出光美術館で「琳派芸術 第1部 煌めく金の世界」展を観た! | とんとん・にっき

出光美術館で「琳派芸術 第1部 煌めく金の世界」展を観た!


出光美術館で「琳派芸術 第1部 煌めく金の世界」展を観てきました。いつもの如く、行ったのは14日の金曜日夜、そうです、6時から「列品解説」があるからです。さすがに今回は「琳派」ということで、たくさんの人が「列品解説」に集まっていました。今まで僕が参加した「列品解説」では一番たくさん集まったのではないと思います。担当は出光美術館の学芸員の宗像さんでした。僕が観た帰り際に、ロビーでNHKの「新日曜美術館」の取材が入っていました。先日放映されたものを見ると、「アートシーン」で宗像さんが解説をしていました。


今回の展覧会は「酒井抱一生誕250年 琳派芸術―光悦・宗達から江戸琳派」とあり、「第1部 煌めく金の世界」、そして「第2部 転生する美の世界」の2部構成となっています。第2部は酒井抱一の「八ッ橋図屏風」「風神雷神図屏風」や、鈴木其一の「芒野図屏風」「四季花木図屏風」が出されるようで、今から楽しみです。たまたま去年の暮れに古田亮著「俵屋宗達 琳派の祖の真実」(平凡社新書 2010年4月15日初版第1刷発行)を読んでいたので、「琳派」について理解が早かったように思います(十分理解したわけではないので、まだブログには書いていませんが)。宗達の参考書としては村重寧著「もっと知りたい俵屋宗達 生涯と作品」(東京美術 2008年9月25日初版第1刷発行)があります。


展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 美霊の世界

第2章 金屏風の競演

第3章 光琳の絵画

第4章 琳派の水墨画

琳派の工芸


第1部は桃山時代の終わり頃、豪華できらびやかな時代を取りあげています。以下、「列品解説」の宗像さんのコメントを参考に書いてみました。


光悦や宗達は、金銀、とりわけ「金」を愛したそうです。第1章は「美霊の世界」、まず光悦の書と宗達の下絵による合作「蓮下絵百人一首和歌巻」、蓮の花が咲いて花びらが散って、蓮の一生を下絵にして、文字をクローズアップして描いています。金泥の濃淡がうまく使われています。「俵屋」の初期は扇面など小さなものから、次第に大画面の金地屏風を手がけるようになります。「扇面画」の特徴は、金地や銀地など、銀一色で下地を作っています。伝俵屋宗達の「扇面散図屏風」は、屏風にたくさん貼り付けたもので、俵屋の主力商品でした。絵としては淡泊です。俵屋宗達の「扇面散貼付屏風」は扇面の画面を5つに分割し、手の込んだ装飾となっています。「切り継ぎ」や「破り継ぎ」の手法に倣ったものです。


第2章は「金屏風の饗宴」、「伊年」印のハンコは50~60あるといわれています。工房作とか、弟子の作といわれていますが、一部では非常に優れた作品もあります。「月に秋草図屏風」は宗達の傑作中の傑作です。石とか水流とか遠山とかはまったくありません。抽象的とも言えます。金空間を秋草の微妙な配置だけ構成し、豊かな野辺の広がりを描いています。「四季草花図屏風」(根津美術館)と、「四季草花図屏風」(出光美術館)は、上下2段構成で描かれています。、「四季草花図屏風」(出光美術館)は、弟子または工房が描いたもので、当時の富裕層に好まれた絢爛豪華なものです。


光琳は高級呉服商・雁金屋の息子です。光琳の「燕子花図」(大阪市立美術館)は地袋の襖絵だったもので、真横から描いています。大胆で揺るぎない構図で、緊張感のある世界を構築しています。「芙蓉図屏風」はカチッとした印象を受けます。「紅白梅図屏風」は、緊張感を保った梅樹、この造形感覚の持ち主は光琳その人である可能性が高いという。重文「太公望図屏風」は京都国立博物館のもの、流れるような構図がダイナミックです。「白楽天図屏風」は、波がダイナミックで、波を見ていると酔ってくるように感じます。


「龍虎図」の虎はドラえもんに似ています。ちょっと情けない顔です。虎は中国の牧谿に学んでいます。宗達のおおらかさを感じると共に、琳派の許容性の広さを感じます。宗達は墨を扱うレベルが非常に高い、微妙な濃淡で表現するのが上手い。宗達は2度にわって重文「西行物語絵巻」の模本を作り、出光美術館のものは烏丸光廣の奥書があります。第四巻は武蔵野の原で老僧に会う西行を描いたもので、鹿の動きがよく描かれています。


「白蓮図」は抱一の近代的な感覚が表現されていて、構成もしっかり考えられています。宗達の国宝「蓮池水禽図」(京都国立博物館)は、抱一が箱書きを書いて、宗達を認めた最初だという。宗達は「たらし込み」の技法を創造し、水墨画の表現力の可能性を大きく拡大しました。。


第1章 美霊の世界


第2章 金屏風の競演





第3章 光琳の絵画



第4章 琳派の水墨画



琳派の工芸



「酒井抱一生誕250年 琳派芸術―光悦・宗達から江戸琳派」展

気宇壮大な文化を誇った桃山時代が終末する頃、その絢爛たる黄金文化を背景にして、優雅な琳派芸術が京に息吹をあげました。琳派の始祖と仰がれる本阿弥光悦や俵屋宗達らは、王朝時代の装飾美を豊かに翻案し、新時代の幕開けを告げる斬新な造形美を生み出しました。それは後世の京に生まれた尾形光琳や、江戸で活躍した酒井抱一らの新たな創造を促したのです。本展第1部の<煌めく金の世界>では、宗達が手懸けた金銀のきらびやかな装飾による和歌巻、扇面画、さらに大画面の草花金地屏風などを中心として、宗達が創始した華麗な装飾美と、奥行きある豊かな金地空間をご覧いただきます。また独自のデザイン感覚をあらわした光琳の絵画の魅力や、琳派絵師たちにとって一つの主要なジャンルであった、水墨画の特集なども併せてご紹介します。本展第2部の<転生する美の世界>(2月11日より開催)では、本年、生誕250年を迎えた酒井抱一の作品を中心に、江戸琳派の美を探訪します。東都江戸の地に、京の琳派芸術を再興した抱一は、光琳を敬慕しながらも、江戸人たる新しい感性によって新風を巻き起こしました。抱一独自の美意識の表明がみられる銀地屏風や、清新な感性が注がれた草花図や花鳥画に注目し、華やかに転生を遂げる江戸琳派の美を多方面からご紹介します。琳派の芸術家たちは皆、いにしえに範を求めて伝統を自覚しながらも、その伝統を脱する冒険心を芯にもち、それぞれに特徴ある個性を示しました。光悦・宗達という母なる大樹から若枝が生長し、やがて百花を咲かせ、華麗に飛躍していく琳派芸術の粋美の輝きを、どうぞご鑑賞ください。


「出光美術館」ホームページ


とんとん・にっき-rin17 「琳派芸術―光悦・宗達から江戸琳派」

平成23年1月8日発行

編集・発行:公益財団法人出光美術館

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「もっと知りたい俵屋宗達 生涯と作品」

2008年9月25日初版第1刷発行

著者:村重寧

発行所:格式会社東京美術

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「俵屋宗達 琳派の祖の真実」

平凡社新書518

2010年4月15日初版第1刷発行
著者:古田亮

発行所:株式会社平凡社









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