出光美術館で「躍動と回帰―桃山の美術」を観た! | とんとん・にっき

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出光美術館で「躍動と回帰―桃山の美術」を観てきました。観に行ったのは9月5日のことです。あたまに「日本の美・発見X」とあります。どういう趣旨のシリーズなのかはよく分かりませんが、このシリーズが今回で9回目、ということになります。たまたま僕は、「 日本の美・発見VIII 仙厓と禅の世界」と「 日本の美・発見VII 祭 MATSURI ―遊楽・祭礼・名所」以外は、すべて観ていることになります。観たシリーズはすべて図録を購入したあります。ちなみに過去を振り返ってみると、以下のようになります。


・2014年4月5日(土)~6月8日(日)
 日本の美・発見Ⅸ 日本絵画の魅惑

・2013年9月21日(土)~11月4日(月・休)
  日本の美・発見VIII 仙厓と禅の世界
 特集展示:一休ゆかりの床菜菴コレクション

・2012年6月16日(土)~7月22日(日)
  日本の美・発見VII 祭 MATSURI ―遊楽・祭礼・名所

・2011年10月29日(土)~12月18日(日)
 日本の美・発見VI 長谷川等伯と狩野派

・2011年9月10日(土)~10月23日(日)
 日本の美・発見V 大雅・蕪村・玉堂と仙厓―「笑(わらい)」のこころ

・2010年6月12日(土)~7月25日(日)

  日本の美・発見IV
 屏風の世界 ―その変遷と展開―

・2010年4月3日(土)~6月6日(日)
  日本の美・発見III
 茶 Tea ―喫茶のたのしみ―

・2009年6月6日(土)~7月20日(月・祝)
 日本の美・発見II
 やまと絵の譜

・2009年4月25日(土)~5月31日(日)
 日本の美・発見I
 水墨画の輝き ―雪舟・等伯から鉄斎まで―


今回の「躍動と回帰」と名付けられた展覧会の趣旨はどういうことでしょうか。工芸作品と絵画作品の入り混じった展示には、ちょっと面喰いました。展覧会の趣旨をよく読むと、桃山美術はかなり革新的な、逆に言えば、多くの「負の要素」が大きな特徴を持っていることがわかります。陶芸で言えば「歪み」「割れ」「染み」などです。それがタイトルの「躍動と回帰」ということになるようです。


チラシには、以下のようにあります。

桃山時代の美の姿を探ります!ときに革新的とたたえられる桃山時代の美術。本展では、その魅力が実は過去の造形との関わりによって生み出されていることに注目します。出光コレクションから選りすぐった約90件の工芸作品と20件の絵画作品を通して、桃山時代の美術をより新鮮にとらえるための視点をご紹介します。


展覧会の構成は、以下の通りです。


第1章 「うしろ向き」の創造 ―歪み・割れ・平らかさ
第2章 なつかしくて、身近なもの ―草花・樹木と動物たち
第3章 瞬間と永遠の発見 ―手と土の動き・釉流れ
第4章 「あべこべ」の表現 ―流派の領分とその越境
第5章 生のうつわ、水のうつわ ―桃山茶陶、その「生気」の系譜
第6章 「いま」をとらえるための過去の視点 ―風俗画の隆盛
特集 南蛮蒔絵



第1章 「うしろ向き」の創造 ―歪み・割れ・平らかさ






第2章 なつかしくて、身近なもの ―草花・樹木と動物たち




第3章 瞬間と永遠の発見 ―手と土の動き・釉流れ



第4章 「あべこべ」の表現 ―流派の領分とその越境



第5章 生のうつわ、水のうつわ ―桃山茶陶、その「生気」の系譜




第6章 「いま」をとらえるための過去の視点 ―風俗画の隆盛



特集 南蛮蒔絵


「躍動と回帰―桃山の美術」

16世紀から17世紀初頭にかけての日本は、戦国武将たちが天下の覇権をめぐってせめぎ合う、激動のただなかにありました。この時代、彼らの好みを反映しながら、躍動感に富んだ魅力的な造形が数多く生み出されるようになります。本展は、豊臣秀吉が没する慶長3年(1598)、あるいは徳川家康が江戸幕府を開く同8年(1603)までとする政治史の区分よりもやや幅を持たせつつ、この時代の美術を貫く特徴を考えるものです。

きらめく金と、目にも鮮やかな絵具で樹木や草花、鳥たちの姿をあらわした狩野派の屏風絵、あるいは、神の上に墨を荒々しくぶつけた長谷川等伯(1539~1610)の水墨画、そして、絵師と同時代を生きる人々の姿を、実感たっぷりに描き出した風俗画―桃山時代の絵画は、どれも豪華でエネルギッシュな魅力に満ちていますが、その斬新な発想の一端は、過去の時代の絵画、とりわけ日本の生活に深く根差した「やまと絵」の主題と技法を大胆に変容させることで生まれたものだといえます。

一方、この時代に頭角をあらわしたやきものは、志野・織部・古唐津、そして高取、備前、伊賀など、いずれも日本のやきものの歴史を大きく塗り替えた、豊かな造形性に満ちています。「歪み」「割れ」といった負の要素をこそ、肯定的な美の創造力に置きかえたそれらは、実は、平安・鎌倉時代の六古窯で作られた壺や甕から、生命を包み、運ぶうつわとしての力を掴みとっていました。

本展は、ときに革新的とたたえられる桃山時代の美術の魅力が、実は過去の造詣とのかかわりによって生み出されていることに注目します。出光コレクションから選りすぐった約90件の工芸作品と20件の絵画作品を通して、桃山時代の美術をより新鮮にとらえるための視点をご紹介いたします。


「出光美術館」ホームページ


yaku1 日本の美・発見X
躍動と回帰―桃山の美術

平成27年8月8日発行

編集・発行:

公益財団法人出光美術館









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