☆「感染拡大防止策」の書き方 本論・施策編
マスクを付けると暑さがマックス。
今回は,「コロナの感染拡大防止」の本論の書き方,施策編です。
以下に,本番で出題されそうな出題例を挙げています。「本番ではどう書こうかな」と,考察しながら読んでくださると幸いです。なお,模範解答は,本記事の後半に掲載しています。
〇 コロナに関する小論文の出題例
テーマ 「コロナの感染拡大防止について」 ☆☆☆☆(全5段階)
新型コロナウイルスによる感染が拡大する中,自粛要請に伴う経済への打撃や医療機関の崩壊などが懸念されています。しかし,新型コロナウイルス感染症対策専門家会議によると,2022年まで強固な社会的距離政策(※)を実行した場合に,2022 年中旬までに集団免疫を獲得すると予想さており,未だ予断を許さない状況が続いています。
こうした状況において,○○行政として,感染拡大の防止に向けてどのように取り組んでいくべきか,あなたの考えを述べなさい。
※強固な社会的距離政策:緊急医療用病床数を2倍にした下で実施する社会的距離政策のこと。2020年4月14日公表のハーバード大学の資料に基づく。
⑴ 感染拡大の要因をおさらい
前回のブログにて,新型コロナウイルスの感染拡大の要因を解説しています。そこでは,①人と人との接触を抑え込めなかったこと,②一定人において感染経路が不明であることの2つを要因に挙げました。
以下で,これらを踏まえた感染拡大防止策を考えていきましょう。
⑵ 感染拡大防止策について
前提として,施策を考えるときには,必ずしも現行の施策をマネする必要はありません。論文試験で評価されるのは,あくまでも論理的思考力なので,これが証明できるのであればオリジナルの施策を提案してもよいです。
ただし,現行の施策は,各専門家が集まり議論に議論を重ねた上で実行されています。そのため,現行の施策をマネてしまえば,いとも簡単に論理的思考力をアピールできちゃいます。
参考リンク:『 小論文の下準備② オリジナルな解決策は書くな! 』
では,感染症対策専門家会議の提言資料を見てみましょう。
〇 「新しい生活様式」とは
⑶ 『コロナの感染拡大防止』の理想的な本論はこれだ!
〇 模範解答
上記を踏まえ,今後の感染拡大防止策を2つ提案する。
1つ目は,地域ごとのリスク評価の実施だ。具体的には,都道府県について,人口密度や人の流動性といった指標を基に,感染拡大リスクを評価する。その上で,地域を3つ程度に分類し,区分に応じた行動指針を要請していくべきである。例えば,今年4月に指定を受けた13の特定警戒都道府県については,今後も引き続き徹底した行動変容の要請を行い,その他の地域については,新しい生活様式を要請するに留めるなどとするとよいだろう。
2つ目は,国民の移動経路の把握に努めることだ。例えば,韓国では,感染が確認された場合,感染者のスマートフォンやクレジットカードの使用履歴などを用いて,感染に至るまでの移動経路を調査・公開している。この取り組みによって,韓国はウイルス蔓延を食い止めたとの見方がある。日本においても,決して私権制限に至らぬように留意しつつ,政府が主導となって積極的な情報調査に取り組むべきである。(414字)
〇 解説・書き方
要因分析と同様に,解決策においても疫学的な見識を示す必要はありません。一般的な施策を述べると良いでしょう。
なお,2つ目の施策は,多少理想論になっています。現実的には,国民・住民に対して移動先をメモしてもらうといった協力要請しかできないでしょう。全体的なバランスを加味して,単なる「新しい生活様式」の要請だけでは物足りないと思ったので,書いておきました。
⑷ まとめ
お疲れ様でした。論文の最大の見せ場は,本論です。問題が生じている原因・要因をきちんと分析していれば,解決策は自ずと湧いて出てきます。
ただ,勢い余って,「ぼくがかんがえたさいきょうの解決策」は書かないようにしましょう。ペンがすらすら進むときこそ,「先に挙げた原因を解消できているか」を確認してください。