出光美術館で「日本の美・鑑賞入門 しりとり日本美術」を観た! | とんとん・にっき

出光美術館で「日本の美・鑑賞入門 しりとり日本美術」を観た!

「しりとり日本美術」チラシ

 

出光美術館で「日本の美・鑑賞入門 しりとり日本美術」を観てきました。

 

展示概要

日本の美術と聞いて、どんなことを想像しますか?
すぐに具体的な作品や作者の名前が思い浮かぶでしょうか。それとも浮世絵、水墨画、陶磁器、漆器など、さまざまに想像が広がるでしょうか。本展は、「鑑賞入門」と冠して、日本の美術作品をじっくりと見て「たのしむ」ことを目指して企画しました。出品作品はすべて日本で生まれたものですが、テーマを特定せず、時代は鎌倉時代から現代の作品まで、またジャンルも絵画から工芸まで、幅広く展示しています。
いつもより、もう一歩だけ作品に近づき、ただじっと作品を見つめる。難しいことは考えず、作品の前ですこし立ち止まってみる。それだけで鑑賞するたのしさは広がります。
今回はたのしく作品鑑賞をはじめるヒントとして、「しりとり」する見方を提案します。ここでいう「しりとり」とは、言葉あそびではありません。ひとつの作品に何がどのように描かれているのか観察し、作品どうしの「イメージの共通点」をみつけることです。今回の会場では3つの章に分けて構成をしました。各章のはじめに見た作品に描かれたイメージが、となりの作品にもつながっていく。共通点をさがして丁寧に鑑賞していくと、何度も繰り返し登場するテーマや図柄があることに気づかされます。日本美術に共通する美意識や、日本美術の魅力を肌で感じ取っていただければ幸いです。
さらに一段と鑑賞が深まると、となりの作品だけでなく、どこかで見たことのある作品や、どこかで見た景色とのつながりを感じるかもしれません。自分の記憶の中の景色、心の風景ともどこかつながりを感じれば、感情を揺さぶる体験ができるはずです。
それでは、「しりとり」して会場の作品をめぐってみませんか。

 

本展のみどころ

01鑑賞入門として、誰もが楽しめる会場へ

今回は、酒井抱一「風神雷神図屏風」からスタートし、書画・工芸の各種分野、そして年代も幅広く、ずらりと取り揃えました。
一般的に、何となく難しそうと思われがちな日本美術ですが、本展では、作品のテーマやデザインが似通ったものをグループにして、ご鑑賞いただけるよう工夫しました。専門的な知識がなくても、まずは見て「たのしむ」展覧会となっています。作品と向き合って、じっくり鑑賞する。作品に出会った時の、各々の感覚、感性を大切にしていただけるよう、鑑賞のヒントや、初心者向けのわかりやすい豆知識もご用意しました。

02本展の名称、「しりとり」とは?

日本美術・鑑賞のすすめとして、展覧会名を工夫しました。ここでいう「しりとり」とは、言葉遊びのことではなく、「イメージの連鎖」という意味で使っています。
英語のタイトル表記は、ストレートに「Image Chaining」と示しています。つまり、見た目でわかる図柄やデザイン、表現において、作品の中の「イメージ」が、あたかも「しりとり」のように、会場内で連なっていることを感じ取りながら、ご鑑賞いただく方法をとりました。美術館にお越しいただき、美術作品の実物を見ていく中で、個々の感性との共鳴をも感じていただけることでしょう。

03ジャンルを越えて

約1万件を所蔵する出光コレクション。その中から、「どこかで見たことのある」当館自慢の優品を選りすぐり展示します。また時代やジャンルを横断し、普段は隣合わせに並ぶことのない作品たちの共演は、さまざまな角度から楽しんでいただける貴重な機会となるでしょう。
ご来館いただいた皆さまには、いつもと違う展示空間で作品の新たな魅力を発見し、美術鑑賞を楽しんでいただけたら幸いです。

展覧会の構成
第1章  ふたつでひとつ 「風神雷神図屏風」からはじまるしりとり
第2章 いろいろな水のかたち 「波濤水禽図屏風」からはじまるしりとり
第3章 たくさんの図柄 「美人鑑賞図」からはあじまるしりとり
 
ここからは、その1として第1章を載せます。

第1章 ふたつでひとつ —「風神雷神図屏風」からはじまるしりとり。

日本美術の用語で、屏風の作品の数え方は「〇曲一双」とあらわされます。
一双とは「ペア」のこと。二つの画面で一つの作品とする形式のことです。
掛軸の場合では、「二幅対」と数えられることがあります。二つの作品がそろって一組をなしている作品のことです。このように専門の用語がうまれるほど、ふたつでひとつの作品を構成するということは、日本の美術作品にはなじみの深い形式なのです。
この章では、ふたつでひとつの世界をつくる作品を集めました。「ふたつでひとつ」という前提のなかで、どのようにひとつの世界が広がっているでしょうか。それぞれの工夫をじっくり観察しているうちに、作家の考えに少し近づけるかもしれません。酒井抱一「風神雷神図屏風」からスタートしてとなりにならぶ作品どうしの「イメージのつながり(=しりとり)」を見つけながら、ふたつでひとつならではのおもしろさを感じてください。

第1章 ふたつでひとつ

 

酒井抱一「風神雷神図屏風」二曲一双、江戸時代

 

伝俵屋宗達「龍虎図」双福、江戸時代
 
仙厓義梵「馬祖・臨済画賛」
双福、江戸時代
 
葛飾北斎「春秋二美人図」双福、江戸時代
 
蹄斎北馬「蛍狩美人図」双福、江戸時代
 
長谷川等伯「松に鴉・柳に白鷺図屏風」六曲一双右隻、桃山時代
 
長谷川等伯「松に鴉・柳に白鷺図屏風」六曲一双左隻、桃山時代
 
小杉放菴「梅花小禽」二曲一双、昭和時代
 
「色絵南瓜文大皿 古九谷」一対、江戸時代前期
 
「色絵禽獣丸文角香炉 古九谷」
一対、江戸時代前期
 
以下、その2、その3と続きます。

「日本美・鑑賞入門 しりとり日本美術」

令和5年8月5日発行

編集・発行:公益財団法人出光美術館

「出光美術館」ホームページ
出光美術館 (idemitsu-museum.or.jp)
 
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