出光美術館で「琳派芸術 第2部転生する美の世界」展を観た!
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出光美術館で「琳派芸術 第2部転生する美の世界」展を観てきました。「第1部煌めく金の世界」展に引き続き、酒井抱一生誕250年「琳派芸術光悦・宗達から江戸琳派」展です。いつもは金曜日の夜、出光美術館恒例の「列品解説」に合わせて言っていましたが、今回はどうしても金曜日の夜は都合がつかなかったので(同じく、木曜日の午前10時30分からも都合がつかず)、2月22日(火)に行ってきました。ブログに書くのが、もう1週間以上も過ぎてしまいました。出光美術館によると、第1部、第2部の趣旨は、以下のようにあります。
第1部の<煌めく金の世界>では、宗達が手懸けた金銀のきらびやかな装飾による和歌巻、扇面画、さらに大画面の草花金地屏風などを中心として、宗達が創始した華麗な装飾美と、奥行きある豊かな金地空間をご覧いただきます。また独自のデザイン感覚をあらわした光琳の絵画の魅力や、琳派絵師たちにとって一つの主要なジャンルであった、水墨画の特集なども併せてご紹介します。
第2部の<転生する美の世界>では、本年、生誕250年を迎えた酒井抱一の作品を中心に、江戸琳派の美を探訪します。東都江戸の地に、京の琳派芸術を再興した抱一は、光琳を敬慕しながらも、江戸人たる新しい感性によって新風を巻き起こしました。抱一独自の美意識の表明がみられる銀地屏風や、清新な感性が注がれた草花図や花鳥画に注目し、華やかに転生を遂げる江戸琳派の美を多方面からご紹介します。
展覧会の構成は、以下の通りです。
第5章 琳派の系譜
第6章 薄明の世界
第7章 抱一の美
第8章 基一の美
琳派の工芸
ここでのキーワードは”私淑”です。私淑とは、広辞苑によると「直接に教えを受けてはいないが、その人を慕い、その言動を模範として学ぶこと」とあります。抱一は、40歳頃より、私淑する尾形光琳の画風に学んだ作画を開始した、とあり、其一は、師抱一の傍らで、光琳画に学ぶ機会も多かったと考えられる、とあります。つまり、宗達や光琳と、抱一や其一は時代が異なり、直接接して教えを請うことはなかったが、琳派は”私淑”によって継承されてきた、ということでしょう。
僕は意識して出光美術館へ足を運ぶようになったきっかけは、2006年9月に開催された「国宝・風神雷神図屏風」展でした。チラシには「66年の歳月を経て、琳派の三巨匠が描く風神雷神図屏風が、この秋、出光美術館に集う」とありました。「琳派の三巨匠」とは、言うまでもなく宗達、光琳、抱一のことです。琳派に受け継がれた象徴的な画題として「風神雷神図」や「歌仙絵」があげられると、下にもある通り、三巨匠の風神雷神図屏風には驚かされ、また興奮させられました。今回の「琳派芸術 第2部転生する美の世界」展では、まさに酒井抱一の「風神雷神図屏風」と、鈴木其一の「三十六歌仙図」が出されています。
酒井抱一の「紅白梅図屏風」も観たかった作品ですが、個人的な興味は「十二ヶ月花鳥図貼付屏風」と、先日観たばかりの畠山美術館所蔵の同じく抱一の「十二ヶ月花鳥図」を見比べることでした。また「なにそれ?」と驚いたのは鈴木其一の「芒野図屏風」でした。ここまでくると、まさに「意匠・デザイン」の世界です。この作品のみ出光所蔵ではなく、千葉市美術館の所蔵品でした。それにしても、ほとんどすべての作品が出光所蔵品ということには、いつものことですが驚かされます。
第5章 琳派の系譜
伝統を踏まえながらも、その伝統を脱する冒険心を芯にもつ琳派芸術。琳派に受け継がれた象徴的な画題として「風神雷神図」や「歌仙絵」があげられる。俵屋宗達や尾形光琳の原案に対して、後世の江戸琳派の絵師・酒井抱一や鈴木其一たちは、彼らの新しい感性で、どのような想像を試みたのだろうか。また琳派の得意ジャンルの一つとして描き継がれた物語図を通覧すれば”私淑”によって継承された琳派の系譜が見えてくる。
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第6章 薄明の世界
江戸時代の中期以降、18~19世紀の日本では、銀地屏風に対する志向が高まった。酒井抱一にとって、この銀地屏風は創作の要ともいえる重要な領域であった。抱一は、冴えた白い輝きを放つ銀の素材を好み、私淑する光琳の”金”に対して、自らの感性で選んだ”銀”の空間に独自の美意識を表明した画家といえる。銀地屏風の制作は、弟子の鈴木其一にも受け継がれ、清冽な銀の輝きが暗示する薄明の世界は、江戸琳派のレパートリーの一つとなっていった。
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第7章 抱一の美
江戸琳派の大成者として知られる酒井抱一(1761~1828)は、姫路城主酒井雅楽頭家という名門武家の次男として神田小川町の酒井家別邸に生まれている。若い頃より、能や茶、俳諧を嗜む文芸肌の人物であり、40歳頃より、私淑する尾形光琳の画風に学んだ作画を開始した。抱一の草花図や花鳥図には、俳諧的な情緒に通じる詩情性や、季節の風情を盛り込んだ豊かな情趣性が加味され、独自の清新な画風を創り上げている。
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第8章 基一の美
酒井抱一の高弟・鈴木其一(1796~1858)は、神田の紫染職人の子に生まれ、18歳の時に、抱一の内弟子となった。確かな描写力に裏打ちされた明快な色彩と構図、驚きや面白みを潜ませる機知的な趣向は、敢えて余情を排するかのような理知的な画面を創り、其一の絵画を特徴付けている。師抱一の傍らで、光琳画に学ぶ機会も多かったと考えられる。其一は、光琳画の意匠性や理知性を本質的に理解し、新しい絵画表現を切り拓いていった。
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琳派の工芸
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「酒井抱一生誕250年 琳派芸術―光悦・宗達から江戸琳派」展
気宇壮大な文化を誇った桃山時代が終末する頃、その絢爛たる黄金文化を背景にして、優雅な琳派芸術が京に息吹をあげました。琳派の始祖と仰がれる本阿弥光悦や俵屋宗達らは、王朝時代の装飾美を豊かに翻案し、新時代の幕開けを告げる斬新な造形美を生み出しました。それは後世の京に生まれた尾形光琳や、江戸で活躍した酒井抱一らの新たな創造を促したのです。本展第1部の<煌めく金の世界>では、宗達が手懸けた金銀のきらびやかな装飾による和歌巻、扇面画、さらに大画面の草花金地屏風などを中心として、宗達が創始した華麗な装飾美と、奥行きある豊かな金地空間をご覧いただきます。また独自のデザイン感覚をあらわした光琳の絵画の魅力や、琳派絵師たちにとって一つの主要なジャンルであった、水墨画の特集なども併せてご紹介します
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