出光美術館で「志野と織部」展を観る! | とんとん・にっき

出光美術館で「志野と織部」展を観る!



丸の内の出光美術館で開催されている「志野と織部―風流なるうつわ」展へ行ってきました。この前出光美術館へ来たのは「国宝・風神雷神図屏風」展でした。また、茶碗を観るのは去年の9月以来、この前は三井記念美術館で「赤と黒の芸術・楽茶碗」を観ました。


志野と織部は桃山時代の茶陶を代表するやきものです。漆器や木器など木を主体にした中世までの食器文化から、陶器や磁器というやきもの主体の近世の食器文化へと移行させたシンボル的なやきものが、志野や織部などの美濃陶器です。それまで中国産や朝鮮産の外国のやきもののなかに、国産のやきものとして、かたち・色彩・文様、そして肌合いなど、すべての点で外国産のうつわとは異なる、魅力的な和の造形を創造しました。とくに志野の茶道具(茶碗や水指)、織部の懐石器(向付や鉢)は、日本のうつわを根本的に変えるような大きな影響を後世に残しました。今回の「志野と織部」展は、出光コレクションの志野と織部の、国宝1件、重要文化財3件をはじめ、館外の名作も特別出品し、現在実現できうる最高の「志野と織部」展であると言われています。
(参考:出光美術館HPより)


黒い茶碗は、天正年間に、楽家初代長次郎がろくろを使わない、手びねり茶碗が始まりとされています。この楽茶碗に影響を受けて美濃窯でも新しい茶碗への取り組みが進みました。志野は茶色、織部は黒というのが一般的な理解ですが、今回僕が初めて観ていいと思ったのは「鼠志野」という灰色の茶碗でした。茶色の志野は軽い感じがして、黒の織部は重々しい。それに比して「鼠志野」は僕には凄く品のある茶碗に見えました。そう言えば、千利休が好んだ色の一つに「利休鼠」があります。これは暗い灰色、緑みがかった灰色を言うようです。出展リストを見直してみると、3点の「鼠志野」はすべて重要文化財に指定されています。ちなみに、特別出品されている国宝「志野茶碗」は三井記念美術館所蔵のものです。








出光美術館は、日本の書画、中国・日本の陶磁器、そして浮世絵など、幅広いコレクションで知られていますが、他にルオーとムンクのコレクションも有名です。ロビーでは常時、ルオーとムンクの作品を3~5点ずつ展示しています。また「茶室 朝夕菴(ちょうせきあん)」があり、季節に合わせた茶道具の展示も楽しめます。茶室横のロビーは、皇居周辺の景観が手に取るように一望できる休憩コーナーになっており、湯茶のサービスもあります。



出光美術館

志野と織部


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