出光美術館で「茶 Tea ―喫茶のたのしみ―」を観た! | とんとん・にっき

出光美術館で「茶 Tea ―喫茶のたのしみ―」を観た!

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出光美術館の本年度のラインアップが出揃いました。いやはや、どれもこれも行きたいものばかりです。

・「日本美・発見Ⅲ 茶 Tea ―喫茶の楽しみ―」

 2010年4月3日(土)~6月6日(日)

・「日本美・発見Ⅳ 屏風の世界 ―その変遷と展開―」

 2010年6月12日(土)~7月25日(日)

・「日本美術のヴィーナス ―浮世絵と近代美人画―」

 2010年7月31日(土)~9月12日(日)

・「生誕260年 仙崖 ―禅とユーモア―」

 2010年9月18日(土)~11月3日(水・祝)

・「やきものに親しむⅧ 茶陶の道 ―天目と呉州赤絵―」

 2010年11月13日(土)~12月23日(木・祝)

・「酒井抱一生誕250年 琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派―」

 2011年1月8日(土)~2月6日(日)第1部(煌めく金の世界)

 2011年2月11日(金・祝)~3月21日(月・祝)第2部(転生する美の世界)


出光美術館で「日本の美・発見III 茶 Tea ―喫茶のたのしみ―」を観てきました。行ったのは金曜日の夕方、学芸員の「列品解説」の時間に合わせて行きました。中国より伝わり、日本で独自の文化を花咲かせた抹茶と煎茶の世界。いずれも喫茶を楽しむ場所でありながら、古くより美術を鑑賞し、交流する場でもありました。今回は、出光のコレクションの中から、茶道具、煎茶具、書画の優品を集め、喫茶文化の趣向と展開を振り返ろうというものです。出光は、分かり易いテーマと展示でいつも勉強になるのですが、しかし、今回はバラエティーに富んではいるが、目玉もないし、やや力の抜けた感じ、と言ったら言い過ぎか?


展覧会の構成は、以下の通り。
I 愛用・愛玩の美学
II 注ぐ――水注とポット
III 茶の室礼
IV 喫茶の彩り


「茶は養生の仙薬なり」(栄西:喫茶養生記・序)という文字が会場正面に見えました。比較すれば、煎茶は自由、抹茶は格式が高い。古美術は元々リサイクル品。「愛用・愛玩」では、青木木米の煎茶道具類ががずらり、9品も出ていましたが、僕は初めて聞く名前です。木米は喫茶を楽しむだけにとどまらず、自らも道具をつくってしまったという。出光では木米の道具類を展示するのは10年ぶりだとか。


「水注とポット」では、まずは「売漿図」(伝蘇漢臣)、市中で茶を売る様子が生き生きと描かれています。ここでは「ポット」に着目、水を注ぐもの、その形態はじつにさまざまで、面白い。中国、朝鮮、日本の水注の比較、ドイツのマイセン窯やイギリスのウースター窯との比較を一同に観ることができます。「邸内遊楽図屏風」(六曲一双)は屋敷内でのさまざまな喫茶の様子が描かれています。


「茶の室礼」では、無準師範の禅院額字「選佛場」一幅が、そして牧谿の「平沙落雁図」がかかっています。そして一休宗純の「七佛通戒偈」も。千利休以降、喫茶が芸術へと昇華されていきます。重要文化財、重要美術品、等々、ぞろぞろと出てきて、さすがは出光、コレクションが凄い、と感心することしきり。利休の茶杓も出ていました。尾形光琳の「深省茶碗絵手本」もありました。


「喫茶の彩り」では、喫茶の場の脇役たちや、文房具たちのパレードです。向付・酒器などの懐石具、野外で茶をたのしむための茶箱、煎茶の場を飾る中国趣味の文房具、文人の描いた掛軸などです。景徳鎮窯の「金襴手牡丹文鉢」がよかった。「高取斑釉割山椒形向付」五客は初めて見た形、なんか変です。「蜜柑形燗鍋」は蓋が青磁です。普通は逆ですが。「調度図屏風」は珍しい小型の屏風、八曲一双です。「龍虎硯 端渓石」だったか、墨が入ると龍と虎が浮かんできます。富岡鉄齋、浦上玉堂が2点ずつで、最後を締めくくります。


「四時風月」、「清風通仙」は、盧仝の「茶歌」です。以下、画像は出光のホームページより。


I 愛用・愛玩の美学

II 注ぐ――水注とポット

III 茶の室礼





IV 喫茶の彩り


日本の美・発見III 茶 Tea ―喫茶のたのしみ―

お茶にはたくさんの効用があるといわれます。慌ただしい生活の中で、ほっと一息つかせてくれる一杯のお茶は、こころを癒してくれます。また日々健康に暮らせることも、私たちが身近な飲み物としてお茶を愛してきた歴史によるものでしょう。

古く中国より請来された喫茶の習慣は、大きく抹茶と煎茶とに分けられます。そもそも飲み方の違いによる区別ですが、わが国では著名な茶人たちによる茶の湯の盛行により大成された茶道と、中国趣味に憧れた学僧や文人たちによる煎茶の愛好とに分かれて伝播継承しました。

いずれも喫茶をたのしむことに変わりありませんが、両者の趣向性や世界観は異なっています。最も顕著な違いが見られるのが、喫茶の空間で用いられる、さまざまな道具へのこだわりです。人と人とが喫茶を通して交わる中で、用意される道具の特徴は、もてなす人の感性や美意識を端的に反映しています。つまり喫茶のたのしみとは、美術鑑賞の実践によって、新たな美を発見する事とも言い換えられるでしょう。

本展では、出光コレクションより茶道具、煎茶具、またこれらに関連する書画・工芸の優品、約120件を一堂に展示いたします。私たちの美意識が、喫茶を通してどのように育まれてきたかを用の美からふり返りつつ、個性豊かな日本美術の特質を探ります。


「出光美術館」ホームページ


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