と、シュクロフスキイ副大統領が、
眼を伏せるようにして、ぽつりといった。
「いや──不遜なようだが、
今度ばかりはそんな気になれない・・・・・・」
と大統領は首をふっていた。
「むしろ・・・・・・
人類の叡智と技術にむかって祈りたい・・・・・・」
プロジェクトX? そっかー、NHKさんの「プロジェクトX」の命名の元ネタは本作からだったのか、、な (・ω・)?
あるいは、
複数の "電子脳 (ブレイン) " がネットワークでつながり最適解を探ってゆく描写では、近年の森博嗣さんのW, WWシリーズにみる "人工知能" を彷彿とさせ面白い、もう40年ほども前の小説なのにね
「いや、そうじゃない・・・・・・」
レプケ博士の声はショックのあまり
しわがれていた。
「わしにはどうも・・・・・・
巨大な鳥の絵に見えるがね・・・・・・」
火星の水資源開発最初の大規模技術テスト「オペレーションデルタ」は無事に作動、氷床は水となり水路をなして流れ始めた
司令室は歓喜につつまれるが 直後、驚くべきものを目にすることになる、その氷床の下から現れ出たものは、、
さよならジュピター / 小松左京
巻末インタヴュによれば、そもそもは東宝がスターウォーズに対抗したがったのだとか
((((゜д゜;))))💦
約20数年ぶりの重販となる本作は、巻末の小松左京氏自身による解説によれば、もともとは同名映画 (1984年公開) のシナリオをノヴェライズしたもののよう
この度の重販についても、
なるほどこのコロナ禍は「復活の日」を復活させ、ひいては、小松左京氏に再び注目が集まったというところかと
また今年は、
氏の没後10年のひとつの節目の年でもあった
もちろん、
地震国日本というこの一点においても、「日本沈没」が持つ不気味な既視感に胸騒ぎを感じていたのだけれど
そして
冗長なまでの人間描写?(*1) は、下巻へ移るやいなや本来のSFの側面にとって変わられ、そして一気に ハードSFの世界 へと、、
ここらあたりのスペクタクル感はさすがだなぁ と読む側も、一気に、その世界にのみ込まれ...
*1:
メロドラマ的なところが他の作品より多い、ハードSFだが人間臭さがある by小松左京
僕には、
その人間臭さが冗長にも感じられたけれど、これは作家小松左京氏の氏の所以なるところなんだろうなぁ
「星を継ぐもの」のさらりとした感触の、あるいはまた、メルヘンチックにも映るラストの美しさの方が好みではあるけれど
この宇宙の中で、
人間の夢や希望がいつかは実現される、
という保証はどこにもない。──しかもなお、
夢も、希望も抱けないまま、人間はなお、
この「不条理の土地」にむかってくりかえし進出し、
挑みつづけるだろう。
おそらく人間自身の「宿命」によって・・・・・・。
その人間臭さもまた「宿命」のひとつなんだろう
ちなみに、
この曲が映画版のラストシーンの挿入歌らしい↓
松任谷由実 / VOYAGER〜日付のない墓標
https://www.youtube.com/watch?v=zNinU6GCLzk
「ユーミンには、曲作る前に一回来いって言ったんだけど、結局、会ったのは、全部編集が終わってからなんだよね」by小松左京
うーむ、確かに内容に合ってないような気がする、、
でもどうしてユーミンなんだろ?
ここら辺が当時の東宝さんのセンスなのかな (・ω・)??
で、
この曲、エヴァの劇中歌だったってほんとか (・ω・)???
現在からざっと100年程未来の設定だが、小松左京氏は、それでも人間の本質は変わらないと考えておられたようで、
その一方の象徴が物語の始まりに置いた稚拙にも読める性的行動であり、もう一方の象徴が物語最後に置かれた自己犠牲的行動にあり、
よくよくみればそうやって物語のバランスを取っているのがよくわかる
だから、
その物語の構成上で対比させる必然から、そういった片や少々コミカルにも感じる描写があり (コミカルにすることに意味がある) 、片や己の死を賭したシリアスな描写となり、、
と、そんなやや人工的な側面を強く感じもする
その点を他に比較すれば、例えば大沢在昌さんの描くキャラクタは彼/彼女らを自由に行動させているように感じるし、
ようは、やはり氏の描く物語の根っこはハードSF だってことかなぁ と
あくまでもそこそが、氏の描きたかったところなのだから
追記
古書店によっては映画のパンフレットを置いていらっしゃるところも
何気に見ていると、、ほ〜✨
この模型も いいなあ✨
■関連ブログ■
読書遍歴:ひとはなぜ 物語 を読むのか? 2018-11-28
・特に好きな日本の作家さん
・無人島に持っていく五冊
・そして死ぬまでに、XXX を読み終えたい、、
・2018年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2018年のまとめ) ) 2019-01-08
・2019年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2019年のまとめ) ) 2020-01-18
・2020年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2020年のまとめ) ) 2021-01-06
・** あなたにとって読書とはなんですか? **
※2021年に読んだ文庫本など
・斜陽 / 太宰治
・砂漠の惑星 / スタニスワフ・レム
・鳥居の密室 / 島田荘司
・機龍警察 白骨街道 (ハヤカワミステリマガジン連載) / 月村了衛
・とるとだす / 畠中恵
・新編 東洋的な見方 / 鈴木大拙著、上田閑照編 [番外]
・さよならジュピター / 小松左京
・むすびつき / 畠中恵
・依頼人は死んだ / 若竹七海
・DUNE 砂の惑星 / F.ハーバート
死ねば大好きだったこの大切な本のページはめくれず、
読み終えたかったという願いは叶わない。
二都物語 / C.ディケンズ
「アラユルモノノウチニ安ラギヲ求メタガ、
ドコニモ見出セナカッタ。
タダ片隅デ書物ト共ニイルトキヲ除イテハ」
薔薇の名前 上 / U.エーコ