予告殺人 / A.クリスティ | カーツの歴史散策&御朱印作庭  庭は眺めるものではなく、       出てみるものなのだ、、

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電光影裏斬春風

知っているようで知らない歴史の裏側をそっと、

御朱印帳をたずさえぶらり、ふらり、、つれづれに、、、

日々徒然に

 私がちかごろ読んだのは
 「白昼の悪魔」と「予告の殺人」の二冊だが、
 両方面白かったうちで、とくに後者が面白かった。

 

 

A.クリスティのポアロものは、あらかた読んではいるけれど、前々から気になりながらも未読のままのものもまだあって、

 

象は忘れない

 

ん? なんとも奇妙な題名?? と思っていたんだなぁ、、

 

 

さてさて、マープルものである

 

 

 「はい、そこでいいわ、パトリック。ありがとう」

 「さあ、いよいよ静かな晩のすばらしいお芝居が始まるのね」

 とジュリアがいった。

 「あとは、誰かがやって来たら、いっせいに、

 あたしたちがほんとに驚いたような顔をすればいいわけよ」

 

 

その日の新聞の個人広告欄には、誰が載せたか殺人の予告「殺人お知らせ申しあげます。・・・・・・」の文字が、、だが、何かのパーティだと思った村人たちは、興味本位でその家に集い、、

 

E.クイーンの国名シリーズの新訳が「アメリカ銃」で小休止中ということもあり、前々から読もう読もうと思っていたマープルものをこれを機会にと✨発表順に、ポアロ派なので全く読んでこなかったんだなあ

そのマープルシリーズの前作になる長編第三作「動く指」までは間を空けずに読んでいたのだけれど、続く本作は何故か数年の間積読状態に💦

 

 

で、

 

何となくそろそろかな と

 

 

予告殺人 / A.クリスティ

 

 

 

日本クリスティ・ファンクラブ会員が選んだベスト10では、「そして誰も・・・・・・」「アクロイド・・・・・・」「オリエント・・・・・・」に次いで第四位

クリスティが70年代に日本のファンにあてた私信に書かれていた自選10作には、マープルものの「動く指」とともに本作が挙げらていたらしい

 

 

で、、

 

 

うーむ、このトリックは心理的にはちと無理があるような??? とは思わないでもないけれど (僕には無理という意味で) 、そのベースとなる部分にはすっかりだまされもしたし (*1) 、犯人を含めた登場人物の秘された こころ の機微がにじんでくる様がよいなと

 

 

 「恐ろしい話だわ」とバンチがいった。

 「恐ろしいわ」

 「でもとても人間的じゃないか」と

 ジュリアン・ハーモンがいった。

 「人間は人殺しをしてもそういうものなのさ」

 

 

その核となる部分は、色々なミステリー小説に応用されているから、作家さんの創作意欲をかきたてる素材なんだろう

 

また、

 

探偵が絡めば絡むほど人が死んでいく様には、いつもながら皮肉も感じるし、本作に鑑みれば、秘密は秘密でいいじゃん とも思う

 

 

さて

 

発表順 (時系列順) でいけば、マープルもの次作は「魔術の殺人」になるのだけれど、いったんここでも小休止とし、久しぶりにポアロものを読みたくなった

なぜなら、今まで未読だったのは、こういう巡り合わせだったかぁー と思ったからだ

とてもよい機会なので、さっそく、「象は忘れない」を✨

 

 

ちなみに、、

 

マープルとポアロは同じ世界の住人なんだよね

 

 

*1:

犯人は何となくすぐわかったのだけれど、そんなことはクリスティはお見通しだったに違いない、そのベースとなる本作の核となる秘密には全くもって欺かれた💦

その二段構えの妙というか、ここら辺りがミステリ通をうならせる点なのかも?!

 

 

以下、冒頭からの続き

 

 

  それはさておき、「予告の殺人」のほうは

 文句なしに面白かった。この小説では、

 犯人を当てることはそれほどむつかしくはないだろう。

 しかし、ここでは犯人が誰かという疑問のほかに、

 最後にいたって、

 もうひとつの以外が読者をあっといわせるのである。

 「探偵小説の構想」横溝正史探偵小説選Ⅲ / 横溝正史

 

 

読了後にたまたま横溝氏の随筆を読んでいたら、何と「予告殺人」にふれていた箇所があり、その文字をさらに追ってゆくと、、

 

いやー まったくの同感

 

高木彬光氏も全く気が付かなかったともあり、偶然にも超巨匠お二人と同じ感慨だったとは... 恐悦至極💦

 

また、

 

随筆ではさらに続きがあって、こうも記されている、果たしてどの作品がどうそうなのか (゚-゚)? 随筆発表年を足掛かりにここら辺りを探偵するのも✨面白そうだ◎

 

 

 古い昔の小説のシチュエーションに、

 もう一度新しい衣を着せて、

 それを別の角度から扱ったら、

 このように面白い探偵小説が出来るのだと、

 私はいまさらのように、

 大いに啓発されたわけである。

 

 

さてさて... 

 

どの作品だろうか???

 

 

 

■関連ブログ■

読書遍歴:ひとはなぜ 物語 を読むのか? 2018-11-28
・特に好きな日本の作家さん
・無人島に持っていく五冊
・そして死ぬまでに、XXX を読み終えたい、、
・2018年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2018年のまとめ) ) 2019-01-08
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・2020年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2020年のまとめ) ) 2021-01-06
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 死ねば大好きだったこの大切な本のページはめくれず、
 読み終えたかったという願いは叶わない。

 二都物語 / C.ディケンズ
 

 

※2021年に読んだ文庫本など

本陣殺人事件 / 横溝正史 再読

黄色い部屋の謎[新訳] / ガストン・ルルー 再読

黒猫の三角 / 森博嗣 再読

フォックス家の殺人[新訳]/ E.クイーン 再読

モロー博士の島 / H.G.ウェルズ

斜陽 / 太宰治
砂漠の惑星 / スタニスワフ・レム
鳥居の密室 / 島田荘司

屋上 / 島田荘司

イルカの島 / A.C.クラーク

鹿の王 水底の橋 / 上橋菜穂子

人斬り彦斎 / 五味康祐

さよならの手口 / 若竹七海 再読

静かな炎天 / 若竹七海

錆びた滑車 / 若竹七海

不穏な眠り / 若竹七海

書楼弔堂 炎昼 / 京極夏彦

ウィチャリー家の女 / R.マクドナルド

・髑髏検校 / 横溝正史 再読

宇宙の戦士[新訳]/ R.A.ハインライン

・斜め屋敷の犯罪 改訂完全版 / 島田荘司 再読

・ガリレオの苦悩 / 東野圭吾

・獣眼 / 大沢在昌

・予告殺人 / A.クリスティ

・エクソシスト / W.P.ブラッティ 再読

・象は忘れない / A.クリスティ

アンチノイズ / 辻仁成

合唱 (コーラス) 岬洋介の帰還 / 中山七里

コンビニ人間 / 村田沙耶香

・白骨街道 (ハヤカワミステリマガジン連載) / 月村了衛

・バスカヴィル家の犬 / A.C.ドイル 再読

・トム・ソーヤーの冒険 / M.トウェン 再読

・とるとだす / 畠中恵

・君たちは絶滅危惧種なのか? / 森博嗣

・大いなる眠り / R.チャンドラー

 

 

 

 

 「アラユルモノノウチニ安ラギヲ求メタガ、

 ドコニモ見出セナカッタ。

 タダ片隅デ書物ト共ニイルトキヲ除イテハ」

 薔薇の名前 上 / U.エーコ