出光美術館で「仙厓―禅とユーモア」展を観た! | とんとん・にっき

出光美術館で「仙厓―禅とユーモア」展を観た!

とんとん・にっき-sen1


出光美術館で「生誕260年 仙厓―禅とユーモア」展を観てきました。出光美術館へは、いつもの如く金曜日18時からの「列品解説」に間に合うように行きました。行ったのは10月1日の金曜日、だいたい30~40分前に美術館に到着し、一回りざっと観てちょうど18時、金曜日の閉館時刻は19時なので、今回はざっと1時間「列品解説」が行われました。解説していただいたのは出光美術館学芸員の八波浩一さん(?)、通常「列品解説」はだいたい30~40分ですが、従ってざっと見直す時間が20~30分あるのですが、今回は解説に熱が入り、閉館時間ぎりぎりになってしまいました。やはり企画から関わっている方の解説なので、「仙厓」展の狙いがはっきり聞けたこと、「仙厓」とはどういう人なのかよく分かり、そして平易な話し方で分かり易く、大変勉強になりました。チラシの裏には、以下のようにあります。


江戸時代に博多聖福寺の住職として活躍した禅僧仙厓(1750-1837)。その晩年には武士や商人、近所の顔なじみから子どもまで、あらゆる階層の人々の求めに応じ、数多くの書画を残したことで知られています。これらの作品には禅の精神が流れていますが、けっして説教じみることなく、明るく機知に富み、あたたかみのあふれているところが特徴です。当館の仙厓コレクションの中から厳選した約100件の作品を通して、現代にも通じる禅の心とユーモアを感じ取っていただければ幸いです。


展覧会の構成は、以下の通りです。

第1章 禅僧仙厓の生涯―仙厓略伝

第2章 画賛と墨跡にみる禅の教え―禅画と一行書

第3章 布袋十二態―布袋の姿をかりた仙厓の思い

第4章 仙厓と愉快な仲間たち―ご隠居様は人気者

第5章 画賛にあらわされた仙厓の心―厳しさをユーモアに包んで

第6章 仙厓遺愛の品々


出光美術館のミュージアム・ショップでは、前々から仙厓の軸や色紙などが展示してあり、出光美術館というと「仙厓の美術館」という印象を受けていました。事実、今回の「生誕260年 仙厓―禅とユーモア」展は、ほとんど全部が出光美術館の所蔵品です。先日、永青文庫で「神と仏 日本の祈りのかたち」展を観たときに、仙厓の「布袋指月図」がありました。学芸員の話では、永青文庫でも仙厓の作品を数多く持っている、ということでしたが、果たしてどの位持っているのか、結局は分かりません。数からすれば出光の方が多く、質的にも出光の方が(あくまでも想像ですが、今回観た限り)高いように思われます。


ちなみに「列品解説」の学芸員が挙げた、仙厓注目の作品ベスト6は、以下の通りです。「○△□」、「布袋画賛」、「頭骨画賛」、「堪忍柳画賛」、「さじかげん画賛」、そして「老人六歌仙画賛」でした。

(以下、続く)


第1章 禅僧仙厓の生涯―仙厓略伝
美濃で生まれた仙厓(1750-1837)は、地元の清泰寺、そして武蔵の東輝庵において臨済宗古月派の禅僧としての厳しい修行を積んだ。その後、さらなる研鑽のため諸国行脚の旅に出たが、旅から戻った仙厓を待っていたのは吸収への西下の話であった。こうして、仙厓は博多にある日本最古の禅寺、聖福寺第123世の住職に着任し、老朽化した伽藍の修復や弟子の育成に活躍した。還暦を過ぎた仙厓は後を弟子の湛元に譲って境内の虚白院に隠居し、得意の禅画を通して庶民に禅の教えをひろめることに専心した。仙厓のユーモラスで楽しい禅画は人気を博すとともに、地位や名誉を求めずに生涯を黒衣の僧として過ごした潔さと、奇作で正義感の強い性格とも相まって多くの人に愛され、今でも「博多の仙厓さん」と慕われている。(図録より)



第2章 画賛と墨跡にみる禅の教え―禅画と一行書



第3章 布袋十二態―布袋の姿をかりた仙厓の思い


第4章 仙厓と愉快な仲間たち―ご隠居様は人気者


 
第5章 画賛にあらわされた仙厓の心―厳しさをユーモアに包んで

「老人六歌仙画賛」には、以下のようにあります。

志わかよるほ黒か出ける腰曲る
頭まかはけるひけ白くなる
手ハ振ふ足ハよろツく歯は抜る
耳はきこへす目ハうとくなる
身に添は頭巾襟巻杖目鏡
たんほおん志やく志ゆひん孫子手
聞たかる死とむなかる淋しかる心ハ
曲る欲深ふなる
くとくなる氣短かになる愚ちになる
出志やはりたかる世話やきたかる
又しても同し咄しに子を譽る達者
自まんに人ハいやかる





生誕260年「仙厓―禅とユーモア」展

今年は、九州・博多聖福寺の第123世(および、再任して125世)の住職として、また、臨済宗の古月派を代表する名僧としても名高い仙厓(せんがい 1750―1837)の生誕260年にあたります。日本最初の禅寺である聖福寺の伽藍を修復して多くの弟子を育て、また、禅の核心にいざなう手段としての絵画を、誰にでもわかりやすく、しかも笑いを交えながら数多く描いた仙厓。本展は、節目の年に、仙厓の業績を出光美術館に伝わる禅画コレクションを通して振り返る展覧会です。仙厓は、その晩年に武士や商人、近所の顔なじみから子どもまで、あらゆる階層の人の求めに応じ、数多くの書画を残したことで知られています。これらの作品には禅の精神が流れていますが、けっして説教じみることなく、明るく機知に富み、あたたかみにあふれているところが特徴です。「画無法(がいがむほう 仙厓の絵には決まった法などない)」の精神にもとづいたきわめてユーモラスかつ自由奔放な作品は、斬新な表現や大胆なデフォルメにより、楽しく面白いと感じさせる不思議な魅力に満ち溢れています。特に、今回はそのような仙厓の作品を優しく見守った当時の博多っ子との交流のあともたどってみたいと思います。現代にも通じる禅の精神とその表現から滲み出てくるユーモアを、作品から感じ取っていただければ幸いです。


「出光美術館」ホームページ


とんとん・にっき-sen2 生誕260年「仙厓―禅とユーモア」展

図録

平成22年9月18日発行

編集・発行:

公益財団法人 出光美術館









過去の関連記事:

出光美術館で「日本美術のヴィーナス」展を観た!

出光美術館で「屏風の世界」展を観た!

出光美術館で「茶 Tea ―喫茶のたのしみ―」を観た!

出光美術館で「麗しのうつわ―日本やきもの名品選―」展を観た!

出光美術館で「ユートピア 描かれし夢と楽園」展(前期)を観た!
出光美術館で「中国の陶俑―漢の加彩と唐三彩」展を観た!

出光美術館で「やまと絵の譜」展を観た!
出光美術館で「水墨画の輝き―雪舟・等泊から鉄齋まで」展を観た!
出光美術館で「小杉放菴と大観 響きあう技とこころ」展を観た!
出光美術館で「文字の力・書のチカラ―古典と現代の対話」展を観た!
出光美術館で「志野と織部」展を観る!
出光美術館で「国宝・風神雷神図屏風」展を観る!