渋幕国語対策の続きです。今日は具体的な対策について述べたいと思います。
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2 渋幕の国語(続き)
・具体的な対策
中高生向け・大人向けの本の読書経験
渋幕対策の基本は、難度の高い文章に慣れることです。小説や論説について、小学生向けのものだけではなく、中学生・高校生・大人向けのものまで読書の範囲を広げていくのが理想です。また、明治から昭和の文豪の作品も、有名なものはいくつか触れておいた方がよいでしょう(有名なものを読破しろということではありません。慣れるため多少は読んでおこうという趣旨です。)。
もちろん、本人の読解力のレベルに合わない、本人の興味の対象外のものを無理やり読ませても意味はありません。せいぜい字面を追って、読んだつもりになっているだけになります。
本人の興味のある分野の本を、徐々に難度を上げて与えられるようにできればいいですね。個人的には、図書館などに定期的に通って、親が本人の興味に合わせてアドバイスしてあげるといいと思います。
近代文学も、いきなり夏目漱石などの長編小説を読ませるのは普通は無理です。もし今まで触れたことがないのであれば、まずは芥川龍之介や森鴎外などの短編の中から平易なものを選んで入るといいと思います。
未就学・低学年時から読書習慣をつける
本人の興味が深まり自然と読書経験を重ねられるのがベストですが、高学年になってからいきなり難しいものを読ませようとしてもなかなか難しいです。もしまだお子さんが未就学や低学年なら、その頃から読書習慣をつけてあげることが一番の渋幕対策(だけではなく中学受験一般に言えることですがが)になります。
小さい頃から読書習慣をつける際のポイントは、何を読むかは本人の自由に任せるが、読書習慣がつくまでは、読書時間を1日1回短時間でも必ず設ける、ということだと思います。
そして、少なくとも6年生までは読書時間がたくさんあるに越したことはないです。6年生になると、勉強が忙しくなり読書をする時間をあまり取れなくなります。
6年生時点で読書習慣がない場合は?
では読書習慣なく6年生を迎えてしまった場合はどうするか?ということですが、もう読書はあきらめましょう、とは言いません(笑)。
実はサピックスの国語の授業をきちんと受講し、復習することで多様な文章を読む経験はある程度できています。
そして、授業で取り扱った文章は、一部ではあるものの内容はある程度頭に入っているはずです。渋幕国語対策としては、その中で難度の高そうなものを見繕って、本を購入して全編読んでみる、ということをオススメします。いきなり難度の高い本を与えて読ませるよりは、授業で触れたものの方が入りやすいはずです。
これは本来読書にあるべき「自由に読ませる」ということには反しますが、もうここまできたら国語学習の一貫として取り組んでもらいましょう。
難度の高い本を読み通すことができれば、それは本人にとっても一つの自信になります。ハードルが一つ下がるわけです。それを何冊か続けることで、渋幕で出題されるレベルの文章への抵抗がなくなればよいと思います。
これは理想ですが、そうした取り組みの中で「読書の楽しみ」まで自分で見出してくれるといいですね。
選択式問題の強化
さて、次にもうちょっと具体的な対策について考えてみます。渋幕の選択式問題の難易度はなかなか高いです。もちろんサピックスでも普段の国語の授業で対策は行いますが、プラスアルファでは以下がお勧めです。
『選択肢問題の徹底攻略』
レビュー記事はこちらです。
たびたび紹介している『記述問題の徹底攻略』の姉妹本です。メソッドは共通しているところもありますし、同書に取り組んだ受験生も違和感なく読めると思います。
『記述問題の徹底攻略』と同様、解説がわかりやすく、受験生だけで取り組めるのでお勧めです。
ちなみに記述式問題対策はもちろん疎かにはできないのですが、サピックスでは通常授業でもSSでも山のように記述問題を解きますし、個人的には開成・筑駒に比べると記述問題は書きやすい問題が多いので、上述した出題される難度の高い文章への慣れということ以外には、渋幕特有の対策としては特に必要ないと思います。
漢字
漢字についてですが、いくら小学校で習わない漢字が出るとしても、「渋幕対策として」中学生の漢字の学習にまで手を広げるのは時間の使い方として間違っていると思います。中学レベルの漢字はせいぜい1問か2問です。膨大な時間をかけるべきではありません(本人の趣味で漢検4級や3級を受験したりするにはもちろん構いませんが)。また、中学レベルのものが出題されるのは主に「読み」ですので、書き取りまで中学レベルにする必要性は乏しいです。理想は普段の読書経験の中で自然と習得できるようにすることです。
では、あまり読書をしない受験生の場合はどうするべきでしょうか。私としては、サピックスで6年生の時にやる『漢字の要Step1』に「小学校で習わない漢字」の章があるので、それをやるだけでよしとするべきだと思います。
念のためですが、『漢字の要 Step1』は上記の章以外も完璧にするのは大前提です。
文学史
文学史についても、渋幕対策のためだけにガッツリとやることはお勧めしません。最低限の知識として、サピで使用する『言葉ナビ』の下巻にある文学史の章に掲載されているものだけ覚えればいいと思います。息子はそれだけしかやっていません。
開成・筑駒受験生は文学史の対策をほぼしませんので、場合によっては差をつけられるポイントかもしれません。ただ、渋幕の説明会でもあったように、いわゆる多くの読書経験や「常識」があればできる問題であることも多いです。問われている事項は難しくても、歴史などで習う基本的な知識があれば消去法で正答に至れる問題もあります。併願校でも毎年文学史が出るので勉強必須という場合以外は、あまりここに注力しすぎるのは得策ではないように思います。
渋幕の国語対策まとめ
結局、煎じ詰めれば、渋幕の国語対策として一番有用なのは「幅広く奥が深い読書経験」です。
それに伴って得ることができる、近代文学を楽しめる力、高度な論説文を読み解く力、小学校配当漢字以上の漢字の知識、高い語彙力、文学周辺への興味。渋幕は学校としてそういったものを持っている子を求めていることが国語の問題から強く感じます。
次回は渋幕の理科対策について考えていきます。
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我が家の中学受験総括記事はこちらです↓
中学受験総括⑥-6年開始から夏休み前まで(1週間スケジュール)
中学受験総括⑫-6年9月から12月(必須の模試と他塾模試の必要性)
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↓以下は主に6年生向けのオススメ問題集に関する記事です。
↓以下は幼少時のオススメ知育玩具などに関する記事です。
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