出光美術館で「中国の陶俑―漢の加彩と唐三彩」展を観た! | とんとん・にっき

出光美術館で「中国の陶俑―漢の加彩と唐三彩」展を観た!

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出光美術館で「中国の陶俑―漢の加彩と唐三彩」展を観てきました。「やきものに親しむⅦ」とあるので、シリーズの7回目ということでしょうか?僕はこのシリーズ、今回が初めてでした。出光のホームページで調べてみましたら、ほぼ1年に一度、けっこう古くからこのシリーズは続いているんですね。2001年以前なのか、シリーズの「Ⅰ」がなぜか見つかりませんが。


*2008年11月1日(土)~12月23日(火・祝)
 やきものに親しむVI 陶磁の東西交流
 ―景徳鎮・柿右衛門・古伊万里からデルフト・マイセン―
*2006年7月22日(土)~9月3日(日)
 やきものに親しむV 青磁の美 ―秘色の探求―
*2005年7月2日(土)~8月28日(日)
 やきものに親しむIV 中国・磁州窯 ―なごみと味わい―
*2004年7月27日(火)~9月5日(日)
 やきものに親しむIII 磁都・景徳鎮1000年記念 中国陶磁のかがやき
*2003年7月5日(土)~8月31日(日)
 やきものに親しむII 皇帝を魅了したうつわ ―中国景徳鎮窯の名宝―


今回は、「中国の陶俑―漢の加彩と唐三彩」ということです。あれれ、先日静嘉堂文庫美術館で観た「華麗なる貴族文化の遺宝 唐三彩と古代やきもの」展と、ほとんど被っています。これってどういうこと?まあ、もちろん、それぞれ美術館ごとに所蔵する作品も異なっているので、僕の感じたままの勝手な解釈で異論はあるでしょうが、量は出光美術館、質は静嘉堂文庫、だったように思います。そう、思い出しました、松岡美術館でも「唐三彩展」で、「三彩騎馬」「三彩馬」「三彩龍耳瓶」などを観ていました。


例えばチラシを見てみると、ほぼ同じようなことが書いてあります。静嘉堂文庫は「中国古代の王侯貴族は、死後も生前と変わらない豊かな生活を送ることを望みました。そのため、豪華な墳墓を築き、従者や家畜、調度品や建物にいたるまで、多くのものを模型として作り、墓に納めました」とあります。一方、出光美術館は「中国では戦国時代の紀元前5世紀頃から、それまで主人とともに殉葬されていた生身の人間や高価な道具に代えて、陶器や木製品で家屋や調度・什器、従者や家畜などの模型ともいえる俑(よう)を作って副葬するようになります。」とあります。神殿や墓に納めた実用性をもたない副葬用の器物は「俑(よう)」(人や動物を象った人形類)もあわせて「明器」と呼ばれ、それらは当時の人々の生活や死後の世界観が表現されている、ということです。


「唐三彩」とは、考古用語辞典によると以下のようにあります。

中国・唐代につくられた低火度焼成の三彩陶のこと。陶質の素地に白化粧あるいは透明釉を掛けたのち、緑や褐色の鉛釉を加えることで三つの色が互いに入り混じり独特の文様をあらわす。コバルトの藍釉が加わったもの、緑・白,青・白といった二彩のものを含めて呼ぶことが多い。 主として洛陽・長安における貴族の葬礼及び明器(副葬品)として使われ、そのために様々な器形や人形,家財をかたどったものがつくられることとなった。


今回の出光の「中国の陶俑―漢の加彩と唐三彩」展、出展作品は123、構成は以下の通りです。

1.際だつ個性―漢時代の陶俑

2.苛烈な時代の形象―南北朝~隋時代の陶俑

  洗練されたやきもの―俑の周辺の副葬器物

3.写実的形象―唐時代の人物俑

4.シルクロード交流の記憶―唐時代の駱駝・馬

5.洗練されたやきもの―俑の周辺の副葬器物


以下、寸評です。なにしろ図録を買わなかったので、会場で出展リストに書き込んだものだけをたよりに書いています。展示室1、「苛烈な時代の形象」、「24褐釉緑彩牛車・馭者」「25褐釉駱駝」「26緑釉駱駝人物」、この3点、真新しくしかもリアルで色もいい。特に「25褐釉駱駝」は素晴らしい。「洗練されたやきもの」、「70灰陶加彩雲気文獣環耳壺」は文様が素晴らしい。「71灰陶加彩龍雲文獣環耳壺」は現代的・抽象的で素晴らしい。「72緑釉獣環耳壺」、取っ手も模様になっていて、緑の色が美しい。「125~127三彩壺」、色がきれいです。「68、69灰陶加彩神将」、見事なものです。


当時は豊満な女性ほど美人と言われたという。「27、28三彩女子」、これらは顔だけは釉薬をかけずに焼き上げ後、加彩したりしています。特に「28三彩女子」は青と緑が素晴らしい。石洞美術館からの特別出品作品の「唐加彩婦女俑」は静嘉堂の展示してあったものとよく似ています。「40藍釉男子」二体は、藍がきれいです。圧巻だったのは展示室3、「唐時代の駱駝・馬」でしょうか。「44三彩駱駝人物」「45三彩駱駝」「46三彩駱駝」この3体は特に大きくリアルに作られていて色が美しいものでした。「64藍釉獅子」は小さいものですが、藍色が効いています。「62三彩鴛鴦形容器」は静嘉堂でも同じようなものがありました。「51~59三彩騎馬人物」がなんと9体、並んで展示してありました。これは圧巻です。


それに比して「65、66三彩鶏」と「67三彩猿笛」は可愛い作品でした。展示室3、「洗練されたやきもの」では「75三彩貼花文万年壺」は静嘉堂文庫にも同じようなものがありましたが、出光のものは質が劣るように思えました。またありましたよ、「枕」が。「104三彩花文枕」「105三彩宝相華文枕」「106三彩練上手枕」「107褐釉練上手枕」、小さな枕ですが、どれも文様が細かく入って素晴らしい作品です。「文枕」と「上手枕」の違いが分かりません。「三彩薫炉」は暖をとる「行火(あんか)」でしょうか?展示室3、「洗練されたやきもの」のコーナーで、松岡美術館にあった「三彩鳳首瓶」と、ほとんど同じようなものがありましたが、あれは何という作品名だったのか?もしかして「92三彩狩猟文鳳首瓶」かな?






「中国の陶俑―漢の加彩と唐三彩」展、ホームページより

やきものに親しむシリーズの第7回は、出光コレクションの陶磁分野から、中国の漢代から唐代にかけての俑を中心とする陶器を、11年ぶりにとりあげます。中国では、戦国時代の紀元前5世紀頃から、それまで主人とともに殉葬されていた生身の人間や高価な道具に代えて、陶器や木製品で家屋や調度・器物、従者や家畜などの模型(俑)を作って副葬するようになります。これら神殿や墓に供えるために作られる器――“明器”である漢時代の灰陶加彩や唐時代の三彩などは、実用には適さないものでしたが、当時の王侯・貴族の厚葬の風潮もあって、器物は造形美に富み、俑は生気に溢れています。これらは、支配者層のために生前から準備されたものであり、当時最もすぐれた工人が集められ、最高の技術が結集されていました。宮廷や貴族のみに奉仕するその営みは、一種の“官窯”でもありました。したがって漢時代の俑の写実性よりも内面を重んじた表情や、唐時代の器のふくよかな曲線美、俑の見事な造形力と、かけられたの色彩感覚など、高い技術によるすぐれた芸術品の域に達しました。また、この時代の死生観では、死者も生前と同じ暮らしをすると考えられており、明器には当時の暮らしが反映され、貴重な歴史資料にもなっています。今回の展示では、時代を映し出す作品として順序を追いながら、さまざまに語りかけてくる俑の表情の豊かさや、洗練された器物の造形美をじっくりと堪能していただきたいと思います。


「出光美術館」公式サイト


とんとん・にっき-touyou やきものに親しむⅦ

「中国の陶俑
―漢の加彩と唐三彩」

チケット

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東京都足立区千住橋戸町23番地

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