
次回は結論編です。お楽しみに。