出光美術館で「江戸 名所図屏風と都市の華やぎ」を観てきました。観に行ったのは、8月18日のことです。
出光美術館の展覧会には、観に行けないことも間々あるにしても、できるだけ観に行くように心がけています。(前にも書きましたが)以前は、金曜6時からの「列品解説」に間に合うように観に行っていました。そこで少しは学んだかなとは思いますが、なんせ奥が深い。そんなわけで必ず図録を買うようにしているので、相当数たまりました。しかし、家へ帰ってからは読む時間が取れないのが現状です。
それにしても、今回の展覧会、特に図録ですが、第一章、ほとんど2/3、100ページほどが「江戸名所図屏風」の詳細な解説です。上野・浅草から品川までの範囲、描かれている人物が2000人以上というから、それだけでも熱気が伝わります。都市生活を謳歌する生き生きした人々が描かれています。
展覧会の構成は、以下の通りです。
第一章 江戸名所図の誕生―<横から目線>でとらえた都市の姿
第二章 都市景観図の先例―洛中洛外図と花洛(からく)の歳時
第三章 <悪所>への近接―遊興空間の演出
第四章 都市の中の美人
第一章 江戸名所図の誕生―<横から目線>でとらえた都市の姿
第二章 都市景観図の先例―洛中洛外図と花洛(からく)の歳時
第三章 <悪所>への近接―遊興空間の演出
第四章 都市の中の美人
「江戸 名所図屏風と都市の華やぎ」
古来、交通の要所であったとはいえ地方都市のひとつにすぎなかった江戸は、徳川家康(1543 - 1616)の移封と開府をきっかけに、目まぐるしい発展をとげてゆきました。勢いを増す都市の景気は、絵画制作のかっこうの動機となったとみえ、その活況をとらえるいくつかの絵画が今日に伝わっています。
江戸の全容を眺めわたした絵画のうち、当館の「江戸名所図屏風」は、明暦3年(1657)の大火以前の城下をとらえた作例として、つとに知られます。画面のいたるところに描き込まれた人物たちは、さまざまな労働にいそしみ、あるいはにぎやかな歓楽街に集うなど、日々の生活を目いっぱいに謳歌しているかのようです。そのきわめて豊かで生き生きとした表現は、屏風の完成からおよそ350年を経たいまなお、鑑賞者の目を楽しませ、また人物とともに配された建造物や自然景観は、現代の東京に暮らす人たちにも身近な共感を呼び起こします。この屏風をめぐっては、近年、注文者や制作の契機について活発な議論が繰り広げられるようになり、平成27年(2015)に国の重要文化財の指定を受けました。
本展では、「江戸名所図屏風」のほか、江戸の町を題材にした絵画の数々をとおして、画面にみなぎる新興都市の活気をご覧いただくとともに、京都の姿をとらえた絵画(洛中洛外図)に替わる新たな都市景観図の成立と展開、絵画史的な意義や絵画そのものの魅力に迫ります。
「出光美術館」ホームページ
「江戸 名所図屏風と都市の華やぎ」
図録
平成30年7月28日発行
編集・発行:出光美術館
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