出光美術館で「仙厓展」を観た! | とんとん・にっき

出光美術館で「仙厓展」を観た!

「仙厓のすべて」チラシ
 
出光美術館で「仙厓展」を観てきました。出光美術館の目玉といえる展覧です。なにしろ、1000点を超える仙厓の作品を所蔵しているというからすごい。
ちなみに今回の展示作品が約90点です。
 
僕が今まで観た出光の「仙厓展」は、
 
隠棲して以降、虚白院を訪れる人々に請われるままに書画を描いていた仙厓ですが、いつしか手に負えなくなり、そこで83歳の時に「絶筆宣言」をしたが、それでも「最後に一筆」と懇願され、絶筆もなし崩しになった、という仙厓らしいエピソード。
 

展示概要:

江戸時代の九州・博多で活躍した禅僧仙厓(せんがい)(1750 - 1837)は、「扶桑最初禅窟(日本最古の禅寺)」とも呼ばれる聖福寺の第123世(および125世)の住持として活躍した臨済宗の古月派を代表する名僧です。また、60歳代で虚白院へ隠棲して以降、晩年には数多くの書画を描いたことでも有名です。特に、仙厓の遺した水墨の絵画──「禅画」は、「厓画無法(仙厓の絵には決まった法などない)」の精神にもとづいた、きわめてユーモラスかつ自由奔放な作品で、斬新な表現や大胆なデフォルメにより、現代の私たちが見ても「楽しくて、かわいい」と感じる不思議な魅力に満ち溢れています。
一方、このところ注目を集めているのが、隠棲後の仙厓の多彩な暮らしぶりです。仙厓は旅好きで、九州北部に点在する名所旧跡を訪ねたり、筑前・筑後国(現在の福岡県)の名だたる山を踏破したり、あるいは珍しい石や骨董の蒐集に熱中したり、さらには博物学的な探究への関心も示すなど、マルチな文化人であったことがわかってきました。
本展では、仙厓の禅画を楽しみ、そこにこめられた心温まるメッセージを読み解きながら、江戸時代後期を代表する趣味人としても重要な存在である仙厓の、もう一つの実像にも迫ってみたいと思います。
日本最大の質と量を有する出光美術館のコレクションでたどる仙厓展の決定版。仙厓の遺した数々のメッセージは、きっと時空を超えて私たちに多くを語りかけてくれることでしょう。

 

本展のみどころ

 

01オールアバウト仙厓!

仙厓の”すべて”がわかる展覧会

仙厓の代表的な作品93件からなる本展を通して、仙厓の生涯や様々な教えと教訓を楽しく解説します。ユーモラスな「無法画」誕生のいきさつ、仙厓の総合的な宗教観、「絶筆宣言」の本当の意味、多彩な趣味人・文化人としての側面など、いくつもの興味深いトピックスも紹介します。仙厓に関するすべてを知ることのできるこの展覧会。3つの展示室を見終わった頃には、誰もが「仙厓ファン」「仙厓通」になっていることでしょう。

 

02人生に迷ったら・・・

仙厓の教えをじっくり味わおう

仙厓が描いた画賛は、禅修行にまつわる教えを説くものがメインですが、それにおとらず多いのが生きていく上での教訓を説いた作品です。画を見て、添えられた賛の文章をじっくり読めば、必ず納得するはず! 今日の私たちの生活にもすぐに役立ち、人生を豊かにしてくれるアドバイスばかりです。禅の教えとあわせて、仙厓流の人生指南をお楽しみあれ!!

 

03広く、深い―仙厓のまなざしを追体験

「仙厓に描けぬものは無し」。どんな依頼にも応じ、その要望や内容にあわせた最適の画題を選び出しては、的確な描写・表現で対象を描いてみせた仙厓。禅をテーマにした「禅画」はもちろん、動・植物図や名所旧跡を描いた風景画から、各地の祭礼や大道芸・相撲、庶民の生活などを活写した風俗画まで、そのレパートリーの広さを展示作品によって実感してみてください。

 

04にんげん・仙厓の謎に迫る!

仙厓の一生は多くの画賛が残されていることから非常によく知られていると思われています。しかし、実は修行時代の仙厓が心の奥に秘めた思い、あるいは恋(?)については資料が残っていないため、よくわかっていません。また仙厓には生前からほぼ公認同然の「仙厓描き」がいたといわれており、そういったことも謎に包まれています。本展ではそれらの答えを作品の中に探ってみたいと思います。

 

展覧会の構成:

第1章 仙厓略伝―画賛でつづる一生

第2章 「厓画無法」―仙厓画、ビフォー・アンド・アフター

第3章 仙厓の禅の教え―悟りへのイントロダクション

第4章 仙厓の人生訓―充実した生活のためのハウツー

第5章 「絶筆宣言」―仙厓の終活

第6章 バラエティーあふれる画賛の世界―仙厓に描けぬものは無し

 

第1章 仙厓略伝―画賛でつづる一生

 

「馬祖・臨済画賛」双福

 

仙厓遺愛
左:「銅象鈕仙厓印」
右:「竹図・書彫扇形矢立」

 

第2章 「厓画無法」―仙厓画、ビフォー・アンド・アフター

 

「自画像画賛」

 

「布袋画賛」

 

仙厓の一行書

仙厓の書は数ある先師の事績や名言などの中から、仙厓自身で選んで揮ごうしたものです。つまり、仙厓が最も重要と考え、大切にした禅の教えや、普段の生活における考え方を短くまとめて表現したものが一行書なのです。そのため味わいのある書体を示すこれらの作品は仙厓の書を堪能するためにも、また、仙厓の禅や生き方のモットーを理解する上でも格好の資料といえます。記されている内容は「実践重視」「知足(足るを知ること)」や「質素」といった言葉を想起させるものばかりです。禅僧として生きる上での厳しい態度と、質素でつつましい生き方を良しとする謙虚な姿勢をうかがうことが出来ます。

 

一行書
「一盂午飯一茶」

 

第3章 仙厓の禅の教え―悟りへのイントロダクション

 

「指月布袋画賛」

 

「自画像画賛」
 

「〇△□」

 

「堪忍柳画賛」

 

第4章 仙厓の人生訓―充実した生活のためのハウツー

 

「三福神画賛」

 

「さじかげん画賛」

 

第5章 「絶筆宣言」―仙厓の終活

 

「双鶴画賛」

 

「利休画賛」

 

「絶筆碑画賛」

 

仙厓の遺愛の品々

 

   

左:「書画入れ線茶碗箱」       右:「亀石」 

 

 

第6章 バラエティーあふれる画賛の世界―仙厓に描けぬものは無し

 

「狗子画賛」

 

「うそ替画賛」

 

いまだ解けぬ謎

40歳以前の修業時代のことはあまりよくわかっていません。「蘭画賛」に添えられた自らの恋を詠んだとおぼしき句は、・・・多感な青春時代に青年僧仙厓画いだいた淡い恋の思い出が反映されているかもしれません。

 

「蘭画賛」

 

「出光佐三と仙厓」
初代館長の出光佐三(1885-1981)は、仙厓の書画を精力的に集め、約1000件をかぞえる日本最大のコレクションを形成しました。
さて、出光にとって、仙厓は美術の蒐集対象というだけではなく、心酔に近いものがあったように思われます。明治38年(1905)、19歳の時に、ほほえましい「指月布袋画賛」に心惹かれて購入して以降、仙厓への興味と作品蒐集に対する情熱は終生続きました。と同時に、仙厓の思想への理解も深まっていき、その教え(「大局を見よ」という「指月の訓」)を自らの石油事業に用いることもあったようです。
また、近代の画家小杉放菴や洋画家のジョルジュ・ルオーなどの作品蒐集にあたっても、仙厓の存在が強く影響をあたえたことがわかっています。いずれの場合も、仙厓作品の持っている特徴(素朴で清々しい画風や太い墨線の表情)との共通性が蒐集決定の端緒となっていたからです。
最晩年、病床にあった出光のもとに仙厓の「双鶴画賛」がもたらされました。仙厓を愛し、生涯をかけて作品を蒐集し続けた出光は、その最後の時も仙厓に見守られながら迎えることとなったのです。そして、この作品が最後の蒐集作品となりました。
仙厓の禅画を愛し、そこに示された偉大な教えに深く共感し、それを広め伝えるために国内外での展覧会開催に積極的に取り組んだ出光。その努力は報われ、「博多の仙厓さん」は「世界のSENGAI」へと飛躍することになりました。
 
絵唐津丸十文茶碗を手にとる出光佐三
「仙厓のすべて」
図録
令和4年9月3日発行
編集・発行:公益財団法人出光美術館
©2022
 
「出光美術館」ホームページ
出光美術館 (idemitsu-museum.or.jp)
 
2022年9月27日
「国際ビル・帝劇ビル共同建替計画」
については、こちらをご参照ください。
【出光美術館】 
当館は、出光興産の創業者である出光佐三が創設し、1966 年に開館した東洋古美術の優品ほかを展 示する美術館です。約1万件の所蔵品(国宝 2 件、重要文化財 57 件を含む)を保有する国内屈指の私 立美術館として知られてきました。今回の再整備にあたっては、開館以来、ご来館いただいた皆様と ともに培った当館らしさは継承しつつも、心潤う都会のオアシスへと、新たな進化を目指します。芸 術・文化を取り巻く社会動向が大きな転換期を迎えている今。未来の変化にもしなやかに応じる事の できる美術館として、関係各位とも協力しながら本計画に取り組んで参る所存です。
 
僕が所蔵する出光美術館の展覧会図録。(右側の数冊は違いますが)
 
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過去の展覧会の図録

 

「仙厓礼讃」

図録

平成30年9月15日発行

編集・発行:

公益財団法人出光美術館

 

生誕260年「仙厓―禅とユーモア」展

図録

平成22年9月18日発行

編集・発行:

公益財団法人 出光美術館

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