ダメな書き方 文字数が足りない
今回は,「小論文のダメな書き方」の文字数編です。
「いきなり“子育て支援”とかいわれても,一体,何を書けばいいのか」
「文字数が足りないのはわかるが,水増しになっても減点されるし…」
こういった悩みは,小論文対策を始めたばかりの人だけが抱えるものではなく,ほとんどの公務員受験生が抱えています。本記事を読んで,単なる水増しの文章ではなくきちんと内容点を加算できる文字数の増やし方を身に付けましょう。
⑴ 文字数を増やせない要因
① 圧倒的に知識が足りない
そもそも文章を書くためには知識がなければ書けません。具体的には,公務員の小論文では,社会問題・具体的施策に関する知識が必須となります。
時事対策が十分でない人や施策の雛型を知らない人は,いわば論文を書くための武器を持っていないのと同じであり,どうしてもアイディアを生むのが難しくなります。
② 文章を具体化できていない
この問題は,多くの場合,中途半端に具体的な文章を書いているために生じます。
例えば,設問例として,「希望出生率1.8を実現するために国家行政が取り組むべきこと(予想問題)」が問われたとしましょう。これに対して本論でいきなり,「国家行政が取り組むべきことは2つある。1つ目は,夫婦が希望している人数の子どもを出産・子育てできるように,仕事と育児が両立できる環境,とりわけ就労環境を整備していくことだ。」と書くのはおすすめしません。
試しに,この文章の後にさらなる補足・説明・例示を書こうとすると,非常に難しく感じませんか。これは,最初の一文で言いたいことがまとまっておらず,一文一意の原則が守られていないからです。こうなると次の文で具体化ができなくなり,結果,文字数が足りなくなります。
⑵ 減点を避けるための対策方法
〇 社会問題と現行の施策について調べろ!
社会問題の情報は,普段のネットニュースや新聞から簡単に入手できます。また,社会問題に付随する細かい数値は時事対策と並行して身に付けると良いです。例えば,厚生労働省の「人口動態統計」による特殊出生率は,全国で1.42などというデータです。
一方,現行の施策に関する情報は,各省庁のHPを見たり,自治体の広報誌を見る必要があります。意外と時間が掛かる作業なので,早め早めに見ておきましょう。
〇 結論からの具体化を徹底しろ!
一文のボリュームが変に大きくならないようにしましょう。そのためには,まずは抽象的な一文を書き,その後に具体的な文章を書くことを意識してください。そうすると,必然的に文字数が充実する上,残り文字数に合わせて「ここはもっと充実させよう」とか「この具体例はシンプルにしよう」などと,軌道修正も可能になります。
⑶ 具体的な書き方・設問例
〇 設問例
国家行政として,希望出生率1.8を実現させるために取り組むべきことを論じなさい。〇 本論(Short ver.)
特殊出生率が低い水準にある要因には,育児に対する負担感があることが挙げられる。総務省の労働調査によると,男性の約3割は育児休業を取得したいと考えているが,実際の取得率は7%弱に留まっている。 また,近年,親と同居する夫婦世帯が減少していることからも,育児を他人に頼れず母親のみに集中しているのが現状である。
上記を踏まえ,国家行政としては,仕事と子育てが両立できる環境整備に取り組んでいくべきだ。具体的には,就業時間の短縮,育児休業の取得率の上昇,パートタイマーの推進などである。しかし,これらの取組を行う上では,労働時間が短いことを理由とした不当な取り扱いがされないような予防策も必須となる。そのため,同一労働同一賃金を徹底したり育児に関する共助の精神を普及させたりといった労働環境への一体的な取組が求められている。(356字)
〇 解説
青色で書いている部分が,具体化の文章です。文章の骨組みを立てて,そこに社会問題・政策の知識を当てはめるだけで簡単に文字数を増やせます。
⑷ まとめ
いかがでしたか。正統派としての文字数の増やし方が伝わりましたか。
知識を増やしつつ,文章を書くときのちょっとしたテクニックも忘れないように。以上!