1話読み切り ショート・ショート | 社会不適合オヤジⅡ

社会不適合オヤジⅡ

好奇心、いよいよ旺盛なもので・・・

読者さんのなおさんに感化されて、私も1話読み切りのショート・ショートを書いてみようかと突然思い立ちました(笑)

何しろあらすじさえ決めていませんので、果たしてどうなることやら(^_^;)

 

題:初夢

 

「なぜだ?・・・一体どうしたって言うんだ、俺は何に追いかけられているんだ・・・・」

 

浩司は息継ぎをするのももどかしいほど、後ろを振り返ることもままならないほどの恐怖に駆り立てられてがむしゃらに「何か」から逃げていた。

 

「・・・・そこだ、その角を曲がれば俺のマンションだ。兎も角、家に逃げ込もう」

 

マンションのエントランスの御影石に足を取られそうになって、浩司は思わず声を出しそうになった。

そのときにちらっと追いかけてくる「それ」が目に入った。

 

「何だあれは!!この前国立図書館で見た百鬼夜行に出てくる鬼のようじゃないか!!」

 

 

浩司はあまりの違和感にパニックになりながらセキュリティカードでエントランスのドアを開け、エレベーターのドアを開けた。

もうこれで逃げ切った、逃げ切れた。

自室に戻りほっと安堵の息を漏らした浩司は急に睡魔に襲われ、そのまま寝室に向かう間もなくリビングのソファに倒れ込んだ。

 

 

 

どれだけ時間が経っただろう。

リビングの窓から見える正月の空は穏やかな冬晴れだった。

陽射しは僅かにリビングの壁面に斜めに当たり込み、おおよそ午後3時ころのような雰囲気だった。

 

「う・ん・喉が渇いたな・・・そりゃぁそうだ、無茶して久しぶりに全力疾走したものな。。。」

 

浩司はキッチンへ行き冷蔵庫を開けミネラルウォーターのボトルを取り出した。

しかしボトルを手にとった浩司は説明しにくい、不思議な違和感を覚えた。

 

「・・・いや、そんなはずはない!これは一昨日水割りに使い切ったはずだ!」

 

リビングとダイニングの境目にかけてあるカレンダーに目をやると、そこには平成30年12月のカレンダーが掛けてあったのだった。

 

「一体どういうことだ、今日は平成31年1月3日のはずだ!確かに俺はこのミネラルウォーターを先月の28日に買ってきた。だけど、だけど元日の昼におせちを食いながらウイスキーの水割りに使ってこれは飲みきっていたはずだ」

 

と、そこにエントランスのチャイムが鳴る。突然のチャイムに浩司は驚き、思わずボトルを床に落としそうになる。彼はドアフォンに出るのに暫し躊躇したが、恐る恐る通話のボタンを押した。

相手は宅配便の若い男性だったので浩司は少し安心した。が、エントランスのセキュリティを解除して登ってきたその配達員が持ってきた品物は浩司を驚愕させた。

それは31日到着予約で頼んでいた「おせち」だったのである。

呆然とする浩司に向かって、配達員は訝しげに受け取りの捺印を求めた。

 

「・・・ここにハンコ、お願いします、どうしたんですかお客さん、ハンコ、下さい。これ、お客さんのご注文の品物ですよね、間違いじゃないですよね?スミマセン、今日は大忙しなんですよ。まだまだ配達しなきゃいけない荷物がたくさんあるんです。早くハンコ貰えませんか?」

 

「冗談じゃない。おれはもうこのおせちを食い切ったはずだ。一昨日の昼と夜に二度に分けて食べきったはずだ。ウイスキーを飲みながら、あのミネラルウォーターで水割りにして!!」

 

ふと見るとその配達員の腕は異常に細く、先程追いかけられていた鬼の腕と同じ腕のように見えた。

制帽を目深に被り、口元にはマスク。配達員の表情が全く見えないことも異様だった。

僅かに襟元から見える首筋も生気がなく、痩せこけて老いさらばえ、乾いたようなどす黒い色だった。

 

浩司は次第に視野が狭くなり気が遠くなる感覚を覚え、そのまま気を失った。

 

************************************

 

「・・・変だろう?これが俺の初夢だったわけだよ、おせち食いながら水割り飲んじゃって、そのままここで酔いつぶれて。きっと悪酔いしたんだろうな、うなされながら夢を見ていたってわけさ。もう目が覚めたときは寝汗でびっしょりだったんだよなぁ~」

 

浩司は部屋に呼んだ会社の同僚竹内にそう言うと、テーブルの上のビールを竹内のグラスへと注いだ。

 

「いやぁ~新年早々縁起でもない初夢だなぁ~お前。でさぁ、お前一度夢占いをしてもらったほうが良いぞ、きっと。なんかさぁ変な予兆のお告げだったら冗談ですまないぜ」

 

竹内はそう言うとグラスのビールを飲み干した。

 

「・・・そうだ。ビールもいいけれど、俺が持ってきた焼酎でも飲まないか?」

 

そういうと竹内は紙袋の中から持参した土産の焼酎をテーブルの上に置き、キッチンへ歩いていった。

 

「よう浩司!、このミネラルウォーターで割ろうか。それとこれをつまみに食って良いかい?」

 

そう言うと竹内は「例のボトル」を片手に未開封の「おせち」の重箱を抱えて戻ってきた。

 

「・・・お前・・・お前まさか・・・・!」

 

竹内はニヤッと笑うと腕まくりをしてみせた。

そこには赤鬼のような骨ばった赤い腕が見えていた。

 

浩司は再び視野が狭くなり、意識が遠ざかる感覚に見舞われていた。

 

~~~~~~完~~~~~~~

 

というわけで怖い初夢のお話。一話読み切りでした(^_^)/

いかがでした?新年早々こういうのは駄目かなぁ~

また明日ね('-^*)/

 

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