出光美術館で「麗しのうつわ―日本やきもの名品選―」展を観た! | とんとん・にっき

出光美術館で「麗しのうつわ―日本やきもの名品選―」展を観た!

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出光美術館で「麗しのうつわ―日本やきもの名品選―」展を観てきました。毎週金曜日は午後7まで開催しているというので、午後6時少し前に入館しました。ちょっと観ていると「ギャラリートーク」が行われるとの館内放送があり、人が入り口付近に集まりだしました。その数なんと50人ほど。これは「やきもの」のことを知らない僕にとって大変ラッキーでした。ギャラリートークは、この「麗しのうつわ」展を企画したという出光美術館学芸員の柏木麻里さん、あとで見た図録に「麗しのうつわ・互換に響く日本のやきもの」という文章が載っていました。


梅の話題が聞かれる今日この頃、出光美術館でもそれにあわせて展示室に入るとすぐに見えるのが、伝尾形光琳「紅白梅図屏風」(六曲一双の内、右隻)と、その奥には酒井抱一「紅白梅図屏風」(六曲一双)がお出迎え、季節感を表したにくい心配りです。


「麗しのうつわ」展の構成は、以下の通りです。

Ⅰ 京の美――艶やかなる宴

Ⅱ 幽玄の美――ゆれうごく、釉と肌

Ⅲ うるおいの美――時期のまばゆさと彩り

Ⅳ いつくしむ美――掌中の茶碗


「麗しのうつわ」展はまず第一に、「もの」としてのやきものの美という、やきもの鑑賞の原点に立ち返り、ここの作品の魅力に分け入ること――たとえば、土という、やわらかく可塑性に富みつつ、変幻自在の表情をみせる素材や、ガラス質の釉薬や色絵具のうるおいを湛えた光など――に注目し、五感に訴えるやきもののあり方にふれ、ある時は主題として意匠にあらわされ、ある時は背後に脈々と流れた「文学性」をひもとくことで、やきものの麗しさに光を当ててみた、と柏木麻里さんは語っていました。


何度か書きましたが、出光美術館の展示の仕方は、僕のような何ごとにも初心者にとって、展覧会の構成や、作品の選び方、展示の仕方、解説の仕方、等々、毎回、非常にわかりやすく、たいへん助かっています。今回は学芸員の解説もあって、やきものという鑑賞の仕方の難しさを、ポイント、ポイントで要領よく話されたので、勉強になりました。とはいえ、出品作品がリストによると141点もあり、一つ一つコメントしたいものばかりですが、残念ながら力不足、微妙な点はそのうちわかるでしょう、という楽観的な見通しでしのぐ以外にありません。もちろん、図録も買って、これからやきものの勉強に精を出します。そんなわけでいつもの通り、お気に入りの作品数点を、下に挙げておきます。


Ⅰ 京の美――艶やかなる宴





Ⅱ 幽玄の美――ゆれうごく、釉と肌



Ⅲ うるおいの美――時期のまばゆさと彩り




Ⅳ いつくしむ美――掌中の茶碗


麗しのうつわ―日本やきもの名品選―

日本のやきものは多様で豊かな美を湛えています。“豪華”と“侘び”といった対極の美を愛でる歴史には、日本文化のしなやかな寛容性が深々とあらわれています。同時に、やきもののうつわは、手にとり口にふれるがゆえに、私たちの心と体にもっとも身近な美といえるでしょう。

経済や政治がめまぐるしく変動するいま、私たちの第一の宝とは、一人ひとりの心と体、そしてそこからたえず生まれてくる価値観に耳を澄ませる力ではないでしょうか。自然の風物に敏感な日本の文化は、精妙な感性とふくよかな身体性を育みました。やきものの釉薬は流れる水の表情を映し、やわらかな土肌は大地の温もりを伝えて、私たちの心身をのびやかに解放します。生きることのよろこびを確認し、価値あるものを見いだす―― やきものは暮らしに寄り添いながら、日本人の五感を磨いてきたのです。

美はきらびやかな装飾だけを意味するのではなく、私たちを慰め励ましてくれる大いなる力でもあるでしょう。本展は出光コレクションから、猿投(さなげ)、古瀬戸、志野、織部、古唐津、楽、京焼、古九谷、柿右衛門、鍋島、そして近代におよぶ日本陶磁の名品を一堂に展示し、やきものに託されたさまざまな美の姿を通して“麗(うるわ)しさ”とは何かをさぐります。時を超えて人々を魅了してきた美の源泉にふれる、ゆったりとした時間をお過ごしいただければ幸いです。


「出光美術館」ホームページ


とんとん・にっき-utuwa 「麗しのうつわ・日本やきもの名品選」

図録

平成22年1月9日発行

編集・発行:財団法人出光美術館












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