注)先日挙げた以下の記事で、参照するべきサピックス偏差値の誤りのご指摘を受けましたので、訂正させて頂きます。また筑駒の実績が発表されましたので、そちらも合わせて更新します【3月17日】
昨年もやりましたが、関東の進学校限定の東大現役合格率ランキングをみてみたいと思います。
↓昨年はこちら
ちなみに首都圏以外の学校は単純な比較対象にならないですし、サピックス偏差値もなかったりするので除いています。なお、JGと筑駒は下記に入るはずですが、まだ今年の実績の発表がないので入っていません。
2022 | 2023 | 増減 | 2017S偏 | 2018S偏 | 増減 | |
筑駒 | 41.25% | 45.63% | 4.38% | 70 | 70 | 0 |
聖光 | 33.77% | 30.57% | -3.20% | ①②64 | ①②64 | 0 |
開成 | 34.07% | 30.03% | -4.04% | 66 | 66 | 0 |
桜蔭 | 30.26% | 29.00% | -1.26% | 62 | 62 | 0 |
駒東 | 17.26% | 24.02% | 6.76% | 61 | 60 | -1 |
栄光 | 20.35% | 21.35% | 1.00% | 60 | 62 | 2 |
麻布 | 12.70% | 17.97% | 5.27% | 60 | 60 | 0 |
渋渋 | 15.46% | 17.41% | 1.95% | ①55②61 ③62 |
①55②62 ③63 |
②1 ③1 |
渋幕 | 15.47% | 16.91% | 1.44% | ①62②63 | ①62②63 | 0 |
浅野 | 10.73% | 15.18% | 4.45% | 56 | 56 | 0 |
海城 | 14.74% | 10.26% | -4.48% | ①57②60 | ①56②60 | ①-1 |
早稲 | 7.84% | 9.84% | 2.00% | ①57②60 | ①57②61 | ②1 |
小石 | 12.18% | 9.80% | -2.38% | 58 | 58 | 0 |
武蔵 | 8.38% | 9.36% | 0.98% | 56 | 57 | 1 |
筑附 | 11.67% | 9.09% | -2.58% | 60 | 60 | 1 |
洗足 | 7.02% | 8.64% | 1.62% | ①52②③55 | ①53②③55 | ①1 |
感想(赤字は更新・訂正部分)
・こうして並べてみると、サピックス偏差値と現役合格率推移というのはそう単純に相関するものでもないですね。例えば駒東はなぜかこの年1つ偏差値を下げていますが、今年の現役合格率は目を見張るほど伸びています。浅野も偏差値は横ばいですが、現役合格率は相当な勢いで伸びました。
・筑駒の発表があり、全体87名、現役が73名となりました。昨年の41%も凄いと思いますが、今年は45%越えと、圧倒的ですね。まあ筑駒に関しては2019年に驚異の現役合格率54%を叩きだしたこともあるので、今年の数字に驚きはないです。笑
・今年は聖光、開成ともに数字を落としていますが、聖光が開成を抜いてトップなりました。実は一昨年も聖光が開成を上回っていましたので、初めてではありません。開成・聖光で聖光を選ぶ動きは今後さらに増すと思います。
・桜蔭は安定の30%弱です。サピックス偏差値62で、開成や聖光よりだいぶ下回っているわけですが、両校に匹敵する現役合格率を誇っています。これは以下でも述べますが、最難関女子校として、男子であれば筑駒・開成・聖光に合格できるようなレベルの子がたくさん入学しているということの現れで、単純にサピックス偏差値と東大現役合格率が相関しない理由を示しています。
・駒東は今年かなり好調でした。サピックス偏差値はなぜか-1となっていましたが、東大合格実績には悪影響はなかったようです。駒東は2月1日校で、他に入試日もなく、第一志望としている優秀層が多い学校であることを現していると思います。
・栄光も今年も安定しています。立地面もあり、栄光は第一志望の受験生が多い学校です。2月4日に聖光があるため、聖光・栄光とダブル合格した場合に聖光を選ぶ優秀層は一定数いると思いますが、校風がかなり異なりますし、湘南地域ですとやはり栄光を選ぶ受験生は多いのでしょう。結果として、サピックス偏差値の割に東大現役合格実績が高くなる傾向にあります。
・麻布は昨年やや低調でしたが、今年は盛り返しました。サピックス偏差値が並んでいた駒東の後塵を拝しているのは少々気になりますが、麻布の自由な校風故でしょう。
・渋渋・渋幕は偏差値が伸びている時期ですので、その分優秀層が増加しているものと思います。堅調な伸びを示しています。
・浅野は昨年からジャンプアップです。私はかなり浅野推しなのですが、サピックス偏差値に比して東大現役合格率は素晴らしいと思います。浅野は校地も広く、環境としてもかなり恵まれており、部活も活発です。おそらく、神奈川県在住ですと、2月3日は浅野一択になりやすいです。聖光・栄光との併願も多いと思いますが、そこで合格をとれなかった優秀層の多くが浅野に入学するでしょうし、やはりサピックス偏差値の割にポテンシャルを持った優秀層が多いということもあるのだと思います。
・海城は今年はやや低調でした。サピックス偏差値も少し下がっています。ただ、海城はこの後徐々にまた偏差値が上がっていきますし、今年も非常に人気になっていましたので、また盛り返してくると思います。
・海城と同様の入試日程・偏差値帯となる早稲田は比較的好調でした。サピックス偏差値もこの年は上がっているので、ようやく相関らしきものがみえました。
・小石川はやや減です。今年は都立は総じてやや不調であり、今年の東大入試は都立校生向きではなかったのかもしれないですね。
・武蔵は微増です。2018年のサピックス偏差値は57であり、今年は61くらいまで伸びていますので、今後数年間は東大合格率も上昇してくると予想します。
・筑附がやや低調だった理由はよくわかりません。まあこの程度は誤差といってもいいのかもしれませんが。
・洗足は昨年に引き続き好調キープです。サピックス偏差値も伸びている時期の受験生にあたっており、これからさらに伸びていくことが予想されます。桜蔭・JGの次は洗足、というポジションが確立されていくのかもしれませんね。
東大現役合格率とサピックス偏差値について
まず、サピックス偏差値と東大現役合格率はある程度の相関は当然見られます。中学入学時点で優秀な子が、そのまま努力を重ねて東大に合格する、というのは割合として多いからです。サピックス偏差値が高いということは、それだけその偏差値以上の優秀な子が入学している可能性が高いことになりますから、サピックス偏差値が高ければ、東大現役合格率は当然いい傾向になります。
しかし、サピックス偏差値は合格できるか否かのための偏差値であり、必ずしも入学者の平均偏差値を表しているわけではありません。つまり、東大合格のためのポテンシャルとして、仮にサピックス偏差値64以上が必要とすると、実際にその偏差値の受験生がどの程度入学しているかが重要なわけです。従って、サピックス偏差値が他の学校に比してそこまで高くなくとも、特に優秀な子が第一志望としている学校の方が東大現役合格率は高くなります。例として、桜蔭と栄光を見てみましょう。
桜蔭
例えば、桜蔭のサピックス偏差値は62ですが、渋幕のサピックス偏差値は2018年段階で1次は62、2次は63で並ぶか上回っています。一般に、男子の方が東大受験率が高いため、男子のいる渋幕の方がその点で有利な面もあります。しかし、結果として桜蔭の現役合格率は30%弱、渋幕は17%弱となっています。
もちろん、入学後のカリキュラムや校風の影響などはあると思いますが、やはり大きいのは、桜蔭が最難関の女子校であり、第一志望とする女子最優秀層が多い、ということだと思います。上にも書きましたが、男子であれば筑駒や開成に合格するレベルの女子の多くが、桜蔭を選んで入学するわけです。サピックス偏差値は62ですが、そのようなレベルの受験生が入学する割合が高いということでしょう。他方、渋幕は、もちろん千葉県最難関であり、第一志望とする子も多いと思いますが、都内や東京に近い千葉県在住の最優秀層にとっては、東京の学校と渋幕であれば、東京の学校を選ぶ子が多いのだと思います。特に女子は通学のし易さを重視する家庭も多いでしょう。結果として、桜蔭に比べると、最優秀層の入学者が多くないのではないでしょうか(あくまで桜蔭との比較の話であり、最優秀層が少ないといっているわけではありません)。
栄光
栄光はサピックス偏差値は62であり、麻布のサピックス偏差値60より2上回っています。この年はやや栄光が差を付けましたが、この前年は60で並んでおり、これ以降も現在に至るまで毎年ほぼ同等の偏差値となっています。他方、東大現役合格率では、今年は3%以上の差、昨年は7%以上の差を付けて栄光が上回っています。
最近聖光に抜かれているとはいえ、栄光を第一志望とする受験生は多いと思います。特に大船という立地からすると、横浜市の南側から湘南地域にかけては、栄光が最寄りで最難関の男子校となります。また、栄光の通学圏内からは、3日の筑駒受験ができる受験生も限られる、ということも大きいです。
もちろん都内の学校は難しくても、聖光には通えるという受験生は多いでしょうし、栄光と聖光を併願する受験生も多いでしょう。ただ、栄光は昔からの神奈川の伝統的No1というブランドもありますし、広大な敷地、自由な校風など、聖光ではなく栄光を第一志望とする受験生もまだ多くいると思います。
そのような点から、サピックス偏差値に比して、栄光には最優秀層の受験生の入学が多く、それが東大現役合格率にも繋がっているのだと思います。
他方、麻布も昔からファンの多い学校であり、最優秀層の受験生も多い学校だと思います。ただ、最近はサピックスの影響のようにも思いますが、開成と麻布の志望層が偏差値で輪切りになっている傾向がある印象を受けます。その傾向が強まると、最優秀層の受験がそもそも減少します。
また、同じような地域に筑駒があるのもネックになります。2月1日麻布・3日筑駒という併願をする子は毎年そこそこいます。そして、校風の面からすると、同じように制服もなく自由という点で、両校は似ているのです。もちろん筑駒と麻布で麻布を選ぶ受験生もいると思いますが、多くは筑駒を選ぶように思います。
つまり、麻布は栄光との比較として、最優秀層の入学人数が多くない傾向にある、ということが言えそうな気がします。
まあ麻布の現役合格率が高くない傾向というのは、校風の影響も大きいとは思いますが。昔話になりますが、私の友人の麻布生が「麻布は4年制高校」だから、と言っていたのを思い出します。これは昨今変わってきているとも聞きますが、それでもまだ根強いものもあるのではないでしょうか。笑
以上のような点からも、サピックス偏差値に比して、栄光の方が麻布よりも東大現役合格率が高い理由が説明できるのではないでしょうか。
長くなってしまいましたが、またJGが発表されたら表を更新したいと思います。
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