本気で考える渋幕対策シリーズ2回目、今日は国語編です。
↓1回目の算数編はこちら
2 渋幕の国語
渋幕の国語も他の首都圏の難関校にはない特徴を持っています。まずは概観していきましょう。
・問題構成
例年大問は2つで、物語文と論説文が一題ずつというのが通常です。
物語文の出題は、近代文学が取り上げられることが多く、難度の高いものが多いです。例えば過去5年の1次試験では以下のような作品が出題されています。
2022
『本心』平野啓一郎
2021
『極楽』菊池寛
※青空文庫で無料です。
2020
『豊饒の海』三島由紀夫
2019
『おらおらでひとりいぐも』若竹千代子
2018
『死後』芥川龍之介
また論説文で出題される文章の難度の高さも顕著です。
2022
『ものいいについて』桑原武夫
※ネットではみつかりませんでした。
2021
『具象以前』湯川秀樹
2020
『山本七平『「空気」の研究』-忖度の温床』大沢真幸
2019
『天災と国防』寺田寅彦
2018
『養老孟司の幸福論』養老孟司
記述式問題は例年4-5問です。昨年の説明会で、「今年は記述式を5問にします。」と明言されていました。来年も維持されるかはわかりませんが、大きくは変わらないでしょう。字数制限ありの問題と、字数制限なしの問題いずれもあります。記号選択式の読解問題は5問前後です。
漢字については小学校で習わないものも出題されます。昨年の説明会では、「読みについては小学校では習わないものも出題する」と明言されていました。実際、今年の1次試験でいえば「甚だ」の読みが出題されました。
また語彙問題も小問として数問出題されます。
文学史の問題も例年1-2問程度出題されます。但し、説明会では「広く読書経験を重ねていれば自然にできる問題。暗記だけに走らないように」と注意がありました。
・難易度
例年合格者平均点は5割から6割です。オール記述式の開成・筑駒と単純な比較はできませんが、出題される文章のレベルも考慮すると、首都圏でも指折りの難度といえると思います。
また、漢字の出題が小学校レベルを超えていることから、首都圏の学校では漢字の難度は一番でしょう。
文学史も男子校では出題される学校が多くないので、難しく感じる子が多いと思います。
・目標
オールマイティな国語力が必要です。漢字・語彙・文学史の知識、難度の高い文章を正確かつ素早く読解する力、選択式問題・記述式問題の対応力が高いレベルで要求されます。
私の個人的な考え方として、記述式問題は当たりはずれがありますし、一定レベルを超えれば受験者間でそこまで大きな点差がつかなくなると思います。選択式問題はゼロサムゲームですから、外した場合のインパクトが大きいです。選択式問題を手堅く取れるようにすることが第一目標だと思います。
また、漢字・語彙・文学史は努力で何とかなる部分です。あまり時間をかけすぎることは推奨できませんが、他の渋幕受験生に差をつけられないようなレベルには達しましょう。
・開成・筑駒受験生との比較
開成・筑駒受験生は、記述式問題対策をひたすら行います。開成・筑駒では漢字を除き、記述式問題しか出題されないからです。渋幕でも4-5問記述式問題は出題されるわけですから、疎かにはできません。
ただ、渋幕は文章の難度が高い反面、記述式問題そのものは易しめな問題も多いと思います。例えば、開成や筑駒では、問題文をツギハギしただけでは答えにならず、自分で読み解いた内容を要約、補充して解答を作る必要がある問題が多いですが、渋幕では問題文のツギハギでも何とかなるレベルの問題も多い印象です。つまり、出題文の難度が高い反面、問題そのものは素直、ということが言えるように思います。
従って、渋幕国語対策として重要なのは、難度の高い文章を読むことへの慣れだと思います。特に頻出の近代文学作品は、慣れていないとその言葉遣いや昔の風俗描写などに戸惑う可能性もあります。
また、選択式問題が開成や筑駒では出題されませんので、それを得意にするとアドバンテージが取れるかも知れません。
さらに、文学史や単純な語彙問題も開成・筑駒では出題されないので、渋幕レベルの問題を確実に取れる語彙・文学史の知識を習得しておくことが、やはり合格への近道だと思います。
次回、具体的な対策について述べます。
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