出光美術館で「日本美術のヴィーナス」展を観た! | とんとん・にっき

出光美術館で「日本美術のヴィーナス」展を観た!

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出光美術館で「日本美術のヴィーナス―浮世絵と近代美人画」展を観てきました。例のごとく、金曜日の夜6時からの「列品解説」、つまりギャラリートークですが、それに間に合うように時間を合わせて行ってきました。僕が行ったのは8月6日の夜でしたから、2週間も前のことでした。今回の解説者は、若手の男性の学芸員でした。的確な解説で、非常に分かり易かったように思います。チラシの裏には、以下のようにあります。


整った目鼻立ちと、しなやかな立ち振る舞い、また流行のファッション――人々は美しい女性に心をときめかせ、さまざまな想いを託します。江戸時代以来、女性の姿をかたどることは日本美術の大きなテーマのひとつとなり、数多くの美人像が生み出されました。この展覧会では、出光コレクションの肉筆浮世絵に近代美人画の優品を加え、多彩な女性の表現をご覧いただくとともに、作家の個性や時代の好みにも揺るがない美しさを探ります。


まず最初に「普賢菩薩騎象図」だ出てきたのにはちょっと驚きましたが、菩薩は元々男でも女でもないものでしたが、この普賢菩薩はなぜか女性的なイメージがあり、美人を形容する「眉目清秀」を想起させます。という話から、喜多川歌麿の「更衣美人図」へ移り、西川祐信の胸をはだけてリラックスした「柳下納涼美人図」や「納涼美人図」から、勝川春草の「柳下納涼美人図」へと、話を上手く繋げていました。


今気がついたのですが、僕が選んだ作品の画像、なぜか江戸時代の蹄斎北馬の作品が多いのはなぜなのか、自分でもよく分かりません。それはともかく、第4章の「伝統と革新のあいだ」まで、見事に繋がっています。「美人画」を描かせたら定評のある上村松園や鏑木清方、はては伊東深水まで、まさに美人画の饗宴です。そして最後に小杉放菴の「天のうづめの命」でしめるあたり、にくい演出です。


展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 清涼の美人

第2章 古雅の幻影

第3章 美人たちの遊宴

第4章 伝統と革新のあいだ



第1章 清涼の美人




第2章 古雅の幻影




第3章 美人たちの遊宴




第4章 伝統と革新のあいだ












この展覧会では、日本絵画に描きつがれてきた女性の姿に焦点を当てます。とりわけ、江戸時代以降に生まれた「美人画」について、時代に応じた美意識の変遷をたどる一方で、変わることのない女性の美の魅力を探ろうとするものです。日本絵画の歴史において、美しい女性の姿をひとつの画題として定着させた浮世絵美人画。画面から漂う官能美は、確かに多くの鑑賞者の興味をひきつけますが、同時に、女性の内側にある強さや優しさもまた、女性像に求められた魅力のひとつではないでしょうか。浮世絵の主要な題材であった遊女の姿には、誰にも頼ることのない、自立した女性のたくましさが感じられます。また、現世の女性を神仏になぞらえる趣向“見立て”によって立ちあらわれる、聖なる存在としての女性のイメージ―。そのような女性の美しさに対する真摯な憧れがいっそう強くあらわれた絵画ジャンルとして、明治時代以降の「美人画」をとらえます。浮世絵に人物の型や画題の範を求めた近代の画家たちは、浮世絵師たちがはやくに予見していた女性の美質を汲み上げ、軽やかに変奏させた感があります。女性の清廉美がひときわ純化された様相を、透き通るように瑞々しい色彩と流麗な筆づかいに求めます。この展覧会では、喜多川歌麿の傑作「更衣美人図」(重要文化財)を含む出光コレクションの肉筆浮世絵に、鏑木清方や上村松園をはじめとする近代美人画の優品を加えた約50件によって、女性美のひとつの真髄に迫ります。


「出光美術館」ホームページ


とんとん・にっき-venus

―浮世絵と近代美人画

「日本美術のヴィーナス」
図録

第1刷 平成22年7月31日発行

編集・発行:公益財団法人 出光美術館

表紙デザイン:井原秀樹(大倉靖博デザイン室)

制作・印刷:大日本印刷株式会社







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