出光美術館で「勝川春章と肉筆美人画―<みやび>の女性像―」を観た! | とんとん・にっき

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出光美術館で「勝川春章と肉筆美人画―<みやび>の女性像―」を観てきました。


今年になってから観た浮世絵関連の展覧会は二つ、ともに浮世絵の魅力を伝える素晴らしい展覧会でした。上野の森美術館の方には勝川春章の作品は二つ、「仲之町の遊女」と「納涼美人図が出ていました。」

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さて、出光美術館で「肉筆美人画」?過去を調べてみたら、僕がブログを初めてからは浮世絵展のようなものは開催されていなくて、もちろん肉筆浮世絵展も開催されていないようです。ちなみに下にあるのは本棚に並べられた出光美術館開催の展覧会図録です。すべての展覧会で図録を買うということではなく、気に入った展覧会の図録のみです。以前は必ず学芸員が行う解説、ギャラリートーク?の時間にあわせて観に行っていたのですが、最近は何かと忙しく、なかなかその時間に行くことができないでいました。


ふと思い出したことが本棚の隅に眠っていました。平成8年に出光美術館で開催された「艶と粋―肉筆浮世絵展」、観に行っていたことがこの図録からわかりました。図録は横13cm、25.5cmの縦長のもの。今から約20年も前のことです。たぶん僕が、出光美術館へ行った、最初の展覧会だっただろうと思います。出光美術館のホームページ「過去の展覧会」を見ても記録されているのは2001年度からで、それ以前の展覧会の詳しいことはわかりません。



まあ、それはそれとして、平成8年に開催された「艶と粋―肉筆浮世絵展」ですが、記録として「展覧会の構成」を図録より、以下に載せておきます。

〇寛文美人と菱川派

〇鳥居派と懐月堂派

〇奥村・川又・西川の各派

〇宮川派と北尾派

〇勝川派と歌麿・栄之

〇北斎一派と歌川派


「勝川派と歌麿・栄之」の項には、以下のようにあります。


宮川長春の弟子春水の門から出た勝川春章は、まことに出藍の誉れ高き第一級の肉筆美人絵師といえる。 この春章は版画でも役者似顔絵という新機軸を打ち出して人気を博したが、その一方で安永末から肉筆美人画の作画にも本格的に力を注ぎ、浮世絵黄金期の天明期美人画界では、鳥居清長の錦絵と並立してその画名を高めた。寛政前期にまで及ぶその作画は優婉にして典雅と形容され、清廉な女性像は神々しいまでの輝きを放っている。


出光美術館の「勝川春章と肉筆美人画―<みやび>の女性像―」は、もちろん、江戸時代中期に活躍した浮世絵師・勝川春章(1726-92)による肉筆美人画と特集する展覧会です。春章の画業がもっとも充実した時期は、多色摺木版画(錦絵)を創始した鈴木春信の晩年期に重なり、また、鳥居清長や喜多川歌麿、東洲斎写楽といった浮世絵史上に輝く歴々の巨匠が脚光を浴びはじめる、まさにその目前で終わりをむかえます。(図録「ごあいさつ」より)


活躍期を接するビッグネームに押されてか、春章に寄せられる従来の評価は、いまだ作品の出来ばえに見合ったものとはいえません。歌舞伎俳優の特徴をとらえた、迫真的な役者絵にも優れた仕事を残した春章ですが、とりわけ晩年期に手がけられた肉筆による美人画は、その女性表現の優雅さにおいて、ほかの浮世絵師のそれとは一線を画したものといえます。(図録「ごあいさつ」より)


春章に私淑した美人画家・鏑木清方は、春章について次のように述べています。「春章といふ日知、小肥りの色白、背は中背、おっとりとして物ごし柔しく、めったに人を叱ったこともなく、大声ではもの云わぬ人、道楽といつては生得の芝居好き、浮世絵職のものとしては四角な字も読める方、書道には相当に苦労をした、苦労といへば浮世の塩も嘗めてきた苦労人、遊びは嫌ひではないが、沈溺するには分別が許さない」。(図録、村瀬可奈「春章が残したもの」より)


今回の展覧会の目玉は、もちろん、美人画としては破格に大きな画絹の上に、思い思いに時を過ごす11人の女性の群像を描いた「美人鑑賞図」です。


展覧会の構成は、以下の通りです。


1章 春章の達成―「美人鑑賞図」にみる創意

   「美人鑑賞図」の典拠

2章 春章へと続く道―肉筆浮世絵の系譜、<大和絵師>の自負

   「浮世絵」と「画家」

3章 美人画家・春章の出発―安永・天明期、上方へのまなざし

   上方の風俗画への敬意と克服

4章 春章の季節―同時代の浮世絵師たちとの交感

5章 俗のなかの<みやび>―寛政期、円熟と深化へ

6章 <浮世絵の黄金期>へ―春章がのこしたもの

   肉筆浮世絵の系譜と春章門の消長



1章 春章の達成―「美人鑑賞図」にみる創意

   「美人鑑賞図」の典拠



2章 春章へと続く道―肉筆浮世絵の系譜、<大和絵師>の自負

   「浮世絵」と「画家」




3章 美人画家・春章の出発―安永・天明期、上方へのまなざし

   上方の風俗画への敬意と克服




4章 春章の季節―同時代の浮世絵師たちとの交感



5章 俗のなかの<みやび>―寛政期、円熟と深化へ




6章 <浮世絵の黄金期>へ―春章がのこしたもの

   肉筆浮世絵の系譜と春章門の消長



「勝川春章と肉筆美人画―<みやび>の女性像―」

江戸時代中期に活躍した浮世絵師・勝川春章(1726-92)の生誕290年にあたる2016年、春章による肉筆美人画を特集する展覧会を開催いたします。

春章の画業がもっとも充実した時期は、多色摺木版画(錦絵)を創始した鈴木春信(1725?-70)の後半期に重なり、また、鳥居清長(1752-1815)や喜多川歌麿(1753?-1806)、東洲斎写楽(?-1794-?)といった浮世絵史上に輝く歴々の巨匠たちが脚光を浴びはじめる、まさにその目前で終わりをむかえます。活躍期を接するビッグネームたちに押されたためか、春章に寄せられるこれまでの評価は、いまだ作品の出来ばえに見合ったものとはいえません。歌舞伎俳優の特徴をとらえた、迫真的な役者絵にもすぐれた仕事を残した春章ですが、とりわけ晩年期に手掛けられた肉筆による美人画は、その女性表現の優雅さにおいて、ほかの浮世背史上のそれとは一線を画したものといえます。

おそらくは周囲の貴顕たちの好みに応じた結果、風雅なおもむきを強くにじませることとなった春章の肉筆美人画は、同時代の女性という日常的で身近な題材をとらえながらも、画題の選択や表現技法に、<古典>とのつながりを明確に打ち出します。この展覧会は、<美人画>という現実の都市生活の断面を、伝統的な文化の枠組みのなかへ転じようとする、いわば<俗中の雅>ともいうべき性格に注目しながら、春章の芸術が目指したこと、そして、当時の鑑賞者たちが春章の絵画に期待したことを明らかにしようとするものです。


「出光美術館」ホームページ


katu2 生誕290年記念

「勝川春章と肉筆美人画―<みやび>の女性像―」

平成28年2月20日発行

編集・発行:公益財団法人出光美術館







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