出光美術館で「江戸絵画の文雅 魅惑の18世紀」を観てきました。観に行ったのは、11月13日のことでした。
「文雅」、あまり聞きなれない言葉です。図録では、以下のように述べています。
江戸時代の文化を端的にあらわす言葉に「雅俗」、すなわち、漢文学・和歌に代表される伝統的な「雅」と、俳諧や戯作といった新興の「俗」があり、これらは相互に混じりあいながら、豊かな文化を形成していきました。こうした雅俗の混交は、当時の画壇にも当てはまります。本展では18世紀に生まれた雅俗の絵画を、「文雅」、すなわち文芸をキーワードに見ていきます。
ただ今回の展覧会、印象としては、あれもこれもと詰込み過ぎの感が否めませんが、いずれにせよ、18世紀の江戸時代は多様な展開を見せ、豊穣な絵画が成立した時代でもありました。
国宝が一点ありました。与謝蕪村の「夜色楼台図」です。出光佐千子によると、「雪明りを表すために、じつに様々な技法が、画業の集大成のように登場しています」として、与謝蕪村と比較し、いくつかの技法を図録で解説しています。
展覧会の構成は、以下の通りです。
第一章 孤高の美学―大雅・蕪村の競演
第二章 文雅の意匠―琳派のみやび
第三章 禅味逍遥
第四章 王朝文化への憧れ―「見立て」の機知
第五章 幻想の空間へ―「文雅の時代」を継承するもの
第一章 孤高の美学―大雅・蕪村の競演
第二章 文雅の意匠―琳派のみやび
第三章 禅味逍遥
第四章 王朝文化への憧れ―「見立て」の機知
第五章 幻想の空間へ―「文雅の時代」を継承するもの
「江戸の文雅―魅惑の18世紀」
元禄年間(1688 - 1704)、日本は経済活動の発展により、空前絶後の繁栄を極めました。開府よりおよそ100年を経た江戸は人口100万を突破、世界屈指のメガロポリスの地位を確たるものにしました。また、大坂・京都も数十万規模の大都市へと発展します。
「都市」という新たな生活空間の誕生は、文学・演劇・美術など、多様な文化の成立・発展に結びつきます。こうした文化を端的にあらわす言葉に「雅俗」、すなわち、漢文学・和歌に代表される伝統的な「雅」と、俳諧や戯作といった新興の「俗」があります。この言葉は、ふたつの文化が画然と分かたれるものであったかのような印象を私たちに与えるかもしれませんが、実際は相互に混じりあいながら、豊かな文化を形成していったのです。
こうした雅俗の混交は、当時の画壇にも当てはまります。本展では18世紀に生まれた雅俗の絵画を、「文雅」、すなわち文芸をキーワードに見ていきます。
文芸と絵画は古くより不可分の存在です。しかし、その裾野が大きく広がったのはこの時代です。人々の世相や風俗を描く「俗」なる絵画の典型という印象とは裏腹に、古典をもとにした「見立て」を繰り広げた浮世絵。王朝の風雅に対する深い理解と憧れを、絢爛たる色彩に託した琳派。そして、「雅」なるものの象徴ともいえる文人画においては、漢文学に対する深い素養とともに、俳諧など「俗」なる文芸が混ざり合うことによって、日本独自の情趣性を帯びてゆきます。「文雅」をもとに、多様な展開を見せる18世紀の豊饒な絵画の競演を、どうぞご堪能ください。
「江戸の文雅―魅惑の18世紀」
図録
平成30年11月3日発行
編集・発行:
公益財団法人出光美術館
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