渋谷区立松濤美術館で「芹沢銈介展」を観た! | とんとん・にっき

渋谷区立松濤美術館で「芹沢銈介展」を観た!


渋谷区立松濤美術館で「芹沢銈介展」を観てきました。静岡市に「静岡市立芹沢銈介美術館」があります。静岡には時々行くんですが、残念ながら未だに行ったことがありません。松濤美術館(1981年開館)と芹沢銈介美術館(1981年開館)のつながりはなにか、奇しくも開館年が同じで、建物の設計者が同じ白井晟一なのです。

芹沢銈介(1895-1984)は、静岡市の呉服商の生まれ、東京高等工業学校(源・東京工業大学)を卒業後、30代前半に民藝運動の創始者・柳宗悦と出会い、沖縄の紅型に衝撃を受け、染織の道に入ります。河井寛次郎、浜田庄司らと共に民藝運動に参加、独創的な型絵染を考案します。型絵染にとどまらず、書物の装丁、建物の設計、家具の設計に至るまで、幅広い作品を生み出します。

今回の松濤美術館の「芹沢銈介展」は、自身も群上紬の制作者である宗廣陽助氏が所蔵する芹沢作品の数々が展示されています。出品目録を見ると140点となっています。型絵染の屏風、暖簾、着物、また板絵やガラス絵なども展示されています。日本民藝館では、毎回、行く度に芹沢銈介の作品を観ることができます。

ふと考えてみたら、赤坂見附にあった頃ですが、サントリー美術館で芹沢銈介の作品を纏まって観た記憶があり、本棚を探してみたら、その時の図録が出てきました。昭和52年(1977)とありますから、今から34年も前のことでした。実はその頃の勤務先が赤坂見附だったので、サントリー美術館にはよく行ってました。芹沢銈介の作品はかなり以前から好きでした。今、その図録を見直してみると、「パリ市民たちに驚きと感銘をもたらした染織作品の帰国を記念して芹沢銈介展を開催します」とありました。


図録はわずか32ページの、白黒写真が掲載されたものでした。巻末の出品目録を見ると254点もの作品が出されていました。そんなわけで、昭和52年に開催されたサントリー美術館での「芹沢銈介展」の図録から、ページ毎にコピーしたものを載せておきます。今回出された作品とほぼ同じものだと思われますが、比較対照するのにいいかと思いました。宗廣陽助氏は、芹沢作品の特徴を述べるとすれば、その類い稀なるデザイン力、だと言います。芹沢作品の代表作は、数多い型絵染であり、ガラス絵など、肉筆にも優れた作品があります。


宗廣コレクションを主体に、芹沢作品を分類すると下記のようになります。(正村美里による)

Ⅰ類①染色作品

     着尺、着物、帯、夜具地、座布団、卓布、飾布、壁掛、

     のれん、カーテン、風呂敷、屏風、染絵、等

   ②肉筆画

     板絵、ガラス絵、水彩素描、墨画淡彩、書、等

Ⅱ類①印刷物

     本の装丁、カレンダー、蔵書表、扇子、団扇、

     マッチ箱やボトル等のラベル、品書(メニュー)、

     包装紙、絵本、挿絵、小間絵、シンボルマーク、等

   ②その他(布、紙以外の作品)

     軒灯、表札、等










とんとん・にっき-seri1 宗廣コレクション

「芹沢銈介展」

図録

編集:中日新聞社

    岡崎市美術博物館
執筆:大森拓土(島根県立美術館)

    正村美里(岐阜県美術館)

    谷亜紀(渋谷区立松濤美術館)

    千葉真智子(岡崎市美術博物館)

    藤間寛(島根県立美術館)

    林智子(京都文化博物館)

    宗廣陽助

制作:印象社

発行:中日新聞社