暑い時期は磨くのが大変です。汗だくになりながらひたすら磨き上げるのですが、エアコン掛けてまでやりたい程でもありません。職業じゃないし(笑)
で、この頃ようやく涼しくなってまたぞろムクムクと、磨き職人気分が湧き上がってきました。(なんじゃそりゃ)
磨く相手はアルミ製のブレーキ本体。フランスのCLBというメーカーのブレーキです。
これはWeb上の画像。これくらい綺麗ならば苦労しないんですが手持ちのそれはかなり汚れも傷も多めです。ひとまずバラして油分を溶かすためにクリーナー液に漬け込んで汚れと油を落としました。
片側だけロゴが剥がれてしまっています。これは磨き上げてから例によって作ってみましょう。
原稿だけは出来てます。
文字はアルミ色ですね。透明なフィルムに印刷してアルミシートに貼り付けた後、本体に嵌め込んで接着すれば良いかなぁと考えてます。
今夜のところはまずは片側だけ磨いてみました。
でもまだ仕上げまでには到達していません。バリが出ているところを綺麗に修正するところでひとまず終了。
画像でお分かりのように縦に「バリ」が残っています。高い強度が求められるパーツですので型にアルミの棒材を入れ、何トンもの圧力をかけて形作る方法、鍛造で作られていることと思います。
その時の上下の型枠の境目がこのように残っているのでしょう。
これをヤスリで削って形を整えて、それからひたすら磨き上げるわけです。
流石に手袋での作業です。指紋や掌紋、爪の隙間にアルミの粉が入って後が面倒ですからね。
で、とりあえずここまで出来てきました。作業していない方と並べて比較してみましょう。
先の画像の部分です。(上下逆ですが)
右側が加工したもの、左側が未加工のもの。あからさまなエッジが無くなって連続したような面になってきています。気をつけなくてはいけないことは、強度の低下を招かないように必要以上に削り取らないことと、摺動面や固定する面は平行が狂わないように磨くというよりも掃除する程度に終わらすことです。
こちらはその外側。実際に車体に装着し、横から見るとこのように見えるわけですのでかなり印象を与える部分ではあります。
これくらい滑らかな曲面で構成されていると、組み上げたときの印象はかなり異なります。
ロゴがある方が磨いた方です。マークなしのものは汚れを落としただけの未加工品。
赤で囲んだ部分が凹んで見えますが、それは光の反射のせいです。でも平板であるからこういう光り方をしてしまうので、少しだけ凸になるようにしておきましょう。
まだまだ細かい「荒れ」が消えていません。バリ以外は金工ヤスリで削るのではなくてサンドペーパーで削っていくので結構作業は進みません。
まぁそれでもバリが無くなってプレスした境目が消えるだけでも、かなり印象は変わります。
というよりも当時これはそれほど高級なパーツではなかったので仕上げ作業にはあまりコストを掛けることが出来なかったのではないかと想像します。
面白いのはそのネーミング。CLB・レーサーというのが商品名ですが、同じ時代のマファックにもレーサーというセンタープルブレーキがありました。
.これは私の所有するランドナーに使用している、マファック・レーサーです。
制作年代は1952年~80年代中期頃ですが、当初の1952年~53年はレーサーではなくDural Forgeという名前でした。
このデュラルフォージもバリ取りをして磨いて仕上げてあります。CLBほどではありませんが、やはり細かな部分には鍛造で抜いた後のバリが目立ちました。これくらいに仕上げてあれば良いでしょう。
今お願いしているランドナーには、このブレーキを使うことにしています。
そして今回のCLB・Racerというと、こちらは1960年初頭から77年までの製造だったとされています。
マファックのレーサーもCLBのレーサーもプロのレースシーンで使用された、れっきとしたプロフェッショナル仕様のブレーキでした。
手元にあるこのCLB・レーサーが最晩年の作であったとしても、すでに45年もの歳月が過ぎています。
磨き上げて綺麗にして往年の栄光を彷彿とさせるような、カンパニョーロのサイドプルがレースを席巻することになる以前のフランスの先進性を輝かせてほしいと願うばかりです。
マファックよりも手強そうなので少し時間がかかりますが、きれいになったCLB・レーサーのお披露目もそのうちできると思います。
また明日ね(^O^)/~~~
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