出光美術館で「オリエントの美術」を観た! | とんとん・にっき

出光美術館で「オリエントの美術」を観た!


出光美術館で「中近東文化センター改修記念 オリエントの美術」を観てきました。中近東文化センターというと10数年前のこと、家人が、どういう団体かは知りませんが、中近東文化センターを見学したときに、三笠宮殿下に案内していただき感動した、と聞いたことがあります。中近東文化センターの建築は岡田新一の設計で、出来たときから知っていましたが、未だに行く機会がなくて、残念に思っていました。


出光美術館が1966年の開館時にはオリエント美術はコレクションの主要な一分野だったそうで、1979年秋以降は中近東文化センターで常時公開してきたようです。つまり、中近東文化センターは、出光美術館のオリエント美術の“別働隊”だったということになります。中近東文化センターの改修工事に伴い、今回、陶器・金属器・ガラス器・石製品などから厳選したオリエント美術の名品展を、34年ぶりに出光美術館で開催することになりました。先史時代からイスラーム時代にわたる幅広い年代で、石製品・土器・陶器・ガラス器・金属器など、時代・材質・地域においてこれだけ多岐にわたる作品と点数を一コレクションで提供できるのは、日本では出光美術館のみだと胸を張ります。これは凄いことです。


出光美術館の中近東美術は、エジプト・イラン・トルコ・地中海地域を中心に、多岐にわたる考古美術が充実しています。総数約3000点を数えるという。材質的には陶器(約500点)・土器(約350点)・ガラス製品(約350点)、そして青銅製品(約370点)等です。陶器ではイスラーム以降のイランのペルシア陶器(約450点)が最も多く、日本国内では珍しいトルコ陶器(約80点)が含まれています。


トルコ陶器では、イスタンブルの対岸の窯場イズニクやキュタヒヤで制作された、豊かな色彩でユニークなデザインを表現した白釉多彩陶器が目を引きました。卑近な例から言うと、昨年トルコに旅行しました。今回の展覧会の後半ですが、トルコの陶器の皿や鉢、瓶やタイルなど、数多く出ていたので嬉しくなりました。また「スルタン坐図」や真鍮製の「香炉」もありました。


なにしろ単にオリエントと言っても、幅が広くまた深いのが特徴です。農耕・牧畜がいち早く始まり、5000年以上も前に都市が存在しました。ユーラシア大陸とアフリカ大陸、地中海とインド洋を結ぶ地理的条件に多種多様な文化が行き交い、栄枯盛衰を繰り返しました。またユダヤ教やキリスト教、そしてイスラーム教など世界宗教の揺籃の地でもありました。世界四大文明のうち、エジプト文明とメソポタミア文明は中近東で誕生しました。ムン名誕生以前にも農耕・牧畜が始まって以降、様々な文化が培われていきました。


展覧会の構成は、以下の通りです。


第1章 文明の誕生―エジプト文明とメソポタミア文明

  四大文明以前

  古代エジプト

  古代メソポタミア

第2章 ローマ時代の技術革新―ガラスの美

  エトルリアの文化

  不透明なガラス―コア・ガラス

  吹きガラス技法の誕生とローマン・ガラス

  シルクロードとササン・ガラス

第3章 実用の美―イスラーム美術
  色彩のバラエティー・イスラーム美術

  繊細な挿絵・ミニアチール

  人々の嗜好品・イスラーム金属器

  技術の再発見・イスラームガラス



第1章 文明の誕生―エジプト文明とメソポタミア文明

  四大文明以前

  古代エジプト

  古代メソポタミア





第2章 ローマ時代の技術革新―ガラスの美

  エトルリアの文化

  不透明なガラス―コア・ガラス

  吹きガラス技法の誕生とローマン・ガラス

  シルクロードとササン・ガラス




第3章 実用の美―イスラーム美術
  色彩のバラエティー・イスラーム美術

  繊細な挿絵・ミニアチール

  人々の嗜好品・イスラーム金属器

  技術の再発見・イスラームガラス





「中近東文化センター改修記念 オリエントの美術」

出光美術館のオリエントコレクションは、エジプト・イラン・トルコ・地中海地域を中心に、多岐にわたる考美術品が充実し、国内有数のコレクションとなっています。出光佐三初代館長(1885~1981)は、オリエント美術の蒐集の経緯や目的などについて、多くを語っておらず、また記録もほとんど残っていません。しかし、そのはじまりは、1950年代終わり頃に、縁あってイランのルリスターン青銅器コレクションを入手する機会を得たことに端を発しています。後に出光美術館の理事となる三上次男博士(1907~87)がイスラーム陶器研究者でもあったことから、その監修の下にコレクションが充実し、1966年の開館時にはすでにコレクションの主要な一分野へと成長していました。そして1979年秋以降は中近東文化センター(東京三鷹市)で常時公開してきましたが、この度、陶器・金属器・ガラス器・石製品などから厳選したオリエント美術の名品展を、34年ぶりに出光美術館で開催いたします。今回の展覧会では、出光美術館のオリエント美術品の特徴である先史時代からイスラーム時代にわたる幅広い作品を紹介します。また種類も石製品・土器・陶器・ガラス器・金属器、そして細密画などバラエティーに富んだ作品を選びました。時代・材質・地域においてこれだけ多岐にわたる作品と点数を一コレクションで提供できるのは、日本では出光美術館のみでしょう。また日本では出光コレクションでなければ見られない作品や世界にも数例しかない作品も含まれています。世界の二大文明を含み、東西文化交流の交差点でもあった中近東の地で華やかに花開いた数々の作品を通して、オリエント美術の世界と中近東の歴史散歩をお楽しみください。


「出光美術館」ホームページ

とんとん・にっき-ori1 中近東文化センター改修記念

「オリエントの美術」
図録
平成25年1月11日発行

編集・発行:公益財団法人出光美術館










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