出光美術館で「宗像神社国宝展」を観た! | とんとん・にっき

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出光美術館で「宗像神社国宝展 神の島・沖ノ島と大社の神宝」を観てきました。国宝がたくさん展示されるというのは、事前にチラシなどで分かっていました。しかし、そもそも宗像神社についてはほとんど何も知らなかったので、以前はよく行っていた学芸員による「列品解説」をやるときに合わせ行きたいと思ったのですが、どうしても時間が合わず、直接展覧会を観て図録を購入して帰ってきました。国宝が多いせいか、思っていた以上にたくさんの人で、会場は混雑していました。観に行ったのは、9月3日のことでした。


図録の出光美術館による「ごあいさつ」には、以下のようです。

古来、日本と海を隔てた大陸を結ぶ海上交通の要衝として重要視され、人やモノを運び、文化を伝え育んできた宗像。九州北部と大陸との文化交流の拠点であるこの地には、玄界灘に面した福岡県宗像市にある辺津宮、沖合の大島の中津宮、そして、朝鮮半島と日本のちょうど中間に位置する沖ノ島の沖津宮という三つの宮があり、それぞれ三人の女神が祀られています。そして、これら三宮をあわせて宗像大社と呼んでいます。


三宮の中でも沖津宮のある沖ノ島は、朝鮮・中国、さらには遠くペルシャといった遠方の工芸品がシルクロードを通して運ばれ、「海の正倉院」と称される内容をもった奉献品を出土したことで有名です。昭和29年から昭和46年まで三次にわたる学術調査によって発見され、4世紀から9世紀にわたる沖ノ島出土品約8万点はすべて一括して国宝指定されました。


一方、遣唐使の廃止などをうけ、辺津宮での祭祀が中心となった中世以降も、対外交渉に活躍した宗像大宮司家を中心に宗像三女神への尊崇が続いたことが当時の古文書から知られます。そして、戦国時代の混乱が過去のものとなった江戸時代には、宗像大社は福岡藩主黒田家の庇護をうけるとともに、歴代の藩主によって様々な品々が奉納され、藩内の古社・田島社として引き続き篤い崇敬をあつめました。


今回の展覧会については、以下のようにあります。

発掘調査の終了をうけた昭和52年の「宗像 沖ノ島展」以来37年ぶりに実現した本展では、宗像以外では初公開となる沖ノ島伝来の遺宝をはじめ、中世の宗像神社の歴史を語る貴重な古文書や関連の石造品、さらには近世に福岡藩主黒田家によって奉納された刀剣や三十六歌仙図扁額といった神宝の数々によって、神の島・沖ノ島の全貌と宗像大社の歴史をご紹介します。


僕は宗像大社のことは、まったく知りませんでした。とくに玄界灘に浮かぶ絶海の孤島、沖ノ島は島全体が御神体であり、神秘の島として古くから多くの掟に守られ、その存在、そして沖ノ島における古代からの祈りの跡は深く覆われ、一般に知られることはなかったという。


たまたま昨日の「天声人語」で、「宗像大社国宝展」が取り上げられていました。

大社の沖津宮が鎮座する沖ノ島は、玄界灘に浮かぶ絶海の孤島である。日本と朝鮮半島や中国大陸を結ぶ交通の要衝であり、海を行き交う人々の信仰の対象だった。その祭祀遺跡からの出土品が並ぶ。・・・島全体がご神体で、女性は入れない。上陸を許された男性は、まず全裸になって海で禊ぎをしなければならない。島内での見聞は口外してはならないし、一木一草たりとも持ち帰ってはならない―。数々の禁忌が伝えられる。


貝殻の表面がキラキラと輝いている。数センチほどの楕円形で、両端に穴があいている。何に使ったものか、説明には「有孔貝製品」とあるだけだ。古墳時代の遺物の不思議な美しさが目を射る。・・・新羅からもたらされたという純金製の指輪がある。4枚の花弁の文様があしらわれている。どんな人が奉献したのか。ペルシャから伝わったというカットグラス碗の破片もある。沖ノ島が「海の正倉院」と呼ばれることに納得する。(朝日新聞:2014年9月21日朝刊)


「宗像三女神画賛」と「阿弥陀如来図(宗像大社阿弥陀経石拓本)」は、仙厓によるものです。宗像大社に対する仙厓の個人的な崇敬と関心から制作されたらしい。第4章では、「三十六歌仙図扁額」が出されていました。慶長5年に入国した黒田長政以降の福岡藩主は宗像大社に手厚い庇護を加えました。この間、田島社と呼ばれた宗像大社には、歴代福岡藩主黒田家による奉納・寄進が相次ぎました。そのもっとも華麗なる遺例の一つ、第三代藩主黒田光之「奉納の狩野安信筆「三十六歌仙図扁額」です。安信は、狩野探幽の弟で、狩野宗家の棟梁になりました。謹直な表現には、絵画に対して誠実であらんとした棟梁安信の生真面目な性格が、重厚な画風として表れているという。そののち江戸中橋に屋敷を拝領し、江戸幕府の御用絵師となり、江戸城などの障壁画制作にかかわりました。


江戸時代の記録類には、沖ノ島の禁忌に触れたものが散見し、玄界灘に生活の糧を求める人々の沖ノ島を畏れ敬う命に直結した信仰が、禊、女人禁制、口外無用、忌詞などを生み出し、島の神聖性を守り続けました。


なお、出光興産の創業者で、出光美術館の創設者である出光佐三は、明治5年、福岡県宗像郡赤間村の藍問屋、出光藤六の二男として生まれました。宗像の地に生まれたこともあり、地元に鎮座する宗像大社に対する出光の愛着と尊崇の念は特に強かったという。昭和12年に宗像大社を訪問した際、その荒廃を知り、昭和17年、賛同者を募って「宗像神社復興期成会」を節制し、自ら会長に就任しました。復興期成会の活動で最も特筆すべきは、安芸乃島の学術調査でした。「敬神愛人」、「神を敬い、人を愛する」、出光揮毫の一行書に取り上げられた言葉です。出光の信念、生き方を表した言葉で、その根本には宗像大社と宗像大神への尊崇の思いがあったという。


展覧会の構成は、以下の通りです。


プロローグ 宗像三女神と宗像神社

第1章 神の島 沖ノ島

 ―宗像三女神への祈りとかたちⅠ:岩上、岩陰遺跡

第2章 神の島 沖ノ島

 ―宗像三女神への祈りとかたちⅡ:半岩陰・半露天、露天遺跡

特別出品 伊勢神宮 神宝の世界

第3章 宗像大社文書の世界―宗像大宮司家と中世の海外交渉

第4章 三十六歌仙図扁額の美―近世の宗像大社と福岡藩



プロローグ 宗像三女神と宗像神社



第1章 神の島 沖ノ島

 ―宗像三女神への祈りとかたちⅠ:岩上、岩陰遺跡



第2章 神の島 沖ノ島

 ―宗像三女神への祈りとかたちⅡ:半岩陰・半露天、露天遺跡




特別出品 伊勢神宮 神宝の世界



第3章 宗像大社文書の世界―宗像大宮司家と中世の海外交渉





第4章 三十六歌仙図扁額の美―近世の宗像大社と福岡藩

「宗像神社国宝展」

神の島・沖ノ島と代謝の神宝

古来、日本と海を隔てた大陸を結ぶ海上交通の要衝として重要視され、人やモノを運び、文化を伝え育んできた宗像(むなかた)。九州北部と大陸との文化交流の拠点であるこの地には、玄界灘に面した福岡県宗像市に辺津宮(へつぐう)、沖合の大島に中津宮(なかつぐう)、そして、朝鮮半島と日本のちょうど中間に位置する沖ノ島(おきのしま)の沖津宮(おきつぐう)という三つの宮があり、三人の女神が祀られています。そして、これら三宮をあわせて宗像大社(むなかたたいしゃ)と呼んでいます。三宮の中でも沖津宮のある沖ノ島は、朝鮮・中国、さらには遠くペルシャといった遠方の工芸品がシルクロードを通して運ばれ、「海の正倉院」と称される内容をもった奉献品を出土したことで有名です。昭和29年(1954)から昭和46年(1971)まで三次にわたる学術調査によって発見され、4世紀から9世紀にわたる沖ノ島出土品約8万点はすべて一括して国宝指定されました。一方、遣唐使の廃止などをうけ、辺津宮での祭祀が中心となった中世以降も、対外交渉に活躍した宗像大宮司家(だいぐうじけ)を中心に宗像三女神への尊崇が続いたことが当時の古文書から知られます。そして、戦国時代の混乱が過去のものとなった江戸時代には、宗像大社は福岡藩主黒田家の庇護をうけるとともに、歴代の藩主によって、様々な品々が奉納され、藩内の古社・田島社(たしましゃ)として引き続き篤い崇敬をあつめました。発掘調査の終了をうけた昭和52年(1977)の「宗像 沖ノ島展」以来37年ぶりに実現した本展では、宗像以外では初公開となる沖ノ島伝来の遺宝をはじめ、中世の宗像大社の歴史を語る貴重な古文書や関連の石造品、さらには近世福岡藩主黒田家によって奉納された刀剣や三十六歌仙図扁額といった神宝の数々によって、神の島・沖ノ島の全貌と宗像大社の歴史をご紹介します。


「出光美術館」ホームページ


muna1 「宗像大社国宝展」

神の島・沖ノ島と代謝の神宝

図録

平成26年8月16日発行

編集・発行:公益財団法人出光美術館







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