出光美術館で「六古窯―〈和〉のやきもの」展を観てきました。観に行ったのは、4月12日のことでした。
「やきもの」、う~ん、わからないんですね、これが!
「素朴ながらも豪快で力強さを備える中世のやきもの。その表面は素材の土の色、窯の中で焼成されるときに炎の熱を受けて生じた緋色、人知の域を超えて流れる釉薬の表情が特徴的です。まるで生命がやどっているかのような個性が魅力となっています。」
六古窯(瀬戸窯、常滑窯、越前窯、信楽窯、丹波窯、備前窯)とは、昭和30年代に古陶磁学者・小山富士夫氏により提唱された、中世から絶えることなく焼造活動が行われてきた窯を称する言葉です。
展覧会の構成は、以下の通りです。
第一章 中世陶器の系譜―瓷器系・須恵器系・土師器系
第二章 六古窯と中世諸窯
第三章 中世陶器の系譜から発展した茶陶
第四章 中世の人々が好んだ唐物
第五章 後世の眼から見た中世のやきもの
第一章 中世陶器の系譜―瓷器系・須恵器系・土師器系
第二章 六古窯と中世諸窯
第三章 中世陶器の系譜から発展した茶陶
第四章 中世の人々が好んだ唐物
第五章 後世の眼から見た中世のやきもの
「六古窯―〈和〉のやきもの」
素朴ながらも豪快で力強さを備える中世のやきもの。その表面は素材の土の色、窯の中で焼成(しょうせい)されるときに炎の熱を受けて生じた緋色、人智の域をこえて流れる釉薬(ゆうやく)の表情が特徴的です。まるで生命がやどっているかのような個性が魅力となっています。
なかでも平安時代後期から鎌倉・室町時代といった中世に生み出され、現代に至るまでやきもの作りが続いている瀬戸(せと)、常滑(とこなめ)、越前(えちぜん)、信楽(しがらき)、丹波(たんば)、備前(びぜん)は六古窯と称され、日本的なやきものとして親しまれてきました。2017年には文化庁の「日本遺産」にも選定されています。これらの中世のやきものは、伝統的な技術に加え、中国や朝鮮半島など唐物をはじめとする舶来の文物に影響を受けながらも、各地で独自のスタイルを生みだしました。
作られたやきものは、壺・甕(かめ)・擂鉢(すりばち)など当時の人々の生活の必需品であり、中世の人々の生活にとっては三種の神器ともいえるものです。その伝統は桃山・江戸時代へ継承されていきます。一方で、日常のうつわであったものが、桃山時代には茶の湯のうつわとしても注目されました。さらに近現代においては実際に使用するわけではなく、鑑賞する陶器としても愛でられるようになります。このように六古窯に代表される中世のやきものは、各時代の人々の社会や日常生活の中に溶け込みながら、日本における伝統文化・価値観の中で美や魅力をみいだされてきたのです。
本展では、中世のやきものに影響を与えた青銅器、中国陶磁、茶道具などもあわせて展観し、中世のやきものの世界へ誘います。
「出光美術館」ホームページ
「六古窯―<和>のやきもの」
図録
朝日新聞:2019年4月23日
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