渋谷区立松濤美術館で「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」を観た! | とんとん・にっき

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「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」
チラシ

 

「渋谷区立松濤美術館」正面外観
設計:白井晟一

 

「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」案内板

 

渋谷区立松濤美術館で「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」を観てきました。

 

類似の展覧会としては、国立西洋美術館の「ローマの景観・そのイメージとメディアの変遷」を、11月の初めに観に行ってきました。

国立西洋美術館で「ローマの景観・そのイメージとメディアの変遷」を観た!

 

「廃墟」を描いた、といえば、ピラネージとユベール・ロベールの二人は外せません。ユベール・ロベールは、「廃墟の画家」とまで言われたという。ピラネージは、西洋美術館と町田市国際版画美術館が数多く所蔵していますし、ユベール・ロベールは西洋美術館が所蔵しています。

町田市国際版画美術館で「ピラネージ版画展2008」を観る!

国立西洋美術館で「ユベール・ロベール―時間の庭―」を観た!

 

「廃墟」とは何か? 「遺跡」とは何か? よく分からないままに、観て歩きましたが、圧巻だったのは、以下の二カ所です。これらはもちろん実在するものです。

イタリア紀行ー3 ポンペイの遺跡

世界文化遺産・軍艦島へ行った・遠景編!

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以前、「廃墟」と関連付けて、磯崎新を取り上げたことがありました。

廃墟と言えば、磯崎新の「ふたたび廃墟となったヒロシマ」(1968年)を思い出します。また「つくばセンタービル―廃墟」(1983年)もありました。いつの時代も廃墟や遺跡は、なぜか人の心をとらえて離さないものです。

 

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

 

Ⅰ章 絵になる廃墟:西洋美術における古典的な廃墟モティーフ

Ⅱ章 奇想の遺跡、廃墟

Ⅲ章 廃墟に出会った日本の画家たち:

    近世と近代の日本の美術と廃墟主題

Ⅳ章 シュルレアリスムのなかの廃墟

Ⅴ章 幻想のなかの廃墟:昭和期の日本における廃墟的世界

Ⅵ章 遠い未来を夢見て:いつかの日を描き出す現代画家たち

 

アンリ・ルソー「廃墟のある風景」
1906年頃

 

Ⅰ章 絵になる廃墟:西洋美術における古典的な廃墟モティーフ

 

シャルル・コルネリス・ド・ホーホ
「廃墟の風景と人物」17世紀

 

ユベール・ロベール
「ローマのパンテオンのある建築的奇想画」
1763年

 

アシル=エトナ・ミシャロン
「廃墟となった墓を見つめる羊飼い」1816年

 

Ⅱ章 奇想の遺跡、廃墟

 

ジョバンニ・バッティスタ・ピラネージ
「『ローマの景観』より:シビラの神殿、
ティヴォリ(背後から)」1761年

 

ジョバンニ・バッティスタ・ピラネージ
「『ローマの景観』より:通称ミネルヴァ・
メディカ神殿」1764年頃

 

Ⅲ章 廃墟に出会った日本の画家たち:

    近世と近代の日本の美術と廃墟主題

 

小野竹喬「素描、ローマ廃墟」
1922(大正11)年

 

不染鉄「廃船」1969(昭和44)年頃

 

藤島武二「ポンペイの廃墟」
1908(明治41)年頃

 

山口薫「古羅馬の旅」
1937(昭和12)年

 

難波田龍起「廃墟(最後の審判より)」
1942(昭和17)年

 

Ⅳ章 シュルレアリスムのなかの廃墟

 

ポール・デルヴォー「海は近い」1965年
 

植松正利「夢」1940()昭和15年

 

Ⅴ章 幻想のなかの廃墟:昭和期の日本における廃墟的世界

 

大岩オスカール「動物園」1997(平成9)年

 

元田久治「Indication:Shibuya Center Town」
2005(平成17)年

 

「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」

栄華や文明の痕跡を残しながら崩れ落ちようとする建造物や遺跡。「廃墟」は西洋美術のなかで、、風景画の一角にくりかえし描かれていました。18世紀から19世紀にかけて興味深いことに、いわゆる廃墟趣味が流行すると、「廃墟」は絵画の主役の地位を確立していきます。「廃墟」を愛でること、描くこと―この美学は、近代に日本の美術のなかにも伝播しました。廃墟の画家として名をはせた18世紀のユベール・ロベール、版画家ピラネージから、19世紀のコンスタブル、20世紀のアンリ・ルソー、マグリット、デルヴォー、そして江戸時代から日本の近現代の画家たち、亜欧堂田善、藤島武二、岡鹿之助、元田久治、大岩オスオスカール、、野又穫まで、廃墟の主題は描き継がれているのです。なぜ人々は、流れる時間のなかで滅びた、またはいつかは滅びてしまう、遠い昔のあるいは遠い未来の光景に、惹きつけられるのでしょう。この展覧会では、西洋古典から現代日本までの廃墟・遺跡・都市をテーマとした作品を集め、これら「廃墟の美術史」をたどります。

 

「渋谷区立松濤美術館」ホームページ

 

「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」

図録

編集・発行:渋谷区立松濤美術館

発行日:2018(平成30)年12月3日

 

「ピラネージ版画展2008

 ―未知なる都市の彼方へ」

図録

編集:町田市立国際版画美術館

発行:2008年10月4日

    町田市立国際版画美術館

 

「ユベール・ロベール―時間の庭」

図録

編集:国立西洋美術館

    福岡市美術館

    静岡県立美術館

    東京新聞

発行:国立西洋美術館/西洋美術振興財団

    福岡市美術館

    静岡県立美術館

    東京新聞

©2012

 

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